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RSSフィード [11] ふわふわ浮かぶそれは、確かに、確かに三語なのでした。
   
日時: 2011/01/22 22:59
名前: 片桐 ID:Opo0UrvM

今日もありますやります。一時間三語。
お題は、「煎茶」「ダウジング」「手のひら」。
多少の時間オーバーはかまいません。作品の未完結だって問題ありません。
楽しめるように書いてください。
十二時あたりまでに、あ、やってみたいかも、と思う方は投稿してください。

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Re: ふわふわ浮かぶそれは、確かに、確かに三語なのでした。 ( No.4 )
   
日時: 2011/01/23 00:06
名前: 端崎 ID:q3P8/rCY

 ふわふわ浮かぶそれは、たしかに彼の声なのでした。
 そのときわたしは、クッションをお尻のしたに敷いて、ゆったりとした、異国風の、三拍子の曲をきいていました。オーディオから流れてくるやわらかい弦楽器の音が、ときにぱつりとはじける心地よさにゆらゆらとただよいながら、膝のうえにのせた雑誌を、みるともなしに眺めていたのです。
 近所のお店から買ってきたサンドイッチに、ひとくち、噛みついて、甘すぎないたまごの味を舌のうえで転がしていると、玄関の扉があけられた気配がして、それから、あの人が帰ってきたのです。
「ただいま」といって、不器用なていねいさで靴を脱ぎ、あいもかわらないかるさで、たん、たん、た、とあがってきて、それからもういちど
「ただいま」
 というと、ほそめた眼でこちらをみるのです。
「おかえりなさい」
 やっとそれだけいうと、手のひらについたパンくずを容器のうえにはらって、わたしはまたサンドイッチに口をつけました。
「そんなものを食べているんなら、もうすこしちがうものを買ってくるんだったな」
 彼はそういうと、手に提げた紙袋のなかから背の低い箱をとりだして、わたしの顔の前にさしだしました。宇治煎茶、と書いてあります。
「どこで買ってきたの?」
「ちょっとそこまで」
「でも、宇治って」
 近所に京都のお茶っ葉なんか売っていたかしら。
「なにもダウジングをしようなんてのじゃないんだ。電車にのればいいんだから」
 わたしはなんだかおかしくなって
「そうね。そうね。でもこのお茶、淹れましょう。せっかくだから」
 クッションからたちあがると、キッチンまでいって、やかんに水を入れて、コンロにかけて
「ね、封を切っておいてちょうだい」
 といいました。
 オーディオから流れていた曲はだんだんとフェードアウトしてゆきます。コンロの火がこもった呼吸のような音をさせているのをよそに、
「どれどれ」といいながら箱をあける彼の声も耳のうしろに置いて、次はどんな曲だったかしらと、思い出そうと、しはじめました。

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