色彩的な散文 ( No.1 ) |
- 日時: 2012/05/20 22:12
- 名前: マルメガネ ID:RXwbqe4E
東の空の彼方が白みはじめた頃。漆黒から色合いが薄れ、濃紺色のそれは万年筆のインキの色に似ていることに気づく。 ブルーブラック。言葉としてはそれだ。 静から動へ移り変わるそのわずかな時間。 東の彼方の空の色合いが藤色に、そしてときに茜色に染まっても、その色合いの届かぬところは黒から濃紺へ。 色の黒いカラスが鳴き騒ぎ、そして遠く真言宗の寺院で撞き鳴らされる夜明けの梵鐘の音色がその色が薄れるころに溶けこんでゆく。 動から静へ。 昼間の明るさが日没とともに暗くなりゆく時間の間には、侘しさとともにあたりは藤色に代わり、濃紺色の度合いを深め、上る月はその色合いを白から黄色に強めやがて暗闇の中で煌煌と照る。 夜明け前の色合いと夕暮れ時の色合い。そしてその狭間にあるもの、その下で光る色とりどりの灯も、夜が更けて深まるごとに消えて、やがて一巡りする。
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