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RSSフィード [33] ふかみどりいろのおじさん
   
日時: 2011/08/19 01:10
名前: 端崎 ID:OVU5DC5Q

つるべおとし、だそうです。どうでしょう。

二時半まで。

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とられてもらいみず ( No.1 )
   
日時: 2011/08/19 02:29
名前: 端崎 ID:OVU5DC5Q

 商屋の妻の右手左手、という歌がある。上の句はおぼえていない。
 めて、ゆんで、というのが読めなくて難儀した。夏の歌であろう。汀女にもそんな句があったかもしない。いや久女であったかもしれない、とおもって調べると、どちらでもなかったのがわかっておのれの無学を恥じた。
 だいたいみそひともじ、とかじゅうしちもじ、とかいうものを読みつけないというのになぜそんなことを思い出したのか。電車にのったからである。のって、東海線で八駅すすんだ。そこから南へ一○分も歩くとある、花鳥園を閉館になるまでみてまわった。そこで鳥をみて帰ってきた。魚もいたし、亀もいた。鶴などもいて、鶴は飼えるものなのかと妙にいかがわしい気分にもなった。ミミズクなどは止まり木に繋がれていたが、ちいさな子どもよりよっぽど大きなのがじいっと佇っているのの、鉤爪がくろぐろと太いのをみて、これはよほどおそろしくおもった。猛禽というのはこのような鳥のこともいうのだろうか、と考えながらしみじみと、五度も六度もその前をとおってはおそろしいおそろしいと感じ入った。亀というのは陸亀であったが、雌雄一匹づついるのをしゃがんでみていると雄ばかり土を掻いてなにやら穴ぼこを掘ろうとしているのに、雌は積まれた石の家屋に潜り込んで涼んでいるのだった。雄の甲羅は後端が一寸弱ほど割れていた。屋外に水鳥の棲んでいる池があって、その岸から北につくられた金網小屋のような一画に鶴がいた。タンチョウとかいうのではなかったとおもうが名前はおぼえてはいない。五、六匹もいて地べたに座り込んでいた。で、その金網である。蔓が捲きついていて、朝顔とも夕顔ともつかないすぼんだ花がついていた。ぶんと熊蜂じみたちいさな蜂がとんできて、その花にもぞりと潜り込むと、せわしなげに花をゆすりゆすり、まるっちい尻を突きだして戻ってきた。それからすぐどこかちがうところへ飛んでいってしまった。で、なんの花だろうとおもったのである。
 帰ってなんとなくたしかめてはみたものの、あとでしらべようとおもってみていたわけではないからいまいちわからない。昼顔というのは咲いてすぐ花を落としてしまうというからちがうらしい、ということはいえそうではあった。
 なんだかわからないままに鶴の座った妙にひんやりとしてみえる地べたと、蜂の丸い尻ばかりが頭にちらついて、そうだ、そういうえばなんぞ朝顔の歌があったな、ということが頭に浮かんだのであった。加賀千代女がものしたのであった。

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