いっしゅん、とまる。直しました |
いま…たしかに? なんか、おきた…? 「ただいまの時刻は午前2時半…さて、終わりの時間ですね」 そばのラジオから、聞こえるその声は大ファンの俳優。 さっきから、違和感。 近々ある舞踏会に備えて、夜までLessonする予定だが、 いま、変更しようかとも思った。 わたしはこの国の第一王子、レース。 その舞踏会で花嫁を決めねばならない。 シンデレラの物語のような美しい姫や娘さんがきてくれないだろうか、 と望む。違和感、というのは何かに見られているような。 王子たるもの、しゃんとしないといけません、と母上から言われたばかりだ。 でも気になるこの、ー視線ー 。 「誰か、いるのか?」 「……はい」 レース以外誰もいないはずの部屋に、声がした。 それも歌うような美しい声だ。 物陰から、なんと、今日見つけ、水につけてある花、だ。 ゆらゆら揺れて、こちらに向ける。 「はっ…花、」 「あまり、驚かないで王子。わたしは、花のように美しくなりたいという願いが、叶った姫なのです」 「どっ…どういうことですか?!」 花は静かに語り始めた。 「わたくしは、隣国の姫でした。姉様たちに比べて、あまり美しくないので毎朝毎晩、美しい花のようになりたいと願ったのです。ある時、目が覚めたら、 ベッドではなく、王子が今日、訪れた草原に花として生きていました。 鳥が、教えてくれたのです。愛する人が戻るようにお願いすれば、その願いが破られると。誰もわたしが花になったなんて、知りません。鳥だけです。 そうして悩んでいたところを、あなたに摘まれた次第です。 水がある限り、わたしは生きれます。どうか花のままでも、 匿ってくださいませんか?このまま死にゆくのは嫌ですわ」 王子は姫の運命を可哀想に思い、毎朝毎晩、姫の姿を戻して欲しいとお願いした。 毎朝毎朝、水をかえた。メイドがもう捨ててもよいですかと聞いた時には、 その花はまだ生きている、と軽く叱った。 夜には退屈しないように、その日の出来事を話したし、 舞踏会のLessonを見てもらったりした。王子はその花の姫を、花姫とよんだ。 ある朝、花は消えていた。その日は舞踏会だった。花も隣におき、一緒に見てもらおうと思っていたから王子は焦った。メイドに花を捨てたかと聞き、ゴミをあさり、探した。しかし、あの美しい花は見つからなかった。そうして、舞踏会の時間になった。 始まれば、まず隣国の姫や娘さんが挨拶をしに並ぶ。花の、隣国のあの姫の命はどうなったか。それしか頭に入らない。 「こんばんは、王子」 聞き覚えのある声だった。探して探して、見つからなかったあの花の。 いつも心に止まり、気づけば忘れられない存在の。 「…花姫?」 その姫はにっこり笑い、そうです、と言う。 その姫の美しさと可憐さ、そしてにじみ出る気品が王子を虜にした。 やがて花姫と王子は結婚した。 王子の優しい愛情と信頼を得た花姫は幸せそうだ。 王子も、幸せそうだ。 2人はいつまでも花のように優雅で、美しい人生の中、健気な花の如く長生きした。 そして。 ーその国ではいつまでも、花姫物語として語り続けられているー |
侑。
2014年02月09日(日) 20時44分52秒 公開 ■この作品の著作権は侑。さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.3 お話を知る人 評価:20点 ■2014-03-01 20:31 ID:xubatrYFqdc | |||||
はじめまして、読ませていただきました。 花になってしまったお姫さまと彼女が人間に戻ることを願った王子様。自分はこういうきれいな話が書けないので羨ましいです。 お姫さまが人間であることを話さない方が面白いかなぁとか思いました。 |
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No.2 侑。 評価:--点 ■2014-02-16 01:24 ID:3.rK8dssdKA | |||||
ありがとうございます! 確かに終わりをつけなきゃと思い、無理矢理につけましたw 童話って初めてでダメダメでしたけど、 なんとなーくマシで良かったです(・・;) |
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No.1 家達写六 評価:20点 ■2014-02-15 13:04 ID:0H/tY0Rvzkg | |||||
花に変わった人間……いかにもファンタジーらしい、きれいな設定ですね。文章もどこか独特で、特に違和感なく読み進められたのですが、最後の数行は余計だったかな。でも、これもひとつとおとぎ話だととらえれば、この終わり方もおかしくないのかもしれません。 | |||||
総レス数 3 合計 40点 |
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