たいたにっく☆ばかんす |
どれくらいの間、気を失っていたのだろうか。 長い間、無理な形で縮めていた身体は限界を訴えている。 私は耐え切れなくなり、身を潜めていた箱から飛び出した。いくら小柄だとは言え、クーラーボックスに入るのは、さすがに無理があったのだ。 瞬間、あまりの眩しさに目を閉じる。真昼の太陽はあふれんばかりの光を地上へ放射し、真っ白な砂浜に反射した光線は殺人的な勢いで私の眼を襲う。 どうやら私を守ってくれていた箱は、どこかの浜辺へなんとか流れついてくれたらしい。 私は小さく息を吐き、汗まみれのTシャツを脱いだ。 バチがあたったのであろうか。 私は自他共認める釣り狂いであリ、今年に入ってからも離島へは幾度も訪れている。 離島へ釣りに行く。そのためには渡し船に乗らなくてはならない。 そんな折、飲み屋で久々に再開した友人が2馬力ボートを持っていると聞いた。 酒のせいであろうか、永らく失っていた冒険心が目を覚ました。気がつけば彼と共に夜も開けぬ暗い海へ飛び出していた。 二人合わせて240キロ。 我々の溢れんばかりの冒険心と体重は2馬力ボートには余るものだった。 岸も程遠くなったころ、ボートは不意に転覆し、私はクーラーボックスへ逃げ込んだ。 海岸境の森に日差しから逃れられる手頃な木のうろが見つかり、その隙間に身を潜め、やっと身体を落ち着かせることが出来た。 奇跡的に浸水を逃れた携帯電話で救助を呼んだはいいが、一体どれだけの時間がかかるのだろうか。 うろの中から真っ白な砂浜と透き通るような海を見つめながら、私は海で離れ離れになってしまった友人のことを考える。 どこからか聞き覚えのある声が聞こえてきた。 周りを見渡しても姿はない。 再び私を呼ぶ声が聞こえた。海の方からだ。 もう砂浜からそう遠くないところに、とうに海へ沈んだと思われた彼が浮かんでいるのだ。 彼の関節に多大な負担をかけ寿命を縮めていた厚い脂肪は、海では浮力を与え、彼の命を救ったようである。 彼のポケットには、予備のテグスと針が入っていたはずだ。 救助が来るまでどのくらいかはわからない。 それまでは、彼と共に辿り着いたこの小島で、釣りを満喫していようと 思うのだ。 |
久佐 栄
2015年07月30日(木) 22時40分04秒 公開 ■この作品の著作権は久佐 栄さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.4 水田カカシ 評価:30点 ■2016-04-23 11:53 ID:yHhJ6lGbVOg | |||||
冒頭から引き込まれました。 彼の方を彼女は見捨てるのかと思ったら助かってくれたので良かったです。 ちょっと短いですがさっぱりとした読後感でした^^ |
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No.3 しょぼ 評価:0点 ■2015-08-04 00:44 ID:02vdbEm/EVA | |||||
意味不明。 もう投稿するの止めたほうがいいと思います! |
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No.2 ローズ 評価:40点 ■2015-08-03 14:19 ID:te6yfYFg2XA | |||||
プロローグの部分にも見えなくは無いですけど、これはこれで面白いです!あとクーラーボックス、凄いですね。 | |||||
No.1 昼野陽平 評価:20点 ■2015-08-01 16:59 ID:uQhiKmCHatg | |||||
読ませていただきました。 起承転結でいえば承の部分で終わってしまってる感じでした。 続きが読んでみたいと思いました。 自分からは以上です。 |
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総レス数 4 合計 90点 |
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