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RSSフィード [80] 「誕生」する物語
   
日時: 2015/01/11 18:46
名前: 片桐 ID:WTZkbyas

こんにちは。
連休はミニイベントのチャンス! ということで、今日もやります。ええ、やりますとも!

今回のテーマは「誕生」です。
「誕生」をテーマにこれから90分(八時半まで)で作品を仕上げてください。
なお、「誕生」だけでは話が思い浮かびにくいという方は、以下の任意のお題(作中に使う使わないは自由のお題)盛り込んだ話を考えてみる、というのもありです。
任意お題 「嵐」「ハズレくじ」「なめくじ」「乳首」

投稿は、このスレッドに返信する形でお願いします。
その際、トップ画面からミニイベント板に入ってください。そうしないとエラーが出るようなので。また、修正・削除のため、パスワードは忘れないようにしてください。出遅れた、イベント時間は過ぎているけど参加したい、という方はそれでもかまわないので、ぜひこちらに投稿してくださいね (*^^*) 。

それでは、七時になったらスタートですー。

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Re: 「誕生」する物語 ( No.3 )
   
日時: 2015/01/11 21:39
名前: マルメガネ ID:Rt/6Mivg

それは果たして、問題はなかったのか。
 ウブスナ博士は思う。
 同じ遺伝子を持ち、同じ容姿の羊が誕生したことには世界中が度肝を抜かれ、一大センセーショナルを起こした、歴史上初のクローン羊のドリーが誕生して半世紀以上が経った世界。
 いまやその技術は進化を遂げ、クローンのみならず、遺伝子を保有する卵子や精子まで作れるようになり、生殖産業が興った。
 その産業は一部の厳密たる医療の分野のみ限られ、厳しい倫理の審査をパスして初めて適用されるものであったが、もはや起こることはないであろうと思われた世界大戦争の勃発により、その体制は崩れ、有能なる兵士を作り出すためにそれらが用いられた。
 多大な犠牲を払う代わりに無人兵器が開発されもしたが、生殖産業の発達により、性別を持たぬ者が作られたのである。
 博士の懸念は広がり、最初の基本的な原点を考えれば、それらは非常に間違いであることにいささか疑問を感じない産業のありかたに警鐘を鳴らし始めたが、誰ひとりとして彼に耳を貸すものはいなかった。
 すべて戦争という色に染まり、なんら苦もなく作り出された兵士が戦場に送られているという事実がすっかり定着してしまっているのだ。
 戦況といえば、東側枢軸側と西の連合連盟、そしてその中間の中立同盟の三つ巴戦となっていつ終わるかも定かではない状況になっている。
 そのそれぞれの戦線に作り出された多数の兵士が任務を負わされ、そしてそれぞれの大義名分のもとに戦線に送られる。
 そんな毎日が繰り返されているのだ。
「東側枢軸がなにやら新型兵器を開発したそうだ」
 ある日、そんな噂が流れ始めた。
「我々もこうしてはいられない。すぐさま、その新型兵器とやらを上回る兵器を創り出せ」
 政府、軍令部が躍起になって研究所のそうそうたる科学者に命令を下した。
 それから数ヵ月後。
 戦争は終わった。
 互いに開発した新型兵器の打ち合いになって、一瞬で終わった。
 残されたものは、廃墟と焼け野になった大地と汚染された海と空だった。
「ああ、なんということだ。あれほど言っていたのに」
 ウブスナ博士が嘆く。
 能力としては優秀だが、生殖力を持たない兵士ばかりがたくさん帰ってきた。
「先生。どうなさいますか?」
「どうするも、こうするもあるまいよ。彼らの遺伝子をもとに、また新人類をつくるしかあるまい」
 ウブスナ博士はそうつぶやき、深い溜息を漏らした。
 第三次世界大戦後の復興は気の遠くなるような大事業となるのは確かだった。
 そして彼らの後を継いだ研究者が三代続いたあと、ようやく新人類の祖となる者が誕生した。
 新人類の祖となった者はやがて数を増やし、世界中に散らばり、そこでまた変化をし、数を増やしていったのだった。
 そしてまた新しい歴史が始まったのである。

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