ぎしぎしにゃんにゃん

「ぎしぎしにゃんにゃん」

　寝れない。眠れない。
　にゃんにゃんとかわいい声だったらまだ分かる。
　発情期の猫ときたら、ふにゃーぎにゃーと気になるの何の。けたたましいことこの上ない。アパートに引っ越してきて一ヶ月、時たま悩まされて居る。
　あたしはころりとおふとんのなかで寝返りを打つ。ダーリンは熟睡してて、起こすのは忍びない。
　ちくたくちくたく、時計の音。
　ぎしぎしにゃんにゃん。
　ちくたくちくたく。
　うるさい。
　うるさいうるさいうるさい！
　蛍のように美しい交尾ならばまだしも、野良猫の交尾だけは我慢ならない。悶々としてしまうのだ。
　あたしなんて、この頃ずっとごぶさたなのに。猫だけずるい。

　あたしはパジャマ着のまま、寝ぼけてたのか枕を抱えて玄関を飛び出した。
「ふしゃー！　」
　電信柱の下で盛っていた猫どもを威嚇！
　化け猫みたいに凄んでやったら、一目散に二匹とも逃げ出していった。ああ、清々した。
　意気揚々とアパートに帰り、静かに階段を昇ってゆっくりドアを開ける。真夜中にうるさくすると大家に怒られるのだ。
　改めてふとんに戻り、あたしはようやく安息の地を得たことに満足する。
　と、思ったのは束の間――。
　もきゅもきゅと胸をまさぐるダーリンの手にまどろみは打ち消される。
「･･････ダメ」
「ダメ？　」
「･･････ごめんうそ」
　そして夜は更けていった。

　翌日、大家に怒られた。
「盛りのついた猫じゃあるまいし」と。

白熊

2011年05月24日(火) 17時22分29秒公開
■この作品の著作権は白熊さんにあります。無断転載は禁止です。

■作者からのメッセージ: 息抜きに気軽に書いてみました
執筆時間約２０～３０分くらい
お読みいただけましたら幸いです

最近我が家のまわりでは猫の恋の季節のようですが
自分は快眠できております、はい
イラスト機能は使ったことがないので試しに使ってみました
ねこってこんな生き物ですよね？

この作品の感想をお寄せください。
No.7 無花果評価：50点 ■2011-06-24 18:44 ID:qDaj5EVH48E	PASS 編集削除
ええと、おそらく初めまして無花果と申します。初めに言っておきますが、感想を書くのがもんの凄く苦手です。 ……これは……素晴らしい!私中3ですけど、テンションが上がってしまいました。おそらく上がっちゃまずいのだけれど。「･･････ごめんうそ」がリアルだなぁって思いました。何も知りませんけどね。本当に何も私知らないので。リア充はとりあえず滅べばいいんだと、改めて感じました。
No.6 白熊評価：--点 ■2011-06-03 21:05 ID:26VugPo02oQ	PASS 編集削除
作者返信レスになります >夜明け前さんへ直球ド真ん中狙いのスローボールですね、いやはや読み手に「ああこいつ能天気なんだな」と思われてしまうのは本性が見え隠れしているのでしょうかテーマは少子化対策です読了ありがとうございました >春矢トタンさんへはじめまして、読んで字のままシロクマですまさかネコ退治にスカっとした、なんて感想が来るとは･･･そんなTシャツを巷で見かけたくはありません！ご感想ありがとうございました
No.5 春矢トタン評価：30点 ■2011-06-03 00:16 ID:OR/wFqmygW2	PASS 編集削除
はじめまして。春矢と申します。私も、春は猫の叫び声に頭を悩ませました。（今住んでるところに引っ越したばかりのころは、一瞬女性が襲われたんじゃないかと１１０番しようとしたことも）物語の中の女性が、猫をおっぱらっててすがすがしい気持ちになりました。楽しかったです。猫のイラストもかわいくて、Tシャツにプリントしたら売れそうです。
No.4 夜明け前評価：30点 ■2011-05-31 23:21 ID:xkyrp59vkSk	PASS 編集削除
ぎしぎしなのでセックスなのかなと思ったらセックスでした。楽しそうですね。素直に本能が伸びていると、言葉や絵などは明るく軽いもので済むのでしょうか。ほどほどの貧しい暮らしや、懐かしいような純粋さを感じました。
No.3 白熊評価：--点 ■2011-05-29 02:03 ID:26VugPo02oQ	PASS 編集削除
作者返信レスになります >闇の吟遊詩人さんオチは二段構えですね、挿絵の効果的な使い方を模索してみました。うそですごめんなさい。確かにカタカナの方がうるさそうなんですけど、カタカナ表記の擬音、擬態語よりひらがなの方が好みだったりしまして。指摘はその通りなので、趣味によりけりってところですかねぇ。文書作法の基礎がいい加減さ、ご指摘お手数かけます。そのへん分かってはいるんですけど、感覚優先で「･･････」にしてますね。心なしか、「・・・」では大きすぎ、「…」では小さすぎ、と感じるのです。フィーリングで生きていますなぁ･･･。もちろんの如く、然るべき場所へ送るような作品ではしっかりさせていただきたいと思います。ご感想ありがとうございました。 >ゆうすけさんお読みくださりありがとうございました。猫を追っ払うところは主人公が「リア充猫氏ね！」とやっかんでるとこが気に入ってます猫が鳴くのはアレ痛いからなんですけどね。イラストは一応、自分の画力を最大限に発揮しましたええ、描くより書く方がお似合いみたいです、はい
No.2 ゆうすけ評価：20点 ■2011-05-28 17:25 ID:DAvaaUkXOeE	PASS 編集削除
拝読させていただきました。笑ってふにゃふにゃになりそうです。集合住宅の悲哀ですね。聞かれるのも聞くのも嫌な交尾音。野良猫を追っ払うところがいいですね。猫のイラストが秀逸です。なんだかなごみます。
No.1 闇の吟遊詩人評価：30点 ■2011-05-28 11:13 ID:h9/hf8U/ytc	PASS 編集削除
「オチ」に笑いました。確かに「ネコってこんな生き物」です。改良点があるとすれば「音」。つまり「ニャンニヤン」・「フニャギニャー」・「チクタク」など「機械の音や動物の声をカタカナ」にした方が「うるさいうるさいうるさい！」のような「ひらがな表記」と混じらず視覚的に読みやすくなります。ただ、「ぎしぎしにゃんにゃん」が魅力的なので、この作品に関しては「カタカナ表現」にこだわらない方がいいような気もします。後はこれを「本」や「電子書籍」にしたくなったら「･････」は「……」に修正した方がいいです。もちろん、その気がなければ「･････」のままでもＯＫです。
総レス数 7 　合計 160点

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