はんだ
「冷たっ」
 頬がひやりとして、目が覚めた。何か冷たいものを押し付けられたらしい。
 目を開けると真一の顔があった。缶コーヒーを手に持ち、私の枕元に屈み込んでいる。
「ひでえ顔」
「元からです」
 今イビキかいてたぜイビキ。はしゃぐように真一は声を上げた。私は掛けていた毛布を脇に除けて、眼鏡を手にとる。地下の実験室。横たわっていたカーペットの上にはネジや埃まみれの実験器具が転がっている。ひどい環境だが、他に仮眠をとれる場所はない。
「今何時?」
「もうすぐ朝の五時半。夜中に実験してたのか?」
 私は眼鏡をかけながら頷いた。ぼやけていた視界は揺らぎ、ゆっくりと焦点を結ぶ。
「本当は終電で帰るつもりだったのよ。それがいろいろあって徹夜決定。まあ、最初からなんかおかしいとは思ってたんだけどね」
「上手くいかなかったわけだ」
「上手くいくわけないって。あの子に作ってもらった回路、いい加減なんだもん。はんだ超適当だし、ところどころショートしてるし」
「ああ、鞠子ちゃんにやらせたのか」
 うちの研究室の名物一年生の甲高い声を思い出す。篠田せんぱぁい。できましたぁ。
 派手な顔立ちにきつめのメイク。うちの学科には珍しいタイプの子である。爪はいつも綺麗に手入れされていて、同性としては羨ましくもあるのだが、爪は短くするように何回注意しても直してこない。長い爪は実験器具を傷つける恐れがあるから、ご法度なのだ。
 鼻息荒く主張する私に、真一は両手を組んで頷き、話の先を促した。
「測定自体は夜の九時くらいに始めたんだけど、今日はやけに信号電流にノイズ乗るなあ、とか考えてたら、急にうんともすんとも言わなくなっちゃって」
「シグナル線がアースに落ちかけてたんだな」
「ずっと原因が分からなくてさ。本体電源のノイズとか、温度状態が安定してないんじゃないかとか、いろいろ調べたわけ。それで、あの子に作ってもらったアンプのせいだって分かったのが、夜中の二時。もう直す気力もなく力尽きて寝た」
 ねぎらいのつもりなのか、真一は苦笑しながら持っていた缶コーヒーを私に手渡した。大学構内の自販機で売っているものである。無糖ブラック。
「地下の実験室の鍵が返されてなかったから、誰かいるのかと思って覗きに来たんだよ。そしたらお前がデカい口あけて寝てた」
 よだれを垂らして実験室の床に転がっていた二十四の女は、研究室の先輩の欲情よりも同情を喚起したらしい。まあ、真一に無様な姿を見られるのは日常茶飯事だ。この環境にいると、だんだん自分が女であることを忘れていく。
「コーヒーありがとね」
「おう。忘れないうちにな」
「大丈夫よ。私は女」
「何だそりゃ。わけ分かんねえ。そうじゃなくて、約束しただろ。この前」
 一瞬、私は言葉に詰まる。すぐに気を取り直して、取り繕った。
「ああ、あれね。このコーヒーが埋め合わせ?」
「いや。だからその回路、俺が直してやるよ。見せてみな」
 私は視線で作業机の上を示す。彼は身を屈めて絶縁被覆が施されたプリント基板を拾い上げた。鑑定人が品定めをするように、角度を変えて回路の出来を確認する。
「こりゃひでえな。はんだがべったべたじゃん。お前、ちゃんと教えたの?」
「教えた。実演もした」
 うーん。鞠子、できるかなぁ。でもやってみますぅ。
「まあ、運が悪かったと思って諦めな。ところで、その鞠子ちゃんはどこにいるわけ?」
「帰った」
「帰った?」
「土曜は彼氏とデートなんですぅ、だって」
 鞠子ちゃんの声音を真似て私がおどけると、「お前が言うとなんか面白いな」と真一は乾いた笑い声を上げた。そういえば彼も声が掠れ気味だ。もうすぐ博士論文の発表があるから、五階の学生部屋で徹夜していたのだろうか。
「彼女もなかなか図太いねえ。それで、優しい篠田先輩は後輩が学会で使う実験データをせっせと集めてるわけだ」
「そういうこと。じゃあそれ、よろしくね」
 はんだ落とすより一から作り直した方が早いな――と真一は呟いて、はんだこてを手に取った。私は顔を洗うため、スリッパを履いて一階のトイレに向かう。

 私がこの研究室に入ったのは二年前。大学四年の学部生の時だった。
 もともと実験物理には興味があった。加えて、この研究室を取り仕切る教授はなかなか講義が上手く、印象に残っていた。志望動機はその程度。
「篠田夕紀です。よろしくお願いします」
「女の子入ってくるなんて何年振りかね」
「男ばっかだけどよろしく」
 先輩たちはとても気さくで、気難しい人がいないのは良かった。うちの学科には、話を始めると宇宙の創生について三時間語り続ける人から、構内を徘徊してぶつぶつ独り言を呟いている人まで、頭が良すぎて変わった人はたくさんいる。実験系だと比較的そういう人は少ない。そういう学生は、手を動かす実験より理論物理に進むことが多いのだ。
「中村真一だ。よろしく」
 その気さくな先輩の中で、唯一とっつきにくかったのが真一だった。私が笑いかけてもむすっとしていて、正直、第一印象は最悪だった。
 そんな真一は博士一年生。そして、私の実験の教育係だった。
「オシロの使い方も分かんないの? それでよくうちの大学入れたな」
「電子顕微鏡は立ち上がり安定しないから朝一番で電源入れとけって言っといただろ」
「バカ、ビーカーは水じゃなくてアセトンで洗えよ」
 最初のうちは実験室の『常識』に慣れなくて、何度も叱られた。私も気が強い方なので食ってかかったが、そのたびにやり込められた。他の先輩に慰められながら、陰で密かに落ち込んだ。
 真一は優秀な学生だった。学部生のときは理学部内でもダントツの成績で、卒業時には主席として学長から表彰されたらしい。実験の腕も素晴らしかった。何か不具合が生じた時には素早く原因を特定し、適切な対処をとる。悔しいけれど、一番頼れる先輩だった。
 そんな彼が教育係になってくれたのは、私にとって幸運だったのだろう。四年生ながら学会で発表するだけのデータを出せたし、多くの実験技術や理論を教えてもらった。彼は手先も器用で、はんだ付けは一から彼に習った。
「はんだを上手く付けるコツは二つ。スピードと思い切り。それが一番大事なんだよ」
 細い指先を魔法のように操って、回路基板にコンデンサーや抵抗を埋め込んでいくその姿に、私はいつも見惚れていた。それはまるで、まっさらな平野に文明を築くようなものだった。ひとたび彼が命を吹き込めば、無機質な基板の上に新しい世界が生まれる。
「やってみるか?」
「私でもできるかな……」
「できるかどうかじゃなくて、やるんだよ」
 教える言葉は厳しいけれど、真一は実験に必要なことはすべて教えてくれた。どれだけ自分が忙しくても、私が困り果てて質問をすれば答えてくれたし、できるようになるまで夜中でも付き合ってくれた。
 初めての学会が近くなると、毎日真一に付きっ切りで実験とデータの整理をしていた。それから私が彼のことを好きになるまで、そう長くはかからなかった。
「中村さんって、彼女いるんですか」
「いるよ」
 真一の彼女は学部時代に知り合った法学部の人らしく、今は就職して九州にいるのだという。あまりに簡単に話されたので、自分は女として見られていないのかもしれない、と頭の隅の方で考えた。
「もう終わりそうだけど」
「どうして」
「俺は、研究者になってこの大学に残るつもりだから。あっちも、研究者なんて不安定な職種じゃ安心して仕事辞められないだろ」
 日本の研究者事情は、いくつかの理由から歪んだ制度体系になっている。海外の大学を真似て大学院の入学定員を増やした結果、職にあぶれたポストドクター(学位取得者)が研究者の雇用市場を圧迫し、大多数は任期付きの研究員として大学を転々としている。
 そのため、多くの人は先行きに不安を感じ、研究者になる夢を諦めて企業に就職する。
「彼女さんがそう言ってるんですか?」
「どうだろね。聞いたことない」
「ダメですよ、ちゃんと話し合わなきゃ」
「最近会ってないんだ。なにしろ遠いからな。電話の分を合わせたって、お前と話してる時間の方が長い」
 私だってそう、と心の中で呟く。最近、彼氏と会うのをやめた。実験が忙しくて休みに会えなかったというのもあるけれど、たぶん、彼にとって私はもう必要のない人間だった。お互いが別れを切り出すのを待っている。そんな状態だった。
「愛情は距離に反比例するからな」
「そういう言い方、やめてください」
 それから、学会発表は無事に終わり、真一は九州の彼女と別れ、私はここぞとばかりに彼に告白した。私からそんな風に見られていたとは露ほどにも思っていなかったらしく、「ところでこれ何の罰ゲーム?」と彼はしきりに首を傾げていた。

 私がトイレで顔を洗って戻ってくると、真一の作る回路はもうほとんど完成していた。相変わらず器用にこてを操る。アースに落とす部分に使うコンデンサーの端子を折って、基板に差し込む。はんだを溶かして付ける。差し込む。付ける。
「おかえり」
「いつも思うけど、本当に仕事が早いよね」
「お前とは年季が違うんだよ。こちとら小学生の時からやってるんでね。こては俺の手の一部みたいなもんさ」
 プラスチック芯に巻かれたワイヤー状のはんだを引き出して、彼はこての先に当てた。高温のこて先で溶けたはんだが真珠の粒のように丸くなる。表面張力の効果だ。溶融したはんだは基板に開いた穴の中にとろりと流し込まれ、すぐに冷えて固まる。
 真一とベッドに入るとき、私はいつもはんだのことを想像してしまう。彼が私の身体に触れるたび、まるで熱いこてを当てられているような気がするのだ。芯から溶けてしまうような熱に身を委ね、私は彼の胸の中で丸くなる。
「こんなもんかな」
「ありがとう」
「こんなんで感謝されるなら、気晴らしにいくらでもやってやるよ。実は論文の方が行き詰まってるんだ。解釈の難しいデータがあって」
「まだ時間あるんだし、気楽にやればいいよ」
「そうも行かないさ。来年の準備もあるしな」
 真一はそう言って大きく伸びをする。
 私は空になったコーヒーの缶を捨てに行こうと、彼を研究棟の外に誘った。
「地下だと分からなかったけど、すっかり朝だね」
 正面入り口の自動ドアを抜けると、東の空から昇りかけた黄金色の太陽が視界を覆った。微かな湿気を含んだ朝の空気が清々しい。人気のない大学構内は、朝靄を残してほのかに煙っていた。
 私は一度深呼吸をして、構内にある二十四時間営業のコンビニの方に歩いていく。
「お前に仕事押し付けた鞠子ちゃんは、今頃何してんのかな」
「まだ寝てるんじゃないの」
 ふっ、と息を漏らすように真一は薄く笑った。
「お前が甘やかすのもいけないんだぜ」
「私一人っ子で、ずっと妹が欲しかったの。だからついつい世話焼いちゃう」
「まあ、そういうところがお前のいいところなんだけどな」
「スパルタの真一に育ててもらった割にね」
「あれでスパルタ? お前、俺がお前に気を遣ってたの全然気付いてねえだろ」
「そんなの知らない。私、毎日研究室来るのが辛くて、アパートで泣いてたんだよ」
 泣き真似をして彼に甘えた素振りを見せると、嘘つけ、と一蹴された。
 二つ穴の開いたゴミ箱に手を伸ばして、二人同時にコーヒーの缶を放り込む。
「お前みたいな生意気な後輩初めてだったよ。何にも分かってないくせに、口だけは達者なんだもんな。そのうえ女だから、扱いにくいったらありゃしなかった」
「私に実験指導するの、嫌だった?」
「まあ悪い気はしなかった。女だし」
 どっちだよ、と頬をつねり上げると、真一は「いてえな」と言って私の肩を小突いた。どうせ土曜の朝の大学なんて誰もいないので、バカみたいに笑い声を上げてつつき合う。ガラス越しのコンビニの店内から、眠そうな顔の店員が私たちを一瞥した。
「お前、俺のこと嫌いだっただろ。口うるさいし、他の奴みたいに特別扱いしないし」
「いちいち細かいとは思った」
「あれだって、好意の裏返しってやつだよ」
「好きな子だといじめたくなるってやつ?」
「そうそう」
 そんな理由でいじめられたら、いじめられている方はたまらない。
 その時、ふと思い出したことがあった。私は少し意地悪な気持ちで彼に言ってやった。
「真一はそういうのが好きだもんねえ」
「ん?」
「いやー、とか、やめてー、みたいに女の人が大声で喘いでるビデオのこと」
「いきなり何を」
 母親に恥ずかしい雑誌を発見された男の子みたいに、真一は分かりやすく狼狽えた。
「この前ゴミ箱見たら、ツタヤのレシートが入ってたんだけど」
「お前はどこの探偵だよ」
 それにしても凄いタイトルでした、と正直に感想を漏らすと、頭を軽くはたかれた。
「前から思ってたんだけど、男っていつも何が不満なわけ? 別に、好きな時にやらせてあげてるんだからいいじゃん」
「それとこれとは別なんだよ」
 大阪人はお好み焼きをおかずに白飯食べるって聞くしな、と彼はよく分からない喩えを口にした。分かるようで分からない。
「だけど、お前だって、この前はこっちが恥ずかしくなるような声出してたじゃねえか。隣の部屋の大学生、絶対聞いてたぜ。こう、壁に耳くっつけてさ」
「出してない」
「照れるなって」
「黙れスケベじじい」

 ひとしきり戯れてから私たちは広場のベンチに腰を下ろした。すぐ傍の池で鯉が跳ねて、ぽちゃん、と波紋を広げる。足元の落ち葉は日陰のためか微かに湿っていた。
 急に電池が切れたみたいに俯いた私を見て、真一は首を傾げた。
「どうした?」
 俯いたまま私は答える。
「博士論文書いて、卒業して。本当に行っちゃうんだなあって、思っただけ」
「ああ」
「知らなかったよ。海外なんて」
 進路について尋ねたのは先週のことだった。「俺、イギリスの大学に呼ばれてるんだ」と真一から聞くまで、私はてっきり、彼はうちの研究室の助手になるのだと思っていた。
「ごめん」
「夏から分かってたんでしょ」
「お前には言いづらくて」
 私も真一と同じように博士課程に進学するつもりだった。教授にも伝えてある。来年の研究計画に組み込まれているので、今さら進学をやめるなんて教授には言えない。
 彼がイギリスで研究員として働くと告白したとき、私は彼をひどく責めた。どうやら、研究室のみんなはそれを知っていて、私だけが知らされていないようだった。
 そのことを真一は私に対する負い目に感じているらしい。これからは何でも言うことを聞くと約束したばかりだ。缶コーヒーやはんだ付けくらいで埋め合わせることができると、まさか本人も思ってはいないだろうが。
「ずっと一緒だって、思ってたのに」
「ごめん」
 謝るだけなら簡単だろ、と拳を振り上げたけれど、それを振り下ろすことなく私はまた俯いた。タイムリミットは近い。以前より彼の部屋に行く回数が増えたのは、私の焦りの現れなのだと、果たして彼は気付いているだろうか。
「でも、分かってくれよ。チャンスなんだ」
「分かんない」
 子供みたいに駄々をこねても、真一は何も答えてくれなかった。私が彼の夢からすればちっぽけな存在だということは分かっていたし、それが自分の卑小さによるものではないとも知っていた。そして、私は彼の夢の障害になんて絶対なりたくなかった。
「……海外と遠距離なんて、自信ないもん」
「アマゾンの奥地に行くわけじゃないさ。電話もできるし、ネット環境だって整ってる。月に一回は日本にも帰る」
「だから?」
「心配することは何もない。大丈夫だってこと」
「真一は大丈夫でも、私は大丈夫じゃない」
 一度誤った位置に付いたはんだを落とすのは難しい。そんなことをするよりは、一から作り直した方が早いのだ。真一というこてを離れた私は、日常の中にとろりと流し込まれ、すぐに冷えて固まるだろう。
 人間の感情がどれほどアテにならないものかということを、私はもちろん知っていた。彼にとっても、私にとっても。
「俺だって、お前と離れたくなんてないよ」
「だったら」
「話したよな。俺が子供の頃から研究者になりたかったこと」
「うん」
「俺にとってはそれが一番大事なんだ。でもお前のことも諦めたりしない。俺はあっちに行ってもお前と繋がっていられるって、壊れたりしないって、信じてる」
 行って欲しくない。
「……愛情は、距離に反比例するんじゃなかったっけ」
 離れるなんていやだ。
「前の彼女の話だ。お前は違う」
 ずっと傍にいたい。
「言うのは簡単だよ。離れたら、気持ちなんてすぐに」
 私には彼しかいない。
「そんなのやってみなきゃ分からないだろ」
 彼が望むなら何でもする。
「私は試したりなんかできない。……一生で、最後の人なんだもん」
 意地悪されても、博士に進学できなくても構わない。ビデオに出てくる女の人みたいに彼の前で恥ずかしい声を出したっていい。隣の大学生に聞かれたって、教授の研究計画が白紙になったって、そんなの、関係ないんだ。
「行くから。私も」
「……は?」
「どこまででも付いていくから。アマゾンの奥地にも、一年中雨の降るイギリスにも」
 ぽちゃん、と鯉が池の水面に向かって飛び込んだ。私の決意の重さを吟味しているのか、真一はしばらく黙って頭を掻いた。
「博士進学するんじゃなかったのかよ」
「彼氏を上手く繋ぎ留めるためのコツは二つ。スピードと思い切り。それが一番大事なの」
 自分で言ったことだと思い出したのか、真一は破顔して吹き出した。
「そういや、そうだったな」
 白っぽい光の中をじりじりと太陽が昇っていく。草花は朝露に濡れて輝き、朝の気配が周囲を満たす。私は予感を感じた。それは確かな言葉でも、約束でもない。お互いの間にゆっくりと降り積もる、幸福な時間の重なり。
 すり寄って甘えると真一は私の髪を優しく撫でた。それから私は彼の胸に身を預けて、熱くなったはんだみたいに、小さく身体を丸めた。


おしまい
Phys
2012年06月03日(日) 19時36分18秒 公開
■この作品の著作権はPhysさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
実は先日から中編っぽいものを書いているのですが、それの進み具合がなかなか良好で、
最近は短編を書く機会がありませんでした。読みに徹するつもりでTCの皆さんの作品を
読ませて頂くうち、自分も短めのお話を書きたくなってしまい、このたびは拙い筆を取る
運びとなりました。

今回は自分の学生時代の経験を前面に押し出した内容にしました。一年前のことですが、
社会人になって過ごした時間が濃密過ぎて、振り返ると懐かしさみたいなものを感じます。
正直悲しくなりました。こうやって気が付かないうちに歳を重ねるのでしょうか……。

変に構成することをやめて、ある種頭を使わずに書いたので、どんな有様になっているか
自分ではよく分からないのですが、これから書き手として成長するための一歩にしたいと
思っています。(ミステリ的な要素はあまり使っていないつもり……です)

作者の誤解、展開や心の動きが不自然等、毎度ながら欠陥が目につく文章かと思います。
もし気が向きましたら忌憚なきご意見を頂けると作者はうれしいです。

最後までお目通し頂いた方には、本当にありがとうございました。

P.S.もしねじさんが読まれていたら一言謝罪したいのですが、「黙れじじい」という
台詞、すごく印象的だったので、盗みました。あんまり効果的に使えてないですけど、
ごめんなさい。ありがとうございました。

この作品の感想をお寄せください。
No.16  楠山歳幸  評価:40点  ■2012-08-28 23:31  ID:3.rK8dssdKA
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 めちゃくちゃ遅れ馳せながら読ませていただきました。
 デジタルを感じる専門の世界をはんだというアナログで表現している所が凄く良かったです。僕だったら専門の機械や専門用語を出しまくっています。以前、PhysさんはTCでは数学キャラを出すつもりはないとおっしゃっていたので、若い頃、と言っては誤解を招きますね、すでに義務教育の頃から苦労していたんだなあ、と思っていました。負けん気がなければついていけない世界もさりげなく書いていて雰囲気が出ていました。鞠子氏のような女性キャラ、ぶっちゃけ僕は嫌いですが、主人公の気持ちを寓意のように浮き出させていて小説としてとても良かったです。
 欲を言えば真一と恋人になったのが突然のように感じたので、きっかけのエピソードか何かが欲しかったかな、と思いました。あと、完全に僕の好みと興味ですが、挿入場所がないような気もするのですが、教授の研究計画が白紙になるのが、頭ではとても大変なのはわかるのですが少しだけ具体的に入っていたら主人公の決意ももっと感情移入できたかもと思いました。
 失礼しました。
No.15  Phys  評価:0点  ■2012-06-20 22:47  ID:BsgHx/NX8Z2
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白星さんへ

お読みいただきましてありがとうございました。ファンタジー板に新作を投稿
なさったんですね。時間が空いたときにじっくり読ませて頂きます。

>恋、というか男女が絡むお話しはやはり胸が高鳴ります。

なんとなく、白星さんがきゅんきゅんしちゃうお話って、私も好きな気がして
います。白星さんは私が「こういうキャラクターの主人公いいなあ、こういう
健気な感情の揺れっていいなあ」と思う理想形に近い物語をお作りになるので、
いつもずっと先を行かれているようで、焦ります。私も頑張って白星さん並の
激乙女チックな小説を書けるように頑張ります。笑

>キャラクターがとても個性的で、私的好感度最高の状態でした。お友達になりたいくらいです。

私もこの主人公さんみたいな人は好きかもです。べたべたしないけど優しそう
です。理系女子って比較的こういうさばさばした人多いですけどね。

>ちょっと理系に興味がわいたくらいです。そっち方向も面白かったかもしれません。

専門用語は最小限に抑えようと思ったのですが、最初のあたりは雰囲気作りの
ためにあえてやっちゃいました。嫌味になっていないならよいのですが……。汗

>楽しんで読めました。拙い感想で、申し訳ないです。失礼致します。ではではっ。

いえ、拙いお話運びでこちらこそ申し訳ないです。白星さんのファンタジーの
新作、最大限の期待度で読ませて頂きます!
このたびはありがとうございました。
No.14  白星奏夜  評価:30点  ■2012-06-19 22:51  ID:ZnM0IRCgEXc
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遅ればせながら、白星です。こんばんは。

好きなお話し、でした。恋、というか男女が絡むお話しはやはり胸が高鳴ります。熱い男の友情も好きですが((笑)
キャラクターがとても個性的で、私的好感度最高の状態でした。お友達になりたいくらいです。
自分がど真ん中の文系なので、さっぱりと分からない部分が(名称など)がありましたが、そこはあまり気になりませんでした。ちょっと理系に興味がわいたくらいです。そっち方向も面白かったかもしれません。あ、完全に私事ですね。
はんだ、が良い味を出していました。こういう仕掛けは、とっても好きなのでうまいなぁと思いました。

楽しんで読めました。拙い感想で、申し訳ないです。失礼致します。ではではっ。
No.13  Phys  評価:--点  ■2012-06-16 17:26  ID:nkc8dwuPtc.
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弥田さんへの追伸

やや。もう大学生さんだったのですか。失礼しました……。汗 しかも今年で
二十歳(前後?)なのですね。

大学時代は私の人生の中ですごく大きな位置を占めていて、たくさんのことを
勉強しましたし、多くの人に出会って、感化され、また主体的に関わりを持ち
ました。

どうやら総合大学ではないみたいですね。でも専門的な学科の大学も素敵だと
思います。今の職場に高専出身で工業大学出身の方がいらっしゃるのですが、
やはり専門教育を受けてきただけのことはあってか、ものすごくマニアックな
ことをたくさんご存知のようでした。

弥田さんだと、文学部とかなんでしょうか……? zooeyさんも確か文学部の
ご出身だと伺っていますし、ここTCでは文学の専門教育を受けられている
方がたくさんいらっしゃるのだろうと想像します。そういった方に感想を付けて
もらえるのはたいへん光栄です。そして、こんな感じでごめんなさい……。汗

ありがとうございました。大学生の今しかできないことを楽しんで下さいね。
失礼します。


弥田さんへ

お久しぶりです。コメントありがとうございます。うれしいです。

テンポ感は、短いスパンでお話を書くと描写が適当になるので、早く話すすめ
たいなあ……というさぼり癖で会話中心にしちゃうからでしょうか。個人的に
前半は二人がいきなり専門的な話とか始めちゃって、とうとつ過ぎたかなあ、
と反省しています。お話の出だし、いつも悩みます。

>僕は文系の人間なので

文系で、特に国語に強い人って、私の中ではすごく「信頼のおける」人が多い
印象があります。話していて内容が聞き取りやすいというか、きちんと言葉を
吟味して話す方が多いです。会話をしていても、一緒に遊んでいても、あれ?
って思うことがないのはすごく安心します。

>こういう大学生活にはすこしあこがれを抱いていたりして

弥田さんは高校生さんですよね。総合大学に進学すれば、理系の人とか文系の
人とか関係なく友達ができるので、楽しいですよ。いろんな地方から来ている
人もいますし。理学部の女の子はおすすめです。変わってる子が多いです。笑

ありがとうございました。中編はいちおう完成しました。失礼します。
No.12  Phys  評価:--点  ■2012-06-16 17:24  ID:nkc8dwuPtc.
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昼野さんへ

お読み頂きまして、それから感想まで頂きまして、ありがとうございました。
会話は、調子に乗ってくるとちょっとふざけ過ぎて危ない感じになりがちです。
鞠子ちゃんはなにかの機会があったら他の話の脇役にでも登場させてみます。
なぜか意味もなく出てくる名脇役的な……。

ラストが単調になるのは悪い癖なので、二つも三つもひねって、これはすごい
と思ってもらえるようなおはなしが書けたらなあ……と思いました。

ちゃぶ台返しもありがとうございました。はんだの粒、確かに強そうですね。
もっと柔らかいイメージのものを使えば良かったかもしれません。たとえば、
水溶性のペプチドからなるコラーゲンゲルとか。(ストーリー組み立てるの
難しそうです……笑)

いつもありがとうございます。昼野さんの掌編がいつも楽しみです。とびきり
面白いおはなしを期待しています。失礼します。
No.11  弥田  評価:40点  ■2012-06-15 01:36  ID:ic3DEXrcaRw
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序盤の文章のテンポ感が好きです。
僕は文系の人間なので、こういう大学生活にはすこしあこがれを抱いていたりして、なんというか、舞台設定がステキでした。はんだごての比喩とかも、にくいです。

あまり身のない感想ですが以上です。中編がんばってください!


追伸/実はもう大学生なのです>< 二年生ですw 総合大学もよさげですね!
No.10  昼野  評価:30点  ■2012-06-10 17:43  ID:FJpJfPCO70s
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読ませていただきました。

会話文が面白いなあと思いました。鞠子さんのキャラがなんか好きでした。
ラストはもうひとひねり欲しかったかなと思います。
ちゃぶ台ひっくり返すような事言ってもうしわけないのですが、はんだの粒ってメタリックで、女性的というよりは個人的には男性的な感じかなと思います。
No.9  Phys  評価:0点  ■2012-06-09 17:40  ID:YyqzxAWUfcw
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うちださんへ

いつもありがとうございます。コメントを残して頂き、そして恥ずかしい誤記を
指摘して頂き、ちょっとなんかもう穴があったら入りたいというか、入ったら
二度と出てきたくない気持ちです。探さないでください。

>(眼鏡を)かけなくても真一だとは認識できる距離感

ここは気づいてもらえるとは思ってなかったので、素直にうれしかったです。
こういうどうでもいいところで工夫しようとするくせに、内容自体がぜんぜん
充実してないのが私のダメなところかもしれません。頑張ります。

感覚を描写するのって、すごく難しい、と私は思っていて、上手い人の文章を
読んでいるとまず目に付くのが感覚描写な気がします。うちださんをはじめ、
優れた書き手さんの書かれる文章は、内容の吟味以前に、文章そのものに
圧倒されます。正直、それって結構ずるい……と思ったりします。

ないものねだりするだけでは前に進めないので、これからもたくさん勉強して
TC作品の読書と研鑽を重ねたいと思います。ありがとうございました。


境さんへ

お久しぶりです。以前にも感想を頂いたことと思いますが、読んでもらえて、
とても光栄です。ありがとうございました。

>毎度毎度、不幸な展開を無意識に仮想する

毎度毎度、ハッピーエンドに繋がる展開を無意識に仮想する私とは逆ですね。
でも、悲劇を演出することで感動させようとするあざとい物語を読むことも、
私は手軽でけっこう好きだったりします。あまりひねた物の見方をしないし、
基本的に安っぽい人間なのかもしれません。

>この主人公が『女の子』だったのか、『女』なのかが明示されると思いますので、その点でちょっと、主人公の視点に沿いにくかったというのがありました

別れの場面、書こうかどうか迷ったのですが、面倒だったのと過去回想が長く
なり過ぎる気がしたので、やめました。ちなみに、私は彼についていくことが
彼女のエゴであるというつもりで書きました。そして、付いていったって別に
なんとかなるよ!みたいな考えでした。主人公の人も修士号はとってあるわけ
ですし。

こうやって、書いている本人からしても文句なしに納得できる欠陥を指摘して
頂けるのは、ありがたいことです。きちんと改善して、生かしていけるように
心に刻んでおきたいと思います。頑張ります!

このたびはありがとうございました。温かいコメント、感謝しています。


山本さんへ

先日は山本さんの「反罪」の感想欄で好き勝手に語ってしまい、本当に申し訳
ありませんでした。忘れかけていた情熱が蘇ってきてしまいました。
もうしません。気を付けます。

鞠子ちゃん、出したはいいものの、駒としての使い道に困ってしまいました。
道具的にキャラクターを登場させて使い捨てる、というお話を書く人間として
あるまじき行為でした。でもよくやっちゃいます。これも気を付けたいです。

理系の舞台設定は、「TCではんだごてをテーマに恋愛小説書くような奇特な
人間は私しかいないだろう」と思って使いました。あんまり個性のある文章が
書けないので、チープさの中に一握りの遊び心を付与したいと思っていろいろ
試しています。試しますが、あんまり上手く行きません。泣

このたびは、ありがとうございました。


青山さんへ

退屈なお話ながら読んで下さり、それから温かいコメントを頂きまして本当に
ありがとうございます。

すけべな人や下らない話は別に嫌いではないのですが、飲み会とかでそういう
上司の話にうまく乗ることができず、ちょっと社会人二年生として悩みどころ
だったりします。私が急に乗ってもびっくりされそうな気がしますが……。

>ぼくも? 学生のときに大恋愛をして結局、結ばれなかったのですが
やっぱり、恋愛は人生の華ですよね。

恋愛は人生の華。胸にしまっておきたい一言でした。学生のときの大恋愛…!
うらやましいです。大が付くような恋愛は、思い返してみてもあまりないかも
しれないです。だいたい付かず離れずな感じです。

このたびは、ありがとうございました。また青山さんの作品も楽しみに待って
います。
No.8  青山カヲル  評価:40点  ■2012-06-08 00:04  ID:7o6OMGvVWos
PASS 編集 削除
拝読させていただきました。

「黙れスケベじじい」
 には、大爆笑しましたw

 可愛らしいというか、いじらしい女心が描かれた佳作ですね。
 素敵でした。

>真一という小手を離れた私は、日常の中にとろりと流し込まれ、すぐに冷えて固まるだろう。
 
ここ、秀逸でした。

ぼくも? 学生のときに大恋愛をして結局、結ばれなかったのですが
やっぱり、恋愛は人生の華ですよね。
ふたりが、結ばれてくれたならと思わずにはいられませんでした。

ありがとうございました。

No.7  山本鈴音  評価:40点  ■2012-06-06 10:15  ID:xTynl89qwNE
PASS 編集 削除
序盤の掛け合いがテンポ良く、最後まで拝読いたしました。
とてもよかったです。

はんだゴテを生で見たことがないのに、比喩としてバッチリ成立してるなと感じました。
夕紀の「別れたくない」気分とフィットしてて。
一緒にいても所詮人は独りだ……という孤独感が胸に痛いです。
「スピードと思い切り」も効果的に使われてますね。

一つ、鞠子に対する甘やかしが気になりました。
主人公の優しさというより逆にエゴ?なのかなぁと……
この後輩のキャラであれば再度絡みがあってもいいし、それか、甘やかす理由が(妹が欲しい以外で)必要な気もしました。
と、心の狭い読者が申しております(^^;

あとは、真一が夕紀を突き放しすぎ?
『分かってくれよ』じゃあないよ!?と歯噛みしてしまいました。
↑それだけ感情移入したという事ですが。

ある種二人はドライな関係なんだけど、かえって熱を感じる作品。
理系の舞台設定こそ物語に温かみをもたらす場合もあるんだ、と新鮮な感覚を受けました。
個人的には、主人公に文句無く共感できました。
No.6  境  評価:30点  ■2012-06-06 00:30  ID:gNCXE32rH2E
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 読ませていただきました。

 冒頭の入りで思わず「もしや、事故フラグ?」と思わず身構えていました。
 もちろん、すぐにそんなことはないと得心したのですが、毎度毎度、不幸な展開を無意識に仮想する自分が嫌になります。

 とまあ、そんな個人的な虚妄はさておき。

 概ねさくっと、楽しく読ませていただいたのですが、ちょっと勿体ないなと思ったのが、主人公が彼氏(元彼の方です)と別れるエピソードや過程がほぼなかったことかな、と思います。
 というのも、恋愛している途中の主人公というのは、描かれている通りで得心できるのですが、お互い疎遠となった元カレと別れるとき(文中では明示されてないですが)の態度で、この主人公が『女の子』だったのか、『女』なのかが明示されると思いますので、その点でちょっと、主人公の視点に沿いにくかったというのがありました。
 この主人公が『女の子』として明確に描かれてたなら、そういう子なんだと納得して、最後の展開も上手く乗れたと思うんですね。ただ、この主人公が『女』だったら、最後の展開が、主人公の恋愛体質のエゴみたいなものにも見えてしまうと思うんです。そういう意味で、きちんと元カレとのエピソードを解消してほしかったなあ、と。

 主題とはあまり関係ないところなんですが、こっちの方が気になってしまったので書いておきました。
 えらそうに申し訳ありません。書かれてる中編、がんばってください
No.5  うちだけい  評価:40点  ■2012-06-05 23:22  ID:oE2tK3DWyuo
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拝読させていただきました。
良かったー。

冒頭。

>「冷たっ」
>頬がひやりとして、目が覚めた。何か冷たいものを押し付けられたらしい。
>目を開けると真一の顔があった。缶コーヒーを手に持ち、私の枕元に屈み込んでいる。

感覚から入ってて、正直すごいなーとおもいました。
覚醒の瞬間まで、実は『私』っていないんですよね。
んで、すこしずつ世界が現れるのと同時に、『私』もやってくる、というか。
冷たかった、なんか押し付けられた。(頬かな、たぶん)真一の顔が見えた。缶コーヒー持ってた。の流れで、真一が、眠っている『私』に冷たい缶コーヒーを押し付けて目を覚まさせた。にたどり着く、とうか。

あとで、メガネかける(しかも結構な近眼っぽい)ので、かけなくても真一だとは認識できる距離感な訳で、その距離が、結構近いってこともわかって、けどもどういう関係なのかはいまいち分からないようにかかれてあって、一回『彼女がいる』って発言であれ?ってなって、けどもやっぱり付き合ってると読者に知れるまでの息の長さ。というか。

延々この作品について妄想で書けそうすw
とにかく良かった。

あ、あと。
一個。
はんだ『小手』はタイプミスじゃなく覚え間違い?っぽい。ので、鬼で指摘w
ふつーはいま漢字使わないけど(こて、コテ)、『鏝』すね。
No.4  Phys  評価:--点  ■2012-06-05 21:09  ID:23ii74h.ekI
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ゆうすけさんへ

お忙しい中、お読みいただきましてありがとうございます。温かいコメントも
もらえて幸せです。

>面白くなりそうな気配を感じさせつつ終わってしまった

今回は「短編書きたいなあ」程度の動機で書いたものなので、後半は私自身が
きつくなってしまい、少々小奇麗にまとめて終わらせちゃいました。というか
私が短いおはなしを書くときって、いつも終わりが中途半端な気が……。汗

>はんだ付けと回路がショート、この二つのキーワードをもっと活用できそうな

改稿の予定はないのですが、理系的なモチーフを使っていろいろやりたいなと
(それ以外私の個性ってないんじゃないかな、と)最近思っているので、また
短いものを書くときに参考にさせて頂きます。ご助言うれしいです!

鞠子ちゃんは、我ながら、ちょっと道具的なキャラクターです。私が書くと、
どうも登場人物の雰囲気が似たような感じになりがちなので、悩んでいます。

研究室時代はもう、危ない生活をしてました。食事とか、睡眠とか滅茶苦茶で
「Physさん最近やつれてない……?」と大学時代の友達に心配されました。

>去年より今年、常に今が最高最強の自分、凹んでいる時も蹲っている時も無駄なんか無い

勇気が出てきました。ゆうすけさんの詩を読んだり、仰る言葉を拝見するたび
自分の軽さと弱さを自覚させられて、しっかりしなきゃ、という気持ちになり
ます。また、機会があれば詩も読ませてくださいね。失礼しました。


太郎さんへ

こんばんは。お久しぶりです。それから、毎度ながら拙い文章をお目通し頂き
まして、ありがとうございます。太郎さんからもらえる感想が、いつも励みに
なっています。

本当に、はんだ難しいんです。はんだをイモイモにしちゃうのは、私も経験が
あります。私の研究室にはものすごく手先の器用な先輩がいまして、この話の
彼のモデルになっています。今も第一線の研究者としてご活躍なさっている方
です。上手い人がやると、すごく綺麗に仕上がるんですよね。

点数は、実はあんまり気にしていなかったりします。もちろん、せっかく貴重な
お時間を割いて感想を頂いているのだから、反省して次に生かさなければいけ
ないのは当然なのですが、私はこの感想欄で皆さんとお話できることが楽しみ
なんです。(夜に弱いからチャットとかには参加できないし……)

何しろ文学の素養もなく、感情を文章化するという作業に不慣れで、基礎的な
土台がまったくできていないため、技術的な面で他の方の作品に見劣りするのは
自覚しています。それでも、一つ書くごとに何かしら成長できたらいいなあ、
と考えつつ、一生懸命書き続けています。

自分にとっても、読んでくれる人にとっても、意味のあるお話を書けるように
なりたいです。いえ、なります。少しずつ、なります。頑張ります。


zooeyさんへ

>物語を組み立てていく、というのはPhysさんの中にしっかりとしみ込んでいるものなんだろうな

今回はあまり組み立てたつもりはなかったのですが、そのようなものになって
いるのだとしたら、やっぱり私は構成物の支配から逃れられないのかなあ、と
落ち込んでしまいます。いいか悪いかは別としても、意識しなくてもそういう
「かたち」みたいなものが出てしまうのは、致命的なことだと感じています。

>文章も、無駄がなく

無駄がないというより、無駄なものを書けなかった、というのが真実だったり
します。描写が薄っぺらいなあ、と読み返して恥ずかしくなりました……。
今回は、
(1)はんだを暗示的に使う
(2)原稿用紙30枚以内にする
(3)一日で書く
という一人三語みたいなルールを決めて、予定の空いた日曜日に書きました。
朝の九時くらいから五時の鐘が鳴るまで、弟と一緒にスーパーに買い物に行き
ご飯を作る以外の時間はすべてキーボードを叩いて過ごしました。正直かなり
つらかったです。三語なんて私には無茶だった……と思いました。

私は自分が読みやすいように言葉を選びますし、自分に都合のいいように登場
人物を配置し、語らせ、伏線を張ります。ある意味で自分の作り出したお話に
愛着がないというか、突き放して書いているところがあるのかもしれません。

読んでくれる方に感情移入してもらえるような、感情の細部まで行き届いた
作劇ができたら、もっと小説を書くのが楽しくなるような気がしています。
自分の欠点はそこにあると思うので、zooeyさんはじめTCの皆さんの作品を
読む中で、これからもいろいろ勉強していきたいです。

いつもありがとうございます。元気が出ました。またzooeyさんのおはなしも
楽しみに待っています。失礼しました。
No.3  zooey  評価:30点  ■2012-06-05 16:43  ID:1SHiiT1PETY
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読ませていただきました。

構成することをやめて、とありますが、それでも美しい構成になっていたと思います。
もう、物語を組み立てていく、というのはPhysさんの中にしっかりとしみ込んでいるものなんだろうな、と感じました。
意識してもうまく書けない私は、とてもうらやましいなと感じます。

文章も、無駄がなく、そのために美しい表現がとても際だって、しかも読みやすくて、すごくいいなあと思いました。
特に「それはまるで、まっさらな平野に文明を築くようなものだった。ひとたび彼が命を吹き込めば、無機質な基板の上に新しい世界が生まれる」という表現が好きでした。

ただ、物語自体は、少し掘り下げ方が浅いかなという気がしました。
真一思う主人公の感情が、どこか伝わりきらないというか。
主人公の感情を描写する、というよりは、個人的には主人公の目線からの真一の姿というのをもっと見たかったなと思いました。
細かく描写することで、真一への思いというのもにじみ出るんじゃないかなーと、私は感じました。

私自身が中盤で主人公に寄り添って読めなかったので、
ラストの展開が、どこかしらじらしい印象になってしまいました(すいません)。
主人公と距離を取っていた方が良い作品もあると思うのですが、
この作品はもう少し距離を近づけた方がいいのかな、と、そんな風に思いました。

あと、これは悪いということではないですが、
「黙れスケベじじい」の部分は「じじい」の出所がこの作品にはないので、
ねじさんの作品ほど、ユーモアを感じることはできませんでした。

好き勝手に書いてしまいました。
でも、無駄をそぎ落としてもなお空気感が残るPhysさんの文章は、うらやましいなと思います。
私は、ちまちまちまちま描写を増やしてしまって、くどくなったり読みにくくなったりしてしまうことが多いので、
こういった文章を読ませていただくのは、とても参考になります。

ありがとうございました。
No.2  うんた  評価:30点  ■2012-06-05 10:22  ID:iIHEYcW9En.
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読ませていただきました。

よかったです。軽くて読みやすかったです。
こういう作品もいいですね。

はんだ付けって難しいですよね。
私も昔はんだを仕事で使っていたことがあって、
熱で基盤を駄目にしたり、はんだをイモにしてしまったり(分かりますでしょうか?)で、
よく怒られました……。
スピードと思いきりが大切、本当にそうですよね。

点数はちょっと厳しめです。
では、中篇楽しみにしています。
No.1  ゆうすけ  評価:30点  ■2012-06-05 08:48  ID:1SHiiT1PETY
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拝読させていただきました。学生時代の時間より、社会人になってからのほうが長時間であることに愕然とするゆうすけです。鬢に白いものが……(泣)

きれいにまとまっているな、とまず思いました。しかし、もう少し面白くなりそうな気配を感じさせつつ終わってしまったような気もします。
恋人が遠くに行ってしまう、人口に膾炙したテーマですね、今作では付いていくという意思表示をもってオチとなっておりますね。ここで「はんだ」をからめてくるのかな、と思ったんですが、ちょっとあっさり終わり過ぎな気がします。
はんだがこびり付いて取れない、私もはんだみたいにあんたにくっついていく……的な。
はんだ付けと回路がショート、この二つのキーワードをもっと活用できそうな、そんな気がしました。Physさんに対する期待度が高いからかもね。

鞠子ちゃん可愛い。珍しく女の子女の子したキャラですね。残念ながら私はリアルにそんな女性と接する機会がないので批評できん、残念。
自分が知らないキャラは書けないわけですし、さえない男キャラだったらいくらでも思い浮かぶんだけどな〜。

学生時代の経験か〜、研究に明け暮れていた様子が目に浮かびます。理路整然とした知的なイメージですね。
では中編がんばってくださいね。

「気が付かないうちに歳を重ねるのでしょうか」
充実した今を生きている、積み重なっていく経験が人を強く面白くするはず、去年より今年、常に今が最高最強の自分、凹んでいる時も蹲っている時も無駄なんか無い、私はこう思います。
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