日曜の夜だし30分三語 ( No.1 ) |
- 日時: 2012/02/13 01:47
- 名前: 水樹 ID:BzYnKXys
お題は、「鳩」「亀」「教会」「喜怒哀楽絶望天狗秘境地極楽湯」から三つです。
亀は言う。 「喜怒哀楽絶望天狗秘境地極楽湯などわしの祖父の代でとうに消えうせたわ、例えまだあったとしてもだな、夢幻にすぎん。そんな事に一生を費やすなどあほうのする事じゃ」 鳩は反論する。 「亀さん、あなたは一日でどれぐらい歩けると言うのでしょう。確かにあなたは僕の百倍長生きはできますが、僕はあなたが百日歩ける所を一日で飛んでみせましょう」 むっとした亀は、 「距離の問題ではない、目的も無く、有るか分からない場所へはどんなに飛んでも辿り着かんというわけじゃ、もしもお主が見つけてもわしが辿り着くまでにそなたは生きておれん、わしも歩き疲れて道倒れするかもしれん、この平穏に満足するのがよかろう」 鷹のように鋭い眼を亀に向ける鳩、 「僕は飛べる所まで、どこまでも飛んで行きたい、まだ見ぬ地へとどこまでも、例え長生きできなく一瞬でも、自分の翼を広げて行きます」 鳩は真っ直ぐに飛んで行った。 亀は思う。 どこまでも飛んで行け、気のすむまでどこまでも、何羽もの鳩がそうであったように、せめてお主ぐらいは戻ってきてはくれまいか、この長生きぐらいしか出来ない亀に、せめて希望を抱かせておくれ。 名の無い温泉に浸かり亀は空を見上げる。
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