左に曲がります、ご注意下さい


「左に曲がります、ご注意下さい」

 トラックが喋る。ブロロン、ブロロンと、聞くだけでガスの臭いが想像出来る音を唸らせながら、僕の目の前をお喋りしながら通り過ぎる。
 この中途半端な都会の、ひどくよく晴れた空。その下で、冬の肌寒いバス停に立ち尽くしている僕。午後四時前の現在、僕は下校のためにバスを使い駅まで向かう予定だ。僕の登下校と言えば、バスのブロロンという音と、電車のガタタンという音に食い潰されていくばかりだ。この舌はもうなんの味も感知しないような気がしてくる。

 そんな中で、しがない男子高校生の僕は、やはりベタなのだけれど、少し気になる女の子がいた。僕は左側の女子高生のことを横目でちらりと見やる。
 その彼女とは、朝と帰りによくバスが一緒になるだけの間柄である。彼女も電車通学らしく、最寄りの駅は知らないがバス停でぼんやりとした面持ちで突っ立っている様が僕のどこに引っかかって、いつの間にかこびり付いていたのだ。
 彼女は僕と同じ高校の制服をきていて、真っ黒なストレートの髪をぐるぐる巻きのマフラーの中に突っ込んでいた。教室内でぎゃいぎゃいと騒ぎ立てる女子よりかは少し見た目は地見めである。だけど僕は、彼女のくりくりとした印象的な瞳と、少し姿勢が悪いところがお気に入りだった。
 かすかに音漏れしているイヤホンからはどんなメロディが流れているのか、知ることは出来ない。茶色のチェック柄のマフラーの生地は薄めで、そんな布切れで寒さの何が防げるというのか疑問に思う。おもむろにポケットから取り出す、くまのキーホルダーがぶら下がる桃色の携帯電話。いったい誰とメールをするのだろうか。またポケットの中をまさぐると、彼女はその小さい顔を覆う白いマスクを下にずり下げて、のど飴らしきものを唇にはさむ。そして直ぐにマスクを元の位置に戻した。そのために、そのはさまれただけののど飴がどのようにして処理されているのかは隠されてしまう。彼女はまた自分の手の甲で頬をこすった。変な癖だな、と僕は横目でみる。真っ直ぐ前を向いているフリをして、となりの彼女を観察するのがとにかく好きだったのだ。

 はたから見たら相当に変態なことであるかもしれない。他人にやすやすと話せるような、褒められたことではないのだろう。けれど、僕はどうしてもそれがとても幸せであった。毎日、朝に家を出て彼女のことを思い出しながら、バス停で見つけた時には嬉しく思ったり、放課後に友達に遊びに誘われると、帰り道の彼女の姿を見ることが出来ないなあなんてちょっと渋ったりとか、そんなことがひどく楽しかったのだ。もちろんあわよくば付き合いたいとかは考えていた。僕だって一応華の高校生なのだ、そういった色欲なんて捨てるほどあるのだ。頭の中で、彼女が僕に笑いかけるというそんな妄想をふっと思い浮かべては、恥ずかしいとあわてて消す。いくら彼女の事が好きでも、どうせ僕はビビりでチキンなぽんこつ野郎だ、なんて自嘲を六限目の授業中の自分に言い聞かせる。ああ、今日はいつも遊びに誘ってくる友達にはバイトがあるから、帰り道に彼女の姿を見れるかもしれない。

 案の定、放課後の現在、彼女はバス停に突っ立っていた。寒そうな足をさらして、風になびく黒ストレートが眩しい。だから僕はいそいそとごく自然に彼女の隣に立っていた。彼女がいる左側だけがひどく熱いこの感触が歯がゆい。
 目の前をズルル、ズルルと次々に車が行ったり来たりする。白や黒、赤などがまぶしく、そして忙しく交差している。僕はそんな現実のせわしなさと、今この夢みたいな恋煩いの境目を見失う。僕がいるこの世界はとてもふわふわとしていて、なにをするでもなく、この空間が抱き締めたくなるほどの愛おしさに潰されそうになった。僕は息が詰まる。

 そして、夢が覚めるまでは、とても短かった。

 彼女の声を初めて聞いた。想像通りの高めで澄んだ可愛い声だ。そして彼女は片方のイヤホンを外しながら、一歩、それからまた一歩と後退する。僕はその彼女の向かう方に目を向けた。すると、とても格好いいと噂のひとつ年上の先輩がこちらに向かって自転車を押してきたのだ。僕の世界にすすす、とみみずのようなひびが現れる。彼女はそんな僕など見向きもせずに、その噂通り背丈もあってとても格好いい先輩のほうに歩いて行った。
 そのとき、ガスくさいようなものがまた僕の世界に入り込んできたと思ったら、それはブロロン、とバスが来た音だった。 

 僕は彼女と彼が笑いあう光景を横目に、バスに乗り込む。きりきり胸が痛かった。冷え冷えとした感触が、中枢から全身に伝わっていく。座席に座って窓からバス停の方を見やると、依然彼女と彼は楽しそうに言葉を交わし、笑っていた。彼女は、いつも見るよりもずっと頬が紅く染まっていて、かわいいなあと思う。それから、見なきゃよかった。知らなきゃよかった、なんて僕の頭は唸りだす。しかし、見なくても、知らなくても、どうせ僕には何にも出来やしないとを確かに知っていた。

 そう、たとえばきっと、夢などを舐めていた。甘くてとても刺激的で、僕はいつしか夢を咥えて待つことだけを行っていたのだ。しかしそれも今日でついに思い出だ。のど元を癒すことなんて特になく、ただ嘔吐きそうになりながらその駄目になった香ばしいものを呑みこむしかない。僕はその行為の過酷さに愕然とした。涙だって流せる。何も出来やしないこの僕のひとりぼっちの恋煩いがあまりにも哀れだったから。

 真っ直ぐに誰かを思うことなんて。思うことなんて。

 バスは名前も知らない彼女と彼を残したままプシュウと扉を閉めて出発した。ガタガタと揺れるたびに僕の胸がビリビリと鳴る。やがて信号につっかえ、バスの車内はひどく静かになる。だから、バスの右隣に止まっているトラックが喋り出したのがよく聞こえた。

「左に曲がります、ご注意ください」

 左に曲がります、ご注意ください。僕は小さく呟いた。信号は青にかわり、バスはブロロンと、鳴く。
らた
2012年02月14日(火) 23時14分19秒 公開
■この作品の著作権はらたさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
息抜きの掌編を失礼します。
バレンタインデーですが、初めて男の人にチョコレートなんぞを渡すという試みをしてみました。もう既に思い出ですね。ああ、恥ずかしい。
足りない部分等ございましたらご指摘してくださると幸いです。

この作品の感想をお寄せください。
No.7  らた  評価:0点  ■2012-02-20 16:55  ID:u7ZOUSbfibg
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>陣家さん

感想ありがとうございます!
作品の説明部分には投稿する時に初めて考えますが、今更なんとなく意味を含めたくなって、意地悪なものを書いているかもしれませんね……。そんなちょっとしたものに気を留めてもらえて嬉しいです。

投稿以前より「読んでもらう」という、読者の目線を考えることが多くなりました。だから自己満足なわけわからん比喩を削ってしまいますね……。しかし私自身も自分のそういう文章が好きだったりするので、ほどよい塩梅を模索しております。いい方向に向かっていると感じてもらえて、嬉しいです。

以前よりたくさんの方からお言葉をもらえるようになって、活力が満ち満ちております。小説を書くことがやはり好きなのだと再認識させられます。
>ここに登場する女の子はらたさん自身にも思えます。
これを読んではっとました。そういえば私のすきなひとがバス通学だなあと(笑)彼にすきになってもらいたいという気持ちが、無意識に投影されたのかもわかりません。おお、なんだかとてもお恥ずかしい。しかし「彼女」と似ているのは手の甲で頬をこする癖と桃色の携帯くらいでしょうか。私の姿勢はすこしじゃなくて、かなり悪いのです。

このお話はタイトルから決めたので、意識してもらえて良かったです。
誤字!ああ、すみません。まったく気付きませんでしたね。私自分でも面白いくらい誤字脱字が激しいので何度も見直すのですが、すっかり見落としていました。そんなとこで嬉しくならないでくださいよ(笑)私も所詮ただのゆとり世代ですから。

私の文章を読んでなにかひとつでも感じ取ってくだされば幸いです!ありがとうございました
No.6  陣家  評価:30点  ■2012-02-20 03:04  ID:1fwNzkM.QkM
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拝読しました。

を、する前にいつもらたさんの新作がアップされたときに必ず楽しみにしていることがあります。
作品タイトルにマウスカーソルを合わせるとポップする作者の一言作品説明。
これが気が利いていてすごくいいです。
どちらかと言うと、作品へのキャッチという感じなんですが、どこか一歩引いた冷徹な目が光っていていつもどきりとさせられます。

それにしても書いてますね。書きまくってますね。すごいです。
そしてどんどん文体も洗練されてきていると思います。
以前に感じていた、ん? なんじゃこの表現は。とか、これは明らかにおかしな日本語だよなあ、と思って読み返してみると、んー、いや、おかしくもないのか……。というような一種のカルチャーショックみたいなものは薄れてきたのを寂しく思うのは贅沢と言う物なんでしょうね。

そして、実力が周知され、人気が上がっていくのを見ていると、ああやっぱりなあ、と嬉しい反面、寂しい気もするものです。
ここに登場する女の子はらたさん自身にも思えます。携帯にクマプーのストラップとか姿勢が悪いとことか……。
一種のファンサービス?

と、気持ち悪いことを言うのはこれくらいにして、今作、タイトルからしてやられた気がします。
お話の内容は、本当にありふれた目新しいところは無いはずなのに、このタイトル、傍観者を決め込むはずの自分がいつの間にか巻き込まれてしまう。牽かれてしまう、意味深なフレーズです。
他者と自分との距離感……そして自分も外輪差にやられる人間かもしれないです。

それと驚きました、誤字がありました! らたさんも人間だったんですね。ちょっと嬉しかったです。

>出来やしないとを確かに 知っていた。

これからも、勝手にインスピレーションの源泉にさせていただければ幸いです。
ありがとうございました
No.5  らた  評価:0点  ■2012-02-18 00:24  ID:iZU9zOPv6kE
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>沙里子さま


感想ありがとうございます!
恋の妄想と、車の排気ガスみたいなもののギャップを意識していたので、そこに気を惹いてもらって嬉しいです。
文章が書きたい、と思って書いたものですので、ストーリーはつまらないものですが、ぽつりぽつりとした私自身の感情を込めた文章に気を留めていただけて幸いです。

こちらこそ、沙里子さんの文章力や空気感には劣等感をぎゅっぎゅとしたようなものが胸につっかえました。とても衝撃的で、すげー、ととにかく思いました。すげー、すげー、と。わたしはとてもせまいところに住んでいたのかもしれません。
ありがとうございました!


>Physさま

感想ありがとうございます!
こういう題材になると、経験が活きすぎて困りものです。私は観察から入るので(笑)好きと言ってもらえて幸いです。
私の文章が、他の人の胸ぐらを掴んで何かを詰め込もうとしている図は中々想像出来ないですね。想像出来ないくらい、現実味が無いです。っ私がまた、Physさんの背中でびりびりと走れるといいなあなんて思います。

来年は学校に来ない時期になるので学生生活のバレンタインは今年で最後だ、と思ったら急に渡さなくてはと使命感が出てきてしまいました。をを、恥ずかしい。
配給用生産機械ですか。なんか、中学の修学旅行で夕飯が余ってしまい国語の先生にたくさんあげていたら「私は残飯処理機か!」と怒られたのを思い出しました。関係無い話ですね、これ。その先生にですね最後の授業の日「文章力あるから小説家になれば?」と笑いながら言われたのをすごく覚えているんですよね。こう、小説書いてるなんて公言したこと無いのですごくびっくりしたんです。もちろんこれも関係ない話です。

また、読ませてください。という言葉にいつも勇気をもらいます。文章を評価されることに怯えている自分もいるので。ふふふ。
ありがとうございました!


>羽田さま

はじめまして。感想ありがとうございます!
すごくヘタレで、女子か!って突っ込みたくなる、そんな男の子が好きなんです(笑)好いてもらえて嬉しいです。にやにやしてしまいます。
CHOCOLATE、ですか。こう表記すると、あれですね、けっこう丸っこいですね。CとOを抜かしたら、きっとバレンタインに渡すような代物でなくて、なんだかアルプスの山脈からとれた鉱物みたいな土の味がしますよ。なんて。
理系の方が喋る、このカタカナの感じが格好いいなあといつも思います。なんだか無条件に筋が通っている感じがするので。
女子高生という生物はとても難しいもので、毎日女子高生ばかり見ているともう女子高生がゲシュタルト崩壊してきますよね。女子高生をプラスドライバーで分解したいです。興味津津ってことですね。女子高生になったからって、女子高生のことがわかるわけでもなかったです。
とてもしあわせな言葉をもらえて胸がほかほかしております。ありがとうございました!


>ゆうすけさま

感想ありがとうございます!
わあ、本物ですね。「左に曲がります、ご注意下さい」と喋らせるのはなんだか、楽しそうだと思ったりもします。

文章が書きたいなと思い、そんなときに「左に曲がります、ご注意下さい」とトラックが喋ったのを聞いて、書きました。ストーリーは文章の流れるままにしてしまったので、面白味に欠けてしまいましたね。たしかに、もっと足せたら、よりよい作品になるかもしれません。短くてスマートなのに憧れ気味なのですが、いまいちすっきりまとまっていて面白いものを書くのは難しいですね。ゆうすけさんの言葉、とても勉強になりました。
なんだか、変なところが好きでそのひとが好きなのか、そのひとが好きで変なところさえ好きなのかわからなくなる感じがとても心地よいです。女房、なんて呼ばれてみたいですね。いつか。とても憧れます、仲よし夫婦。

ここのサイトに来てからまだ若いのでどんな流れであるのかは分かりませんが、尊敬すべき人々が並んでいる中に自分の名前があるととてもそわそわしますね……。
ありがとうございました!

No.4  ゆうすけ  評価:30点  ■2012-02-17 09:36  ID:1SHiiT1PETY
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拝読させていただきました。「左に曲がります、ご注意下さい」と喋るトラックを所有する武骨な鍛冶屋のゆうすけです。

いかにも典型的なありがちな話ですよね。それでも丁寧に描かれているので定番ならではの味わいがあります。
ただ見ているだけでいい、近くにいればいい、それだけでよかったはずが……。数々の歌謡曲にも歌われている青春の普遍的なテーマです。それだけに何かしら独自性も欲しいかな。
「少し姿勢が悪いところがお気に入りだった」←ここ、気に入ってます。この女性のここが好きだって気持ち、変な場所を好きだったりすると面白いですよね。私は女房との初デートの時、嫌いなインゲンを私に押しつけた所とか、好きなものだと容赦なく食べまくる所とか、そんな所が気に入りましてね。
主人公を典型的な記号的なキャラではなく、感情移入できる親近感のわく生き生きとしたキャラにできるか、そこが大事だと思うんです。生活感とか個性とか、さりげなく付け加えていきたいものですね。

え? 女子高生ですか。私の半分以下の歳か〜。何と 沙里子さんも女子高生ですか。 羽田さんは女子大生ですか。私の学生時代はまだ物心ついていなかったなあ。若い女性作家ばっかり活躍しているような今のTCだな〜。Phys さんもzooeyさんもそうだし。
No.3  羽田  評価:40点  ■2012-02-16 00:02  ID:4DbLROaQISs
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らた様へ
はじめまして。羽田と申します。
拝読させて頂きました。
とても可愛らしく、且つ表現の輪郭がまろやかで、
ああ、好きだなあ、と感じました。素敵です( ´∀`)bグッ!
花の女子高生様ですか! 
一昨年までそうだったはずなのに、今はただの理系大学生ですよ。
チョコレートは CHOCOLATEって表記すると、アルデヒド基を持つ物質みたいに見えませんか?
つまり、バレンタインデーなんか爆発しろってことです(^ω^)
チキンな男子高校生の、根性なし加減が女性的な筆致で描かれていて面白かったです。
素敵な作品でした。
No.2  Phys  評価:40点  ■2012-02-15 23:17  ID:XzE4WECJUYY
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拝読しました。

沙理子さんはじめ、TCの女子高生には天才しかいないのでしょうか?
お話の内容も、文章の匂いも、好み過ぎて読むのが大変でした。もう電車の中
ではにやにやしたり、顔をしかめたりで、たぶん変な人でした。

>彼女のくりくりとした印象的な瞳と、少し姿勢が悪いところがお気に入りだった
>自分の手の甲で頬をこすった。変な癖だな、と僕は横目でみる

異性を観察し、惹かれていく過程にリアリティがあって良かったです。確かに
恋してる時は、どちらかというとどうでもいい癖にときめいたりしちゃいます
よね。こういう細かな部分に目が行き届く、らたさんの作風が好きです。

>夢みたいな恋煩いの境目を見失う。僕がいるこの世界はとてもふわふわとしていて、なにをするでもなく、この空間が抱き締めたくなるほどの愛おしさに潰されそうになった
>夢などを舐めていた。甘くてとても刺激的で、僕はいつしか夢を咥えて待つことだけを行っていたのだ

らたさんのこういう描写を読むたび、背中に電流が走ります。そして胸の中の
柔らかい部分を鷲掴みにされます。あんまり長時間読んでると感電死するので、
気を付けようと思います。

バレンタインチョコ大作戦を決行なさったのですね!若いって素敵です……。
私も同期や課が同じ人には配りました。正直、数多すぎてなんかもうほとんど
戦時中の配給みたいな感じでした。学生さんのうちは愛情のこもったチョコを
作ってあげてくださいね。私のような配給用生産機械になってはいけません。笑 

また、読ませてください。
No.1  沙里子  評価:30点  ■2012-02-15 20:40  ID:KU96/wZ.vu6
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拝読しました。

話の展開的にはベタな部類に入ると思うのですが、あちこちに散りばめられたうつくしい文章が匂い立つようで素敵でした。
ふわふわした恋の世界の描写と、そこに突如入り込んできたバスの無機質なエンジン音の対比が切なかったです。

特に素敵だな、と思った文章を挙げさせて頂きます。

>この舌はもうなんの味も感知しないような気がしてくる。
>そう、たとえばきっと、夢などを舐めていた。甘くてとても刺激的で、僕はいつしか夢を咥えて待つことだけを行っていたのだ。

同じ高校生として、らたさまのセンスある文章に毎回嫉妬してたりしてます。
自分のことを棚にあげっぱなしの感想になりましたが、どうかご容赦ください。
次作も楽しみにしています、ありがとうございました。
総レス数 7  合計 170

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