子供(Z)

      (ナイフ)

 生まれつきの悪党だった。町内の「あけぼの旅館」の敷地の小屋に住んでいた。旅館の経営者の子供だったかもしれない。私はかなりの兄貴と思っていたが、一―二才しか違わなかったかもしれない。つきまとっていた。その人の呼び名が思いつかない。「その子」とは思っていない。「その男」ではない。「兄貴」でもない。「彼」・「奴」とは違う。ろくに話もしなかったから、名前も知らない。Aとしよう。Aのやることなすことが驚きに満ち満ちていた。前ぶりなしに何かが突然はじまる。
 映画館の裏口から入った。何のことはない、開いていた。タダだ。従業員がいるところは目にもとまらぬすばしこさで抜けた。ギャング映画が多かった。どこかでかっぱらったのか、いつの間にか駄菓子を持っていて気前よく分けてくれた。いままで食べたことがないド甘い原色の駄菓子を食べながら夢中で映画を見た。いっぱしの大人になった気がしていた。映画は銃をぶっぱなすところ以外は退屈だった。しかし、Aと一緒がなによりたのしかった。
 見たこともないナイフを見せてくれた。一つは外国のサーベルを小さくした形でツカもツバもサヤも金と緑と赤で見事に彩られていた。抜くといかにも切れそうだが刃が細身だった。Aはそのナイフをいとおしそうにサヤにおさめて、急いでポケットに入れた。もう一つは飛び出しジャックナイフだ。刃が飛び出る溝に指をふれないように持ち、フックを押すとシャカッと刃が飛び出す。おさめるとパチッという。刃に鋭い傷が二ヵ所あった。危険な感じだ。ずっしりとした手触りを何度もたしかめていると、Aに取り上げられた。Aは見事な手さばきで瞬間出し入れをやると、目の前の楠の大木にナイフを突き刺した。刃の半ばまで刺さって握り手がふるえていた。
 街を歩いていた。Aと歩くと背が伸びた気がした。何でもできる気がした。Aはふいと駄菓子屋に入ると、プラスティックの缶二つ・アイスボンボンを一かかえつかむと悠然と走り去った。あわてて通りに出てきた駄菓子屋のおばさんと、取り残された私と目が合った。
「あのガキ知ってんやろ。ここにつれてこ。わかった?」
私はAを探しに走った。白山町アーケードの道祖神の横で、Aが坐ってイカの足を喰っていた。Aは私を見るとニヤッと笑って缶の中のイカの足を差し出した。甘いシロップに漬けたようでうまかった。
 Aはまた歩き出した。表通りから裏通りに入り、あるしもた屋の裏口にまわり戸を開けようとしたが開かない。私にプラスティックの缶二つとボンボンの束を預けると、戸に体当たりをはじめた。三度目でつっかい棒がはずれる音がした。Aはさっさと家の中に入っていく。勝手知ったる他人の家。台所をさぐったり襖を開けたり二階へ駆け上がったり家捜しをして、一階の板の間に戦利品をそろえた。ラムネ・色水・りんご・ポン菓子、それに駄菓子屋でまきあげた数々。急に祭りになった。Aはりんごにかぶりつきラムネを器用に親指で玉を抜いてがぶ飲みしながら、私を見てあごをしゃくった。喰えと言っている。私はそれどころではなかった。おそらく他人の家におしこんでいる、それって空き巣じゃないかと思っている。今にも玄関から人が入ってきそうで、生きた心地がしなかった。それでも、何度も喰えと合図するので、食べるなと言われていたアイスボンボンを手にとった。ひょうたん型のゴムの中に色と甘みのついた氷がある。ゴムを傷つけないように口をほどいて吸うととけだしたジュースが飲める。かなりとけだしてくると、ゴムの上から生がみして氷をつぶすと、シャーベットが食べられる。食べ終わった後のゴムは水を入れて水鉄砲になるし、空気入れで空気を入れると風船になる。だから、破れないように食べなければならない。私の食べっぷりを見てAはあざ笑いした。ひっくりかえって笑う。よほどぎこちなかったようだ。
 その時、玄関の鍵を開ける音がした。心臓が止まるかと思った。すばやく裏口の逃げ道を確かめて、腰を浮かそうとした。Aは大きなイカの足をかみ切ろうと夢中になっている。音が聞こえなかったはずはないので、さては何度もこういうことをやっているなとやっと気がついた。入ってきたのは界隈でも評判の美少女だった。Aを見て驚きもしなかったが、卑しみの表情が一瞬よぎった。私を見てちょっと驚いたようだが、急に激しい侮蔑の表情に変わった。ショックだった。少女は二人を歯牙にもかけない態度で二階に上がろうとした時、Aが階段の向こうの横板に足をかけて止めた。少女の方がAよりも背が高い。しばらくもみあっていたが、Aがポケットから何かを出して少女の首にかけ胸につけた。色々の色の小石をつらねたネックレスと花を浮彫りにした白いブローチだった。Aのポケットには何でも入っていると私は舌を巻いた。少女は二つをちらっと見るとふいっと力を抜いて、カバンを放り出して板の間に横坐りした。そして、ポン菓子を食べはじめた。Aはあざやかな手口でラムネの玉を抜くと少女に差し出した。よほどのどが渇いていたと見えて、頭をのけぞらせて大きく三口飲んだ。白い長い首にラムネの液のかたまりがうねうねと降りていくのが見えた。少女はふっと息をついた。自堕落な大人の女に見えた。
 川沿いを歩いていた。Aが急ぎ足になった。何か思いついたようだ。川岸の家や工事の機械を置きっぱなしにしてあるところを動き回り、網を二つとビクまで持ってきた。網を一つ私に渡すと、Aは網とビクを持って川に入っていった。服が濡れることなどおかまいなしだ。動作がよどみなくなめらかで踊るようだ。たちまちのうちに四十センチほどの雷魚をとった。ぼーっと岸に立っている私に気づいて、怒ったようにあごをしゃくった。さっさとしろと言っている。思い切って靴もぬがずズボンもまくらずAのまねをして川に入った。Aはフナを2匹とった。私は何もとれない。Aは足を使ってうまくドジョウを四匹とった。私は底をさぐった方がいいと思い、やってみると一匹小指の先ぐらいの魚がとれた。喜んでAに見せに行くと、Aは完全にバカにした顔でつまんで捨ててしまった。そこで、やっと思い出した。その魚はドンポといって変な油を出すし普通食べない。結局、Aだけが雷魚一匹、フナ四匹、ドジョウ六匹とった。岸に上がるとAはどんどん歩いていく。やがて、工場跡に入っていくと炉があった。Aはすぐ木片と紙をマッチで火をつけると、あとを私にまかせて、雷魚とフナをジャックナイフでさばいた。すべて二等分にして、金網がないので落ちている鉄片をつないで炉の上に渡しその上に魚を乗せた。ジューと音がして脂と皮が焼けるうまい匂いがしはじめると、Aはどこから持ってきたのか塩袋から一つまみずつ塩を魚にぶっかけ醤油を少したらした。そして、雷魚の一番大きな切身にかぶりついた。Aは私に目で喰えと合図した。川魚は虫がいるし川臭いと聞いていたが、Aをまねてかぶりついてみるとうまい。とくに雷魚は淡白で上品な味で、家で食べるカレイの煮付けなどに比べて格段にうまかった。
 ずいぶん、遠くに来てしまった。Aとはぐれるとまずいと思い、必死にくっついていた。「○○旅館」と看板が出ている家の裏口から入った。従業員が数人いたが、なぜかAとはお互い無視の状態だった。木の階段を三階まで上がって入ったところは六畳の古い鏡台が一つあるだけの殺風景な部屋だった。Aは押入れを開けて、二段になっている下の布団を外に出して中にもぐりこんだ。私を手招きしてニヤッと笑った。驚いたことに、押入れの板壁がはがれて下の部屋がまる見えになっていた。暗い中に何かうごめくものがある。Aはここで待つように合図して、アッという間にいなくなった。目が慣れてくると、大人の男と女が裸で抱き合ったり離れたりしている光景が見えた。時々うめき声も聞こえる。その時、その部屋の襖が開いてAがスーッと入ってきた。私はAのねらいがわかった。財布だ。しかし、大人が二人いてしかも起きている。難しくはないかとはらはらしていると、Aは部屋の隅に脱ぎ散らかしている服に近づいた。不思議なことに、大人達はやっていることに夢中になっているようで全く気づかない。Aは男の上着の右の内ポケットに手を入れ財布を引き出した。そして、紙幣だけ抜きとり数えだした。少しの間をおき、二枚だけ財布に戻し、その財布を内ポケットに戻した。ムダのないしぐさ、まるで何かの儀式を見ているようだ。大人達はわめきながら芋虫のようにうごめいている。つぎに、女物のハンドバッグの中から財布を取り出し、さっきと同じ所作を繰り返して、ビデオの戻し画面のようにまたたく間に姿を消し音もなく襖が閉まった。
 祭りの日もAにくっついて歩いた。昼からヒヤがドーンと鳴るので祭りだとわかる。夕方ごろめかしこんだ男女が出てくる。ゆかたが多い。急に華やいでくる。Aは服はいつものだが、うきうきしている。だから、私もうきうきしてくる。堀端に行くと、出店がぎっしり並んでアセチレンガスのツーンとする臭いがする。大勢の人だ。Aは香具師の出店でかっぱらいはしない。ちゃんとお金を払う。子供だからお金を出さないと物はくれない。ワタアメ・イカ焼キ・きんぎょすくい・ヨーヨーすくい・的あて。公園の広場ではサーカスの大テントがあった。Aはこういうところはどうしても裏口から入ると決めているようで、もぐりこもうとするが、テントのつくりががっちりして、警備員が数人絶えず巡回しているので断念して、隣の蛇娘の小屋に入る。あっけないほど簡単に入れた。
「親の因果が子に報い
東北の山奥で育った一人の娘
上半身は絶世の美女
下半身はあな恐ろしや
禍々しい大蛇の姿
さあ見てらっしゃい 寄ってらっしゃい」
Aと私は舞台の裏から見ることになる。真ん中に舞台表の上半身裸のおばさんの、下半身が舞台裏で腰巻姿で踏み台に立っている。蛇係が数名いて、汗みどろになりながら蛇をくねらせたり跳ねさせたりしている。観客はすし詰めで、ホーッと顔を長くして見ているもの、がっかりした顔、怖そうな顔。一角獣のヤギがいたり、虎模様の大猫がいたりした。Aはすぐあきて外に出た。べっこうアメをなめながら歩いていると、前方からワラワラと男達が走ってくる。口々に
「見つけたぞー。見つけたぞー」
と言っている。Aは目配せで逃げろといって走り出した。私も逃げる格好はしたが、自分がねらい目じゃないのがわかっているので、声のする方に走った。Aが堀端に追い詰められていた。屈強の男が三人にじりよっている。相手が子供でもなかなか捕まえられないのは、Aの手にジャックナイフが握られているからだ。他の人達は遠巻きにしている。一人もAを助けようとするものが出ない。私は涙があふれた。泣きながら木片を拾って飛び出そうとした時、Aと男達がもみあいになった。一人が叫び声を上げて倒れた。太ももにナイフが刺さっていた。男達がひるんだ隙にAは逃げた。私はなぜかナイフを残しちゃダメだ、残しちゃダメだと思いながら涙で前が見えなくなった。これがAとの別れだった。
 「あけぼの旅館」の小屋の前でうろうろしたあげく、思い切ってガラス戸をノックした。
「なに?」
引き戸を開けてこめかみにコウヤクをはって髪が山火事のようなおばさんが出てきた。黙っていると、
「ふーん、○○ね。遠いところに行ったよ。もうここには帰ってこん。前をうろうろするんじゃないよ。外聞が悪いから」
と言って戸がピシャリと閉まった。
      
      (盗み)

ここに一枚の写真がある。三センチ四方のごく小さな古い写真だ。生家の前で私一人が写っている。四歳ぐらいか。できの悪い写真だが、この時の前後を鮮明に覚えている。写真をよく見ると、私はいかにも嫌なしかめた顔をして横を向いている。そして、左手を右胸にあてている。この写真を撮ったのは私のいとこの父親Bさんだ。背の高い優しいおじさんで、カメラが趣味だった。たまたま通りがかりに私を見つけて撮ろうとした。私はある事情で嫌だったが、しぶしぶ応じた。
「ほら、こっち見て。腕をまっすぐにせんね」
とBさんは言った。私は
「腕の痛かけん」
と言った。嘘だった。胸ポケットのジッパーのフックに、いとこの家から盗んだ小さなストラップをぶらさげていた。おじさんがそんな小さなものを知っているわけがないとか、ばれるはずがないとか考えればよかったのかもしれないが、「盗んだ」という重い事実で頭がいっぱいになった。だから、こんな無残な写真になった。
 いとこの家は近くだった。しかし、子供の足では大変なので誰かにつれれて行ってもらっていたのだろう。優しいきれいなおばさんがいて、いつもおいしいものを食べさせてくれた。家では禁止されているものも食べられたので気に入っていた。年上の子が二人いて勉強部屋があった。いつも学校に行っていていなかった。色んなところをいじりまわした。机の引き出しはきちんとしていた。つくりつけの筆箱に鉛筆や消しゴムにまじって小さなみすぼらしいストラップがあった。出来心じゃない、何かの心ができていたわけじゃなかった。気に入ったわけでもない、物は貧相だった。何気なくもない、盗んだんだから。それをポケットに入れた時どこかで何かの帳尻が合った。

 中学の時、隣の席の生徒が濃紺で先と縁が金色のボールペンを持っていた。自慢もしなかったが、いいペンらしかった。持主は成績はそれほどよくなかったが、きちんとしたおとなしい子だった。その子は授業が始まる前に、机の右上にそのボールペンと赤のペンをいつも置いていた。授業が始まって、書き取らなければいけない時はいそいそとそのペンをとってゆっくり書いていた。自足している感じがよくわかった。大事にしていたというより、その子の手の先の続きにそのペンがある感じがした。授業が終わると満ち足りた表情でペンを筆箱にしまった。
 そのペンを私は盗んだ。しかも、かなり不自然な形で。その子は珍しくあわてて激しく動揺していた。考えられるところを全部探してもない。悲しそうな顔をして席に坐った。そして、その子は
「おまえが盗ったのを、知っている」
と私を見ずに私に言った。私はゾッとした。それでもシラを切った。一瞬どうせ自分で使うのではない、返そうかと思ったが、しなかった。
 次の日、その子はどこにでもあるペンを持ってきた。授業の前に机に置くこともしない。書き取らなければならない時は、筆箱からあわてて出して書いた。幾分ぞんざいな感じだ。書き終わるとそのペンを微かに投げた。その子のどこかが切れていた。

      (嘘)

 できるかぎり嘘しか言わないことにしていた。その方がおもしろいし、やったことのないことをやれそうな気がした。
 家の前に道がある。道がつながっているとは思ってもみない。少々面倒な庭と思っていた。色々な人が現れて消えていく。馬も来る。牛も来る。荷車が来る。ときどき自転車や自動車も来る。色々なものや人がたち現れるのは、退屈しないようにしてあるからだと思っていた。
 嘘である。全て見通していた。道はものを運ぶためにずっと、気が遠くなるほどつながっていること。色々なものや人はそれぞれやらなければならないことが山ほどあってせかせかと行きかっていること。遊びや飾りは一つもないこと。それを思うと息が詰まるほどつまらなかった。だから、嘘がいいと思っていた。
 まわりもよくなかった。小学校に初めて行く時、
「始業時間は何時?」
と親が聞いた。
「シギョウジカン?」
わからなかった。
「学校が始まるのは何時?八時?九時?十時?」
「十時」
知らないからデタラメだった。そんなことが大事だとは思ってもみない。一学期が終わって通信簿を親に渡すと、親は青くなった。毎日遅刻というのも問題だが、授業中に思いっきり教室の引き戸を開けて、大声で
「おはようございます」
と言って入ってこられると他の生徒達にしめしがつかないから、ぜひ止めさせていただきたいと、いやに丁重に書いてあった。
 直らなかった。親は定刻にきちっと送り出すことに努めた。あまかった。普通に歩けば十分で着くところを、一時間半も二時間もかかるとは思ってもみない。道を歩くと想定外のことがふりかかってきて、ことのほか忙しい。アヒルが数羽道を横切っていたら、やはり行き先を見届けて、ついでに卵も失敬しなければならないし、自転車屋で大人が口論していたら、わからなくても首をつっこまなければならないし、チンドン屋が来たら、どう考えてもついていくしかない。
 同じクラスの見どころのあるものだけに、宝の地図を見せてやった。これは古い襖の紙を切り取って、見られてはまずいので電気スタンドを押入れに持ち込んで、三日かかって書いたものだった。本当は山あり谷ありでなければならないが、わからないので町あり町ありの地図になった。隊員を募ったら六名いたのでさっそく出発した。初めは、床屋があったり八百屋があったり地図どおりだから、みんな喜んだ。しかし、わからないところも書かなければ宝の地図にはならない。わからないところだから、わからなくなった。そして、警察の派出所に保護された。仕方なくおまわりにも地図を見せてあげた。この☆印のところに行きたい、おまわりさんだったらわかるでしょうという意味のことをとぎれとぎれに言った。おまわりは大判の地図を持ってきて見比べながら頭をひねっている。このおまわりは知能程度が低いと私は思った。

      (かくれんぼ)

 かくれんぼは私が入ると遊びにならない。絶対に見つからないところにしか隠れないから見つからない。たとえば、実家の前の裁判所の屋根裏とか床下、隣町の空になった犬小屋とか。暗くなったと思って、鬼の陣地に行ってみると、誰も帰っていていないことがしばしばだった。かくれんぼは見つからないのが勝ちと思い込んでいたが、どうもそうじゃないようだと反省して、今度はなるべく見つかるようにしようと思い、陣地の大きな楠の木の隣の小さな楠の木の上に登って隠れた。隠れたといっても木の上だからそんなに隠れるところはない。ここで、不思議なことが起こった。鬼がすぐ私が登っている木の前に来て見上げている。私の顔は幹に伏せているので見えにくいが、体全体がまる見えでさすがに観念した。ちょっとあっさり見つかりすぎたと思っていると、鬼はくるりと向きを変えて他を探しに行った。見つからなかったのだ。ふにおちなかった。まる見えだったのだ。逆光でもないし、鬼の子が目が悪いわけでもない。それとも、こちらから見えても鬼の方から見えないということがあるのだろうか。見つかる寸前に、私の中から膜のようなものが吐き出されたのか、私の体が擬態したのか。あるいは、鬼の子に初めからあの子は見つからないという強い先入観があって、私が見えても強く否定してしまったか。下では二・三人が見つかりはじめた。私は大胆に横枝に坐って足をブラブラさせていたが、誰も見つけてはくれなかった。
内田 離
2011年05月08日(日) 16時50分59秒 公開
■この作品の著作権は内田 離さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
「スイッチ」160篇の中の一篇です。
感想をよろしくお願いします。

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No.4  内田 離  評価:--点  ■2011-05-15 11:39  ID:9X9J/2cR/gk
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陣家様へ

「スイッチ」160篇はすでにあります。今、「スイッチY」を作っていますが、それがまとまると180篇になります。
陣家様の推測はほとんど当たっています。むしろ、貴方の読解力の凄さに驚きました。
「スイッチ」の中で子供をテーマにしたものが11篇ほどあるので、「子供御供」のタイトルでどこかに出そうかなと思っています。
なお、この投稿サイトにもう1篇「樹木人間」というのを出してみました。よかったら、読んでみてください。
No.3  内田 離  評価:--点  ■2011-05-15 11:18  ID:9X9J/2cR/gk
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ゆうすけ様へ

読んでいただき、ありがとうございました。「ヒヤ」はどうやら方言のようで、合図に使われる音だけの花火のことです。
4つのつながりの件ですが、子供Zだけ読めば、そう読むのは当然と思います。ただ、わがままな作者としては総タイトル「スイッチ」の中に「子供」が10篇ほどまとまりましたので、「子供御供」としてどこかに出そうかなと思っています。それを読んでいただければ、異様で神秘的な「子供」という存在として、まとまった感じで読んでもらえるかもしれないと思っています。
No.2  陣家  評価:50点  ■2011-05-14 22:05  ID:ep33ZifLlnE
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拝読いたしました
陣家と申します

凄いですね、このサイトでこのような作品に出会えるとは思っても見ませんでした。
「スイッチ」160篇の中の一篇ということですが、すでに160篇は完成済みなのでしょうか。
ともあれなんともハードボイルド臭の強い、いい意味で毒のある内容で読んでいてとても新鮮でした。

 この作中の主人公はおそらく同一人物なのかなとは思いますが、どうしてもこの短編の並びに時間軸をおいて見てしまうので、“ナイフ”で割と無垢な感じだった主人公の男の子が、“A”と分かれて影響を受けた後のエピソードととらえてしまいたくなります。
なので、今回の投稿を一編の作品としてまとめるならば、章の間の時間的な隔たりや主人公の心境の変化を描いて頂ければより完成度が高い一つの作品として成り立ったと思います。

 本作の舞台は夜店のアセチレンランプや方言から察するに昭和30年代の佐賀と思われますが、実体験を綴ったということであれば作者様は結構熟年世代なのかなと想像します。
 ふと思ったのですが、もし今この感想を書いているのが2011/3/11以前であれば、現代の豊かなマテリアルに囲まれた時代よりも夢のある時代でしたね、なぞといった感想を書いていたのかなと思いましたが、違いますね。今はまさに下りの時代、まるで先の世界大戦前夜のような危機感を持った人と、あえて楽観を貫こうとする人々が対立する暗い闇の目前に立たされている時代ではないかと感じています。

 それを考えれば本作に描かれている時代は、大きな災厄がようやく去った後の開放感にあふれた憧憬すべき時代だったのかも知れません。
 人は強い生き物です、今の安心安全公共の福祉、公序良俗が通用しなくなった世界が再び訪れた時、人は本作に描かれたようなバイタリティがあらためて力を発揮することになるのかも知れません。
 とまあ、そんなことまで考えさせてもらえる良い一編でありました。
 ありがとうございました。
No.1  ゆうすけ  評価:30点  ■2011-05-09 16:22  ID:oTFI4ZinOLw
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拝読させていただきました。

子供の頃の思い出を語ったものですね。圧倒的なリアリティがありますね。(ナイフ)におけるAのキャラは、昔のガキ大将の強化版のようであり面白いです。あたかも見てきたような、丁寧に描写された細部が秀逸だと思いました。
「ヒヤがドーンと鳴る」
すいません、ヒヤとはなんでしょうか? 花火の事を言うのでしょうか?

ナイフにおけるガキ大将の金魚のフンになって一緒に悪事をする所と、他の章における、無為なこだわりで損をしている所、実に昔の悪ガキっぽさが出ていると思いました。

四つの章の繋がりがあまり感じられなく、ただ列挙しているように感じたのがもったいないと思います。最終章でなんらかのオチのような纏めが欲しいと感じました。
総レス数 4  合計 80

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