ぶちぶち |
汚い定食屋のカウンターで、地獄の底で這いつくばっているような気がしていて、でもトンカツを食べている。隣の薄汚い土方のおっさんが、箸の握り方がとても下品なおっさんが、スマートフォンでパチンコの動画を見ながら油まみれの焼きサバの、最後の一切れを頬張り飲み下し、水を口に含んでそのまま出てった。空になったコップのふちに油が口紅みたいについて、ぬらりとくもった。 まるく鈍いよくわからない絶望が頭上からひっきりなしに降り注いでいて今日は雨だった。定食屋のタイル張りの床が靴のあとで黒く濡れていた夕方だった。でもトンカツを食べていて、備え付けのテレビでは野球がやっていて、よくわからない人がボールを投げている。 まったくよくわからないなと思った、ぶっ殺すぞゴミ。 死ね。 今日も何の日でもなかった。 赤いドレスのキャバ譲が揮発性の匂いをさせながら、そして少し汗ばみながら(そいつが近くを通った時にそれらの入り混じった匂いを嗅いだ気がした)入ってきて、ぼくの目の端っこで掠れて見える座敷に座った。 それで。 ? 赤いドレスが目の端に塗りたくられて、それで、胃がもたれていた。絶望も赤いドレスも油っこくて胸に突っかかる。何が人のしあわせか分からないが何かを殺したくて殺したくてたまらないと思っている。何かが余分か何かが足りないようなので。 ところでぼくは澄明だ。よく透けている。みんな透けている。あいつもあいつもあいつもあいつも。水みたいだ。 でもいまトンカツ食べてる。トンカツを食べている。ぶたさんは泣いている。目の端は充ちた血で赤い。でも息はとても細いのだった。 |
おど
2015年11月07日(土) 00時40分29秒 公開 ■この作品の著作権はおどさんにあります。無断転載は禁止です。 |
|
この作品の感想をお寄せください。 | |||||
---|---|---|---|---|---|
No.3 青山 評価:30点 ■2016-03-04 16:13 ID:6Vc7lNV5uso | |||||
ぶっ殺す 死ねのくだりがなければ40点(^_^;) きらりと光る才能を感じましたが、なにか? |
|||||
No.2 土門 評価:10点 ■2015-11-08 23:32 ID:o7hllq9AgaY | |||||
やや辛口コメントになってしまうことをご了承ください。 沖になされましたら、どうぞ無視してくださって結構です。 では、恐れながら指摘させていただくと、 とんかつを食べている、が繰り返されているので何かあるのかと思いましたが、特に伏線であたような描写がなかったこと。 何を伝えたかったのかが分からなかったこと。 「今日も何の日でもなかった。」とありますが、決して日常間を伝える作品にも感じないこと。 など、ストーリー性にやや欠けているのかなと感じました。 一方で表現が多彩だなという印象も受けました。 ストーリーを丁寧に気付けば、より小説実のある作品が出来上がると思います。 |
|||||
No.1 通りすがりです 評価:30点 ■2015-11-08 19:31 ID:W.SanRdNWms | |||||
こういうのはなんというのでしょう。厭世観っていうのでしょうか。 間違っていたらごめんなさいですけど、中原昌也さんの作品を思い出します。 中原昌也さん、結構好きなんです。 形にできないエネルギーに溢れているようで、私はこういうの好きです。 |
|||||
総レス数 3 合計 70点 |
E-Mail(任意) | |
メッセージ | |
評価(必須) | 削除用パス Cookie |