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楽しいお話でした。何が楽しいかと言うと、雰囲気と語り口(方言)が楽しい。文章から活気が伝わってくるようで、思わず笑みを浮かべている自分に気づきました。また、兵庫県明石のお話ということで、僕とは直接な関わりはないとも言えるのですが、どこか懐かしい気分にもなりました。不思議です。あえて注文をつけるなら、もっと細かく「うぉんたな」を感じたかったかなというところでしょうか。もっと読ませて欲しいです。即興的なお話で、落ちなどは弱いけれど、それこそ蛸のように活きの良いお話だったと思います。ご参加ありがとうございましたー。
> かもがわでるた。 への感想 しんみり切なく、そして爽やかな小説でした。文章、わけても情景描写が美しい! うっとりしちゃいます。特にに、「うそぶいてみても消えてはくれない熱。」のくだりが好きでした。 鴨川デルタといえば、カップルが等間隔に並んでいるという噂のスポットですね! いいなー、京都。修学旅行で行ったっきりですが、一度はゆっくり観光してみたいです。> うぉんたなの怪 への感想 都市伝説を大真面目に信じちゃう主人公が可愛くていいですね。せっかくだから、もうちょっと主人公の詳しい情報が欲しかったかなあと思いました。 しかし明石といえばやはり蛸、なのですね。蛸、美味しいですよね。わたしの生まれた土地は漁業のまちなのですが、そのあたりでは海苔、アオサのほかに蛸もやっていまして、港には蛸壺がごろごろ転がっています。祖母の家に行きますと、食卓には蛸がかならず上ります。たまーに蛸のたまごを醤油で食べる機会がありまして、それがすごく好きで。蛸の描写を見ながら、いいなあ蛸食べたいなあと、食欲丸出しで読んでおりました。 賑やかな商店街っていいですね! こちらでは、地元の商店街はのきなみ寂れて、たいへん悲しいことになっているので、うらやましいです。> 横断する帯 への感想 わあ、雪国の冬! 雪や寒さについてのこまやかな描写が素晴らしかったです。まさにその土地で暮らした人にしか描けない情景、という文章。愛! ですね!「……まあ、ずっと暮らしてたらわからないのかな」のくだりなども、思わず何度も頷いてしまいました。故郷を離れて暮らしてみないとわからないことって、多々ありますね。 ごめんなさい、ひとつ、たいへん細かい話で恐縮なのですが、「母校」って卒業した学校のことをさす呼び方で、在学生が「私の通う母校」っていういい方はしないんじゃなかったかと思います。念のため。> 河内のおっちゃん。 への感想 河内弁といえば、ちょうど有川浩さんの「レインツリーの国」を読んだところだったのですが、そこで「いかなる外国語との喧嘩でも迫力負けしない地上最強言語」と紹介されていまして、「おお、これが!」と思わず嬉しくなってしまいました。しかし、耳で聞いたら怖い(のかもしれない)言葉でも、こうやって画面の上の文字として読んでいたら、なんだか愛嬌があって可愛いような気がするのが、不思議ですね。 後半、結びの転調がちょっと唐突で、何が起きたんだろうと、びっくりしてしまいました。前半と後半、それぞれに味があって、内容としては良かったと思うのですが、両者のつながりがもうちょっとわかりやすいと、なおよかったかもと思いました。> 東京のおいしいお店 への感想 都会の寂しさ。都会暮らしの経験がないわたしですが、なんというか、胸に迫ってくるものがありました。「有名な」「教授や芸術家が集まる」と続いたところで、うわっと押し寄せてきました。 おいしいものが食べたいと、繰り返す彼女が切ないです。傍聴を繰り返すことで、彼女は何を満たそうとしているのだろう。 そして深夜に読んでいておなかがすきました……。おなかがすきました!(真顔) ねじ様の描写力で食欲をそそる描写をかかれるのは、もうほとんど犯罪だと思います。美味しいものが食べたいです。(腹の虫と戦いながら)> のぼってゆく への感想 わあ、静岡は鰻かあ。浜松が有名ですよね。いいなあ鰻!(すっかり煩悩だらけです) 農業地帯で疎水とくれば、蛙ですよね。蛙の鳴くのがとても好きなのですが、あいにく実家の近くでは声を聞くことがなくて、ちょっと寂しいです。 細かく描写された現実感の中に、奇妙な魚のシルエットが影絵のように閃いて、どこか眩惑されるような思いで読了しました。
>ふるさとの、空は狭く への感想読ませていただきました。とても良かったです。長崎の香り(どんな香り!)がしました。昔はそれぞれの地名がそれぞれの情を感じさせたと聞きますし、地名をタイトルに入れた昔の歌謡曲なんかもたくさんあるものですが、これだけ交通とメディアが発展すれば当然日本全国画一化するわけで、(画一化なんて書くと随分おおげさですけど……)でもこういう小説を読むと、まだそれぞれの土地に根付いた言葉が生きているんだと感じいります。作中の方言での会話がいきいきしていて、ご当地小説ならではの言葉の魅力を堪能させていただきました。好きな場面は、叔父との会話と、最後に母親がおみやげをもたせてくれるところです。以下の会話は生活感があってとってもいいですね! >「あんたちょっと、痩せたっちゃなかとね」 声を掛けられて振り向くと、ビール瓶とコップを載せた盆を持って、母が目を眇めていた。>「家にいるときでも、鍵、開けっ放しにすんなよ。無用心だろ」 憮然としながら母にそういうと、「そうたいねえ」と、いかにも気のない返事が返ってきた。>「おいちゃん、久しぶり」「おう。どげんや、仕事は」「まあ、ぼちぼち」>「わい、本トに食いよっとか。刺身ば食え、刺身ば」 わざわざ買ってきたのか、テーブル並んだ刺身の皿を、叔父がおしやってくる。思わず苦笑がこぼれた。「おいちゃん、俺の住んどるとこにも、港、あっとよ。あっちでも刺身、食うとっよ」「なんな。長崎ん魚よっか旨かこたぁなかろもん」* * *あと、敢えて気になった箇所を指摘させていただきますと、>「向こうは、どんな?」→ 質問の後で、どうして語り手が喉の奥で言葉を詰まらせてしまったのか? 胸をつまらせる理由付けが弱いというか私には読み取れませんでした。自分が今住んでいるところの良さを芙美に伝えるのに、何故胸がつまってしまったのでしょうか。>どちらにしても、行く気はない。それが来年だろうが、五年後だろうが、きっと参列する気にはなれないだろう。→ 十年会わないでいた芙美に好意を持っているから、結婚式に参列する気にならないのでしょうか? もしそうであれば、過去の芙美とのエピソードもないし、ちょっと語り手の好意は現実味に欠けるかなと。結婚式に参列したくない別の理由として、故郷の止まっているような時間を動かしたくない、というものも考えてみましたが、それだと以下の「お前が、それを訊くか」という言葉の説明にはならないようですし……。>「ほんとに、もうこっちには戻ってこんと?」 お前が、それを訊くか。いいそうになって、ぎりぎりで飲み込んだ。> 十年。十年も経てば、それこそいろいろなことが変わっていて、当然なのだろう。目に見えることも、ぱっと見にはわからないことも。わかっているつもりで、心のどこかで、故郷の時間だけが止まっているような錯覚を覚えていた。そういう自分を、やっと思い知る。いまさら。本当に、いまさらだった。→ 故郷の町並みが変わったことと、母が痩せたことと、芙美が女性らしくなったことは分かりましたが、語り手と芙美との過去の関係がどう変わったのかがよく分からないので、私としては語り手に感情移入しにくかったです。この場面は芙美が結婚話を切り出して、語り手が動揺してのこの発言なのですが、「いまさら、本当にいまさら」という感情が切実に感じられませんでした。>どうしてこれまで帰ってこなかったと、誰かに訊かれたら、変に里心をつけたなかったのだと、そう答えるつもりだった。本当のところは、いえるはずもなかったので。→ 本当のところはなんだったのでしょうか?ぼかして余韻を持たせるというより、あまりに漠然としているように感じました。父親をはやくに亡くし、家族は母親一人?の子供が十年も帰らない理由であればなおさらに。私が読めていないだけであれば本当にお恥ずかしいです。そして、しつこいですけど私はとても好きな作品でした。HAL様にはもっと良い作品をバシバシ書いていただきたいと思っておりますし、日ごろから良心的なご感想をたくさん書いていらっしゃるので、大変差し出がましいようですが、私も良心に基づいて細かい疑問をぶつけてみたという次第です。企画ものなので、作者様としては、完成度よりも楽しく書くことを目的とされたのかもしれないですけど……。拙い感想失礼いたしました。見当違いのことを書いていれば、本当にごめんなさい。
>木更津で共に への感想 感想が遅れてしまいましたが、楽しく読ませていただきました。 そうそう、地方はどこもシャッター街だらけになってしまってますよね。郊外型大型店の便利さに負けて、昔から商売を続けてきた老舗や専門店が減りつつあるというのは、とても寂しい話だと思います。 若者がどんどん都会に出て行ってしまうのも、地方の宿命ですね。このお話のなかでは、サトミさんが地元に残る決意をしてくれて、そういう意味でもつられてちょっと嬉しくなりました。 すだて、っていうんですね。釣堀を壮大にしたような感じでしょうか。楽しそうですね~。じれったい二人のメインストーリーの脇で、ご当地名物をきっちりPRしておられて、読みながらにやりとしてしまいました。 それにしても二時間前は、早い! 主人公の真面目でちょっとずれた性格がなんともいえず可愛らしいです。まだ付き合ってなかったんかい! 仲間たちといっしょになってズッコけました(笑) ということで、楽しませていただきました。拙い感想、大変失礼いたしました!>拙作について うんこ太郎さま、ありがとうございますー。方言に長崎の香り(?)を感じていただけたということで、嬉しいです。周囲に方言はいくらでもあふれているのに、いざ書き言葉に起こすとなかなか難しいですね。方言のニュアンスというのは、イントネーションに拠る部分が大きいのだなあとあらためて感じました。 ご指摘の点、いずれも主人公と芙美のあいだに過去あった経緯を、もうちょっとしっかりほのめかせられたらよかったなと思いました。じかに書かずにほのめかして、想像をくすぐる感じにしたかったのですが、あまりに弱かったようです。反省します。 ご感想、ありがとうございました! いただいたお言葉をはげみにして、引き続き精進してまいります。感謝です。
>かもがわでるた 甘くほろ苦く、そして切ない。青春小説だなあって思いました。青春まっただ中というよりは、それが燃え尽きる寸前という感じかな。でも、そういう瞬間こそが、もしかしたら一番「青春」を感じるものなのかもしれません。そこにいる人も、それを読む立場としても。 ストレートと変化球を微妙に緩急つけた会話の運びが良かったです。 方言としては、広く使われている関西弁という感じを受けましたが、実際は京都ならではのアクセントがあるのですかね。 感想遅れましたが、みずのさんのセンスを感じる作品でした。>河内のおっちゃん 独り語りものですね。河内弁の雰囲気は出ているのかな、と思いました。ただ、僕の読み方の問題か、内容が掴みにくかった感があります。もうちょっと整理するなり、独り語りに工夫を盛り込むなどすれば、印象が大きく変わったかもしれません。 また挑戦してくださいね。
せっかくなので、感想書かせてください。>かもがわでるたたしか現代板でも感想書いた気がしますが、こちらにも書かせていただきます。情景描写や細かいしぐさの描写がよくて、時間がゆっくり流れているような感覚にさせられる的なことを書いた気がします。でも、読み返してみて、一番感じたのは言葉の選び方がすげえなあということです。簡単な言葉で済んじゃいそうなところを、あえて外しているというか、おそらくはみずのさんの感覚をそのままに言葉に乗っけて表現されているのだろうなと思い、それがみずのさんの作品に共通する味なんだろうなと思いました。中でもこの作品はそういった部分が強い気がしました。>うぉんたなの怪正直、だから何? と思ってしまう部分はあるのですが、逆にその狙いのなさにリアリティがあって良いなと思いました。その場所ならではの何気ない日常の一幕に、中高生(そのくらいでしょうか?)のリアリティが乗せられていて、面白い作品でした。>横断する帯情景描写や話運びが丁寧に綴られていて、すごくお上手な方なんだなあと感じました。その丁寧な描写の中で、主人公と倉持さんの会話からにじみ出る温度差の面白さが強調されていたように思います。結局何でもなかったんじゃん、というラストも良かったです。「こうやって電車に乗ってて、あったかいでしょ、温度が。でもなんだか、寒い気がするっていうか。雰囲気なのよ、音とか」という部分になぜか共感してしまいました。>河内のおっちゃん方言が耳に心地いい作品でした。読んでいるとそのリズムが本当に聞こえてくるようですね。私はずっと関東なので、多少のイントネーションや語尾の違いこそあれ、そこまで大きな方言には触れたことがあまりないので、何やらうらやましい気持ちがあります。私も、少し状況がつかめませんでした。それとせっかく方言のリズムが心地よかったので、やはりいきなり硬い標準語に変わってしまうと、もったいないかなと思いました。>東京のおいしいお店ねじさんの作品の、人物間の距離感が好きだなあと思いました。自分はその人の一面しか知らないのだけど、親しくして何度もその一面に触れてしまうと、それが「その人」なんだと盲目的な感情になってしまう、そんな風に感じました。でも、結局「その人」そのものじゃないから、どこかでそのことに気づいてしまうんですよね。それってすごく切ないことだと思います。その盲目的な部分は「つれていって、ここではないどこかへ 」の主人公の感情に近いような気もしました。> のぼってゆくみずのさんの作品とはまた違いますが、文章の中だけ時間がゆっくり流れているような感じがしました。情景が目の前に浮かんでくるようだし、音や匂い(とくに音の方が)も感じるような気分になりました。私にもそういう文章が書ければなあと感じてしまう作品でした。>木更津で共に学生っぽいカラッとした雰囲気がいいなあと思いました。無意味にノリがいいところなんか、大学生ですね、憎憎憎しい(笑)読み手の問題のような気もしますが、ちょっと進みが早いかなというか、読んでいて、展開のスピードに私のリズムが追い付いていない感じがしました。他の方が感じられないのだったら、問題ないのかなという気がします。プロポーズと思いきや、「付き合ってください」というのは面白かったです。その辺の純情な大学生という感じも良かったです。>ふるさとの、空は狭くとても良かったです。冒頭の家路を進む情景の描写にリアリティがあって、すうっと頭にイメージが湧いてきました。帰ってからの一連のやり取りも、いい意味で素朴というか、とても自然で、田舎らしい雰囲気がありました。故郷だけは変わらない、という根拠のない期待と、そうではないと思い知る、その切なさに感じ入るものがあって、それがこの作品で一番良いなあと感じた部分でした。皆さん簡単な感想で申し訳ありませんが、そんな感じでした。