当たるも当たらぬも……。 ( No.1 ) |
- 日時: 2011/01/22 23:29
- 名前: マルメガネオヤヂ ID:nAErtR9k
そんなもので、本当に探し出せるの? と、いう怪訝な顔をするサツキがいた。 「やってみい。きっと見つかるはずじゃ」 祖父がしわくちゃの手のひらに乗せた五円玉に糸を括りつけたものを渡し、湯飲み茶碗に入った煎茶をすする。 半信半疑で、彼女は祖父から手ほどきを受け、早速試してみた。 ふらふらと円を描く五円玉。地図に強く現れたその反応を書き込み、定規で線を引く。 地図に引かれた何本もの赤い線。そして、拡大されてゆく何枚かの地図。 世界地図から日本地図へそして都道府県へとなり、やがて彼女の住む町内へと移行した。 線は学校のところで交わっていた。 「あっ……。そうだった。忘れて帰ったんだ」 サツキが思い出す。 それ以降だった。 彼女がすっかりダウジングに嵌ってしまったのは。 それから何年か過ぎて、祖父が亡くなった。すると、あれほど好調だったダウジングの威力も落ちて、全く当たらなくなっていた。 遺影の前に、入れたての煎茶を置き、彼女はため息をつく。 どうして当たらなくなってしまったのだろう。 すっかり糸がくたびれて、錆びていた五円玉もぴかぴかになっている。 新しい凧糸を結んで、彼女は試してみる。反応は相変わらずだった。でも新しい発見はあった。糸の長さだ。 少し長めにした糸にすると動きはかなりのものだった。 彼女が警察の刑事課に呼ばれたのは、ある夏の日のことだった。 何も悪いことをしてないのに、どうしてだろう、と思うと冷房よりも涼しく感じられる。 刑事は言った。 事件の解決に向けて、協力して欲しいと。 案件は死体遺棄の罪に問われて逮捕された男の供述にかかるものだった。 男の供述によれば、殺したあと山中に埋めた、ということなのだが、それがどこの山中なのかということは自白せず、いたずらに時間が過ぎるばかりである、とのことで彼女に声がかかったらしい。 早速彼女は地図を貰い、ダウジングを開始する。 「わかりました」 「どこですか?」 「ここです」 彼女が指し示したのは、最近不穏な動きを見せ、活発化した火山だった。
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