おとこのこのかたち。 ( No.1 ) |
- 日時: 2012/06/03 22:56
- 名前: 脳舞 ID:UjMEw7h.
私には、他人には言えない趣味がある。 それは男の子を模した人形に、本来は女の子の人形用の服を着せるということだ。 いい年をして結婚もせず、人形遊びをしている時点でもとても言えたものではないけれど、さらにそこにそんな倒錯した意味合いが加わると、一層公言出来ないものになってしまう。 女の子の服を着せると、人工的なその顔がどこか恥じらっているように思えるのだ。車の通らない赤信号を渡るような、駐輪場で他人の自転車を倒してしまっても知らんぷりするような、そんな些細な背徳に彩られた悦びがある。 最近では市販の衣装だけでは満足出来ず、自分の服を参考にそのミニチュアを縫ってみたり、自分の髪から外したリボンを材料に小さなリボンを作ってみたりするようになった。 ふふ、と笑みがこぼれる。 (オトコの娘、だね) しょせんは人形だから、男の子と女の子の違いなんてないも同然なのだけれど、胸がわずかに膨らんでいるか、それともなだらかなのか程度の差はある。そんな小さな差でも、それは確かな違いだ。 (キミは、おかしな格好をしているよ) 女の子の人形から切り取った長い髪でウィッグを作って、男の子の人形にかぶせる。そして、それはそれは小さな赤いリボンを取りつける。自分の下着から切り出したブラをやさしく胸に装着させる。ちゃんとパッドを入れるのも忘れない。同じようにショーツもそっと履かせてあげる。ギリギリそれが見えなさそうなきわどい丈のミニスカートと、体の線が出そうなタンクトップを着せることが最近のお気に入りだ。 (男なのに女の格好をするだなんて、どうかしていると言われても仕方ないね) 指でそっとスカートの裾を持ち上げてみる。純白のショーツが露になって、いやらしい辱めを受けることになった。 (ああ、恥ずかしい。とんだ変態じゃないか) 人形にそっと頬を寄せてみる。これが一緒ならば、心強い気分になれそうな気がする。 鏡の前に立つオトコの娘と、その手の平の上にちょこんと座るオトコの娘。 (恥ずかしい気分は半分こ。違った世界に出ることの喜びは二倍になるといいな) 諦めがわずかに混じった母の非難の声を背中に感じながら、私は世間へつながる扉へと手を掛けて、そっと押し開いた。 吹き抜ける風がスカートの裾を舐めてゆき、今までに感じたことのない不思議な気持ちが私とオトコの娘の人形を歓迎してくれた。
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……なんだこれ。
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