よくわからないけどさんごです。 ( No.3 ) |
- 日時: 2011/12/05 02:12
- 名前: tanaka ID:i0CsPwwM
お題は、『葉』『2000円』『ロンドン』です。
僕は2000円の格安ツアーでロンドンにいる。 これは夢なんだなと思ったのは、小旗を持つガイドが殺人鬼だったからだ。 ああ、殺人鬼、過去の三語で幾度となく登場している。身長は二メートルオーバー、筋骨隆々で繋ぎの作業着を着てアイスホッケーのマスクをしている。 この場違いなガイドを目の前にして、寝る前に「ロンドン夢紀行」って言うマニアックなテレビを見なければと思った。ロンドンに想いを馳せて失敗だ。これは明らかに奇行だなと思った。しかも客は僕一人。破廉恥な美女な番組を見れば良かったと今更後悔している。 「右手に見えるのが、かの有名なマンチェスターユナイテッドのフリーガンの巣窟のカフェでございます」 得意げに案内する殺人鬼。ツアーの資料を見直したいと心底思った。 カフェに入ると、怪しげな葉っぱの煙草、ビール片手にレッドデビル達が熱狂していた。中日ファンの僕は孤独感で一杯だ。僕をほったらかして殺人鬼も「マンチュー! マンチュー!」と熱狂している。右手の拳を固め殴ってやりたい衝動に駆られるのをぐっと堪える。 なぜなら、殺人鬼とは久々だったからだ、忙しくて構ってあげられなくてごめんよ。ビールを飲みながら、僕は拳を納める。試合に勝ったフーリガンと肩を組んで飛び跳ねる殺人鬼を微笑ましく眺める。 今年はこれで最後だろう。君を決して忘れてはいないんだ。一年に一回でも許してくれるよな。
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