Balloons Hill


 三ヶ月ぶりに帰ってきた鳩が、街に秋が来たことをわたしに知らせた。
 細い脚にくくりつけられた小さな筒の中には、くすんだ赤色のかえでの葉が一枚入っていた。わたしはそれを、傾いた日に透かして眺めた。それから家に入り、丁寧に葉を伸ばして「秋」の引き出しに入れた。



 家の正面には、灰色がかった草に覆われた緩やかな丘陵が、見渡すかぎり続いていて、その向こうに街がある。鳩はいつも、この丘を越えてやって来た。
 家の裏には、背の高い木々が茂った暗い森が、絶えず風の音を響かせながら佇み、ほかの子どもたちの住む平地と、わたしの家とを隔てていた。

 わたしが<絵描きさん>に出会ったのは、鳩が帰ってきた翌日の日暮れだった。

 そのとき私は、こちらから街へ送るもう一羽の鳩に持たせる木の葉を採りに、森へ向かおうとしていた。
 家の戸を開くと、もう外は薄暗く、わたしの正面、街へと続く丘のかなたに、太陽が半分沈みかかっていた。
 目の奥に染みこむ橙色の空と雲と草原の中に、見慣れない影があった。それは、こちらに背を向け、夕日と向かい合って座り込んでいる人影だった。草を踏み分け、そっと近くに寄って見ると、小さな絵筆を手に持ち、小振りのキャンバスを膝に抱えて、何かを描いているようだった。
「だれ?」
 わたしが背後から声をかけても、しばらく反応がなかった。夕日を見るでもなく、逆光で見えづらいキャンバスの上に顔をうつむけ、単調に筆を動かしていた。やがて手を止めると、筆をそっと草の上に置き、そしてわたしを振り向いた。わたしと同い年くらいの顔に見えた。やわらかそうな、茶色の髪の毛が、陽の光を跳ね返してちらちら光った。
「絵を描いているんだ」
とその人は言った。そしてまたキャンバスに向き直ってしまった。名乗るつもりはないらしい。しかしわたしが立ったまま見下ろしていると、また振り向いた。
「だれ?」
 わたしが言ったのとそっくり同じ調子で、その人はそう言った。
「わたしはこの家に住んでいるの」
 わたしもその人にならってこう答えた。わたしの返答に反応を示すこともなく、その人はまた筆を取り上げ、絵を描き始めた。隣にしゃがんで覗き込んでみると、ふうっと油絵の具のにおいがした。けれど、その油絵の具で描かれた絵は、さっぱり上手ではなかったので、わたしは内心がっかりした。この夕焼けを描いているらしいのだけれど、草は色が混じりあいすぎて黒ずんでいたし、空は歪んだ赤い縞々で、分厚く塗り重ねられていた。けれどその人は真剣な目をして、草の上に置かれた、使い込まれたパレットから絵の具をすくって、少しも迷うことなく、キャンバスの上に次々新しい線を引くのだった。
 だからわたしは、その人を絵描きさんと呼ぶことにした。



 枯葉の積もった柔らかい土を踏んで森を抜けると、目の前に草に覆われた平地が広がり、そこにぽつりぽつりと小屋が建っているのが見渡せる。わたしと同じ、ここに住む子どもたちの家だ。
 久しぶりに、森の向こう側へやってきたのは、絵描きさんの家を探すためだった。このうちのどこかに、絵描きさんが住んでいるはずだった。

 昨日の夕方、絵描きさんは、日がすっかり沈んでしまうまで絵を描き続けていた。それから、空がすっかり暗くなってしまうと、何も言わずに立ち上がって森のほうへ歩いていった。
 ちょうどその時、夕食を積んだ荷車が森から出てきて、絵描きさんとすれ違った。御者のいない、馬が曳いているだけの車が、わたしの家の前で止まる。わたしが、車に駆け寄って、いつもの通り割り当てられた分を手に取ると、馬はまた静かに車を曳いて森の奥へ去っていった。絵描きさんの姿は、とっくに見えなくなっていた。

 この丘に来て、もう随分経つけれど、昨日絵描きさんに会うまで、わたしはこの丘に住む子どもたちと話をしたことなど一度もなかった。それどころか、姿を目にすることすら稀だった。無理もない。この丘にいるのは、みんなそういう子どもたちだから。けれど絵描きさんは、わたしの家の前で絵を描いていた。そしてわたしは、そんな絵描きさんに声をかけた。何の躊躇もなく。誰かと会話するなんてことは、とても久しぶりだったはずなのに、それすら感じなかった。
 わたしは、昨日のことが、すべて夢だったのではないかという気がし始めていた。だから今日、絵描きさんの家を探しに来たのだ。

 わたしが、まずはどの家に近づいてみるべきか決めかねて、草の間をふらふら歩いていると、突然後ろから大きな声がかかった。
「何をしているんだね」
 振り返ると、小さな小屋のひとつから、茶色いコートを着た背の高い男の人が出てくるのが見えた。男の人は、草を踏み分けてどんどん近づいてくる。
その姿を見て、不意に、喉がすぼまり、体が縮んでいくような感覚がした。怯えながらも、わたしはそれにかすかな懐かしさを感じた。ずっと一人でいるうちに、忘れてしまった感覚。
 立ちすくんだまま動けなくなっているわたしの目の前で、男の人は立ち止まった。年配だがすらりと姿勢が良く、黒縁の眼鏡をかけて、手に小さな紙束を持っている。わたしはそれで、その人がこの丘の管理人であることを思い出した。この丘に連れてこられたとき、一度会ったことがあった。管理人さんは、わたしの顔をちらりと一瞥し、手に持った紙束をぱらぱらとめくった。
「Gの7……君は森の向こうの子だろう。何をしに来たんだね?」
 管理人さんの口調は優しかった。以前にもそう思ったことを、わたしは思い出した。目が合わないように視線を落としていたせいで、その声と、手元の紙束と、常に笑みの形に吊り上がっていた唇だけが記憶にあった。
 心臓の鼓動が早まって苦しい。手のひらに汗が滲む。うつむいて灰色の草を見つめているうち、絵描きさんの姿が目の奥に浮かんだ。そう、昨日はあんなに喋ることが出来たのだ。絶対に出来ないということはない。それがちゃんと証明された。昨日の自分の声を思い出しながら、それをなぞるように、わたしは息を吸った。
「このあたりに、絵を描く人……が、住んでいませんか」
 押し出した自分の声が耳に届き、胸を圧迫していた痛みが少し和らいだ。管理人さんは、わたしの言葉を聞いて、ちょっと驚いたように目を見張った。それから、視線を落としてまたぱらぱらと紙束をめくった。
「よく夕焼けを描いている子のことかい?それならGの1……ほら、あそこに見える」
 管理人さんが指差したほうには、森の縁に隠れるように建っている、赤い屋根の小屋があった。わたしはそれをじっと見つめた。
「近頃は、毎日描く場所を変えていたようだからね。君のところにも来たのかい?何か話した?」
 管理人さんのほうを見ずに、小さく頷くと、背後で笑ったような気配がした。
「そろそろ『冬』の鳩便が来るだろう。今年は帰ることができそうかな」
 わたしは答えなかった。わたしの家よりずっと古びているように見える絵描きさんの家の、枯葉の積もった屋根の赤い色を、ずっと見つめていた。
 何かの色に、似ているような気がして。



 日が傾き、森が金色に光りだすころ、わたしは家へと帰ってきた。
 まぶしく光る草の海を眺めやると、昨日とちょうど同じ場所に絵描きさんが寝転んでいるのを見つけた。キャンバスを抱え、筆を持った手を草の上に投げ出して、ただ空を見上げていた。
 歩いて近づいても、隣に座っても、絵描きさんはこっちを見なかった。私も黙って空を見上げた。
 藍色に沈んでいく空を、小さな雲の影が横切っていく。風が草をなびかせ、森を唸らせる音だけが響いている。
「夕日の絵しか描かないの?」
 無意識のうちに、言葉がぽろりと口から滑りでた。自分で自分に驚いたけれど、やはり夢の中のように、その驚嘆は鈍く胸のうちにとどまったまま外に現れることはなく、わたしは顔を空に向けたまま、眠い目をしてじっとしていた。
 少し間があってから、
「うん」
 と短い返事が聞こえた。
「どうして?」
 わたしは訊いた。今度はなかなか返事がなかった。ゆっくり形を変えながら視界の端へ消えていく雲を眺めているうちに、ぽつりと返事があった。
「一枚しかないんだ」
 何のことだか、はじめは分からなかった。夕焼けの中にうずくまっていた絵描きさんの姿を思い起こして、ふっと気づいた。
「キャンバスのことね?」
 隣を見やると、絵描きさんはうなずく代わりに言葉を足した。
「一枚しかくれなかったんだ」
 街を出るとき、両親から贈られたものなのだろう。真新しい絵の具とキャンバスを抱えて、馬車に揺られる絵描きさんの姿を、わたしは想像した。それから昨日、草の上に置かれていた、絵の具がこびりつき、あちこち傷だらけのパレットを思い出した。わたしの家の前で描くのは昨日が初めてでも、絵を描き始めたのは、絵描きさんが絵描きさんになったのは、昨日ではない。
 絵描きさんは、たった一枚の絵を、沈む夕日の絵を、ずっと――この丘でずっと、描き続けているのだろうか?
 けれど、わたしだって、ここへ来てからずっと同じ毎日を繰り返していた。聞き飽きた風の音を聞き、見飽きた風景を眺め、うたたねの中にいるように、静かに呼吸し続けた。
「絵を描くのが好き?」
 わたしは訊いた。しかし返事を聞く前に、森のほうからガタガタと車輪の音が響いてきた。いつの間にか、丘の向こうに太陽は顔を隠し、あたりはすっかり暗くなっていた。わたしは立ち上がって、夕食を取りに行った。律儀に仕事をこなして去っていく馬を見送っていると、背後で絵描きさんが立ち上がる気配がした。絵描きさんはわたしの横を通り過ぎて、馬の後に続いて森の中へ歩いていきそうになった。わたしはその背中に声をかけてみた。
「また明日」
 絵描きさんは立ち止まった。半分振り返ってわたしを見た。
「また明日」
 小屋の影の中に沈んで、その表情は見えなかった。



 それから絵描きさんは、毎日わたしの家の前にやって来た。その時間は、だんだん早くなっていくようだった。何週間も経つと、わたしは正午を過ぎたころから外を気にするようになった。絵描きさんは、いつもキャンバスや絵の具を持ってきたけれど、何も描かずに寝そべっていることもよくあった。
 わたしたちは、あまり会話を交わさなかった。絵描きさんのほうから何かを訊ねてくることは、一度もなかった。わたしのほうを見ることさえ、ほとんどなかった。絵を描くのが好きかという質問を、あのあとも幾度か訊いてみたけれど、絵描きさんはキャンバスに目を落としたまま、あるいは空を見上げたまま、口を閉ざして答えなかった。



 そして、三ヶ月が過ぎた。

 その日わたしは、いつもより早く目を覚ました。戸を開けると、氷のように冷たい空気が顔や素足に触れて、わたしは小さく身震いした。日はもう昇っていたが、薄い雲が空一面を覆い、視界の全てが、空も大地も境界の曖昧な灰色一色だった。その薄暗い景色のなかに、絵描きさんがうずくまっている後姿が見え、わたしは驚いた。こんな朝早くに会うとは、思ってもいなかった。絵描きさんはキャンバスを両手で抱え、じっと見つめているようだった。わたしは小走りに駆け寄ろうとした。
 そのとき、街へと続く丘の稜線の上に、小さな影が現れた。その影は徐々に大きくなっていき、そのうちそれが、羽ばたく鳥の姿をしているのが見て取れた。鳩だった。ちょうど、つかの間雲が途切れ、差し込んだ陽光に照らされた鳩は、白く輝きながら、暗い空を力強く、一直線に滑って、こちらへ飛んできた。やがて高度を下げ、絵描きさんの頭の上を飛び越して、わたしの家の柵にとまった。わたしは鳩に近づき、足環を外してやった。鳩は、ぱっと飛び立ち、家の横の鳩舎へと入っていった。
 鳩の足環に入っていたのは、街を写した一枚の写真だった。そしてそれは、ここへ来てから毎年、「冬」が来るたびに送られてくるものだった。
 背の高い建物の屋上から撮ったのだろう、下には家や人々が小さく見え、上半分には澄んだ空が写っている。その空を、夥しい数の、色とりどりの風船が埋め尽くしていた。
 写真を裏返すと、いつもどおり小さな紙切れが貼り付けられていた。濃い小さな文字で、びっしりと文字が印刷されている。ほとんど何が書いてあるのか分からないけれど、一番上に大きくわたしの名前と、番号があるのが読める。
 去年もそうしたように、わたしはそれを破り捨てようとした。指に力をこめたとき、下のほうの余白に、一言手書きの文字が添えられているのを見つけた。

『かえっておいで』

 ひどく懐かしい筆跡だった。
 そっけない一文を、わたしは息をのんで見つめた。



 わたしは写真を手に、絵描きさんのほうへと近づいていった。絵描きさんは珍しく、しげしげとわたしのことを見ていた。鳩がやってきたのを目にしていたのだろう。わたしは絵描きさんの隣に腰を下ろし、写真の裏を見せた。
「通知がきたのよ」
 わたしは言った。絵描きさんは、空にもキャンバスにも目を向けず、その紙切れをじっと見つめた。
「あなたのところにも、届いた?それとも、これから?」
 自分のことや、街のことを話すのは、何か違っているような気がして、質問を投げかけてみると、絵描きさんは通知に目を落としたまま、珍しくきっぱりと言い切った。
「来ないよ」
「どうして?」
 わたしの問いに、絵描きさんは答えなかった。黙ったまま通知を裏返し、街の写真を見て、息をのんだ。
「これは何?」
絵描きさんは、街の空を覆いつくす、鮮やかな色の風船たちを指差して訪ねた。
「風船よ。見たことないの?」
 わたしが問うと、絵描きさんは、息を詰めて写真に目を凝らしながら、独り言のように言った。
「見たことがある……ひとつだけ。赤い風船だったんだ。ひとつしかなかった」
 不意に、絵描きさんは身を起こした。そして、草の上に置いてあった絵筆やパレットナイフの中から、小さな彫刻刀を拾い上げた。わたしは、絵描きさんがそんなものを持っていることを初めて知った。何に使うのだろうと見つめていると、絵描きさんはそれを左手の人差し指の腹に押し当て、わたしが止める間もなく、すっと引いた。血がじわりと滲み出て、丸い雫が白い指を滑り落ちていった。絵描きさんはその人差し指を、キャンバスに描かれた夕焼けの、暗い色をした空の部分に押し当てて、円を描いた。それから右手の彫刻刀で、キャンバスに傷をつけて紐を描いた。
「ひとつしかなかったんだ。お祭りの日に……でも手を離して……赤い風船だったんだ。……どうして泣いてるの?」
 わたしは、涙を拭うこともせずに、キャンバスに拙い筆致で描かれた夕暮れの空と、そこに浮かんだ赤色の風船を見つめた。
「……どうして?」
 わたしは訊ねた。絵描きさんはわたしから目を逸らし、空を見上げた。そして、血で汚れた指先を持ち上げて、漠然と空を指差した。絵描きさんは、見たこともないような、うつろな表情をしていた。風船のことを思い出しているから?絵描きさんのところには、通知が来ないから?
 わたしは、絵描きさんが指差す先を目で追い、白い空に昇っていく、小さな風船を想った。
 風船は、どこまでも高く昇っていく。誰にも縛られず、誰にも届かない、誰にも見えないところへ。
 そして、誰もいない空の果てで、弾けてなくなってしまう――
 遠ざかり消えていく、開かれた白い手のひらを、わたしは見た気がした。
 わたしは思わず、足元の草を掴んだ。草はブチブチと千切れて、震える指の間から切れ端が落ちた。頼りなく体が震えて、どこかへ吸い込まれてしまいそうな気がした。
 絵描きさんも、こんな気持ちがするの?こんな気持ちで、空の絵を描いていたの?
 自分の体を抱きしめてうずくまったまま、動けなくなったわたしの横で、絵描きさんは、絵の具やキャンバスを抱えて立ち上がった。
 わたしは声をかけられなかった。絵描きさんも何も言わなかった。
 草を踏む軽い足音が、わたしの背後で遠ざかっていき、やがて聞こえなくなった。
 飛んでいってしまったのだと、わたしは思った。



 薄暗い夜明け前の丘に、わたしは立っていた。見渡す限りのなだらかな丘陵を、灰色の草が覆っている。時折吹きつける風が、草原にさざ波をたて、わたしの旅装を揺らした。
 もう少しすると、森から馬車が来る。いつもの、朝食を積んだ車ではない。たくさんの子どもたちを乗せた、大きな、御者のいる馬車だ。
 そして夜明けとともに、馬車は街へ行く。
 引き出しの中に入れた、街から届いた木々の葉は、すべて家の中に置いてきた。もう二度と目にすることもないだろう。
 履きなれない靴を履いた足がむず痒い。わずかな衣服などを入れた小さな布包みが、重く感じられる。

 街から通知が届いたあの日以来、絵描きさんがわたしの前に姿を現すことはなかった。わたしは毎日、一人で夕日を見た。日が沈んだあとは、空に消えていく色とりどりの風船と、たったひとつの赤い風船のことを考えた。
 今までずっと、心穏やかに暮らしてきたこの丘は、急速に色褪せていくようだった。
 体が空っぽになっていくような気持ちを抱えながら、わたしは街へ返事を返した。

 街へ行く前に、もう一羽の鳩も飛ばすことを思い出して、わたしは家を振り返った。
 そして、黒ずんだ扉に立てかけられている、小さなキャンバスを見た。
 ――いつの間に置いたのだろう?辺りに人影はなかった。わたしは布包みを放り出して、扉に駆け寄った。
 キャンバスに描かれていたのは、あの日最後に見た絵とは違っていた。
 夕焼けの空は、夥しい数の風船でいっぱいだった。
 それらは皆、乾いた血の色をしていた。
 傷だらけの指を、わたしは想った。
 擦り切れそうな痛みを感じながら、なにか重たいものが体の内側を満たしていくのを、わたしは感じた。
 絵描きさんも、この丘の子どもたちも、そしてきっと、街の人々も。
 みんな揺れながら消えていく風船にすぎない、と思った。
 わたしも、そのうちのひとつ。
 だけど――
 森のほうから、ガタガタと車輪の音が響いてきた。わたしは立ち上がり、鳩舎へ行って戸を開けた。鳩はつかの間、問いかけるようにわたしを見た後、大きな羽音を立てて舞い上がった。
 丘のかなたから、一条の陽光が差した。鳩は小さな影になって、丘を越え、街を目指して飛んでいく。意思を持ち、翼を羽ばたかせ、空を横切っていく。わたしは目を細め、それをじっと見送った。
 だけど空は、あのようにも飛べる。

 街に行こうと、わたしは思った。
あさつき
2013年11月16日(土) 13時24分01秒 公開
■この作品の著作権はあさつきさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
はじめまして、あさつきです。
小説を書くのも読んでいただくのもはじめてです。
ぜひぜひ率直なご感想お願いします。

この作品の感想をお寄せください。
No.4  あさつき  評価:--点  ■2013-11-19 07:34  ID:qBJb.Is0EhA
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>お様
ご感想ありがとうございます!

はい、マジで初めてです(照)
これ書くのに2,3ヶ月くらいこねくり回してましたけど…甲斐はあったでしょうか
背景に関しては一回書いてみたんですが、他の部分と釣り合いが取れなくてベリベリ削ってしまいました…
今後さりげなく盛り込めるように頑張ってみます!
No.3  お  評価:30点  ■2013-11-18 14:22  ID:UWN2hhhpo6.
PASS 編集 削除
どうもです。

マジでか!?>小説を書くのも読んでいただくのもはじめてです。
んー、このサイト視てるとちょいちょいいるんですよねぇ、初めて書いたなんてとても信じられないものを投稿してくる人。やれやれ、参りますよ、自分の過去が全て黒歴史に思えてくる。
さてと。多分、作者さんには物語の風景がかなり明瞭に目に見えているのかなぁと感じました。三者的な目線で見えている光景を、作者さん自身が楽しみながら言葉という表現方法に変換しているような印象をうけました。だから、一つ一つのシーンの風景がとてもよく浮かびます。反面、なまじ風景が視えているだけに、論理的に考えて作り出さないといけない背景の事情がおろそかになってしまっている。ご本人の中ではキャラの心情がなんとなく出来ているからそれでO.K.なんですが、読む方はそうもいかない。やはり、背景をもってキャラの心情を推し量り感情移入することもあると思うので、その点で片手落ちかなと。
とはいえ、受験勉強とかおろそかにならないように、ま、ほどほどに。いまは、息抜きの楽しみとして。本格的には、合格してからでも。がんばってください。
No.2  あさつき  評価:--点  ■2013-11-18 07:18  ID:qBJb.Is0EhA
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>坂倉圭一様
とても丁寧なご感想ありがとうございます!

森のところは痛恨の凡ミスでした…!取り急ぎ修正しました。
引き出しに関しては膨らませる余裕がありませんでした…精進します。
街と丘と子どもたちについて掘り下げるのは書く余裕が以下同文。

初めて頂いた感想でこんなに褒めていただけるとは…わたしは幸せ者です…
今後もっと上達するように頑張りたいと思います!ありがとうございました!
No.1  坂倉圭一  評価:30点  ■2013-11-17 15:32  ID:VXAdgm2cKp6
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読ませていただきました。

はじめての作品とは思えないぐらい良かったです。
特に「三ヶ月ぶりに帰ってきた鳩が、街に秋が来たことをわたしに知らせた」の1行目がいいですね。「鳩かあ〜」って引き込まれました(笑。
はじめてにして、よくこれだけ自然描写を盛り込めましたね。心地よかったです。

「だれ?」とお互いに聞き合うのとか、「だからわたしは、その人を絵描きさんと呼ぶことにした」、「何かの色に、似ているような気がして」、こういう表現もいいなと思いました。

正直に言うと、悪いところもいっぱいありました。はじめての作品ですから、それはしょうがないと思いますが。たとえばですが、
「その向こうに何があるのか、わたしは知らない」と書きながら、「久しぶりに、森の向こう側へやってきたのは」とあります。ここでは「久しぶりに」とは書けないように思います。前の文から読者は一度も訪れたことがないのだなと思うからです。「その向こうに何があるのか、わたしは知らない」の一文を修正されてはいかがでしょうか。

「秋」の抽斗があるようですね。これは素敵な表現です。パネルにでも葉を集めているのでしょうか。「春」や「夏」や「冬」の抽斗もあることでしょうから、もっと触れても良かったかもしれません。もし集めている葉に「意味」を持たせるなら、街へ帰る際の、通行券になるとかでしょうか。よくは分かりませんが、ただ、鳩を使ってまでやり取りしているわけですから、何か意味を持たせる必要があるかもしれません。

「わたしもその人にならってこう答えた」なども「わたしもその人にならって名乗らずに答えた」とかでしょうか。その人にならってとはどういうことだろう、と止まってしまいました。

「ひとつしかなかったんだ。お祭りの日に……でも手を離して……赤い風船だったんだ。……どうして泣いてるの?」
 わたしは、涙を拭うこともせずに、キャンバスに拙い筆致で描かれた夕暮れの空と、そこに浮かんだ赤色の風船を見つめた。
「……どうして?」
 わたしは訊ねた。
ここは少し流れが悪いように思いました。?に対し?が続いていますね。

子供たちが何故親元を離れ、Gといった番号で呼ばれているのか、その疑問が残りはしましたが、いずれにしましても素敵なご作品、ありがとうございました。
総レス数 4  合計 60

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