日陰る。 ( No.2 ) |
- 日時: 2011/08/18 00:59
- 名前: 影山 ID:liZWrElY
某国の夕暮れ時のことである。 だってボールが無いもの、と少年は笑った。 『昨日と今日と明日』、と現地の言葉で書かれたTシャツは、検閲を受けて虫食いになっている。その上でぺてん、と裸電球が跳ねた。ばねの様に体が深く沈み、弾みをつけて跳ぶ。すると、少年の坊主頭を跳び越えて今度は彼のスニーカー。踵のソールへと飛び降りる。 金具の部分が蹴り上げられて、今度は広げられた二の腕へ。 そのままくるくる回って手の甲をすべり、膝の上で二、三、四とトランポリン。
五度目で大きく跳ね上げて、まるでバレリーナのように少年の体がしなる。 振り子の動きで、電球は派手に蹴り砕かれた。 飛び散る硝子が光って、煌いて、見えないゴールへと飛び込んだのだろう。
気がつけば、夜が来ていた。
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