反罪

 反罪をおかした。反罪って犯罪かもしれないし、片仮名でハンザイかもしれない。とにかく自分は反罪をした。
 みずからの反罪が四角い映像で流れたとき途中で、空虚なバック音楽と、カラスが独りで、ぼやけた夕陽の真ん中をつーと飛んでく画が差しはさんであった。わざとらしい、くすんだすみれ色。尻尾羽が扇子の形に張っている。後ろ向きだから見えなかったくちばし。そのカラスが、反罪をさせたんだ。カラスが飛んだから反罪者になった。そんなのおかしいって言うだろ。だけど、いつかのどこかのカラスが飛ばなかったら、反罪をおこさなくて済んだかもしれなかった。それとも、カラスを初めからいないことにしておけばよかったのか。
 それとも、人はカラスを飛ばさなきゃ生きていけないんだろか。
山本鈴音
2012年05月27日(日) 23時14分29秒 公開
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No.16  山本鈴音  評価:--点  ■2012-06-29 18:05  ID:xTynl89qwNE
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H.T.Facteaur様

褒めて下さってありがとうございます。
絵は上手い絵師の方に描いてもらえたらと思うのですが、自分のイメージとずれていたら不満に感じそうなので(ワガママです)

人間なら反逆して当たり前という考え方、その通りですね。
清潔に生きるのは無理なのか……という中二病性?を含んでおります。

作者のというより、読者様の哲学に支えられている作品です。
↑作り手としてお恥ずかしい話ですが(^^;自身はそこまで深く考えてなかったり。
No.15  H.T.Facteaur  評価:40点  ■2012-06-29 00:42  ID:Yvsms0B5uec
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拝読致しました。

とても哲学的な文章ですね。特に最後の一文はいろいろと考えてしまいました。
反罪という言葉には、背徳であったり懺悔であったりというニュアンスを感じて、生きていく上で人間がどうしても通らなければならない道を表現しているのかなと。またそれが、カラスでもあったりして。

そういった意味で、人はカラスを飛ばさないと生きていけないのかもしれませんね。


絵、お上手ですね!!うらやましい限りです。。
No.14  山本鈴音  評価:--点  ■2012-06-11 22:49  ID:xTynl89qwNE
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>鈴村智一郎様

知的な喩えをくださり、ありがとうございます!

恥ずかしながら「エピグラム」とは何か知りませんでした……。
自分の作品を書き散らす中で、知識の無さを痛感し始めております。
書くのも良いけど技量が足りなさすぎる、と。

他の方が書かれた文章を読むにつれ、まず私にはインプットが必要だなーとひしひし感じるようになりました。
そんな未完成な作品に素敵な比喩をもらえて、感謝します。

第一に知性がなければいけませんね……もう少し、一文ずつ丁寧に作る努力をしていきたいです。
No.13  鈴村智一郎  評価:30点  ■2012-06-09 13:03  ID:r/5q0G/D.uk
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初めまして*

画廊の中に飾られた一枚のイメージの断片に添えられたエピグラムのような印象を受けました。「それとも、人はカラスを飛ばさなきゃ生きていけないんだろか」、この最後の文章、私にはなかなか思いつかないポエティックな味わい、余韻がありました。クールで美しい小品に感謝します。
No.12  山本鈴音  評価:--点  ■2012-06-06 09:49  ID:xTynl89qwNE
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いえ、文系脳みその戯言にお付き合いくださって感謝します。

注文の多いナンタラのお店じゃありませんよね?
「ヒト」ってメニューが無いことを祈ります。切に。

穴へのぶつかり方と重力説、だめですか。
そこは分子の神秘ってことで片付けちゃえば!?(←議論の余地なし)

なるほどー観測する側の問題がありましたか!
反射しなきゃ見えませんもんね。有力な観点かと。

しょせん現代の人間には未知の領域、というわけですね。
でも、やっぱり猫は生きてるか死んでるんじゃ……
だめだ(笑)永遠に結論出来なさそうです。では。
No.11  Phys  評価:0点  ■2012-06-04 22:27  ID:23ii74h.ekI
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追伸の返信への追伸

ごめんなさい、しつこくて……。笑
私の実家はものすごい田舎なのですが、山奥の方に怪しげな創作料理のお店が
ありまして、そこで蛙の料理を食べました。へびを漬けたスープももありました。
さすがに勇気が足りませんでした。

二重スリットの問題は、波動と粒子の二重性を語る上でかなり有力な実験結果
だと思います。なぜなら、まったく同じ系の縮尺を我々が目視できるサイズに
まで拡大して実験すると、干渉縞は絶対に現れないからです。

重力は一方向の力なので、しましまになる理由にはならないのでは? と思い
ます。むしろ重力の働く方向に偏りそうです。

私個人的には、観測、という行為そのものに問題があるのではないかと思って
います。我々が物体の動きや状態を観測するためには、光を当てて返ってきた
ものを受け取らなければなりません。(暗闇では物を見ることはできません)
光は電磁波ですから、波の性質を持っているので、そこに波の性質が作用して
しまうのは避けられないのではないでしょうか。

つまり、物体自体に波としての性質があるのかそれとも観測手段としての光に
波としての性質があるのかは、誰にも分からないのでは、と考えたりします。
学生時代にはこういう観念的な説明じゃなくて、もうちょっとまともな推論に
基づいて解釈していたと思うのですが、何しろ頭を使わなくなって久しいので……。

これで最後にしますね。山本さんの次回作、楽しみにしています。
No.10  山本鈴音  評価:--点  ■2012-06-04 19:58  ID:xTynl89qwNE
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中国でカエルは常食らしいですね。
私は基本犬びいきですが、猫でも靴下ネコならポイントアップです!

すごく話が脱線しますが……
量子力学の二重スリット実験をお勉強しました。
これって、粒子や分子が抜ける時のスリット穴とのぶつかり方が問題では?
重力などの干渉で縞模様が出来るのでは?
だから物質の動き方の可能性を「波」と取り違えている……のでは?
そして猫はやっぱり死んでるか生きてるかのどっちか……なのでは!?

↑ほんと脱線ですね(^^;
人の生死が確定した後に、連絡がつかない間「生きててほしい」と願ったりはするものですけどね。
そういうのとは、また違うんでしょうか???

頭がハテナマークで埋め尽くされております。。。
まぁ、この実験自体で真実を観測しようがありませんし、見たこともない事は断定しようがないってことですね。
No.9  Phys  評価:0点  ■2012-06-03 22:34  ID:23ii74h.ekI
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追伸

わんちゃん好きなのですか! 私は猫も犬も平等に愛しています。食べるのは
ちょっと抵抗ありますけど、美味しいなら食べたいなあ。蛙もおいしかったし。

それから、シュレディンガーの猫の話の要点は、実はシンプルなものです。
これが言いたいだけで追伸を書きます。(?)

生きているか死んでいるかという出来事は、しょせん一つの出来事であって、
二択であるという山本さんの考えは仰る通りです。問題は、「物理学」という
学問そのものの立場にあるのです。

古来、物理学は「未来を予測する」ための学問であり、現在の情報をすべて
入力すれば、あらゆる未来が一つに確定すると信じられてきました。

例えば、大砲の弾を敵の戦艦に命中させるためには、どの程度の火薬で、どの
角度で発射すればよいのか、一度わかってしまえば絶対にはずすことはない、
いわば「百発百中」の学問であったわけです。

それが、「量子力学」という原子の世界を支配する方程式(シュレディンガー
方程式と言います)の登場によって根底から覆りました。シュレディンガーの
提唱した方程式は「百発百中」の学問を、「まあ二回に一回くらいあたれば
いいよね」的なものにしてしまったわけです。

ようするに、火薬の量や、角度をいくら同じ値に設定しても、原子の世界では
必ずしも同じ場所に飛んでくれないので、たまにしか敵の戦艦に当たらないと
いう結果になったんです。なったんですというか、実験して試したらぜんぜん
百発百中にならなかったので、「これどういうこと?」と昔の人は首を傾げて
いたのです。

そんな感じで、原子やクォークといったミクロの世界では、私たちの日常とは
かけ離れた、超常現象的なことが起こっていて、昔の頭のいい人たちは「わけ
分かんないからとりあえず棚上げしとこう」と言って今に至っています。

原稿用紙1枚分くらいで済んだようです。失礼しました。
No.8  山本鈴音  評価:--点  ■2012-06-03 16:51  ID:xTynl89qwNE
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>Phys様

感想ありがとうございます。
絵、上手くありません(恥)縮小で誤魔化しております……。

倫理、そうですね……ユダが後悔しているかもと考えたら、100%の悪者には出来かねます。
↑キリスト教に詳しくないので不適格な意見かもしれませんが。

夕焼けや月を背景に飛ぶ鳥は、あまりにも物悲しいですね。

シュレーディンガーの私的見解。
もう、死んでるか生きてるかの二択じゃない!?
と考えてしまう私は浅はかでしょうか(笑)

犬派なので、ワンちゃんだったら許せない気も?
どうせ動物を殺すのなら肉を屠って美味しくいただきたいものです。
韓国では食べると言いますし、一度は口にしてみたいかもです。
No.7  Phys  評価:30点  ■2012-06-02 20:01  ID:23ii74h.ekI
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拝読しました。

不思議な読後感の掌編でした。カラスの絵、すごく印象的で、お上手ですね。
自分があまり絵が得意じゃない方なので、絵が上手な人に憧れてしまいます。

法を犯すのが犯罪なら、倫理に反するのが反罪なのでしょうか?ニュアンスの
違いですが、犯罪よりも反罪の方が後悔の念みたいなものを感じる気がします。
キリストつながりで、ユダの裏切りは「反罪」に分類されるように思いました。

それに、モチーフもいいと思います。夕陽とカラスと犯した罪。組み合わせが
絶妙ですよね。短い中でも強烈なイメージを焼き付ける威力を持った掌編でした。

それから、白星さんが「シュレーディンガーの猫」を引用されていますが、一般の
人にとって、この猫さんの話ってどんな風に理解されているのでしょうか?
私は物理学科出身なので、
「シュレーディンガーの猫は生と死を重ね合わせた状態にある」
という説明で十分納得できるのですが、量子力学を習ってない人だと動物虐待
みたいに取りかねないお話だなあ、とどうでもいいことを考えました。

ちなみにシュレディンガーの猫の意味については、話し始めちゃうと原稿用紙
十枚分くらい語ってしまいそうなので、やめておきます。
的外れな感想失礼しました。

また、読ませてください。
No.6  山本鈴音  評価:--点  ■2012-06-02 08:05  ID:xTynl89qwNE
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笹森 賢二様

感想、ありがとうございます。

うーん、たしかに責任転嫁の方向へ走り気味でしたね。
直接他者への非難になると心苦しいので、逃げ口上になったような。

善意による損と、悪意での得……
なるほど。突き詰めると問題はそこにあります。
客観的に分析して頂けて、自分の書かんとしたテーマが見えました。

人出すのが苦手だったりするのですが(^^;
人を登場させねば、小説は味気無くなりがちですもんね……もう少し人間的な部分を掘り下げていきます!
No.5  笹森 賢二  評価:20点  ■2012-05-31 00:27  ID:TQuxQJnwtBs
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人は烏と共にあるものですよ。
飛ぶも飛ばぬも人次第。
烏の所為にしちゃいけない。
しかし、昨今であれば人は好んで烏を飛ばすようですね。
善意による損よりも悪意の得を。
否、純然たる利益、と言うのでしょう。
面白く読みました。
次はもう少し人を登場させて書いて頂けると、もっと楽しめると思います。
No.4  山本鈴音  評価:--点  ■2012-05-28 20:39  ID:xTynl89qwNE
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>ぢみへん様

感想ありがとうございました。
最後の文章から思いついた話なので、印象的と受け取ってもらえてよかったです。
私の意図では「人は気持ちを誤魔化して生きていくしかないのか」と問う言葉として書きました。
不条理ギャグとは! 思いもつきませんでした。

実を言えば、かなり具体性のあるお話を書いたつもりだったのですが……全然伝わりませんよね(汗)
短文には短いゆえの難しさがありますね。

>白星奏夜様

いい喩えをありがとうございます。
シュレディンガーだなんて恐縮です……。いまだにあの話を理解していない私ですので。
読み手の方がもつ想像力に、寄り掛かる作品となってしまいましたが。

ご期待に添えるかどうか。今後ともよろしくお願いします。
No.3  ぢみへん  評価:0点  ■2012-05-28 09:27  ID:64MGDiR2nqY
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>白星さん

キリスト(教の言う)の原罪、という意味でした。「教」が入るか入らないかで大分受け止め方が違うといわれればその通りですね。言葉を端折りすぎたようです。
No.2  白星奏夜  評価:30点  ■2012-05-28 01:23  ID:2JviV1GxTEQ
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こんばんは、白星です。

いろいろ考えさせられる、そういう文章だと感じます。ちょっと、シュレディンガーの猫(用語違ってたらすみません)みたいな感じも受けました。とても、興味をそそられます。

ここからどう意味を読み取るかは、読者次第ですね。

あと、本当にやっちゃいけないとは思うのですが、というか滅茶苦茶心苦しいのですが、コメントの中にキリストの原罪とあるのですが、言い間違いな気が。キリスト教の(言う)原罪、か人の原罪、キリストの贖罪なら意味が通るのですが。大変、とっても失礼致しました。気になってしまったもので。不快であれば、削除して下さい。

 また、山本様の物語も読みたいので、勝手に期待していますねっ。面白かったです。ではでは。
No.1  ぢみへん  評価:30点  ■2012-05-28 00:14  ID:lwDsoEvkisA
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『いつかのどこかのカラスが飛ばなかったら、反罪をおこさなくて済んだかもしれなかった。それとも、カラスを初めからいないことにしておけばよかったのか。
 それとも、人はカラスを飛ばさなきゃ生きていけないんだろか。』

このくだりはなかなか印象的でした。いろんな意味で解釈できそうで、意味深ですね。人類の歴史のようにも、キリストの原罪のようにもとれるだろうし、あるいは何かのギャグかもしれない。

ほとんど意味らしい意味は読み取れないけれども、暗示的な何かに目を留めさせて、何かを感じさせてくれるような雰囲気はあると思います。
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