とうもころしにあねもえで(未完) ( No.3 ) |
- 日時: 2010/12/31 00:18
- 名前: 片桐 ID:3VouuYiU
早春の堤防を歩いていた。 昼となって多少は気温が上がったものの、やはりまだ肌寒い。先日降った雨のため、河の水嵩は高く、黄土色の水がいきよいよく流れていた。せっかく気分転換に散歩に出たというのに、春の訪れに気分を解すとはいかないようだ。冷えた指先にかゆみを感じ、自販機でホットの缶コーヒーを買っては、手で揉みつつ暖を取る。ああ、寒い、などと誰にでもなく呟いていた。 歳を取ったものだ、などと今更己の有様に戸惑うことはないが、自分が今どんな格好、どんな仕草を今しているのかと思うと、苦笑を禁じえなかった。どうも最近自分というものに小慣れすぎている。 ええい、と思った。 私は缶コーヒーを一気に飲み干すと、甘ったるい息を吐く。そして冷たい空気を盛大に飲み込み、顔を上げる。せっかくここまで来たのだから、普段歩いていかないところまであるこうと思い立った。 普段使わぬとなり町の橋の下まで歩いた時、私はある姉弟を目にした。 二、三歳だろう幼児が小学校低学年ほどの姉らしき少女と手を繋ぎ、なにやら楽しそうに会話をしている。よほど姉が好きなのだろう、幼児は私にはいささかまぶしいほどの満面の笑みを浮かべていた。 「アネモエ、アネモエー」 え、と思った。 幼児が姉にいったい何を言っているのかと聞き耳を立てていたとき、確かにそう聞こえた。 姉萌え、姉が極めて好きであり、姉に子猫をみたときに感じるような心がきゅうとする感じを覚えるということだろうか。時代も変わった、と私は思わざるをえなかった。若者がどんな言葉で喋ろうとしったことではない。しかしあんな年端のいかぬ幼児までもが、萌えだなんだと言うとは。 しかし私はそれが勝手な思い込みだと気づく。 姉弟が立ち止まって見つめる先に、ある花を見つけたのだ。 アネモネ。 まっ紅な花弁があたりを威嚇するように花開いている。 どうしてあの子がアネモネなどという花の名前を知っているのか。おそらく花が好きな姉から教わり、それを自分はちゃんと覚えている知っていると自慢したかったのだろう。多少のいい間違いを含みつつも。 私はかの有名なジャパニメーションの巨匠の作品の中で、饅頭みたいな顔をした幼女が、とうもころし、とうもころし、と騒いでいたのを思い出す。子供というのは、観察していればあのような言い間違いを事実するものらしい。 「たかし、偉いねー」 姉にそういわれて満足したのだろう、幼児ははにかむように、誇るように笑みを浮かべていた。 ーーーーーーー ええっと、この後アネモネの花言葉と絡めて鴉を出そうかな、と思ったのですが、ここにてタイムオーバー。ごめんなさいー。今回めちゃくちゃだなー。来年だー、来年。
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