少年 ( No.5 ) |
- 日時: 2011/10/24 02:34
- 名前: うちだけい ID:Q7mJowqg
フラミンゴがイヌを咀嚼していたんだ。『犬を?』 そう。『いぬってあの犬?』 そう。『あーポメラニアンとか、あんなの?』 や、や、普通の犬を、だよ。『普通って何?』 てか、普通って何?とか聞いちゃうんだ? 『うん』 普通ってのは、あれだ。良くある一般性ってのを出来る限り曖昧に普遍化して、しかもその曖昧なのを無理くり敷衍するんだよ。そしたら普通ってののに、ちかしい『大きさ』には、たぶんなるさ。『大きさ?』 つまり、あんま大きくもなく、小さくもない、ってこと? 『そう。ざっつらいと。ゆーあーくればー。』 で、フラミンゴが犬を『咀嚼』できるわけ? 『ふむ、なんか俺らさっき入れ替わってない? どっちでも同じだけど。咀嚼――できるとも『言』えるし出来ないとも『い』える。さっきね。ものっそ場末の飲み屋に行ってたんだよ。 『で?』で、そこで、1時間ほど、正確にはわからんけど、たぶん、1時間前後だと思うんだけど、ずっと愚痴を聞いていたの。 『で?』で? ふむ。あー。 まだ分からないわけ。分からんやつに説明する気なんてねえよ。少年マガジンでも読んでろ。
上に書いたのは、呑み屋で、カビの生えた青いプラスチックの水道管を睨みながら便所で考えた。体長9メートルくらいのフラミンゴが丸呑みにするの、そう、ふつーの犬を。 んで、ドラえもんとか、ちっこいウルトラマンとかのシールが貼ってる汚ねえドアをバタンつって閉めて、蛇口をひねったら、ひねるだけ歪む水道で手を洗って
500バーツがどうの、銀行にはお金なんてねえよがどうの、息子がどうの、愛がなくなっただどうの、はじめは好きだったどうの、を、眼と眼の距離の離れた女が延々ぼくに愚痴る。
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