Fish Song 2.0
 ストリート・ムーン・マニアックはネオンの海に沈んでいる。そのきらきらと輝く光に溺れてわたしは浮いたり沈んだり、ぷかぷか気楽にただよっていた。流れてきたくらげがくらくら笑って、その愛らしさに思わず抱きしめたいくらい。
 あの子は電灯の下、そっとたたずんで、わたしが名前を呼ぶと手を振ってくれる。肩の上で切りそろえた髪がちいさく揺れて、そのかわいらしさに思わず抱きしめたいくらい。
 ふいにぽちゃん、と音がして視界の端に魚が一ぴき飛びはねた。ピラルクーの身体に、きれいな女の人の顔。
「やあ、アルバート・フィッシュだ」
 おおきい。とても大きかった。わたしの身長と同じくらいあった。その長い胴体に手を伸ばすと、指先の隙間をすっと通り抜けて、だまし絵みたいな光景がただただ楽しい。抱きしめようとすると、跡形もなく消えてしまって、いったいどこに行ったのやら。
「ねえ」
 と声がして振り返ればあの子がいる。上を指して、
「行こうよ」
 わたしは笑って、うなずいて、飛びついて、抱きしめて、腕の中にはたしかな体温があって、ぬくぬくとして柔らかで、その感触にもういちど笑った。
 そうして、ふたり、ぷかぷかゆっくり昇っていく。向かうさきは夜空に浮かぶお月さまサ。笑って、ふたり、ぷかぷかゆっくり昇っていく。

        ○

 聞いたところによると、この一帯は静かの海と呼ばれているらしい。水もないのに海なんて、ネオンもないのに海なんて。変なの、と呟くと、文句はケプラーに言いなさい、なんて怒られた。あの子のショートカットは無重力にもへっちゃらで、ふんわりとカーブがかって太陽風にそよそよそよぐ。背後に金星がゆれて、あたりは無音。あの子の呼吸の規則ただしい響きだけが耳をくすぐる。上下にうごく胸元から細い首筋が伸びてすこし色っぽい。その純白に頸動脈が淡く走って、中を流れる赤血球に思いを馳せる。指先から子宮まで、身体中をめぐるちいさな細胞。ちょっと羨ましい、なんてそんなことを思った。あの子の頬に手をかさねると、なめらかな肌の感触に、表情筋のしなやかさ。そして、その下に断層をなす脂肪の柔らかな手触り。
 わたしが一個の細胞ならよかった。クラゲみたいに透明で、満月みたいにまんまるで、りんかくがあいまいにぼやけていればよかった。あの子が隣にいて、ふたり、どろどろに融けあって、ひとつだったなら、それだけで全部よかった。
 でもわたしたちは人間で、どうしようもないくらいに人間で、しかたないから後ろに倒れ込んで、あおむけに寝ころがった。舞い上がった塵を吸い込んで、咳きこんで、それを見てあの子が笑う。同じように倒れて、同じように塵を吸って、同じように咳をした。
「咳をしてもふたり、だね」
 そう言ってまた笑う。
 ――最初からひとりだったなら、それでよかったのだ。
 見あげれば地球。そのテクスチャに重なって、まんまるな眼球が、じろりとこちらを覗いている。それはアルバート・フィッシュの瞳で、証拠に、眼球のイメージに重なって、さきほどの女の人の顔が見える。こうして見てもきれいな人で、どこかで見たことある顔だと思ったら、それは隣のあの子の顔に他ならなかった。
 ふいにアルバート・フィッシュが泳ぎだす。よじるように身体をねじって、もがくように背中をあがいて、軌跡が複雑な紋様をえがく。それがだんだんと単純化してきて、四角形となり、三角形となり、やがて完全な円を描くと、尾を噛み、まんまるな状態を保って、その光景に、地球のかたちが重なった。
 にやり、とアルバート・フィッシュが笑う。
 世界のりんかくが融けていく。ゆっくりゆっくりほどけていく。

        ○

 はっと気がつけば、見慣れた地元の歓楽街に立ち止まっている。ネオンはいっぱいに輝いているけど、たちこめる光に飛び込むことなんてできない。できるはずもない。ネオンの海の見える通り、ストリート・ムーン・マニアック、なんて。そんなの馬鹿みたい。笑ってしまうくらいだ。空を見あげると、すこしだけ欠けた月が浮かんでいる。満月のまんまるからはほど遠い、歪なかたち。でもその歪さが現実なんだなあ、なんて、うなずいて。なんとなく切なくなって。
 電灯の下、そんなわたしを見ているわたしがいた。振り返ったわたしが見えて、わたしを見ているあの子が見えた。
 その時、わたし、あの子だった。
 その時、あの子、わたしだった。
 その時、ふたり、ひとりだった。
 その時、ひとり、ふたりだった。
「あっ……」
 驚きに思わず漏らした声は、いったいどっちが発したものなんだろう。互いに歩み寄りはじめたその一歩目は、いったいどっちが踏み出したんだろう。そんなのもうわからない。わたしたちはひとりで、融けあった一個の細胞で、全身を巡る赤血球すら共有していて、わたしはB型で、あの子はO型で、でもそんなの関係なくて、この身体はふたつの心臓で動くひとつの血液循環系で、あの子がわたしの鎖骨をやさしくひっかいて、そこからにじむ血しょうの、黄昏みたいに鮮やかな赤色!
「好きだよ」
 って、そう伝えるのに勇気なんていらなかった。
「わたしも」
 って、そう伝えるのに恐怖なんてなかった。
 頬と頬を寄せ合った。額と額を付き合わせた。掌と掌を重ね合った。そうして、唇と唇を、ゆっくり近づけていって、ああ、やっぱり、むなしいな。
 遠くから歌がきこえる。かすかにきこえる。へたくそな歌が、きこえる。メロディーは不安定で、歌詞の意味もよくわからない。ただひとつわかるのは、それがラブソングだということ。都市を泳ぐ魚が出会ったマネキンにガラス越しの恋をする、ちょっと馬鹿みたいなラブソングだということ。
 それはわたしとあの子しか知らない歌だ。
 きこえる。こまくをやさしく震わせて。
 本当に馬鹿みたいなのは、わたし自身だったのだ。
 ふと見あげれば、欠けた月のイメージに重なって、アルバート・フィッシュが浮いている。
「ねえ、あんたってさ……」
 やさしいの? ざんこくなの? きちがいなの? かみさまなの? いろいろな言葉が沸いては消えて、消えては沸いて、けっきょくこう尋ねた。
「いったい、なにものなの?」
 問いかけると、驚異の魚はにやりと笑って、ひらめいて、消えた。それを見たわたしも笑って、わたしであるあの子に別れを告げる。
「じゃあね」
「うん。じゃあね」
 名前を呼ぶと、あの子であるわたしは手を振って、
 すべては泡に弾けた。

        ○

 目覚めると屋上に寝ていた。仰向けに眺める空には、流れる血よりもずっと鮮やかな夕映えが一面に冴えわたっていた。
 そうして、へたくそな歌が聞こえる。
「――ストリート・ムーン・マニアックにはクラゲがいてさぁ。キミの真っ赤なハートの中で、くらくらくらくら笑っていてさぁ。……っと、起きたか。おはよう」
「おはよ。……ていうか、その歌あんまりうたわないでね、って言ったよね。もう」
「なんでさ、いい歌だと思うよ」
「純粋に恥ずかしいんだよ」
「いいじゃんいいじゃん。きっといつかその恥ずかしさが快感に」
「ならないならない」
「照れるな照れるな」
「照れてない照れてない」
 必死のわたしの言葉を、あの子はふん、と鼻で笑い飛ばす。そうしてすこし恥ずかしそうに言う。
「この歌、好きなんだ。すこし私に似ている気がして」
「似てない似てない」
 似てるはずがない。だってさ。それはさ。
「もう、ちゃちゃをいれるなよ。最後まで聞きなさい。……だからね、別にあんたが作った歌だから、とかそんなんじゃなくて、純粋にうたいたいからうたってるんだ。これは凄いことだと思うよ。六十億人の有象無象がいて、その中のふたりがそうとは気付かないシンパシーを持っていて、そうして、ふたり隣り合わせに立っていて、さ。とんでもない確率だよね。奇跡だよね。今なら宝くじだって当てちゃいそうだ」
「……」
「……」
「……、ねえ」
「なに?」
「そのセリフ、すっごくクサいよ」
「……、ごめんなさい」
 空にはいっぱいの黄昏だ。あの切ない輝きがいまにも降ってきそうなくらいだ。そんな空の下、わたしが笑って、あの子も笑った。強く風が吹いた。みじかい髪がちろちろとなびいた。遠くに金星がゆれて、放課後の学校は野球部の怒鳴り声ばかりがうるさい。
「ストリート・ムーン・マニアックにはクラゲがいてさぁー」
「もう。だからうたわないでってば!」

        ○

 自転車にのって坂をくだる。
 あの子はいまごろ彼氏の原付のケツに座って帰宅しているはずだ。むくむくと隆起した腹筋にしがみついて、ぬくぬくと暖かいなあ、なんて思っているはずだ。
 ブレーキから手を離すとスピードが全身を駆けめぐる。このまま流れて風になってしまいたいけれど、わたしの確固とした境界線がそれを許さない。許してくれない。
 シンパシーという現象。共鳴。ふたつの音叉。ふたりの人間。
 坂が尽きていく。すこしずつブレーキを握って、すこしずつ減速していく。スピードがほどけていく。
 地平線に煙突が屹立して、もくもくと煙をふきだしているのが見える。その上で、欠けた月が刃物のように輝いている。燐光に肌がちりちり震えて、いまにも切り裂かれてしまいそうだった。
 口笛を吹く。自作の歌のメロディーを。作った翌日に友達に聞かせてみせて、夜中ベッドで死ぬほど後悔した曲を。
 音の連なりが脳を満たすので、わたしは何も考えないですんだ。からっぽの頭のままペダルを踏む。そのスピードがチェーンを伝わって、自転車は進む。風をきって進む。
弥田
http://m3333.blog138.fc2.com/
2010年12月17日(金) 01時23分28秒 公開
■この作品の著作権は弥田さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ

 新装おつかれさまです。
 ちょっとどうしようもない話ではありますが、読んでいただけると嬉しいです。

この作品の感想をお寄せください。
No.21  円頓寺  評価:20点  ■2011-02-09 04:34  ID:W9IkYG.FY1.
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拝読しました。
読者に空間の広がりをイメージさせるように、うまく誘導するような言葉の積み上げ方をされていると思います。
単語を拾って、全てを頭の中で忠実に映像化することはできないのですが、色調や感触や広さは読み進めるごとにスッとイメージされました。
漢字を開き気味だったり、オノマトペを多様されている点に、お菓子のような言葉選びをされているなあと感じましたが、語り手である女の子自身には何となく男っぽさがありますね。
最後のパートのせいかもしれません。
この最後のパートで急に現実に引き戻される構成はいいですね。
ただ、ここでもっと文章を硬く現実的にして、ファンタジー色を残さずに終わる方が個人的には好きかもしれません。

読んでいて、平沢進の同名の楽曲のイメージに引っ張られてしまったかもしれません。
言葉選びが彼のその他の楽曲と非常に近いものを感じたので。
ご存じなければ、この辺りはお気になさらないで下さい。
以上です。
No.20  OZ   評価:40点  ■2011-02-07 23:32  ID:4MvGQJq3VCA
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文章全体の柔らかさと洗練さが本当に素晴らしいです。
他の方の感想の中でブローディガンが挙げられていますが、
私も同様の印象を受けました。
とりわけ平仮名の使い方とカタカナのアクセントの按配が、
とても技巧的ですごいと思いました。
拙い感想失礼します。
No.19  弥田  評価:--点  ■2011-01-03 17:01  ID:ic3DEXrcaRw
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感想ありがとうございました!

チャットでもお話しましたが、「ストリート・ムーン・マニアック」ってのは「ストリート・クロコダイル」とアルバート・フィッシュ氏の二つ名をくっつけさせてもらって、作りました。ストリート・クロコダイルは映画も好きなんですが、原作者のシュルツさんがとても僕ごのみの文章を書くのです。

顔。たしかにそうですね。どうも無意識のうちに「きれー」の一言ですませてしまったようです。ご指摘ありがとうございます。見た目の描写はあまり得意ではないので、ちょっと避けがちな傾向なのですが、やはりちゃんと書かなくてはいけませんよね。

では、ありがとうございました。
No.18  楠山歳幸  評価:40点  ■2010-12-31 13:28  ID:sTN9Yl0gdCk
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拝読しました。

 僕は素人なので、失礼ながら感じたことを……。

 幻想的で、とても良かったです。雰囲気に引き込まれました。主人公の友達への片思い(?)がとても切なく、じん、ときました。ストリート・ムーン・マニアックという名前もかっこいいです。

 ただ(とても恐れおおいのですが、ラノベしか読んでいない素人が見て、素人へのサービスとして)、魅力あるアルバートフイッシュが人の顔をしているので、どのように美しいか、そして人への絡みみたいなものも欲しいかな、と思いました。

 検討違いなことを言っていたらすみません。
 失礼しました。
No.17  弥田  評価:--点  ■2010-12-31 01:26  ID:ic3DEXrcaRw
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感想ありがとうございます!

文章はたくさん悩んでいるので、褒めていただけて恐縮です! 悩んでよかったです! 恐縮です!
雰囲気の90%くらいは女の子の一人称、みたいなところから来ているので、褒めていただいた部分をどうやって男性一人称や三人称にもっていくのか、いまいちばんの悩みどころなのですが、感想をはげみに頑張ってみたいと思います!

ありがとうございました!
No.16  HAL  評価:40点  ■2010-12-30 17:14  ID:ORwkwjVUiI2
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 遅ればせながら拝読しました。
 美しい! というのが一番思ったことでした。言葉、呼吸。感性というのか、センスというのか……。

 わたし、普段はもっと明確で確固たる世界が描かれていて、わかりやすい筋書きのお話のほうが、好きなんです。抽象的だったり、シュールだったりするのって、あまり得意じゃなくて。自分なりに考察して解釈するには知識や感性が追いつかず、ただ雰囲気に酔うのもうまくできず、「???」が勝ってしまうんですよね。でも、不思議なんですけど、この作品は、すごく好きです。
 普段はどちらかというと苦手なはずの、このなんともいえない不安定さ、不確かさが、なんでだろう、こんなに気持ちイイのは、単語、文章、呼吸、間、そういうものがひとつの美しい絵を切り取って、描き出しているから、なのかなあと思います。あと全体を通しての甘酸っぱくて切ない感情が、単純にいいです。胸がきゅっとなります。

 なんだか見当違いなことをいっていないか、ちょっと汗が出てきます……。
 拙い感想、大変失礼いたしました。素敵な作品を読ませていただいて、ありがとうございました!
No.15  弥田  評価:--点  ■2010-12-30 01:14  ID:ic3DEXrcaRw
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感想ありがとうございました!

>満月の
ここ、ちょっとクサいかなあw とか思っていたのですが書いて正解でした。気に入っていただけてよかったです。

僕もふわふわしてるだけのはあんまり好きじゃなくて、ふわふわの中にも芯をいれよう、みたいなのは思っていたのですが、どうも固まりきらなかったようです。強度がたりなかったのかもしれません。参考になりました。ありがとうございます。

応援ありがとうございます! 僕も絵本作り楽しみにしてますw では。
No.14  昼野  評価:30点  ■2010-12-30 00:48  ID:uQhiKmCHatg
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読ませていただきました。

文章は美しいですし、ところどころ好きな感じのフレーズもあってよかったなと。

>満月のまんまるからはほど遠い、歪なかたち。でもその歪さが現実なんだなあ、なんて、うなずいて。

この一文とか、好きです。

難をいえば、難というか個人的な好みで申し訳ないですけどw 澁澤龍彦の言葉に「幾何学的精神」ってのがあるんですけど、要は幻想的な小説であってもふわふわした感じじゃなくてしっかりした輪郭線を持つべきだみたいな感じです。それがこの作品にあったかと考えると、全体的にふわふわしていて、僕には感じることが出来ませんでした。でもそういう、ふわふわした感じがこの作品の美点なのかもしれないとも思います。でも好みで言えばやはりしっかりした輪郭線があるほうが好みです。自分の好みばっかり語ってすいませんw

なんかぐちゃぐちゃしてしまいましたが自分からは以上です。これからも応援してます。
No.13  弥田  評価:--点  ■2010-12-29 16:22  ID:ic3DEXrcaRw
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感想ありがとうございます!

すこしでも褒めていただけてよかったですw もっとボロクソ言われると思ってたので笑

長編。そうですね。今は比較的読みやすい文章と比較的あくの強い文章を組み合わせてどうこう、というのを試みているのですが、読みやすい文章というのがまったく書けないw まだまだあまりに力不足なので、ただ勉強あるのみです。

ストーリーに関しても、ちょっと雰囲気でごまかしているところがあって、やはり夢オチにすべきではなかったかな、と。自分でもあまり納得いっていないので、そこはもっと粘っていい案をだすべきでした。

相対性理論は影響うけてよかったです。TCは結構ファンが多い。

ありがとうございました。次も頑張ります!
No.12  蜂蜜  評価:30点  ■2010-12-29 13:24  ID:VYhyZkqhCoI
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拝読しました。

散文的な文章がとてもうつくしい作品ですね。僕は文体についてはかなりこだわりがあるタイプなのですが、この文章はとてもうつくしく、作品全体の雰囲気にも非常に良くマッチして、効果的だと思いました。

チャットでも少しお話ししましたが、エイミー・ベンダーの文章に通じるところがあると思ったので、もしお時間がありましたら、『燃えるスカートの少女』など、手にとってみてはいかがでしょうか。

この種の文体は、このサイズの掌編であれば二重丸なのですが、これをそっくりそのまま長編に持っていこうとするとかなり難しいので、今後弥田さんが、そこをどう乗り越えてもっと大きな物語を書いていくのかに、とても興味があります。(上述のエイミーも長編はちょっといまいちですし、僕自身も、長編用の文体というものについてはまだ試行錯誤の途中です)。

物語としては、ちょっとだけ作りがわかりにくかったかな、という気がしました。全体の雰囲気がとても良いので「これで良いのだ!」と言われてしまえば、「うーん、これもアリか」という気もしてこなくもないのですが、ちょっと前半と後半のギャップが、わかりにくかったかなあと感じました。いや、でもこれもアリか……うーん、難しい。感想を書いていて、判断に悩みます(笑)。

読んでいてとても新鮮だったことは間違いないです。
それと、『相対性理論』は、僕も大好きです。

僕からは以上です。
次回作も期待しております。
No.11  弥田  評価:--点  ■2010-12-25 00:36  ID:ic3DEXrcaRw
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感想ありがとうございます!

>青山さん

昔の名前はちょっと「らき☆すた」みたいでなんだかなー、とずっと思っていたのですw ついでなので変えてみました

主人公は女の子っすね。少女同性愛! みたいなのが好きなのです。下半身的な意味で。

そして円! 確かにそうですね。それは気がつかなかったw
言われてみれば赤血球も円なのです。

刺激になったようでなによりです。受験が近くて、正直こんなもの書いている場合じゃないのですけどw 時間つぶしくらいにはなったようでやっぱり書いてよかったです。


>沙里子さん

またまたご謙遜をw それはもう遠慮無くどんどんコメントしてやってください!

相対性理論はいいですよね! ああいうポップなのって普段は聞かないんですけど、あのバンドはなんか惹かれるものがありました。スマトラ警備隊のサビ聞いて、こうビビッ! とw

はい、頑張ります! ありがとうございました。
No.10  沙里子  評価:40点  ■2010-12-24 11:01  ID:9HJIKQhJRFY
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拝読しました。
いえ、本当は拝読したのは結構前なのですが、恐れ多くてコメントができず……チキンですみません。

相対性理論、私も大好きです。全アルバムipodに入ってます。
影響を受けているというのも納得しました。脳内BGMで「四角革命」が流れてきます(笑
あの言葉遊びみたいな独特の歌詞や、間奏にひそむ柔らかい空気、適当に唄っているようで実はきちんと音をとれている、硬質で甘ったるいあの声。
そのすべてを具現化するかのような文章、素敵です。
こんな文章を書けるあなたが羨ましい。本当に、羨ましいです。

なんだか相対性理論のことしか書いていない気がしますが、これにて失礼します。
これからも頑張ってください。ではでは。
No.9  青山カオル  評価:40点  ■2010-12-24 01:05  ID:iHbq62rA5d6
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弥田さま。

いやあ。
どもうどうも。
らきさんじゃなくなったんですね。
カッケー名前だったので、ちょっぴり残念w

ところで。
今作は、深い。月の海のように。
深くて、ぼくには読み解けない。

しかし。
アルバート・フィッシュとは。。
バケモノじゃないですか。

ええと、それで。
主人公である「わたし」ですが、女の子ですよね?
「もう。だからうたわないでってば!」
の台詞とかもだし、総じてオスの匂いがしないのですよね。

で、月を絡めてあるのは、秀逸でございました。
ヨハネス・ケプラーに聞け!
月とアルバート・フィッシュと、あの子。
ルナってえのは、狂気という意味もあるようだし。
だから、アルバート・フィッシュ?

食べちゃいたいほど、愛している。
ひとつになりたいとこいねがう。
ここらへんは、もろアルバートのおっさんすか?

あと、ウロボロスも出てきますね。
循環やら永遠やら破壊と創造やら。
とにかく、今作は、三角ではなく、円。
円といえば、ドル。じゃなかったw
すべての始原ですかね。

いろんなマテリアルをぶちこんであるのに
それが消化不良になることなく
とってもスマートに昇華されていて
素敵ですた。

ま、これに尽きるでしょう。
ありがとうございました。


ps
うおお。
いい刺激をありがとサンクスw
ぜんぜん、書けんのですよ。
年の瀬を前にして、とほほなのです。
No.8  弥田  評価:--点  ■2010-12-23 23:47  ID:ic3DEXrcaRw
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感想ありがとうございます!

>おさん

うおお、なんというか、嬉しい感想ありがとうございます!
雰囲気に関しては「相対性理論」というバンドに影響をうけています。
空気感みたいのに関してはいつも血ぃ吐くくらい悩んでいますので、評価していただけたのはすごく嬉しいです。

後半から〜はそうですね。今読むと、三つ目くらいのまとまりからちょっと無理がでてきて、結果として夢オチ、みたいなのをすごい感じます。ウィルさんがおっしゃるようにブツ切り感もひどいですし、もっとストーリーを練ったほうがいいなあ、とあらためて思いました。


>ウィルさん

>普通の読み物として
会話とか、プロットみたいなのは苦手なので、そこを評価してもらえたのはよかったです。ウィルさんみたいなテンポのいい会話にも挑戦したりしてます。今回はちょっと玉砕でしたが。
パート分けは完全に失敗でした。テンポも悪くなりましたし。なるべく多用しないよう自分でも気をつけていきたいと思います。


>藤村さん

ブローディガン、ちょっと調べてみたら面白そうだったので、さっそく図書館で借りてみようと思いました。

>以前にも
昔現代板に投稿したやつの、「アルバート・フィッシュ」っていう設定だけ使った別物です。調べてみたところ「やあ。アルバート・フィッシュだ」なんてセリフはなかったですww
でもあんなに昔の作品を覚えていてくれたのは素直に嬉しいです。ありがとうございます!

そよそよそよぐっていうのはさすがに読み辛いかなあ、なんて心配していたので、気に入ってもらえて良かったです。ここはとくに相対性理論の影響を受けてる箇所です。僕の脳内では、やくしまるえつこさんが読み上げてるくらいですw
No.7  藤村  評価:40点  ■2010-12-23 07:26  ID:T/iByvcWuOM
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拝読しました。
かろやかで、遠いところへゆけていて、だのにみえている現実がひんやりとあって、で、それがちょっちわりとかなり切ない。みたいなふうにおもいました。自分はいつも地面をうごうごするばかりなのでうらやましかったです。
ちょっとだいぶちがうと思うんですけど、でもブローティガンみたいですね。
ところでこれ、以前にも投稿されてませんでしたか。たしかファンタジー板に。「やあ。アルバート・フィッシュだ」が強烈でおぼえているんですが、もしかしたら記憶ちがいかもしれません。そうでしたらすみません。タイトルに2.0とあったもので。
>あの子のショートカットは無重力にもへっちゃらで、ふんわりとカーブがかって太陽風にそよそよそよぐ。
ここ最高にかわいいです。
No.6  ウィル  評価:30点  ■2010-12-22 02:44  ID:JLR4ZYFjwGg
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拝読しました。
文学としてより、普通の読み物として十分に楽しめました。

どことなく詩というより、歌詞のような、全然ちがうけど、ジブリのカントリーロードを思い出すような作品でした。

ただ、パートによって地文ばっかりだったり、会話ばっかりだったりして、なんというか一体感がないのが少し残念です。

No.5  お  評価:40点  ■2010-12-20 00:26  ID:E6J2.hBM/gE
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僕は今悔しんですよ。
こんちわ。
絶対、影響受けちまう。
てか、どーやったら僕の書くものにこういう雰囲気を付加できるんだろうと、今真剣に悩んでます。
あぁ、もう。こまったこまった。
いいです。とてもいいです。無限に良いです。
僕は大好きです、この感じ。
ただ、後半から結末の方は、もう少し持って行きようがあったんじゃないかなと言う、悪くはないんだけど、もっと、という気持ちが残りました。
No.4  弥田  評価:--点  ■2010-12-19 19:33  ID:ic3DEXrcaRw
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感想ありがとうございます!

>モヒ
存じております。前にチャットで乳首くらいまである、とかおっしゃってましたよねw どんだけ長いんですかw

TCのモヒの方はみんな面白い小説を書くので僕も便乗してみました。これで少しでも面白く感じていただけたならさいわいです。

では、ありがとうございました!
No.3  内田 傾  評価:40点  ■2010-12-19 18:39  ID:VGYvbaPPEks
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拝読しました。
面白い!
パンクみたい。詩みたい。

ブログもすこしお邪魔させてもたらったのですが、モヒにされたんですか?
実はぼくもモヒでTCはモヒ率が異常に高い。

作品に直接関係ないことばかりになりましたが、言葉の選択のセンスがおそろしく鋭くて勉強になりました!
このたびはどうもありがとうございました。
No.2  弥田  評価:--点  ■2010-12-19 01:27  ID:ic3DEXrcaRw
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感想ありがとうございます!

ぜんぜん分かったような気とかじゃないです! 僕自身書くときはほとんど何も考えていないですし、Physさんが感じたものがこの話の全てです!

また感想を書いていただけるととても嬉しいです。
No.1  Phys  評価:30点  ■2010-12-18 17:06  ID:Ee3yYWMigJ6
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拝読しました。
えっと、こういう作品はどう読めばいいかわからないのですが、語感というか
リズムのようなものから自分なりに感じ取ったことを。全体の印象から感じる
のは、一言で言うとゲルでした。なんていうか高濃度コロイド(?)です。
私の中での前半(>すべては泡に弾けた。まで)で未消化だったもやもや感
が後半で現実の場面を伴って氷解した、ように思えました。
前半の内容は歌であり、主人公の空想であると解釈します。いや、ぜんぜん
的外れなのかもしれませんが…。他人と自分が溶け合うことはなく、現実は
そうならなくとも、ただ、前に進め。そんなメッセージを受け取りました。
誰のメッセージかは知りません。神の啓示でしょうか。

もともと、境界が曖昧なものは定義しないと気が済まないのですが、文学って
そういう物じゃないのかなぁ、と最近漠然と感じました。なんというか、誤解
と思考から読み手にとって幾通りもの物語を作り出せるのが素敵なんだ、と。
だから、こうやって分かったような気になるのは自由ですよね。うん、私は
悪くない。失礼じゃないはず。

なんかすみません、変なやつで。自己正当化です。
また、読ませて下さい。
総レス数 21  合計 460

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