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RSSフィード [41] 郵便受けの中に食べかけのプリン小説の巻
   
日時: 2011/09/17 23:19
名前: 片桐 ID:WXVvW6ag

今日はまた趣向を変えて、冒頭をある共通の出来事から始める小説、というのにチャレンジしてみます。その出来事とは『郵便受けの中に食べかけのプリンが入っているのを見つける』です。そこから物語をスタートさせて作品を仕上げてください。

締め切りは今からだいたい一時間。多少遅れても問題ありませんよー。
楽しめそうなら、どなたでもご自由にご参加ください。

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鉄格子の中で ( No.1 )
   
日時: 2011/09/18 00:35
名前: ウィル ID:RQDsgEtY

 扉で音がした。扉に設置された郵便受けの中に、食べかけのプリンがあった。正直、俺はプリンなど食べたことがない。
「まぁ、食べるか」
 とりあえず食べることにした。もう夕方だというのに、水以外朝から何も食べていなかった俺にとって、数少ない栄養源だ。
 どうして飲まず食わずなのか? 答えは、この扉があかないから。鉄格子の柵と扉に囲まれ、俺は脱出することができない。
 幸い、水はある。だが、食べ物がない。ときどき郵便受けに食糧が入れられ、それだけで食いつなぐ。
「だめだ、これだけじゃ足りない! もっと、もっとくれ」
 俺は扉を叩いて扉の向こうにいる誰かに訴える。だが、扉の向こうから聞こえたのは笑い声。嘲笑。
 あいつは……扉の向こうにいるあいつらは俺のことを実験動物程度にしか思っていない。昨日も変な注射を打たれたし、変な薬を飲まされた。
「なんで……俺が何をしたって言うんだ」
 答えは返ってこない。
 扉の向こう側の人間はいなくなっていた。
 だから、俺も扉から動かないことにした。
 次の食事にありつけるまで。次の脱出の機会が手に入るまで。
 そして、その次の機会はすぐに訪れた。
 郵便受けに何かが入れられた。ドッグフードだ。人間が食べるようなものじゃないが、腹の足しにならないプリンよりも幾分かいい。
 俺はそれにすぐにかぶりつく。勢い余り、手を使うことすらせずに郵便受けに顔をつっこむ。喉が渇いたと思い、水受けを見ると、外の人間によって水が補給されていた。俺はそれを飲む。
 そして、食べて訴えかける。
「俺を……俺を外に出せ」
 俺が吠えるように叫ぶと、外にいたそいつらはまた笑って俺を見ていた。そして、鉄格子のすきまから俺の首に手を伸ばし、何かをとりつけた。
 何をつけられたのかわからない。だが、次の瞬間、何をやっても開かなかった扉が音を立てて開く。俺はその時、仮初の自由を与えられた。
 俺は自由に向かって走り出す。

※※※※

「こら、走るな」
 私は鉄格子から出てきたこいつに言う。
「それにしても、餌入れに入れた食べ物はなんでも食べるな、お前は」
 この前、息子がチョコレートを入れたら、こいつはなんの躊躇もせずに食べた。こいつにとってチョコレートは毒だというのに。
 そういえば、さっきはプリンなんか食べさせたって言っていたな。
「ったく、そんなんだから病気になるんだぞ。安静期間も終わったし散歩にいくか」
 大きく吠えるこいつに、私は微笑みかけた。


  ※※※※

 四十分後、俺は再び鉄格子に閉じ込められた。
「あぁ、雌犬に会いてぇ」
ーーーーーーーー
 執筆時間30分。
 投稿後微妙に修正。

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