Re: 久しぶりのミニイベント「音のある風景」 ( No.2 ) |
- 日時: 2014/04/19 22:51
- 名前: マルメガネ ID:pl3LEucw
農作業
山間の小さな田んぼにいて、細長くいびつな形をした田んぼに注意深く耕運機を入れる。 辺りはカエルの鳴く声がうるさいほど響き、田から田へと流し入れ、一段高い田んぼから落ちる水音がしていた。 耕運機の出力を少し上げて、ざぼざぼ、と深みに足を取られないように代かきをしていると、山の向こうにある鉄道を通る列車の警笛の音が聞こえてきた。 たぶん雨になるだろう。 そう思いながら、1枚の田の代かきを終えて農道とは名ばかりの狭い道に耕運機を乗り上げてエンジンを止めると一瞬そこにあったすべての音が止まったように感じる。 あぜ道を歩いてすべての田に水を供給しているたった一つの水門まで行くと、沢の涼しげな音がだんだんと大きく聞こえてくる。 田んぼの水は涼しげな音を立てて流れる沢から引いているのだ。 一番高いところの田んぼからその下にある田んぼを見渡して、引いた水の量をおおざっぱに見積もり、水門を閉めて川に水を落とす。 涼しげな音を立てて流れる沢の水に加えて水門から落水する風情もなにもない音が混じって流れてゆくのをしばらく眺め、その田んぼを後にすると、風が吹き微かに葉擦れの音を聞いた。 狭い道に停めた耕運機まで戻ってくると、ぽつりぽつり、と雨が降り出してきて急いで耕運機にシートをかけると、いちだんと賑やかにカエルが鳴いているのに気付いた。 シートをかけた耕運機をあとに急いで家に戻った頃、遠くから音を集めて風を伴った雨が降り出した。 カエルの合唱は雨が降り出してもしばらく続き、その合間に雨だれがしまい忘れていた箱を叩く音を奏でていた。
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