Re: 深夜の一時間SUN-GO ( No.2 ) |
- 日時: 2011/10/24 00:40
- 名前: 端崎 ID:FX1Fmn2E
みどりいろの、靴を履いている。 フラミンゴが。 階段の下で楽隊の奏するフーガにあわせて、何十羽何百羽と踊っている。広間はおぞましいほどに薄桃色。 ちらける羽と緋の絨毯を、踏む、鳥どもの靴。どうせ夢のなかなのだった。夢のなかだから、なんでもできる。 踊り場から、群がるフラミンゴに銃弾をあびせた。 ちらける羽。生の肉を撃つとちゃんと手ごたえがかえってくるのだ、とおもった。夢のなかなのに。 左からみぎに、腰だめにして撃った。どんな銃かはよくわからなかった。たっぷり五往復もすると弾切れを起こしたので、マガジンを取り替えてまた撃った。 累計十三往復目にさしかかったとき、ダダダだかダカララだか判然としなかった銃声が、ゥワンゥワンと唸りだした。犬の声だった。銃弾がみどりいろの靴を履いた鳥を襲い、エコーがかったゥワンゥワンはいまだ鳴り続けるフーガに体当たりし、噛みつき、混然と溶けあい、よりゥワンゥワンと鳴いた。二往復分鳴いた。四つめの弾倉は、なく、なお踊る死にぞこないの鳥どもの喚声と、フーガと、唸り声とがとまらなかった。夢のさめるまでとまらないだろう、とおもった。
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