かくれんぼ |
僕は何から逃げ続けているのだろうか?……ただこれだけは言えるんだ、 “逃げなきゃ殺される”…と。 恐怖の遊びが始まったのは僕が小学校を卒業した次の日だった。その日は雨でとても遊べるような天候じゃなかった、……じゃあ何で遊んだのかって?……そんなの僕だって知りたいよ。 僕の幼稚園の時から仲がいい友達、新太(あらた)に誘われて学校の旧校舎でかくれんぼをすることにした。「僕達だけでかくれんぼすんの?」新太はニヤリと笑い僕の肩に手を乗せた。「よし隠れるぞ」新太は、ボロボロのクマのぬいぐるみを置いた、「今からこいつと俺達でかくれんぼするんだよ」……僕の頭の中で繰り返し出てきた言葉、“ひとりかくれんぼ”。「やめよう、今すぐそいつを燃やして!もう帰ろう!」僕は叫び続けた、もう遅かったのだろうか……新太は半泣きの僕の腕を掴み、「行こう、もう始まってる」と真剣な表情で僕に言った。僕は絶望という文字が頭に浮かんだ。 ……新太が死んだ。クマのぬいぐるみに見つかった僕をかばって、あいつに刺されたのだ。 かくれんぼを始めてから5年がたっていた。新太は僕に手紙を残していた、「5年も一緒に逃げてくれてありがとう、お前の事ずっと好きだった。今はもう友達としてじゃなくなっちまったけどな、お前が女だったらキスもSEXも出来たのにな(笑)……でもお前と死ぬまでいられて嬉しかったよ。もし次に俺達が生まれ変わった時には恋人になれるといいな…。最後だから思ってた事全部言っちまった(笑)じゃあな、また会おう」……涙がとまらなかった。「好き……好きなんだよ……僕だって新太の事が大好きだったんだよー!!」僕は首筋を切り取られた新太の前で叫び、泣き続けた。 ……あいつが僕を見つめ喋りだした。「死体の臭いは臭くてキライ。10秒待つ、早くそいつ連れてけ」僕はそいつを睨み付け新太を抱えてどこまでも走った。建物の中に隠れ僕は新太の動かない体を見つめ、また涙をこぼした。……そっと新太にキスをした、「来世の分だからな」新太の口を開けて自分の舌を懸命に動かしまるで、新太が生きているかのように体を揺らした。「新太…今までありがとう」僕は新太を置いて走りだした。あいつに復讐する為に…。 僕はあいつを見つけた。小さくてボロボロの汚いぬいぐるみは、僕に刃を向けた。 ……こいつは新太を殺したぬいぐるみ。「ウラァァァァァァ!!」勢いよくぬいぐるみを叩いた。綿が飛び出て、プラスチックでできた目は、バリバリと音立ててバラバラになった。「勝った……」そのまま僕は横に倒れた。 僕がいたのはベッドの上だった。周りには少し老けた母と父、息子の遺影を持った新太の母親、そして…… “ボロボロのぬいぐるみ”が笑った。 完。 |
デストロータ
2011年11月15日(火) 20時04分02秒 公開 ■この作品の著作権はデストロータさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.6 デストロータ 評価:--点 ■2011-12-01 19:07 ID:YK3wjIlw37Q | |||||
有難うございます。 エピソードが薄い事は承知しました。 とても心に残る感想でした。(嬉しいです) |
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No.5 楠山歳幸 評価:30点 ■2011-11-21 00:14 ID:3.rK8dssdKA | |||||
読ませていただきました。 BL、あまり知らないのですが(本当に知らないのですが)女性が多く書かれるからでしょうか、受け側が女性のように書かれている印象があります。でも本作はそんなことが感じられず、そこが好印象でした。ぬいぐるみのセリフが残忍で良かったです。かくれんぼという題材も雰囲気が感じられて良かったです。 気になったのは、突然5年経ったところでしょうか。新太の死因(これは作者様の意図に反するかもですが)、主人公に気がある所を匂わせる、お互いが惹かれあう原因等なにかエピソードが欲しいと思いました。 ラスト、もし夢オチでしたならば、それまで眠っていた描写も欲しいかな、と思いました。 素人が好き勝手なことを言って申し訳ありません。どうか聞き流してやってください。 失礼しました。 |
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No.4 デストロータ 評価:--点 ■2011-11-20 11:14 ID:YK3wjIlw37Q | |||||
とても良いアドバイスをありがとうございます。 なにせ、投稿は初でして((開き直るな ちゃんとルールを守らねば← |
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No.3 Phys 評価:30点 ■2011-11-19 09:10 ID:ghyMrY21eyI | |||||
拝読しました。 こ、怖いお話でした……。ぬいぐるみは新太くんのことを刺し殺してしまった のですね。ひとりかくれんぼ、がどんな遊びなのか気になります。最後の結末 というのは、夢落ちなのか、それとも……という余韻が残って良かったです。 鬼気迫る迫力というか、勢いみたいなものに流されたまま最後まで読み終えて しまったので、内容を味わいにくくなっていたのは少し残念です。改行などで 読みやすく構成されていれば、よりデストラータ様の思いが読み手に伝わって くるように感じました。 私も、初めてここに投稿した時は文章作法を徹底的に直されたので、傷ついて しまう気持ちはとても分かります。信号が赤なら渡らない、みたいな、自分の 身を守る最低限の規則(このサイトに限らず、娯楽小説全体の)のですので、 意固地にならずに従った方がよろしいかと思います。(私も、未だにルールを 守れているかあやしいのですが……) ボーイズラブ、みたいなお話には私は免疫がないので、内心どきどきしたのも 事実ですが、『僕』が新太くんのことを好きになったエピソードがあるとより 感情移入しやすかったと思います。先日、森絵都さんの『本物の恋』を読んだ ばかりだったので、考えさせられました。 拙い感想失礼いたしました。また、読ませてください。 |
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No.2 デストロータ 評価:--点 ■2011-11-18 16:14 ID:YK3wjIlw37Q | |||||
アドバイスをありがとうございます。 ちゃんと読んだつもりだったはずなのですが…… きちんと頭に入っていなかったようです。 これからは気をつけたいと思います。 あと、できれば感想の方もお願いします。 アドバイスとわかっていても傷ついてしまう心の弱い人間なので← |
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No.1 ウィル 評価:0点 ■2011-11-18 01:27 ID:/AUSEpJMfiA | |||||
拝読しました。 まず、感想の前に、一般的な文章作法について。 このサイトでは投稿前にTOPにある文章作法を読むことが義務付けられています。 というのも、"…"は複数個使う。 が守られていませんね。あと、?や!の後、文章が続く場合は1マス空けるなども基本ですし、台本ではないんだから、「」の前に人物名を書くのもどうかと思いますし、かと思えば普通に会話文だけのところもあり、統一感もありません とりあえず、まずは読みやすい文章を目指してください。 と、私も昔注意されたことをそのまま書かせてもらいます。 |
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総レス数 6 合計 60点 |
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