銀髪の少女
紳士淑女ならびに少年少女の皆さん
ようこそ、おいでくださいました
わたくし、今回の語り部を務めさせていただきます。
どうぞ、よろしくお願いします
え、名前?
・・・・・・そうですね、ここでは「K」と名乗らせていただきます

さて、今宵お話しするのは、ある少年少女の物語でございます
とても、美しい銀髪を持つ少女。
しかし、その髪が少女の悩みの種でした

銀髪の少女が通うのは日本の小学校でございます。
彼女は学校に通うのはおっくうでした。
っと、いうのも彼女はいじめられていたからです。
あなた方も、心当たりがあるのでしょう?
クラスに一人はいたでしょう。ほかの子とは少し違う子が。
肌が少し黒い、髪の毛の色が違う、服がなんかダサい、等々・・・・・・
子供というのは、そういった少しの違いを目ざとく見つけて寄ってたかっていじめる。
そういう生き物なのです。
銀髪の少女も例外ではありません。
彼女が持つほかの子とは違う見事な銀髪は、子供たちにとって、格好な獲物でした
彼女は来る日も来る日も学校に行くたび白髪とののしられ、ババアといわれ、けられ、なぐられ、数々の暴行を加えられてました
最初はもちろん、彼女も抵抗していました。
いつしか、あきらめてしまって、学校では決して口を開かなくなりましたが

さて、このお話には少年もいます
少年は銀髪の少女と同じ学校に通う同級生でした。ついでに一緒の教室です
いつも、いじめられている少女を遠目に見ているだけでした
えぇ、彼はいじめには参加していません
それどころか、止めようとさえ思っていました
しかし、残念なことに少年には勇気がなかったのです
最初の一歩を踏み出す勇気が

ある日の放課後、少年は友達とボール遊びをしていました。確かキャッチボールだったかと
友達が投げたボールが少年の頭上を通り、体育館の裏手まで飛んでいきました
少年がボールを取りに行くと、そこには上級生数人と銀髪の少女が話していました
話していた・・・と、いうのはおかしいですね。
一方的に上級生の男の子数人が何かをわめき散らしているだけでした。サルみたいに
少年は、知らん風をしてその場を立ち去ろうとしたとき、上級生の男の子が少女を殴りました。笑いながら
まるで、ちょっとしたスポーツを楽しんでるかのように
気が付いたら、少年の手にはボールがなくそのボールが上級生のほうに飛んでっているのを見つけました。
状況を理解するのに、少し時間がかかりました。
ボスッ!と、笑顔にボールがぶち当たります。
その笑顔は一瞬のうちに、憤怒の顔に変わります。
上級生が、少年のほうに近づいていきます。少年は、友達のほうをちらっと向いて
「先に帰ってて!!」
と、叫ぼうとしましたが
上級生の顔にボールが当たったのを見たとたんに回れ右して猛ダッシュで帰っていたので
「あれ?」
少年が友達がいたはずの方向を見るころには影も形もありませんでした
友達は後で問い詰めると心に決めてから意識を体育館裏にもどすと、目の前に上級生の顔がありました
「なぁ、このボール、どういうつもりだ?」
上級生が問いかけます
「・・・・・・どういうつもりだって聞いてるんだよ!!」
何も答えない少年に、上級生が大声を出します。威嚇・・・のつもりでしょうか?
突然、少年はその場にうずくまりました。
「おいおい、そっちから喧嘩売っといてなくのか?」
上級生の顔に笑顔が戻りました。
なんだ、新しいおもちゃができたんだ
なんか、邪念まで感じ取れる、そんな笑顔が
「ちょっと、こっちこいよ」
少年がゆらりと立ち上がりました。その手には、木の棒がありました。
上級生はそれには気づいていません
「ブベボッ!!」
上級生が吹っ飛びました。漫画みたいに何十メートルというわけではありませんが
「てっめぇ!!何しやがる!!」
上級生が激昂し、少年につかみかかります
少年は軽くそれをいなして、蹴り飛ばします。
いままで、それを傍観していた別の上級生たちも一斉に少年にとびかかりました

一分?十分?いや、それ以上か…
どれくらいたったのかわかりませんが、気づけば少年と少女以外にそこに立ってる人はいませんでした
卑怯者たちは、全員地べたに倒れていました
「なんだ・・・あいつ・・・」
「尋常じゃない・・・くらい強いぞ・・・」
バトル物のアニメとかにありそうなセリフを吐いています
「ねぇ、大丈夫?」
少年が、おびえている銀髪の少女に手を差し伸べます
「・・・・・・」
「もう、大丈夫だよ」
「・・・・・・」
「なんか、いじめられてるみたいだから助けたかったんだけど」
少女は、少年の手を取らずに一人で立ち上がります
「あ・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
少年の手が所在なさげに、空をつかみます
「・・・慣れてるから」
少年は今気づきました。そういえば、この子いつもクラスでいじめられてる女の子だと
「いつも、クラスでいじめられてる・・・」
「・・・・・・気にしてないから、気にしないで」
少女からこれまた割とひどい返答が返ってきます
「・・・・・・でも」
「・・・ありがとう」
「え・・・?」
少女は、それ以上口を開くことはなくその場から立ち去りました
「・・・ふられぐぎゅ・・・」
余計なこと言おうとしたやつを足で踏みつぶしてから、少年もその場を去りました

こうして、少年と少女は出会いました。
この日から、お互いがお互いを意識するようになりました
純愛・・・と、いうのとは少し違う気がします。
ひどいいじめにあってる子を助けて、正義のヒーロー気取り・・・のような感じでしょうか
最初はそんな感情だったのでしょう
最初は

翌日
少年は登校するとすぐに校長室に呼び出されました
こんこん
「入ってまーす」
校長室の中から、なかなかしぶいこえでそんな声が聞こえてきます。
がらら
「・・・失礼します」
「おう、きたか。」
中には、校長先生と昨日の卑怯者と銀髪少女、そして私服姿の知らない大人たちが数人いました
「少年、ノックするとき、二回だとトイレになるぞ」
「はい?」
「二回ノックがトイレ、三回ノックがお部屋とか、偉い人の部屋だ。覚えておくと、かっこいいぞ」
校長先生が気楽な感じで、少年に話しかけてきます
「まぁ、とりあえずここに座りなさい」
「え・・・はい」
校長先生が、銀髪少女の隣を示しました
少年が隣に座ると、銀髪の少女がすこし距離を置きました
「それじゃ、本題に入るかな」
校長先生が口を開きました
「単刀直入に聞こう」
「はい」
校長先生が笑顔でその場にいるみんなに聞きました
「誰が悪い?」
知らない大人と、昨日の卑怯者たちが一斉に少年を指さします
少年は一人、目の前の大人たちを手のひらで示します
銀髪の少女は動きません。ずっと、うつむいているままです
「そうか・・・」
校長先生が少し考え込みます
「あたりまえでしょう!!うちの子たちはまったくもって悪くないわ!!」
見知らぬ大人の一人が声を荒げます。卑怯者たちの親でしょうか
「ものすごいけがをして帰ってきたのよ!!」
「あざだらけで!!泣いて帰ってきたんですよ!!」
「どう、責任とってくれるんですか!!」
「と、いってるが実際のところどうなんだ少年?」
少年が少し、下を向いて考え込んで
言葉を選びながら口を開きました
「殴ったのは、僕です」
「やっぱり!!」
「・・・・・・!!」
銀髪の少女がびっくりして、少年のほうを見ます
「・・・・・・どうして、殴った?」
「彼らが、彼女を」
少年が銀髪の少女を指し示しながら
「集団リンチしていました」
事実をいいました
「うちの子はそんなことしません!!」
「そんな育て方はしていません!!」
親たちが、声を荒げて抗議します
「さてと・・・意見が割れたな」
校長先生がニヤッと笑います
「俺は、少年を信じるかな」
「校長先生!!」
「なんでですが!!」
「こんな子供の言うことを信じるっていうんですか!!」
親たちが、今度は立ち上がって怒鳴り声をあげます
「ふぁあ・・・説明するのだるいなぁ・・・喧嘩は好きじゃないんだけどなぁ・・・」
わざと、聞こえるように愚痴をこぼす校長先生
「だるい?」
「信じられない!!」
「ケガさせられたんですよ、こっちは!!」
バン!!
校長先生が、机をたたきました
「一つお聞きします」
「なんですか」
「こんな子供の言うことを信じるな・・・とおっしゃいましたね?」
「そうよ!!」
「あなた方も、自分の息子たちの言葉を無条件に信じているようですが・・・・・・?」
校長先生がにやにやしながら言葉を紡ぎます
「そこのところ、どう思います?」
「う・・・」
「でも、こっちの子はケガをしているんです!!」
「被害者の言うことを信じるのは当たり前でしょう!!」
「なるほど・・・嬢ちゃん、ちょっとこっちへ」
「・・・・・・」
銀髪少女が無言で、校長先生に近づきます
「腕を、まくってみなさい。」
「・・・・・・はい」
銀髪の少女が、服の袖をまくります
そこには、あざだらけの腕がありました
「え・・・・・・」
「ひどい・・・・・・」
「どこで、つけたものかわかります?あ、もう戻していいよ。悪かったね」
「・・・・・・いえ、気にしてませんから」
銀髪の少女が席に戻りながら言葉少なに答えました
「このあざ、あなたたちの子供たちがつけたものですよ?」
「・・・!?」
「そ、そんなわけありません!!」
「私の学校は特殊でね、いじめに対しての証拠を集めることに尽力をそぞいでいるんですよね」
相変わらず、にやにやしながら校長先生がUSBをポケットから取り出しました
「このUSBに、あなたの息子たちが体育館の裏でこの嬢ちゃんをいじめてる動画が入ってます。ご覧になりますか?」
「う・・・」
「い、いえ・・・」
「これでも、まだ何か言うことがありますか?」
「どうやって、その動画を撮ったんです?」
「一部のところに防犯カメラを設置しているんです。」
「どんな場所に?」
「教えるわけないでしょう?あなたの息子たちがカメラがない場所でこの子たちをいじめるのかもしれませんし」
校長先生が、声を出して笑いました
「んで、どうするんです?今のお話で、あなたたちの息子たちのほうが原因ということが分かりましたが…?」
「それは・・・」
「その・・・」
「先生・・・」
少女が声を出しました
「ん?なんだ?」
「私は気にしてないので・・・・・・」
「・・・そうか、なら別に何もしなくていいんだな?」
「・・・・・・はい」
校長先生は、微笑むと大人たちのほうに向き直りました
「この件はこれで、これでおしまいですな」
校長先生がぱんぱんと柏手をうちます
「お時間を取らせてしまい、申し訳ありませんでした。もう、帰っていただいて結構です」
嘘っぽい、満面の笑みで大人たちとその息子達を追い出しました

「えーと、失礼しました」
「あー、二人はまだ話したいことがあるから少し待ってくれ」
部屋を出ようとした少年と、少女を校長先生が呼び止めました
「なんでしょうか」
「・・・・・・」
「このUSBはやる」
校長先生が、USBを、少年に投げ渡しました
「え、」
「・・・・・・」
「先生が持っているよりかは、あんたらが持ってるほうがいいだろう」
校長先生が二人に笑いかけます
「仲良くな。出てっていいぞ」
「え・・・」
「・・・・・・」
少女が少年の手をつかんで校長室から出ていきます
「え、ちょ、ま」
「失礼しました」
「おう、じゃぁな」

「えーと・・・」
「・・・・・・これ、どうするの?」
少女がUSBを少年に見せます
「どうしよっか?」
「・・・・・・わたしが、持ってたいな」
少女が、少し心配そうに少年を見ます。心なしが息が荒いです
「べつに、いいよ。」
「ほんとに!?ありがとう!!」
「・・・・・・!!」
初めて年相応の笑顔を見せた少女に少年は固まります。
「?・・・どうしたの?」
「・・・・・・いや、べつに。教室に行かないと」
「あ、そうだね」
少年が先に歩いてあとから少女が続きます

さて、ここまでで半分くらいですかねぇ
どうです?ここまでお聞きになって
中にはきっと、このお二人が恋人になると思ってる方もいるかもしれません
このままハッピーエンドだと
逆に、バッドエンドを考えている方もいらっしゃるかもしれませんねぇ
ま、どっちでもいいのですが
さぁ、まだまだこれからです
もうしばらく、おつきあいください

先日の、いじめの件があったのにもかかわらず少女に対するいじめがやむことはなかった
しかし、そのクラスのいじめは変わりました
いじめの標的は変わりません。相も変わらず、素晴らしい銀髪を持つ少女です。
変わったのは、少女をかばうものが出てきました
例の少年です。

少年は幸せだった。
正義感が強いくせに一歩を踏み出せずにただの傍観者でしかなかった少年が
一歩を踏み出せた今、堂々と守りたかったものを守ることができる
少年が最初守りたかったものはわからない
銀髪の少女なのか、はたまた自分のプライドなのか
今も、何を守りたいのかわからない
ただ、今日も少年は守り続ける
守りたい何かを

少女は不幸だった
いままでは傷つくのは自分一人だった。
心を閉ざし、ただ苦しい時が過ぎるのを待つだけで済む
今は、違う
傷つくのは、自分だけではない。
自分をかばってくれる少年も傷ついていた
少女の前では、平静を保っているが・・・自分の周りから去っていく友達に動揺していることぐらい少女は気づいていた
自分のせいで、クラスから孤立していく少年をみるのがつらかった
初めて助けてもらったとき、はじめて話せる友達ができたと思えていた
今は、少年と一緒にいるのがつらい
ただただつらい
今日も、少女はいじめられる
今日も、ただ少年に守られる

ある日のこと、少女は少年に呼び出されました。
場所は小さな公園でした
少女が公園に来たとき、少年は思いつめた顔でブランコに乗っていました
少年が、少女に気付きました
「あ、きたんだ」
「・・・・・・何の用?」
少年がブランコから降りました
「え、えーとさ」
「うん」
「あのさ」
「うん」
「俺さ」
「うん」
少年が一歩少女に近づきます
「俺」
「うん」
「お前のことが好きなんだ!!」
「う、ん・・・・・・?」
少女が不思議そうな顔をします
「え、どういうこと?」
「う、だからおれ・・・」
少年がもう一歩少女に近づきます
「お前のことが、好きなんだ!!」
少年がもう一度告白します
「え・・・」
少女が一歩少年から遠ざかります
「でも、なんで・・・私なんかを・・・・・・」
「・・・なんでって、いわれても困るけど」
少年が少し考え込みます
「好きに理由って、いるのかな?」
少年がそう聞き返しました
「・・・どうなんだろう」
「それでさ、答えは・・・?」
「え・・・・・・」
少女は
少女の答えは
「・・・・・・っ!!」
「え、あ!ちょっと、まって!!」
少女は少年に返事をする前に、公園から走り去っていった
「・・・・・・」
少年が少女を呼び止めるために伸ばした手はまた、空をつかむだけだった

それからまた何日が過ぎたのち
少女は少年を呼び出しました
冬の特に肌寒い日だったかと思います
少女は橋の上で少年を待ち続けてました
「・・・・・・」
「・・・お待たせ」
ザっと、少年が雪を踏みしめる音が響きました
「・・・こんな寒い日にどうしたの?」
「こないだの・・・返事・・・」
「・・・・・・!」
少女は意を決したように少年を正面から見つめます
「私、一緒に入られない」
「っ!なんで!?」
少年が少女に一歩近づきます
「私、つらいの」
「つらい・・・?」
少女は、すこし涙目になりながら言葉を紡ぎます
「私と一緒にいるようになって、あなたの周りから人がいなくなった」
「そんなこと、気にしない」
「私と一緒にいるよりも、たくさんの人とおしゃべりしていたほうが楽しいでしょ?」
「そんなことはないさ」
「嘘つかなくていいよ」
「嘘なんかじゃない」
少年と少女のそばを軽自動車が走り抜けていきました
「私、知ってるんだよ」
「なにを?」
「私がいないとき、一人で寂しそうな顔をしていることに」
「え」
少年は、次の言葉が出ないのか、ただ口をパクパクするだけです
「もう、一人でいるあなたを見ていたくはない」
少女が少年に近づきます
「そのためには、私はあなたと一緒にいるべきじゃないの」
少女が少年の横に立ちました
「さようなら、いままでありがとう」
少女が、少年のそばを通り過ぎようとしたとき
少年が少女の腕をつかみました
「待てよ」
「なに?」
「すきかって・・・・・・言いやがって」
少年の手に力がこもります
「俺は別にお前と一緒にいられればそれでいい」
少女が驚いた顔をして少年を見ます
「お前と一緒にいたからって俺は独りじゃない」
「でも、周りの人はみんな」
「お前と一緒にいるだけで俺から離れるやつは友達だといえるのか?」
「それ・・・は・・・・・・」
少年は少女の腕を離して少女に語り掛けます
「俺はお前と一緒にいたいんだ。お前のそばにいたいだけなんだ」
「でも、それだとあなたは一人に」
「独りにはならない。お前がいれば二人じゃん」
少女が少年の襟をつかみます
そして、そのまま橋の手すりまで押し付けました
「私の話だけ聞いてればいいの!!」
「それでもし、俺がお前の言うとうりにしてお前が独りになったらそれが俺が嫌なんだよ」
「私は大丈夫だもん、ずっと一人だったから。でもあなたは違う」
少女が少年に身を詰めます
少年は少し離れるように橋からエビぞりのような体系で半身を乗り出します
「私だって、本当はあなたと一緒にいたい!!」
「なら」
「でも!!私のせいで私以外の人と話さなくなっていくあなたを見るのは嫌なの!!」
少女はその言葉を口にすると同時に、少年の体を強く突き飛ばしました!!
「あ、おい」
少年が橋から落ちていきます
「っあ!!!」
少女が必死に伸ばした手は少年が必死に伸ばした手に届かず空をつかみ
少年は川に落ちました

十秒、待ってみました。
しかし、少年が川から顔を出すことがありません
「・・・・・・!!」
少女は、荷物をすべて放り投げ川に飛び込みました
(私が、私のせいで)
水中で少年の手をつかみました。
しかし、少年がにぎりかえしてくることはありません
バザ!!
少女が、少年を担いで岸に上がってきました
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「・・・・・・」
息を荒げる少女と、何も言わない少年
「だ、だいじょう・・・ぶ?」
「・・・・・・」
少女が問いかけても少年は何も答えません
唯一、自分に話しかけてくれた少年の口は動きません
「ねぇ」
「・・・・・・」
少女が少年の頬をつつきます。
柔らかくて、ぷにぷにで、水にぬれてるのにとても熱く感じました
「なにか、こたえてよ・・・・・・」
「・・・・・・」
少女が、少年の肩を揺さぶり始めました
いじめっ子たちから少女を守るために壁際に突き飛ばすときに使っていたその肩を。毎度、痛かったことは忘れません。今度復讐することを心に決めていたことは忘れていましたが
「冗談でしょ?」
「・・・・・・」
激しく揺らす少女
いつも、突き飛ばされて座り込んだ後に見上げることしかできなかったその体を
「まさか、死んだりしてないよね・・・?」
「・・・・・・」
少女が、少年に覆いかぶさるようにして泣き始めました
それでも、いつも少女を守ってくれていた体は動きません
「なにか・・・答えてよ・・・・・・」
「・・・・・・」
もう、いいよ
どこからか、そんなつぶやきが聞こえてきました
「え・・・・・・」
少女は驚いて少年の顔を見ます
その顔はよく見ると少女が想像していたものとはだいぶ違いました
「・・・・・・あまのくん」
遠くに救急車のサイレンの音が聞こえます
少女はそれをぼんやりと聞きながらゆっくりとまぶたを閉じました

これで今宵の劇はおしまいでございます
え?この二人の結末がどうなったのかって?
今見てきたでしょう?
少年は死に、銀髪の少女は何もかもあきらめて眠りについた
それが結末です
この後、実は少年が生きていて少女と恋人になるようなハッピーエンドはございませんし、
少女が永い眠りから覚めることもありません
えぇ、ありませんとも
さぁ、もうお疲れでしょう

ー少女がこれから見る夢のようにあなたにも素晴らしい夢が見れることをー
いかすみ
2016年02月02日(火) 15時42分20秒 公開
■この作品の著作権はいかすみさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
少し変更しました。変更前のは「小説家になろう」様のほうに残しております。ユーザー名「いかすみ」で検索して「語り部さんと不思議なお話」という短編集の中の「銀髪の少女」という項目です。続きは、下から三つめの作者のコメントをご覧ください

この作品の感想をお寄せください。
No.3  いかすみ  評価:--点  ■2016-04-17 18:08  ID:gWuMl53IO0k
PASS 編集 削除
作者からのメッセージの続き
☆今回の変更点☆
細かい、文末の修正。
ラスト付近の少女のセリフ
少年に名前が付きました。

☆お詫び☆
昼野さん、星野などと、名前を間違えてしまい申し訳ありませんでした。
この場を借りてお詫びいたします

☆その他☆
昼野さん、貴重なご意見ありがとうございました
やはり、改善できるなら改善したいなと思い、読み返したらふと思いついたので変えました。

皆さんも、これでもやっぱり変だ、ここがおかしい等ございましたら、お気軽にご指摘ください

罵詈雑言等の感想でもお待ちしています。
感想を残してくれるということは少なくともこの作品を全部読んでくれたということ。
そのうえで、どんな内容であれ感想を残してくれたということは、この作品に何らかの期待を感じているからだと私いかすみは考えておりますので。

以上、コメントのほうが作者からのメッセージより長い文章を打てるので、こう長々と書かせていただきました!!
No.2  いかすみ  評価:0点  ■2016-04-17 13:25  ID:gWuMl53IO0k
PASS 編集 削除
星野陽平さん、ご感想ありがとうございます。
ラストに関しては自分でもしっくり来てないです。ぜんっぜん。まったくもって。どうすれば終わるかなと迷ってこんな形になりました。

ストーリーテリングについて、お褒めのお言葉頂ありがとうございます。
No.1  昼野陽平  評価:30点  ■2016-04-05 18:10  ID:uQhiKmCHatg
PASS 編集 削除
読ませていただきました。
なかなかストーリーテリングはうまい方だなと思いました。
ただ描写がもっとあるといいかなと思います。
ラストは個人的にはいまいちしっくりこなかった感じです。
総レス数 3  合計 30

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