一時間SANGOOOOOO、てきな。 ( No.1 ) |
- 日時: 2011/11/20 23:49
- 名前: tanaka ID:1VWreF4A
お題は、『鉛筆』 『雪女』『スクール水着』です。
「遭難ですか?」 「そうなんですよ」 自分でもアホな返事をしたもんだ。これは幻覚に違いない。この猛吹雪の中、少女? 彼女はあからさまに場違いなスクール水着だからだ。 胸の刺繍にマジックで書いてある名前は、トメだった。2-3からして中学二年生だろう。 彼女の神秘的な美しさに見とれてはいない、決してスク水が趣味なわけではない。 「トメさん、僕はこのままじゃ凍死してしまいます、暖かい所へと案内してくれませか? どうか助けて下さいな」 「ごめんなさい、あなたを助けたいのは山々ですが、私も課題が… って、私はトメじゃありませんっ! ジェニファーですっ! このスク水はお祖母ちゃんの形見ですっ!」 プンスコッ! と顔を膨らましたジェニファーに、理不尽にも怒られた。そんな名前は知る由もない、しかも課題ってなんだ? 僕はこのままほったらかしで死んでしまうのか? それはなんとしても避けたい所存。 「課題なら僕も手伝うよ、その後で暖かい所へとお願いします」 頭を下げる勢いでそのまま寝そうになるのを必死に堪える。危ない危ない。 「課題と言うのはバタフライで百メートル泳ぐ事です。あなたはバタフライ出来ますか?」 え? どこで? この雪原? まさかここ? バタフライ、バタフライ、バタフライ、この危機的状況で何て素敵な響きだろう。彼女の羨望に僕は応えた。百メートルの半分、いや五メートルも進んではないだろう。服を脱ぎ捨て、必死に僕は雪をかき分け泳いだ。自殺行為とも言える。裸で発見された死体の僕はどう思われるのだろう。 「教官っ! 私は教官に共感しましたっ! ありがとうございますっ!」 いつの間に教官にされ共感されたんだろう。身体は瞬時に凍結し、意識が遠のく。 洞窟の中、たき火の前で暖を取っていた僕は救助体に発見された。 果たして、ジェニファーは実在したのだろうか? 雪女だったのだろうか、または幻覚か妄想か、それを確かめる術はもうない。 二度と遭難はごめんだ。 日記を閉じ、鉛筆を置く。この日の事はそっと自分の胸に秘めておこう。
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