Re: 別に上手いことなんて言えないけど三語 ( No.2 ) |
- 日時: 2011/04/04 00:09
- 名前: ムー ID:V/GUEvHQ
時計の針が夜の11時半を告げる。 傍らに置いたサックスのケースをちらりと見やり、私は溜息をついた。 「・・・ばか」 今日は、上手く行かない日だった。 特に何が大きく変わったとか、大事件があったと言うわけではないけれど、小さな、本当に小さな所で一々転んでしまう日だった。 カチカチと時を刻む音に乗せて、体に溜まった毒を吐き出すように言葉を放る。 「・・・明美のばーか」 今日の朝会での吹奏楽部の発表、黒いソックスで来てもいいって言ったくせに。 音楽室に集合したら、私以外は全員白いソックスだった。連絡ミスを謝ってはくれたものの、常識で考えれば白でしょ、とも言わんばかりだった明美の態度が頭から離れない。 先生に怒られて、腹が立ってそのまま。いつも一緒に帰っていた明美とは目も合わさずに一人で持ち帰ってしまった、黒いお気に入りのサックスケース。 もう一度ちらりと見やり、そして目を閉じる。 「・・・晴香のばーか」 昼休みの話で、私ばっかり馬鹿にして。 小顔で色白で華奢な晴香は、当然男子からとてもおモテになる。一時期はうんと年上の、社会人のお兄さんと付き合っていたという噂もあるくらいだ。キスはしたの、セックスしたの―――なんて、その手の話題に敏感な女の子達が質問攻めにしてたっけ。 まだ男の子と付き合ったことも無い私のことを「純粋乙女」なんていって鼻で笑った。私と同じまだ中学二年生の癖に、「私は大人の恋愛ってものを知ってるのよ」とでも言いたげな表情が、今も目に焼きついている。 大嫌い。 「・・・雅のばーか」 好きだった。ほんとに好きだった。 いつも寝る前は雅のこと思い出してたし、授業中だってずっと見てた。貴方が「髪が長い女の子は可愛い」って言うから、ずっとロングヘアでいたのにさ。 晴香が、好きだ―――なんて。 雅だけは他の男子と違うと思ってたんだけどなぁ。見る目ないなぁ。 そりゃ、晴香は私よりも断然可愛いけどさ。腹の中なんて真っ黒なんだよ?魔性の女、なんて噂もあるくらいだしさ。 そんなのに騙されて、ばかじゃないの。 「・・・ばーか」 みんな、ばーか。 ばーか。ばか。ばかばかばかばか。 「・・・大嫌い」 雅も。晴香も。明美も。 「大嫌い!」 でも、本当は。 「嫌いっ・・・!」 本当に、嫌いなのは。
時計の針が、午前0時を告げる。 私は立ち上がって、ベッドに向かった。部屋の電灯を消すと、窓からかすかに月明かりが零れる。 大きく深呼吸をして、ベッドに倒れこむ。 さよなら、昨日の私。 「・・・今日は良いこと、あるといいな」
+++ いまいち何が言いたいのか分からない・・・。 10分ほど遅刻しました。
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