そこにある不確かなもの
 わたしがいなくなっても、彼女は私を心配してくれるだろうか。
 その思いが、彼女を海へといざなった。

 土日を利用して、絢は家出をしようと思った。土曜か日曜、どちらかの日に家を飛び出す。家族全員が家にいる日に、彼らのまえからいなくなってやろう。
 太陽が西に沈むころ、絢は舟着き場に出向いた。そこは普段からほとんど使われおらず、夕刻になるといつも、ちいさな丸木舟が一艘、ぽつんと波間に揺られているのみだ。目指すのは波の来る先、木々の茂る様子が見えるほど近くの島だ。どこからか漂ってくる金木犀の香りに見送られ、水とわずかな食糧を手に、彼女は舟をこぎだした。
「でもほんと、勝手よね。この舟。使いたい人はご自由にどうぞ、だなんて」
 絢の独り言がはじまった。
「普段ほとんど使われていないだけに、舟がなくなってるときは、ちょっとびっくり……」
 思い当たることがあって、絢は言葉を切った。今の自分の状況を考えたのだ。
「おんなじ」
 でも戻りたくはない。
「あんな家、帰ってやるもんか」
 虚勢を張っていることは絢もわかっていた。まず食糧がなくなり、次に水が尽きて、そうなってしまえば家に帰らざるを得ない。だから、それまではあがいてやるつもりだ。そうでなくてはならない。
 絢には、二つ歳の離れた兄がいる。兄はとても優秀で、小学三年生のとき塾に通うになった。そこはいわゆる名門私立中学の合格者を多数輩出していて、兄は一番上のクラスにいた。午後十時になると、彼は帰ってくる。受験目前には、それが毎日。一人で夕食を食べ、お前は塾に行ってなくていいなとつぶやく。しごかれてしごかれてつかんだ合格。中学、高校と六年間通うはずだった。中学校の卒業証書をもらい、高校のだって、もらうはずだった。けれど彼は、高二で学校をやめた。退学したい。問いただす両親に、兄はそれだけを言い続けた。
「学校やめたこと、後悔してる?」
 落ち着いたころに絢は一度だけ兄にこう尋ねたことがあった。
「べつに。たいして楽しくなかったし。行かないなら行かないで、何とかしなきゃいけないとは思うけど」
 あるときにはこんなことも言った。
「早く家出たいんだよね。出て、働いて金稼ぎたい。学歴とか、俺、価値観ないから」
 母親は自分の選択を責め続けた。塾に入れたばっかりにこうなったんだと。
 絢は、小さい時から違和感を感じていた。自分と兄とで、母親から与えられる愛情の比率が違う。それはきっと、兄がよくできる子だからなんだ。そう思うようになった。でも兄が学校をやめた後も、彼女の兄への接し方は変わらなかった。それが妬ましかったのだろう。後悔に駆られている母親を、絢は心のなかで責めていた。何とかして彼女を敵にしようとしていた。
「男の子のほうがかわいい、か」
 絢はそっとつぶやく。直接言われたわけではないが、忘れはしない。彼女は、たしかにそう口にしたのだ
 娘だから。だから、おはようの一言も返してもらえないのか。もし自分が男として生まれていたら、彼女は平等に愛してくれたのだろうか。そう考えたこともあったが、今では男に生まれなくてよかったと思うようになった。たとえ男に生まれたとしても平等に愛情が注がれるとは限らない。状況は今と変わらないかもしれない。そうなるよりは、やはり彼女と反目し、顔をそむけているほうがよっぽどいい。
 
 舟は無事に島にたどりついた。空にはまだうっすら橙色が残っている。出発のときより雲の量が増えたためか、全体的に暗い。吹く風はすっかり秋のものだ。持ってきた麻縄で、舟は適当な木の幹にくくりつけておいた。
 絢はわずかな荷物を背負って中に踏み入った。膝の高さまで茂る草をかきわけ、ずんずん進む。夜を明かすにふさわしい場所を探すのだ。
「あ、雨」
 上陸してまもなく、ぽつりと顔に当たる雨粒。やがてそれは激しさを増していき、大粒な雨が容赦なく傘をたたく。ぬれた草が、走り出した彼女の足元にうっとうしく絡む。樹齢何千年の巨木がこの島にある、というのは小学校の社会科の時間に習った。そこを目指して、奥へ奥へと進む。
 湿った土のにおいに鼻が慣れたころ、目の前に緑の世界が広がる。一面に広がる苔。中央にある一本の巨木、大きなうろ。そこは静寂に包まれていた。巨木から伸びた枝が幾重にも絡み合い、雨粒をほとんど通さない。
 びしょぬれの傘をたたむと、やわらかい苔の上を歩き、巨大なうろのなかに腰をおろした。
「着替え、持ってくればよかった」
 体育座りをして小さく縮こまると、抱えた膝を胸元に引きつけてあごをのせた。右の人差し指で苔に触れる。密生した苔の温かさが尻から伝わってくるとはいえ、からだは冷えきっていた。
 うろの外に出ても雨音は聞こえてこない。けれど、ときどき落ちてくるしずくの頻度から、おそらく雨は降り続けているのだろう。
「今ごろ大騒ぎだろうな」
 手持ぶさたに辺りをぶらぶらして、絢はまた、うろの中に戻ってきた。うす暗い苔の緑も、まだうっすら認識できる。時折おちてくる大きな雨粒が苔に染みてゆくのを眺めながら、絢はうそぶく。
 これから、静かな夜を越さねばならない。忍ばせた乾パンを数個と、ペットボトルを取り出して二口ほど水を飲んだ。それから、することがなくなってぼうっとしていたが、やがて辺りの静寂に誘われるように絢は眠りについた。

「おかあさん」
 振り向かない。
「おかあさん」
 もう一度。視線がテレビから動かない。
「おか……」
「何?」
 けだるそうな声。
「これ、学校からお知らせ来たから。ここにおいておくね」
 彼女はいつも、うなずくだけ。
 いつからか、母親に声をかけるのが怖くなった。いつ声をかけても不機嫌そうだった。それはお気に入りのドラマを見ている最中だからかもしれないと、そうでないときを狙っても、やはり口調はそっけなかった。
 朝の挨拶もそうだ。「おはよう」と言っても、反応はない。うなずいてくれるときもあるけど、たぶんそのときが彼女の気が向いたときなのだと思う。「いってきます」にも「ただいま」にも、せいぜいうなずく程度。これが兄だったら、玄関まで出向いて行って、二言三言かけてやるのだろう。そう思うと、なんだか悲しかった。
「置いとく」
 学校でもらった配布物は、食卓の彼女の席に放っておくようになった。
 出かけるときも帰宅のときも、泥棒みたいに静かに扉をあけ、無言で出入りするようになった。
 夕食のときは、できるだけ正面を見ないようにして彼女とは目を合わせないようにした。食事の時間も、自然と短くなった。
「あんたの、そういうモソモソしたところ、嫌い」
 そうだ。わたしと彼女は生涯、相容れないのだ。ときおり弾む会話に幸せを感じても、それはすぐに消えてしまうように、交わってもわたしたちはすぐに分離してしまう。
☆「つながっているのは血だけ。心までは……」

 目が覚めたとき、涙の乾いた跡で目じりが湿っているように感じた。悪い夢を見たと思った。痛む頭をもたげると、苔の緑もあざやかに、燦々とした朝の空気が満ちていた。濡れた上着一枚を布団代わりに、昨日の服装のまま眠っていたため、さすがに風邪っぽい。
 あくびをひとつ。乾パンと水、少量の朝食をぱぱっと済ませる。
「つながっているのは血だけ」
 言葉は、朝の空気に溶けた。
「たしかめなきゃ!」
 ばっと絢は立ち上がる。食糧と水はまだ残ってはいる。だが、胃は空腹を訴えつづけている。このままここにいてはいつか動けなくなってしまう。何より、寒さが不安をあおった。着替えを持って来ていたとしても、たぶん結果はこうなっただろう。ようするに、絢はそんな気概を持ち合わせていなかったのだ。母親に構ってもらっているからと兄に嫉妬するくらいだ、独りで夜を明かすのだって寂しくてしかたなかった。それなのに、独りの状態が長くつづくはずはない。
 彼女の足は自然と速まり、やがて海へ出た。さわさわと冷たい風が過ぎてゆく。薄い橙の光が遠くの空でちらついている。
彼女の目の前に舟はなかった。絢はあわてて舟をさがす。砂浜に沿って島を一周することにしたのだ。全周がどれくらいあるかなんて知らない。流されていないとすれば、いずれは見つかるはずだ。一周りしたらわかるように、近くにあった葉っぱを三枚その場に置いた。あせりのために顔はひきつり、口のなかが乾いてくる。
 有名な海外の作品に、少年たちが無人島に漂流してしまう話があった。二度くらいは読み返しただろうか。
舟を探すかたわら、そんなことが頭をよぎった。
「現実がそんなにうまくいったらいいけど」
 結末を思い出してつぶやく絢の内心は、穏やかではない。走っても走っても見当たらない。だが、すこし休憩しようと立ち止まったその目に、希望が宿った。
「あった、あった!」
 舟は昨日つないだままで、波間に揺れている。ただ、櫂だけはどこかに流されてしまったようだ。仕方がないので、島に引き返して無理やりに太くて丈夫そうな枝を一本へし折って櫂の代わりにした。
 町はどうなっているだろう。警察が動いているかもしれない。両親には何を言われるだろうか。母親はあいかわらず無言なのだろうか。

 それは長い長い道のりだった。あのさびれた船着き場についたころには、太陽は天高くのぼっていた。いつものように船着き場は静かだった。元のように舟をくくりつけ、絢は帰路につく。民家が立ち並ぶ静かな通り。青い屋根の家。緑の石に彫られた白い字の表札。
 玄関まで来てチャイムを鳴らそうかどうか迷っているうちに、気配を感じたのだろうか。がらりと扉があいた。父親だった。
「帰ってきました!」
 父親は中に向かってそう叫んだ。すると、その声を聞きつけて数人が玄関に集まった。その人たちに向かって父親が何度も頭を下げているところを見ると、どうやら警察の人のようだ。でもそこに、母親の姿はなかった。兄の姿もない。
「ご迷惑をおかけしたこと、あやまれ」
 父親に促された絢は、無言で深々と頭をさげた。警察関係者は安堵の表情を見せながら、しばらく父親と何か話していたが、やがて帰って行った。その後ろ姿にもう一度おじぎをした絢を、父親は中に入るように手で合図した。
 リビングには母親がいた。彼女はテーブルに肘をついて何か思案していたが、娘と夫の姿を見ると、まず夫に声をかけた。
「警察は?」
「帰ったよ」
 絢はうつむいてこぶしを握った。やっぱり、つながっているのは……。
「すわれ」
 そのとき、父親が静かに言った。父親の左隣り、母親の正面。そこが絢の席だ。
「大学生になったら何やってもいいと思ってんのか? いったいどこに行ってたんだ?」
 しま、とだけ答えた。
「町から見える、あそこか?」
 うなずいて見せると、父親は無言で絢の頬をぶった。それから、たぶん言いたいことがたくさんあるのだろうけれど、
「おまえが憎いからぶつんじゃない。おまえが憎いから怒るんじゃない」
 父にしてはめずらしく、ずいぶん感情が抑えてあった。
 それは、小さいときによく言われた言葉だ。兄に比べて絢はやってはいけないということをよくやった。ごまかすために嘘だってたくさんついた。そのたびに父親が手を挙げ、そのたびにその言葉を口にしていた。
 けっきょくはそういうことなのだ。悪さをすれば叱られる。母親が自分には構ってくれなくて素っ気ない態度をとるのも、それと同じ。兄がよくできる、物分かりがよくていい子だから。自分が約束を破り、嘘をつく悪い子だから。唯一ちがうのは、母親はけっして悪者ではないということ。つまり絢は、自分の都合で母親を憎み、けっきょくは自分の非を棚に上げていたに過ぎないのだ。
 母は、「おかえり」も何も言わなかった。ただ、そっと、ラップのかかった冷や飯を温め、同じくラップのかかったおかずを温め、泣き出した娘のまえに少々乱暴に置いたのだった。

 樹齢何千年のその島に、名前はない。つけるとするならば。絢は考えた。
 向島―― むこうじま。町の船着き場から見えた向こうの島にあこがれ、島から見える向こうの島に恋い焦がれ。
 向こう、とはどこだろう。船着き場から見えた島はたしかに「向こう」にあり、島から見えた町は「向こう」にあり。娘から見た母親は「向こう」のほうにいて、母親から見た娘は果たしてどのくらいの距離にいるのだろう。
心の距離がどれくらいで、愛情がどれほどそそがれているか、絢にはわからない。けれど、それはたしかにそこにあるのだ。
はしずめまい
2011年10月01日(土) 01時37分25秒 公開
■この作品の著作権ははしずめまいさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 自分の住んでいる地域の由来を物語として書く、というこの夏の学校からの課題で書いたものを投稿します。
 ☆印は、決め台詞ということで。

 読みにくいのは勘弁してください…。

この作品の感想をお寄せください。
No.10  はしずめまい  評価:0点  ■2011-10-09 23:12  ID:Sao5r4wCuJY
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まさかHALさんから感想をいただけるとは!


登場する会話は実体験をそのまま使いましたから、「あんたのそういうところが嫌い」という言葉が、浮きだったのかな。人物の性格も、多少引き延ばした程度。

だからこそ、書き込み不足は痛い。致命的。広げようと思えばできますし、作者自身の母親への思いは尽きませんから。

まあ……いわく「立派な考え」というのを、土壇場で「エゴから生まれた、建前」とすれば、人間の暗部が見えて、さらに展開させていけたかな。

まあこれはこれとして、ノータッチで置いておきます。改良の余地は大いにありますから、誤字脱字の段階から、改訂作業に入ろうと思います。

ありがとうございます。
No.9  HAL  評価:30点  ■2011-10-09 13:34  ID:nf2b31Kgq4o
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 拝読しました。
 兄妹の嫉妬、あるいは親の愛情を求める子、というテーマを真摯に描かれた、良作だったと思います。

 とてもいいお話だったのですが、個人的に気になったところがひとつ。技術がどうこうとか、作者様のお考えが客観的にどうとかいう話ではなく、あくまで個人的な感想なのですが。主人公がお母さんの愛情を「たしかにそこにある」と確信するのが、わたしには少し、唐突に思えました。というよりも、立派過ぎる、といったほうがいいのかな。

 これは、わたしが前半の主人公に感情移入しすぎたゆえかもしれないのですが、このお母さんに愛情を見出す(見えないなりに確信する)には、ここに描かれているだけでは、少しばかりお母さんの態度が、冷たすぎるように思えました。「あんたの、そういうモソモソしたところ、嫌い」というセリフが、それくらい胸に痛かったです。
 主人公が結論に至る前に、もうすこし母親から娘への愛情の片鱗を偲ばせる、回想シーンなり、帰宅した娘を迎える態度なり、なにかあとひとつ描写がほしかったなと感じました。でなければ、ラストで主人公に、もうちょっと自己主張してほしかった。

「わたしが可愛くない娘だから可愛がられないんだ」という結論は、あまりに母親をかばいすぎというか、いい子すぎて悲しいというか、痛々しい。
 それがヘンだとか、間違ってるとかいうのではないんです。というか、そういう側面があるのは、きっとひとつの真実だと思うんです。親だって人間なのだから、可愛げのない子どもを育てるのは、その逆に比べたら、やっぱりしんどいでしょう。それを理解しようとする主人公は、偉い。とても立派で偉いんですけど、でも、こんなにあっさり納得されてしまうと、けなげ過ぎるというか、ちょっと切ないです。

 あるいは、たとえばお兄さんがすごく心配して、家出から戻った主人公を細やかに気を遣ってくれる描写があったりして、それを見た主人公が、「こういう兄が、わたしより可愛がられるのは当たり前だ」みたいに思う感情が、ぐっと胸に迫るシーンがあったりすると、またちょっと別の視点で、主人公の成長にスポットライトがあたってよかったかもしれない、なんて思いました。

 娘に可愛げがなかったのが先なのか、母親の態度が冷たかったのが先なのか。どちらが悪いといって、いまさらはじまることではないのかもしれないけれど。……などと、妙に感情移入してしまうのは、自分がいい年をしていまだに母親との距離が難しくて悩みがちだからなのですが。

 最後に、脱字かな? というところを発見しましたので、念のため報告まで。
> ほとんど使われおれず、
> 彼女は、たしかにそう口にしたのだ(「。」の漏れ)

 いろいろ好き勝手なことをいってしまいましたが、それだけいろいろ考えさせられた、いいお話でした。読めてよかったです。ずいぶんと個人的な意見に偏った感想になってしまったこと、申し訳なかったです。
 読ませていただいてありがとうございました!
No.8  はしずめまい  評価:0点  ■2011-10-07 02:24  ID:m5WTJAVRTXY
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zooeyさん。お読みくださり、ありがとうございます。

台詞の違和感と挙げておりますが、書いている自分も、「台詞として書くほどじゃないな」とか「こんな喋り方するかな」など感じることがあるのですが、いかんせん、勉強不足のようです。


それから、☆印の件。言い訳になってしまいますが、課題はで、決め台詞に☆をつけるとになっていて、こちらに投稿する際にもそれは特に問題視はしませんでしたが、

読者の感動を削ぐ。言われてみて初めて、「あ、致命的なことをしたんだな」と思います。

ほかにもzooeyさんと同様のお考えを持つ方もいらっしゃるかもしれませんので、☆印はあえてこのままにしておきます。


No.7  はしずめまい  評価:0点  ■2011-10-07 02:23  ID:m5WTJAVRTXY
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Physさん、お読みくださりありがとうございます。

恐れ多い言葉の数々に、へえこら頭下げつつ作者レスを書いています。

はい、大学で出された課題です。いくつか縛りがありまして、そのうちの一つに「主人公は高校生か大学生であること」という条件がありました。高校生にしておくか、あるいは「体育座り」という表現を変えるか。考えてみたら、「膝をぴっちり云々」という表現がありましたから、重複しているなあ、と思い当たりました。

☆印に関しても、まあ、「決め台詞には、☆印をつけること」との、縛りの一つなんです。
言い訳はこの辺にしておきます。


ありがとうございます。
No.6  はしずめ  評価:0点  ■2011-10-07 02:23  ID:Vlg.gSKY1.s
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zooeyさん。お読みくださり、ありがとうございます。

台詞の違和感と挙げておりますが、書いている自分も、「台詞として書くほどじゃないな」とか「こんな喋り方するかな」など感じることがあるのですが、いかんせん、勉強不足のようです。


それから、☆印の件。言い訳になってしまいますが、課題はで、決め台詞に☆をつけるとになっていて、こちらに投稿する際にもそれは特に問題視はしませんでしたが、

読者の感動を削ぐ。言われてみて初めて、「あ、致命的なことをしたんだな」と思います。

ほかにもzooeyさんと同様のお考えを持つ方もいらっしゃるかもしれませんので、☆印はあえてこのままにしておきます。


ありがとうございます。
No.5  はしずめ  評価:0点  ■2011-10-07 02:19  ID:sDqO84/iyOU
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Physさん、お読みくださりありがとうございます。

恐れ多い言葉の数々に、へえこら頭下げつつ作者レスを書いています。

はい、大学で出された課題です。いくつか縛りがありまして、そのうちの一つに「主人公は高校生か大学生であること」という条件がありました。高校生にしておくか、あるいは「体育座り」という表現を変えるか。考えてみたら、「膝をぴっちり云々」という表現がありましたから、重複しているなあ、と思い当たりました。

☆印に関しても、まあ、「決め台詞には、☆印をつけること」との、縛りの一つなんです。
言い訳はこの辺にしておきます。


ありがとうございます。
No.4  zooey  評価:30点  ■2011-10-06 01:55  ID:1SHiiT1PETY
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こんばんは。
前から読んでいたのに感想が遅くなってすみません。

全体を包む雰囲気がとても良かったです。
Physさんが仰っていることと少し被ってしまいますが、
技巧を凝らした文章というよりは、自然に出てくる言葉という感じで、
それが主人公の初々しさや、幼さを残した部分とマッチしていました。
それがあるからこそ主人公の心情にもリアリティが増したと思います。

主人公の心の内も丁寧に綴られていて、とても好感を持ちました。
その心の臆病な部分、独りよがりな部分が、現実の人の心に非常に近い感じがしました。

>たとえ男に生まれたとしても平等に愛情が注がれるとは限らない。状況は今と変わらないかもしれない。そうなるよりは、やはり彼女と反目し、顔をそむけているほうがよっぽどいい。



>唯一ちがうのは、母親はけっして悪者ではないということ。つまり絢は、自分の都合で母親を憎み、けっきょくは自分の非を棚に上げていたに過ぎないのだ。

というところが、とくによかったように思います。

ただ、気になった点としては、
まず、セリフがちょっと不自然なところでしょうか。
私自身、あまり読書をしない人間なので、小説のセリフってこういうものかもしれないのですが、
言葉遣いが、なんとなく日常使われているものと距離がある気がして、違和感があったんです。
たとえば、年齢がもっと上だとか、地の文がもっとかっちりしたものだったら、不自然さはない気がするのですが、
どうも、セリフの部分だけ浮いているような感じがしてしまったんです。
ただ、私の主観なのでこれについてはほかの方が不自然に感じないのであれば、問題ない気もしますが。

あとは、決め台詞にお星さまつけちゃったところでしょうか。
内容とは関係ありませんが、それって、やってはいけないことのように思います。
私もたいてい、作品には決め台詞というか、読者の感情を動かしたい台詞をよく作るのですが、
作者が「ここですよ」って言っちゃうのは、読者の感動をそぐことになると思うんですよね。
何も言われずに、完全に読者の主観で感じるからこそ、感動が大きいわけで。
それに、やはり、見せ場は作者の言葉で外側から教えるよりは、
読者自身に読み取ってもらって初めて、見せ場として成功していると言えるのではないでしょうか?

と、最後にいやなことを書いてしまいましたが、
作品自体はとても素敵だったと思います。
また読ませてください。
No.3  はしずめまい  評価:0点  ■2011-10-05 20:15  ID:sDqO84/iyOU
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陣家さん、お読みくださり、ありがとうございます。

意外にも好感触だったようで、内心うれし驚き。

欲求不満があるから人は書くんだ、と担当教授はおっしゃっていました。ならば!と思って書いたのがこれです。

>距離があるように思えても家族の絆が強いものであることは主人公にも最初から分かっていたのですから。

最後には、救いの手をさしのべてもよいかなと。あんまり鬱々していてもな…。一応提出するし…とか何とか、体裁ってやつを整えたうえ、作者自身の気も晴れたような気がしています。


ありがとうございます。
No.2  Phys  評価:40点  ■2011-10-04 21:54  ID:U.qqwpv.0to
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拝読しました。

初めまして。とても練られた作品だと感じました。これを学校の課題(大学生
さんですか?)でさらりと書いてしまうとのこと、感服いたしました。非常に
安定感のある文章をお書きになりますね。読みにくい、だなんて露ほども思い
ませんでした。

基本的に私の好きなタイプのお話だったので、かなり贔屓目な感想になっては
しまうのですが、とにかく描写が良かったです。ものすごく巧緻な表現という
わけではないのに、自然で、繊細な筆致が素敵でした。それが小説に柔らかな
印象を与えていますし、物語のシナリオとよく馴染んでいると思いました。

>つながっているのは血だけ。心までは……
決め台詞、良かったです。私もこれからメールで、決め台詞にお星さまをつけ
よう! とか思ったりしました。(?)お話のテーマを象徴する、作者さまの
思いがこもった言葉だと思います。

向こう島。心の距離。素敵な終幕でした。主人公さんにも共感できました。
ただ、最後に帰ってくるところで、「大学生」だということが判明して、正直
「え、そうだったんですか?」と驚いてしまいました。てっきり中学か高校の
女の子だと想像していたからです。(体育座りをしていたから……?)

自分が大学生の頃は、家に連絡もせずにふらふらしてましたし、一週間に二日
くらいしか帰っていなかったので、大学生=家出という構図に違和感を感じて
しまったのです。(個人的なことなので、聞き流してくださいませ)

まとまりのない感想になってしまいましたが、会社帰りの疲れた体に、すっと
染み渡るような瑞々しいお話でした。ちょっぴり幸せになれました。

また、読ませてください。
No.1  陣家  評価:30点  ■2011-10-04 07:49  ID:1fwNzkM.QkM
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青春物ですね。
まあでも、良くも悪くも現代っ子の家出なんだなって感じしました。
物置に隠れたのび太くんみたいな。
家出と言うより小旅行って言う方が良いかも知れないですね。
たばこ屋までの行き帰りの旅行記みたいな。
それでもいつの時代でも家出する娘というのは不滅なんだなと思いました。
昔見た日本の映画で高橋洋子さんのデビュー作、
旅の重さ ってのをふと思い出しました。
四国の女子高生が一人でお遍路の旅にいってきまーすって置き手紙して家を出て、ヒッチハイクを重ねて廃屋で野宿したり、旅芸人の女の子とレズったり、知り合った友達が自殺したりするヒッピー的な話でした。
最後は風邪で行き倒れたところを行商のオヤジに助けられて、そのままねんごろになって一緒に行商を始めるというはちゃめちゃな話でしたけど。
でも、無人島という大自然の中に一人身を投じるというシチュエーションになぜか共通する部分が感じられて、時代は変わっても日本人に通底する意識みたいなものがあるのかも知れないなあと思いました。

距離があるように思えても家族の絆が強いものであることは主人公にも最初から分かっていたのですから。
主人公にとってこの小さな大冒険は大人になるための大事なセレモニーだったんでしょうね。

それでは。
総レス数 10  合計 130

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