神父も聖書で殴るレベル |
狭い告解室(こっかいしつ)で、神父と少年は薄い仕切りを挟んで向かい合っていた。 告解室とは、悩みを持つ者が神父に懺悔(ざんげ)する場所。 少年はそこに入り浸って人生相談を持ちかけるのだった。 神父は、初めこそ親身に聞いていたが、次第にいら立ちを覚えるようになっていた。神父は何度となく少年を励ました。しかし少年は、そんな励ましの言葉をさえぎり、えんえんと自分の話をくり返した。しかも同じ話ばかり。少年は十分前に自分が話したことさえ覚えていない。少年の思い違いを神父が指摘しても、十分後にはまた同じことを言うのだ。 まるで無限ループのようだった。 いいかげん神父はうんざりしてきた。 「君、もう四回目だよね」 「見捨てないでくださいよぉ」 と、少年は語尾を伸ばす口調で救いを求めるように訴えた。 一ヶ月前。 「僕は生きる価値がないんですよぅ」 「誰にでも主(しゅ)に与えられた使命があるんだよ」 三週間前。 「僕はいらない子なんですよぅ」 「君を必要としている人はきっといるよ」 二週間前。 「僕はまだ何も成し遂げたことがないんですぅ」 「何かを成し遂げるためには努力することが必要だよ」 一週間前。 「僕は人に迷惑をかけるしか能がないんですよぉ」 「君は何を言ってるんだ?」 そして今日。 「僕は死んだ方がいいんでしょうかぁ」 その一言で神父の何かが切れた。 「君、ちょっと部屋から出なさい」 と、神父は少年を告解室から出した。 そして神父は、聖書の角で少年の頭を殴った。 少年は足を閉じた状態で倒れる。 「殴るなんてぇ! 僕は女の子なのにぃ!」 少年は、上は半袖のパーカー、下はショートパンツにニーソックスと、まるで女の子のような格好をしていた。確かに女の子が身につければ可愛らしいことだろう。しかし少年は男だった。実に気持ち悪い、と神父はいつも思っていた。 神父は再び、愛の言葉で満ちた聖書を鈍器に変え、少年の頭を殴った。 |
クジラ
2013年04月14日(日) 21時23分01秒 公開 ■この作品の著作権はクジラさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.7 青空 評価:30点 ■2013-12-08 14:00 ID:wiRqsZaBBm2 | |||||
投げやりな神父とコミカルなおとこの娘がよかったです(笑) | |||||
No.6 SHIRIAI 評価:0点 ■2013-07-03 22:32 ID:4knla9qyP2A | |||||
強迫神経症を持つ子を精神薄弱な大人が殴り続けるという読み物なんですね。 しかし、何が言いたいのか、わかり易すぎて分かりません。何処にも感情移入できません。強いていうなら、弱い人間は不条理な目にあわされるということでしょうか。たんに暴力を楽しむ、ジャンクロードバンダムの映画を思い出しました。 |
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No.5 ふむ 評価:0点 ■2013-05-13 09:20 ID:qj1g2LzVz2A | |||||
こんにちは、読ませてもらいました。 あれですか、「ガンジーも助走つけて殴るレベル」に ヒントを得た訳ですね。でもね、女装した人生やる気なしBOYぐらいじゃ 聖職者は手を上げない。これぐらい常識です。ここを踏まえていないので リアリティーの欠片もないので何も笑えないんですよ。以上。 |
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No.4 らた 評価:20点 ■2013-04-24 13:09 ID:9hhwgmk6ESY | |||||
拝読しました。 ライトノベル的な味がしました……ライトノベル、というか文芸すら言うほど読まないので違っていたらアレなのですが。 他の方が言われてるように、私も現代の風刺ととらえました。 薄っぺらくつまらない、という訳でもない気がしますので、 もう少しこねたら良い感じになるのかも……なんて思いました。 こういう少年は好きです。フィクションだからこそ。 しかし、「ほぼ実話です」とは。なにやら私が思っている以上に謎があるのかもしれない……。 それでは失礼いたします。 |
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No.3 緒方 評価:10点 ■2013-04-20 00:20 ID:wxwaeJFv2JA | |||||
感想です。 あー、だから、なに? 言っちゃお仕舞いだけど他に言いようがない。 こんなこらえ性のない神父はいやだなぁとか、感想にもならないしなぁ。 おきばりやす。 |
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No.2 コウ 評価:20点 ■2013-04-19 18:36 ID:azpim08yQ42 | |||||
拝読しました。 まず、タイトルに惹かれました。 少年がウザいですね(笑) 神父と少年の対立した価値観を衝突させるとか、さらにプロットを発展させればメッセージ性が生まれる気配はあります。現代の若者を風刺している感じがしました。 でも、この作品はまだ草稿というか原案の段階という印象です。 |
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No.1 雷坊 評価:20点 ■2013-04-14 23:35 ID:yWLrCrSo4o. | |||||
こんばんは。作品読ませて頂きました。 何と言ってもまず、描写量が少なすぎるかな、と個人的には思いました。話の筋はナンセンス系として受け取ることも出来るのですが、それならそれとして作者独自の目線からの「語り」によって小説としての面白味を加味する等、別の味付けが必要になります。それが足りないかなと。文章の密度が薄いことが決して悪いわけではないのですが、それならばストーリーの起承転結や独特の文体等、何かしら別の要素がないと味気ない作品になってしまうことが大半です。 練習用ということですので、この先の作者さまの文作技術の向上を期待しています。 |
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総レス数 7 合計 100点 |
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