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RSSフィード [3] 新サイト突発一時間三語・斬
   
日時: 2010/12/18 23:02
名前: 片桐 ID:a1xijYQ2

 新サイト一回目の突発三語ということで、少し説明させていただきます。
 突発一時間三語というのは、一時間で三つのお題を含んだ小説を書いて投稿しよう、というミニイベントです。
 三つのお題はチャット上で集められます。スレッドが立ち上げられると執筆開始となり、その後一時間以内にこのスレッドに返信する形で投稿してください。
 別板で行われている一週間内に書き上げて投稿する三語は、構想時間は自由で、書き上げるまでの目標時間を一時間としているのに対し(この制限はあまり守られていませんがw)、こちらは一時間以内に構想執筆をするものだとお考えください。
 もちろん、あくまで楽しむことを目的としたイベントなので、多少の時間オーバーは問題ありません。また、仮に作品が完成していなくても、一時間たった時点の成果として投稿するのもありです。
 とにかく一番重要なことは書くことを楽しむことです。一時間で自分がどこまでできるのか、焦ったり、頭ひねったり、変なテンションになったり、楽しんでみてください。
 
 では今回のお題です。
 「アンティーク」「茜色」「木目金」
 以上の三つのお題を使って作品を書いてください。

 一応の投稿締め切りは十二時。参加は自由なので、興味のある方は是非ご投稿ください。
 

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職人気質 ( No.1 )
   
日時: 2010/12/18 23:29
名前: マルメガネオヤヂ ID:KppxXgEc

 そのアンティークに使われている木目金の風合いは、時を重ねた趣があり、それを目指している木目金作家の若い男はため息をつく。
 地金に使われている銅の色。金の風合いを醸し出している真鍮。そして銀色の輝きを見せる白銅。きらびやかな銀と金。
 それらを組み合わせて叩き合わせて作る。
 しかし、そんな彼にでもできないものがあった。
 哀愁を帯びた茜色。それだけができないのだ。
 地金の屑をかき集め、黒鉛ルツボに押し込んで溶かしあわせ、新しい地金を作る。
 何百回、何千回と繰り返して錬金術師まがいのことまでやってみるものの、その風合いの地金を作ることはできず、彼は苛立ちさえ覚え始めた。
 コークスが赤々と燃え盛る炉の中に据え置かれたルツボの中を覗く。溶岩のごとく煮えたぎるモノ。彼の意図とは裏腹に、それは追い求めるものとなるかさえ分からない。
 気がつけば、そんなこんなで数年の歳月が流れていた。
 ある日、彼は失敗作を捨てようとした時、偶然に追い求めるものがそこから出て来た。哀愁を帯びた風合いの茜色の合金。
 それを叩き延べ、他の合金と重ねあわせて叩き合わせる。
 しかし、それでも古いものの風合いとは全く異なるものだった。
 彼の挑戦はそれだけでは飽き足らず、合金の割合などをつぶさに調べ上げ、さらに研究を重ねる。
 一生かかっても、できないのだろうな、と年老いた彼はふと思う。
 できたのは激しくかさんだ借金の山と、壊れたルツボの破片の山と、失敗の山。
 そして、彼はこれまでの作品を売りさばき、新しくまた出た合金を試す。
「茜色の地金売ります」
 その文字がどこかの雑誌に掲載された時、彼はもう立つことすらできないほど体は弱り果て、年老いていた。

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