魂の捕食者【改稿2回目】 |
世界は形を変えた。 栄枯盛衰、どれだけ繁栄しようともいずれは衰える。 ルスト大陸と呼ばれるその大陸には4つの巨大な国家がかつてあった。 通商国家エンフィル、豊穣国家タンタイル、宗教国家ユニテス、そして戦闘国家ヴァルフレイム。 それぞれの国王が幾多の戦争の果て、4っつの特色を持った国へと分け、そして互いに利益を分かち合うことで、長らく人の栄華を極めていた。技術は発達し医療の発達が人口を爆発的に増やす。 だがそれはかつての事。 それは武を司る国、戦闘国家ヴァルフレイムで起こった。 その国は武を特色とするが故、各国の治安を取り締まり、また荒事の解決に繰り出される国。そんな屈強な国が滅び去る。 どこからともなく現れた異形の存在。 それは、ヴァルフレイムへと攻め込むと、一夜にして征服してしまった。 その生物は金属のような光沢を放ち鉄以上の硬度を持つ事から、いつしかそれはアダマスと呼ばれた。 武を売る国は消え、人は恐怖し、狩られゆくうち人は瞬く間に数を減らす。 ヴァルフレイムが滅びてより8年 残る三つの大国が一つ。豊穣国家タンタイルから物語は始まる。 ※ 炎が舞い散る。 火事、と言うには生ぬるい。 全てを埋め尽くすかの様な豪炎が迸り、全てを焼き尽くしていた。 触れるもの全てを呑込んでしまうかのようなそれは、夜の闇を照らし、赤と黒のコントラストを作り上げ、灰は舞い飛び、黒煙が赤黒い空へと登っていく。 それは大地全てを焦土と化してしまうのではないか、そう思われる程。 建物が燃え焼け落ちる。 車の燃料に火が引火し、次々と爆発音が辺りに響き渡る。 そこにあるもの全てを燃やし尽くし。 そこにある命全てを燃やし尽くし。 聖者も愚者も、まるで等しく塵へと変える。 その烈火の隙間。 かつては大きな広場であったでろうそこに一人…… 赤の炎に照らされ、燃えさかる轟音を耳に、血だらけになりながらも少年が膝を折り、天を見上げていた。 その猛火による恐怖以上に、少年を塗りつぶしている感情があるのだろうか。 全てが終わってしまったかのように、全てを失ったかのように、声にならない嗚咽を漏らしていた。 少年が膝をつくそこは地ではなかった。 骸。 如何ほどの骸が重なればそこまで高く積み上がるのか、屍の山、そこを中心に、血溜まりが徐々に広がる。赤く、赤く。それは広がっていく。 少年の腕の中には一人の少女。 爆風に揺られ長く白い髪がなびいていた。 だがその手はだらりと、力なく投げ出され、動く様子はない。 かつては煌びやかであったであろう、その純白のドレスや艶やかな白髪は所どころ黒く煤け、そして赤で染め上げれている。 煉獄。 罪人が死出の旅路の果てに受けるとされる浄火の世界。まるで現世へと顕現したかのような赤と黒の世界でたった一人。 その場で嗚咽を漏らす少年を置き去りに。その国は姿を消したのだった。 ※ 「――っ!」 ブラインドが日差しを隠している。 薄暗くなったその部屋で、男が眼を見開くと同時、跳ねるようにして起きた。 ――またあの夢か…… 息は荒く、シーツに触れるとしっとりと濡れていた。 体もじっとりと汗ばみ、服を来ていれば張り付いていただろう。 失った水分故か、唇はがさがさと乾き、体が喉を潤せと命令してくる。 ドクドクと耳障りになる程の鼓動を聞きながら、男はベッドから抜け出る。 ゆっくりとした足取りでテーブルまで歩くと、そこにある水差しを手に取り、直接一息に飲み干した。 深く呼吸し男は自らの右手の甲を見ていると、 「k」 高く、美しい声で背後から名を呼ばれ、振り向いた。 「……フィリア」 kが寝ていたベッドの脇にある椅子。そこにひっそりと佇んでいた少女と眼が合う。 kの持つ灰色の髪と違いその少女の真っ白な髪は、その薄暗い部屋でも目立つ。 透き通るような肌にこの世の者とは思えない程の美貌、未だ成熟しきってはいないが、その体は後数年もすれば女でさえ魅了される程であろうか。 もし笑顔でも見せようものなら、ほぼ間違いなく世の男を虜にするであろうが―― 「どうしたの?」 じっと眼を見ていると首を横に倒し言葉を告げてくる。 「何でもない……飯でも食いに行くか」 右手の甲を左手で摩り、首を横に傾け、骨を鳴らしながらkが尋ねた。 フィリアは言葉も表情も無くただ頷く。 ――kは知っている。その少女が笑顔になる事はないと。名を呼ばれた時も綺麗ではあるが抑揚のない平坦な声。まるで人形。そう形容するのが相応しいであろう。 あるいは、人形のようなそれが神秘的な美貌を放っているのかもな。そうkは考えながら、フィリアを連れ食堂へと向かった。 ルスト大陸の南方に位置する豊穣国家タンタイル。ここは食料生産を主な特色としており、国土は広い。技術の発達した今でも自然が多く残り、郊外へと出れば農地や植林が広がり、国民もおおらかな者が多い。 高層ビルの建ち並び化石燃料を積んだ乗り物が跋扈する通商国家エンフィルとは全く違う、澄んだ空気に、緑が映る視界が新鮮であった。 バイクを駆り比較的低速で走らせるkの眼には様々な木々や人の笑顔が写り、kの心を解きほぐしていく。 ――ここに来て良かったかもな。 僅かに後ろを見てみるとフィリアの白髪が風に棚引き視界に映る。恐らく無表情を崩してはいないだろうが、この光景を楽しんで貰えていればいい。そう一人想いながらバイクを走らせていた。 バイクを降り、食堂へとたどり着いたkとフィリア。 食堂は人でごった返しになっていた。 お昼時のこの時間、飲食店で最も忙しいその時間帯である。 その場は人が押し寄せ、騒がしい様相を作り上げていた。 「あぁ先生! 飯かい?」 店を切り盛りする女将が、テーブルに着くなり声を掛けてきた。 「えぇ、お願いします、おすすめを二つ、フィリアもそれでいいですか?」 コクンとフィリアが頷くと、女将が顔を綻ばせる。 「腕に料理をかけて作りますよ、うちの娘を救ってくれた恩人ですからね」 「その後の経過はどうですか?」 「日に日に元気になってますよ。ヴァルフレイムが滅んでしまった今は医者を探すのも大変ですからね。先生がこの町にこなかったら娘も助かりませんでしたよ」 滅んだヴァルフレイムは武を司っていた国、ともすれば死に直面するがゆえ、医療の発達した国でもあった。その国が滅んだ今、武人も医者も数が少なく貴重となっていた。 「それにしても、どうしてこうなっちまったんでしょうね」 やるせないと表情に表し、女将は僅かに哀愁を漂わせる。 「アダマス教でしたかね、ヴァルフレイム亡き今、治安が悪くなってしまうのは仕方がない事かもしれません 治安維持に人材を派遣してきたヴァルフレイムは滅び、アダマスにより絶望の世界へと色を変えた、中には破滅論を唱え、アダマスを終焉の使者として崇拝する者もいる。 彼らはアダマス教と呼ばれ、世界の終焉を説く集団。だが宗教国家ユニテスが認可した正式な宗教団体ではなく、無法者の集団と言う認識ではあるが。 「そうだ! 先生! 娘が回復したら嫁に貰ってくれませんか?」 ぽつんと騒騒しい食堂の中、重くなりかけた空気を払うように女将が声を高くし、笑顔で告げたきた。 始まったかとkは苦笑した、ここ最近は顔を見る度に言われてる気がする。 「いえ、結婚するつもりはないですから。それに……」 「それに?」 何を期待しているのだろう、女将は身を乗り出しkへと迫る。 「まだ10歳ですよね?」 「先生だってまだ20歳程だろう? 大丈夫、後8年もすれば結婚できますよ。若い娘の方がいいでしょう?」 女将は押せ押せとばかりに言葉の嵐を浴びせてくる。 「残念ですが」 にこっと笑顔を向け、さらりと流す事にする。ここで多くを語れば、付けいれられる予感がひしひしとする 「そうですか、気が変わったらいつでも言ってください! それじゃあおすすめでしたね、あんた! おすすめ二つ!」 「あいよ」 騒騒しさに対抗するかのように声を張り上げ、オーダーを通すと別の客の方へと歩み去って行った。 嘆息を一つ。恒例のやりとりとなりつつある『お断り』を終え、kがフィリアを見ると視線がぶつかる。 そこに表情は無い、眼にもどこにも感情は表れていない、だがじっとkの眼から視線を離さず、 「ロリコン?」 辛辣な言葉が紡がれた。 「いや、違うぞ。まて、今までのやりとりのどこをどう取ってもそれは違うだろう」 「幼女趣味?」 「言葉変えただけだからなそれ」 聞いているのかいないのか、視線をふっと逸らし、フィリアが自分の体を見る。 「子供には戻れない」 「だから、違うというに、それ決定って事で話し進めてるよな、違うからな」 右手の甲を摩りながら、ため息を一つ。 さも億劫そうに言葉を漏らすその姿は、傍から見れば痴話喧嘩にでも見えたのだろうか、くすくすと声をひそめた笑い声が聞こえてきた。 声のする方を見ると二人の女性、その内笑うのを堪えていた少女と眼が合った。 「あ、ごめんなさい」 隣で笑っていなかった方の少女が、さも申し訳なさそうに頭をぺこりと下げる。 「ほら、姉さんもあやまって」 「え、うん、ごめんごめん」 気安い言葉と共に手を上げ、笑顔を貼付けたまま謝られた。 「ええ、構いません、ですがロリコンではありません。寧ろ私は巨乳派ですんで」 後半をかなり強調して釘を刺す。変な噂が広まるのは困る。kは流れの医者としてここに滞在している。 そんなものが広まれば立ち所に狙われる。 つまり、いつ第二第三の幼女と結婚させて唾を付けて、専属医を確保しようと画策するありがたい親が現れるか知れない。 「うんうん、分かったよ。ロリ巨乳が好きなんだね」 「ロリをお取りください」 真摯な眼でそう告げる、別に巨乳好きというのは広まっても良い。 「もう姉さんたら、ほんとうにごめんなさい。私はメイアです、こっちは姉のレイア。昨日この街に到着したんです」 双子なのだろうよく似ているが、活発そうなつり目にショートカットにした方がレイア、逆に目尻が下がり髪をロングに伸ばした方がメイア。性格が眼や髪型に現れているのだろう。 「私はk、流れの医者です。こっちはフィリアです」 フィリアは紹介を受けても視線をレイア達に向けるだけ。先に言っておく方が良いとkが続ける。 「この子は少々感情を面に出すのが苦手でしてね、申し訳ない」 「いいよいいよ、ってか医者なのに白衣じゃなくて黒衣なんだ? まぁ信じてあげる。ねぇそっちで一緒に食べてもいい? この街の事も知りたいし教えてよ」 気安い問いに、「ちょっと姉さん」と、メイアが窘めるもレイアは軽く流してる。許可を取る前に二人とも既に隣に座ってきたのだが…… 「ええ、構いませんよ。フィリアも良いですか?」 ただフィリアは頷くばかりである。 四人の元へと料理が運ばれ、食事を摂りながら話す 「kさん達は前からこの町に?」 レイアがパンを手でちぎっては口に運び、尋ねてくる。口をもぐもぐとさせながら話すその様子に、メイアが「はしたないですよ姉さん」等と言ってるが気にしていないようだ。 「二週間位前からですね」 「そっか〜どうしてこの街へ?」 「この国は他国と比べてまだ戦争ムードでも無いですからね。のんびりするには丁度良いかと思いまして。他の国はヴァルフレイム人への扱いが酷いですから」 メイアがその声に反応しkを見る。ほんの僅かだが感情を揺らしているようにも見える。 「医者だし、やっぱり……」 「ええ、私も生き残りですよ」 戦闘国家ヴァルフレイムは滅びたが、他国へと派遣されていた者達は生きている。滅び去ったとはいえアダマスに対抗できるのは今の所ヴァルフレイム人だけだ。唯一対抗できるヴァルフレイム人を前線に配置しない分けはない。 ここ豊穣国家タンタイルにある、ベラニアス街は北方の雪国である魔都ヴァルフレイムから最も遠い。 その為、ヴァルフレイムに隣接する宗教国家ユニテスが軍を配備し、聖戦と称し抗戦するに対し、この国は後方から食料物資の支援を行っている。 「そっか、先生は……先生は抗戦に参加しないの?」 kの言葉を受け、何故かレイラは顔を俯ける。食事の手も止め言葉には戸惑いが。 「えぇ、ヴァルフレイム人とはいえ参加は一応自由意志ですからね」 一応とは言うが建前である、宗教国家ユニテスからのその招集はほぼ強制とも言える。滅んで以降ヴァルフレイム人を支援して来たのは宗教国家ユニテスであるのもその原因の一つであろう。無論あくまで民間には自由意志で集まったと喧伝されてはいたが…… そんな中、kのようにヴァルフレイム人を見かける事は殆どない。 「でも……ヴァルフレイムの人は戦う力があるのに… 「姉さん」 僅かに大きく、責めるような顔となったレイラを、メイアがそれよりも大きな声で止めた。 「あ、……うん。ごめん」 「ごめんなさいkさん」 「いえ、構いませんよ。ヴァルフレイム人の殆どは参加しているみたいですからね。私が腰抜けと言うことです」 「でも医療に長けた人がいなくなるのは困りますから。kさんのその判断は間違ってないと思いますよ」 メイアが慰めるように擁護した。戦うだけがヴァルフレイム人の道ではないと。 「そういって貰えるとありがたいですね」 ぽつりとkがそう言うと、皆が食事に戻り、雑談へと変わった。食事を終えるとkが立ち上がり、それにフィリアも続く。 「それでは、私は往診に行きます。もし何か相談があれば宿屋テンダーまで尋ねて貰えれば私と連絡がつきますので」 そう言い残し、二人は食堂を出て、患者の元へと歩く。 「k、あの二人」 ぼそりと隣を歩くフィリアが口を開いた。 「ああ、分かってる。だから連絡が取れるように宿を教えておいた。どうなるかは分からないが、念の為な」 それっきり二人は口を閉ざし、その後で、共に患者の元へと向かった。 数日の間、何事も無く、平穏な時間が過ぎ去る。 「それで先生、この月光草をオリーブオイルの中に漬け込んでおけばいいのですね?」 何事も、というのは語弊なのかもしれない。こうしてメイアが、簡単な薬の作り方を教わりに来るようになったからだ。 「ええ、そうです。およそ二週間程漬け込んで日光に当てておけば、花は傷薬に、根は鎮静剤に使えるようになります。医療物資が滞ってしまう今、こうして薬学を覚えておくのも大事な事です」 流通を司る通商国家エンフィルにより、医療物資は規制されている、特に医療物資などは前線の生命線でもある為、前線から遠いこの国には僅かな量しか入らず、その細い流通量から販売金額も高騰。一般の者にはとても常備できない金額となっている。 それはさておき、メイアは出会った当日、双子少女達は同じ宿を取ったのか、早速とばかりに目の前に現れた。 『姉さんが無茶をするから』 と言って薬の作り方を請われ、時間の空いた時にはこうしてkは指導していた。 k自身、特に悪い気持ちはなく、純粋に医術の心得を持ったものが増える事は良い、と自分の技術を少しずつ与えている。 「先生! 大変だ!」 バンっとメイアに付きあっていたkと、その場で無言で佇んでいたフィリアの部屋へと、男が勢いよく飛び込んできた。 「どうしましたか?」 「街の中で銃撃戦が起こった。怪我人が出てるって! 走ったのか、荒い呼吸で男が告げる。 ――アダマス教徒の暴動か…… 「怪我人の場所を教えてください。フィリア、行きますよ」 kが医療道具の鞄を掴むと部屋の片隅に立てかけてあった長剣を手に取り述べた。 「先生も戦うんですか?」 剣を持つ姿を見てメイアが心配そうに口を開いた。 「いえ、ただの自衛の為ですよ、それより行きましょう」 メイアを置いて外を出ようとすると、 「私も行きます」 じっとメイアの顔を見るとその真剣な気持ちが伝わる。 「分かりました、準備してください」 案内を頼みます、そう男へ告げ。車で先導して貰い、バイクで現場へと向かう。 ※ 案内された場所にあったのは、悲痛な光景であった アダマス教徒に襲われ、腕や足を失った者達。臓器が零れ落ちてしまっている者達、そこにはむせ返るような血のにおいが充満し、痛みに絶える呻き声で溢れている。 「先生!」 振り向かずにkが答えてきた。 「メイアさん、これを患者さん達の腕に巻いてください」 kが鞄から色の違う紐の束を取り出すと、メイアとフィアナに渡して続ける。 「赤い紐をすぐにでも診察しないと行けない方へ、黄色はすぐでなくとも構わない方、子供へ。緑は軽傷の方へ」 「紫の色もあるようですが?」 「それは助からない者へです」 「それは――」 「話しは後で聞く。今は時間が惜しい、すぐに動け」 「は……はい!」 少々普段と違う口調と冷淡な声で告げられ、びくりと身を硬直させると動き出した。フィアナは手慣れた事なのか紐を渡されてすぐに動き出している。 さながら戦場の医療所の様に、数多くの人が怪我で横たわる。聞こえる呻き声や泣き叫ぶ声が、メイアの胸を突く。 できる事をしなくちゃ。 そう自分へと言い聞かせて順次手当たり次第に紐を付けていく。 「終わりましたkさん」 メイアは赤い紐を付けられた男を治療するkへと尋ねる。kは呻く男に対してただ平然とまでいえる程落ち着き手早く治療している。うろたえる事も無く、悲しむ様子でも無く、ただ淡々と行っている。そしてその無感情さが治療の速さに繋がるのだろうか。 「バイクに積んである消毒用のアルコールをもってきてください、恐らく足りる筈です」 体の欠損の酷い赤の紐が付けられた者達に、針を刺しながらkが答える。 「止血と麻酔の魂勁を込めてあります直に血が止りますがそれまでは動かないように」 手足を失った者達が荒い息をつきながらこくこくと頷く。その光景にメイアは目を背けたくなる。 だがkは何事も無く続けている姿を見て、すぐにメイアも動く。 言われた通り消毒液を渡し、手早く赤い紐を付けた者を治療し終えるとkが告げて来た。 「戻っていてください、ここから先は見ない方がいい 「いえ……最後までいます」 あまりの光景に逃げ出したい。そういう気持ちもあったが最後までここに居たかった。 そうですか。そうkが言うと紫の紐を付けた男の前で膝を折り、尋ねた。 「残念ですがあなたは助かりません。遺言があるなら聞き届けます。止めが必要なら言ってください」 同情的にではない、ただそれが事実です、そう言わんばかりにkが口を開く。 尋ねられた男は既に理解していたのか、血を失い青い顔で、荒い呼気を呑込み、途切れ途切れに最後の言葉を発する。 「……妻に……ソアラに、愛してると……伝えてください。止めを……楽にしてください……」 その声は震えていた。 「……分かりました、必ず伝えます」 抑揚の無い声でkが懐から黒針を取り出すと針が青白く光る。 ヴァルフレイム人が持つ魂勁の光り。 男をいたわるように微弱な光りが発せられ、首筋からその薄く光る針を通す。最後にびくり、と体を痙攣させ妻への想いを告げた男は事切れた。 その光景はメイアの前で繰り返される、一人、二人とkが止めを刺して行く。メイアがその光景を見て口を両手で覆う。言葉にできぬ感情が、寂寥が、胸に積もっていくのだ。 自然と頬から雫が伝うメイアと違い、kは感情を動かさず泰然と止めを刺す役割をこなしている。 どれだけ悲壮な経験をすればそうなるのか、メイアには分からなかった。 「大丈夫ですか?」 全員の治療を終えkが気遣うようにそう尋ねてきた 「大丈夫です。でも――」 先の言葉を続ける事はできなかった。 「k」 傍に立つフィリアがkを呼び止める。 「どうした?」 「来る」 傍で聞くメイアには何の事か分からない。 「フィリア、数は?」 「13人」 「ヴァルフレイム人は?」 「内三人」 「方角は?」 「固まって北の方角から」 「到達までの時間は?」 「10分」 端的に二人が現状を把握して行く。 「あの……どうしたんですか?」 ※ 「アダマス教徒が来ます」 パニックを起こさないように静かに落ち着いた声でkが話した。 メイアはしばし硬直し、暫くの沈黙の後、声を漏らす。 「ど……どうしたら……すぐに逃げないと」 武装したアダマス教徒が再びここにこれば治療した者達が餌食になるだろう。 「まだ動けない人も多いのに……」 メイアが患者達を見ながら悲しそうに告げる。 「一先ずこちらの方角から来ます。避難させる時間は足りません。フィリアと共に後方へと控えてください」 kが腰に差した長剣を抜くとこれから来るであろう方角を指さす。 「でも……一人で対抗するなんて……」 「ですが、他に方法はありません、どうやらヴァルフレイム人も混じっています、他の者では対処できないでしょう、安心してください。これでも腕に覚えはあります」 kが安心させるように落ち着いた声で告げた。相手はヴァルフレイム人、患者の銃創を見る限り、他の者も銃器で武装している。 尚も不安な顔をするメイアの頭を撫で、努めて穏やか声で微笑を浮かべ、後方へ控えるように促す。 一人患者達の前に立つと長剣に魂勁を込める。決して質の良くないその剣身から青白い輝きが生まれ、切れ味を限界まで引き上げる。それと同時体には魄勁(はくけい)を漲らせ、身体能力を極限まで引き上げる。 やがて、街の片隅から目の前には武装した集団が現れる、その手に食料を奪ったのであろうか、荷物をぶら下げ皆腰には拳銃を帯びている。その内先頭を歩くもの剣を握っている。その両翼に控えるものも槍を握る、その武器は刃渡りが黒光りしていた。 ――前線から逃げだした者か…… その黒光りする武器はアダマスを倒す為の武器。 アダマスは鉄以上の体を持つ。そしてそれを倒す事が出来るのは今の所ヴァルフレイム人のみ、だがそれにも条件がある。アダマントと呼ばれる希少な鉱石を使った武器を使い、魂勁を込めなければならない。魂勁との親和性が高くその力を何倍にも高め、それでようやくアダマスを倒す事が出来るのだ。それゆえ、その生物はアダマスと名付けられている。 そしてその武器は通商国家エンフィルが管理している、必然前線へと配置されるヴァルフレイム人へと渡されるものである。それを持つと言うことは前線から逃げてきたと言うこと。 「なんだ? 治療されてるじゃないか」 先頭を歩く剣を持つ男が口を開く。 「あぁ、俺が治療した」 「へぇ、お前さんもヴァルフレイム人か、ありがたいな、まだ肉を切る楽しみが増えた」 男はさも楽しそうに告げてきた。 「お、しかも今度は上玉もいるじゃないか」 kの後方、恐らくフィリアとメイアの事であろう。男がkの後ろを見ながら歪んだ笑みを浮かべ舌なめずりした。 恐らく、女を犯す事でも想像しているのだろう、だが。 「悪いが想像通りにはさせんよ」 例え想像の中でも無垢な二人を汚す姿を想像して欲しくはなかった。 「へぇ、医者が武術家に勝てるとでも? それにお前の剣、どこにでもある平凡な剣だろう?」 魂魄の力を武術に注いできたものに、医療に力を注いで来た者が勝てる筈がない。それを知る男が笑みを深くする。 「やってみれば分かるだろう」 付きあう気などさらさらない、結果を見せれば良いとkがおざなりに返した。 「そりゃそうだ、お前ら、やれ」 ※ 後方に控えた男達が銃を発砲しようと引き金に手をやる。 瞬間男の一人が凍り付く。 「なっ!」 それもその筈、今し方遠くにいた平凡な剣を持つ男が目の前に現れたのだから。 焦った男が銃を持つ男が引き金を引く。 だが轟音と共に鉄の塊を吹き出す筈の銃からは何も起こらない。 何が? 手元を見る。 そこには有るはずのものがなかった。 銃が無い。 いや、それよりも重要な事があった。 二の腕から先、両手で構えていた筈の腕が無くなっており断面からは血が吹き上がっている。 『そこに有るべき』腕が無いという視界の情報と、理解の齟齬が、男を卒倒させた。 景色が歪み、何処か現実離れしたように白い靄が掛かった視界の中で、剣を持つ男が横薙ぎに剣を振った。 それが男の視界に映った最後の光景であった。 ※ 「何してる! 撃て!」 全てが凍り付いた世界をその声が壊した。 平凡な剣を手にもつ男が一瞬にして集団の中に踊り出たと思えば瞬く間に一人が切り伏せられた。その光景に呆然としていたのだ。 銃声が辺りに轟く、たった一人の男を狙って何度も銃声が響き発砲し、その反動を利用して装填される弾を銃がはき出し続ける。 「がっ!」 だが狙い澄ましたその先に男は居ない、そればかりか刻一刻と切り伏せられ、やがて絶え間なく鳴り響いていた銃声の激しいリズムが単発的になっていく。 時間にして1分あっただろうか。 「後はお前だけだな」 血の滴る剣をだらりと下げ、しかしその顔には血の一滴もついていない。黒いその服には血がついたかどうか判断できなかった。 「何者だお前?」 先ほどまで口元を歪め笑んでいた男が口元をひくつかせながら告げる。 「どうでもいいだろう? すぐに何も考えられなくなる」 ゆっくりとした足取りでkが男の元へと歩む。 「なぁ、見逃してくれよ。そうだ! お前の力があれば好きにし放題だぜ! 俺に任せろ、お前に金でも女でも好きに与えてやれる」 まるで男の懇願を聞いて居ないかのように何の感情も揺らさずkは歩みを続ける。 「そんなものはいらない、欲しいのは魂だがな、だがお前のは使い物にならん」 冷たく言葉を吐き捨て、kが剣を袈裟切りに振った ※ 「いや良かった。なんとか対処できましたね」 うぉっほんと咳払いを一つ入れ、取り繕ったようにそういった。 力を見せる事に忌避は無いが、ヴァルフレイム人を含む集団を一人で圧倒してみせたのだ。ともすれば前線へ行くように説得する者も出ててくる為内心警戒をしていた。 そのため、少々彼女達の反応を伺う必要があった。場合によればこの街を去る算段もつけつつ。 見ればメイアが熱の籠もった目でkを見ている。 「け……怪我はありませんか?」 視線に気がついたメイアがはっと我に返り、告げた。 先ほどまで一人銃弾の嵐に身を身を投じていたのだ、心配にもなるだろう。 「えぇ、大丈夫です。皆さんに危険は無くなったと伝えてください。申し訳ないですが、私は先に宿へと帰らせて貰います」 追求される前にとフィアナを連れ、先に帰路へとついた。 「にしても、面倒な事になるかもな」 宿に戻り、ブラインドのかかる薄暗い部屋の中、服を脱ぎながらフィアナへとkが尋ねた。まともに答えが返ってこないであろうことなのでそれは独白のようなものなのだが。 「k」 「なんだ?」 呼びかけられkがフィリアを見る。 「迷ってる?」 ――隠し事はできないな。 一人kはそう考えながらも口を開く。 「迷ってなんかないさ」 だがkが紡ぐ言葉は想いとは違った。 「魂が揺らいでる」 「……今更止められん、既に多くの命を費やしてきた」 ぐっと右拳を握り締め胸に、左手でその甲に触れた 「kさん! さっきのって!」 バン!っと勢いよく扉が開かれる。本日二度目である。 しかも今度はあまり良くないタイミングだ。 声の主であるメイアへと振り向く。 「あ……ごめんなさい……着替え中でした?」 「いえ、大丈夫ですよ目に毒でしたかね? すみません」 「いえ、すみません……その体……あまり見られたくなかったんじゃ……」 「個人的には何も」 メイアの申し訳なさそうな声に気にするなと言葉を返した。 何に対してか、kには分かっている。背中には大きな火傷の跡。そればかりか、体には無数の傷痕がある。明らかに遠目で分かる程の巨大な傷もあり、それが凄惨な過去でも想像させてしまうのだろう。見たものはほぼ同様の反応をするのだからkにも経験的に分かる。 「本当に気にしないでください。そうですね、これは訓練の結果です」 当たらずとも遠からず。ある意味では真実でもある言葉をkは告げる。 「そ……そうなんですね。でも訓練でそこまでの怪我って……」 「そうですね。だからこそ多少の荒事は問題ない程度にはなりました。先ほどのように」 先の事を追求しに来たのであろう、だからこそ、この流れに乗って有耶無耶にしておきたかった。そもそも魂魄勁の容量は努力によって増加するものではない。ないが、それを知るのは同じヴァルフレイム人か一部の者だけだ。なら努力で強くなったのが全て。そういう事にしておきたかった。 「そっか……そうですね。あんなに強いですもん。それだけ努力されてきたんですよね。……kさん!」 「なんですか?」 「命を助けて貰ってありがとうございます」 「礼なんて入らない」 思わず地がでてしまったが、幸いメイアは気がつかなかったようだ。 「いえ、私が言いたかっただけですから、それじゃあ……また明日」 「えぇ……また明日」 少々顔を赤く上気させたメイアが名残惜しそうにも部屋を出て行った。 そのメイアの上気した顔を思い出すとkの胸が締め付けられた。 「フィアナ」 「何?」 相変わらずフィアナは無感情にただ言葉を返す。 「後、どれだけの命を費やせば良いんだろうな」 ぼそりと心の隙間から弱音がでた。 「分からない」 ともすれば突き放すように、無感情に平坦なその声。 それがkには嬉しかった。彼女の言葉が僅かに空いた心の隙間を凍て付かせ、kは前を向く。 「そうだな」 そう短い言葉を返し。ベッドへと入り眠った。 ※ 「ちょっとぉおおおおおおお!」 朝の目覚ましにしてはやけに五月蠅い。 感情的なその言葉と共に、身を押しつぶすような突然の重圧でkは目を覚ます事となる。 見ればベッドの上で、レイアが憤然とした剣幕で踏みつけていた。目覚めとして最悪だ。 「なんだ……?」 目覚めのあまり宜しく無いkは普段の丁寧な言葉すら使わず叩き起こした張本人であるレイアを睨みながら尋ねた。 「あんた! うちの妹に手を出したでしょ! 言ってみ? 言ってみ〜! お姉さん怒らないから!」 お姉さんとは言っても双子のメイア共々、kよりも歳下の筈であり、既に怒っているように見えるのだが。 「何もしてない…」 「嘘おっしゃい! じゃなきゃメイアがあんなことに成るわけないでしょ!」 「あんな事?」 寝起きからレイアのハイテンションをかまされて、やや辟易しながらも律儀に聞いてやる。 「そうよ! あの子ったら昨日ふらふらと部屋に戻って来たと思ったらぼーっとしたり赤くなったりして! しかも突然一人、『kさん……』なんてため息交じりにあんたの名前を呼ぶのよ! これはあんたが妹にちょっかいだしたとしか考えられないわ!」 右手の甲に左手で触れる。一つ嘆息を入れた後、答えた。 「本当に何もしていない。昨日はアダマスの一件で街が騒いでただろう? その時一緒に治療に当たっていただけだ」 「ほんと!?」 「本当だ、フィリアに聞いて見ろ」 むむむぅ!と眉間に皺をよせ、kと鼻がぶつかる程近づき睨み尽くした後、ぱっとフィリアの方を見てレイアが同様の質問をした。 「kはロリコンなので手を出すことは考えられません」 「あ、そっか〜」 一人は納得するも。 「おい、人聞きの悪い事を言うな」 今度はkが声を荒げる番だった。 だが相変わらず無表情で平坦な声だが、幾分不機嫌そうな気がするのはkの気のせいだろうか。 「まぁいいや。取りあえず助けてくれたって話しだよね。そっちは感謝しとくわ」 そういって部屋の外へと歩き出し出て行った。 「あ、そうそう、あんた素の口調の方がいいよ」 ひょこっと出て行ったドアの片隅から顔を覗かせると、にたりとした顔でからかうように告げられた。 「早くいけ」 それだけ言うとはいはい、と言って今度こそ立ち去って言ったのだろう、階段を下りる音が聞こえてきた。 ズボンのポケットから懐中時計を取り出すと時間を確認する。ガラスの中心にヒビが入っていた。。 「どんな時間に起こしに来てるんだよあいつ」 ぼそっと5を示す数字に短針があるのを確認し、朝の運動でもしてくるか、と長剣を持って外へと向かうのだった。 ※ 「ふっ!」 まるで無駄を排除し尽くしたかのような動きで、kが剣を振る。四方八方。やたらと別の場所を切りつけるのは多対一の想定なのだろうか。 ――ふ〜ん、ただの医者じゃないと思ってたけどヴァルフレイム人の中でもかなり強い方なのかな? そもそもkって名前も偽名だよね。ほんと何者なんだろう? kが剣をもって外に出て行くのを見るとこっそり後を付けて来たわけだが、その剣を振る訓練風景には少々驚かされた。レイアはヴァルフレイム人の事を多少知っていたが、体の動きが霞む程素早く動ける者はしらない。魄勁の量がよほど多いのだろうかとは思うがそれがどれほどの量なのかは分からなかった。 そもそもヴァルフレイム人が扱う魂魄勁と言うものが何なのかすらきちんと解明されたものではない。 宗教国家ユニテスの神父が説くにはこの世を作ったと言われている4柱が一つ、闘神ヴァルガスが授けた魂の力と言われているが眉唾物だ。 そして、その力は後天的ではなく、先天的なものである事は分かっている。だから戦闘国家ヴァルフレイムが滅びた今、その能力を持ったものは少ない。10000分の1もいないであろう。恐らく人口でいえば数千人。 それがアダマスに抗える人類の戦力。 さらに先の者のように前線から逃げ出すヴァルフレイム人もいる為、さらに少ないであろうか。 噂では、血筋としてヴァルフレイム人の血が混ざる者を集め、能力開発を行う機関すらあるらしいが、成功したという話しも特には耳に挟まない。 そして激化した前線に、ほぼ全てのヴァルフレイム人が配備されつつある今。ヴァルフレイム人を見る事も少なくなった。 そんな対抗できる人間すら少ない絶望の世界。そんな中で皆生きているのだ。それでも皆必至になり、そして時には笑う。 「それで、私の訓練風景をみて楽しいのですか?」 内に籠もった意識をそんな言葉が引き戻した。 と言うより、こっそり見ていたのにあっさりとばれていた事にびっくりし、それをおくびにも出さないようレイアは戯けた。 「あらん、さっきは情熱的な口調だったのにまたそんな冷めた口調なの?」 身をくねらせて努めて戯けてみたつもりだ。 「堂々とみるなら兎も角、隠れて見るのはあまり趣味が良いとは言えませんよ」 「ぐっ!」 何も言えなかった。 「と言うよりここ最近訓練をする時はいつも見ているような気がしますが」 「そ……そうよ悪かったわね」 「悪いと思ってるのなら理由を聞いても?」 「な……なんのよ!」 「私を見て時折悲しそうな顔を向ける訳をです」 鈍そうに見えていたけどしっかりばれていたのね、とレイアは驚いた。 ――正直に言うべきか…… だが言った所で減るものではない、それに自分達への今までの対応から信頼できる男だとは思う。 「……あなたがヴァルフレイム人で、力を持ってる……からかな……」 だから正直に話す事にした。声には意識せずとも悲しい声音が響く。 そして普段の彼女とは違うその雰囲気が漏れ出る、素になった彼女から時折現れていた気品が感じられた。 「復讐……ですか?」 「そう」 思っていたよりこの男は鋭いらしい。目を細め冷然とした声音でそう尋ねてきた。 「私とメイアはね、アテアの司教の家系だったのよ」 「アテアと言うと宗教国家ユニテスにあった属国でしたか?」 宗教国家ユニテスはいくつかの国が集まった連合国である。国全体を統治する大司教の下、各属国にある教会で選ばれた司祭が各国を統治している。 「そうよ」 「たしか――」 「ええ、滅んだわ、ヴァルフレイムの隣国だった私達の国はあなた達の国が滅んだ後に攻め込まれ抵抗する間も無く陥落したわ」 kの続ける声を遮り、思い出すかのように空を見ながらぼそぼそと語り出した。 ヴァルフレイムが滅んでから8年。その後は一気呵成のようなアダマスの侵攻は無くなったが、徐々に世界は浸食されている。既にヴァルフレイムに面していた通商国家エンフィル、そして宗教国家ユニテスの半ば程は侵攻されていた。 ヴァルフレイムが4大大国であったとはいえ、その人口や国色から面積としては大きくなく、それ故の比較として侵攻が遅いとも意見はあるが。 それは兎も角、一度本音を吐露してしまえば止らない、止められなかった。 「私だって分かってるの、ヴァルフレイム人が悪いわけじゃないって、勝てなかったものはしょうが無いし、それでも前線で勝ち目の無い戦いをする人達もいるって!」 自傷めいた顔で瞳を揺らし、俯くレイア。 「私に力があれば……あなたみたいに力があれば……ただ逃げるだけじゃなくて……何かできたかもしれない。だから力を持ってるあなたが羨ましくて……」 悲しそうに告げるその声が気持ちの深さを伝える。 「もし、お前の命と引き替えに事を成せるなら、お前はどうしたい?」 ただの仮定の話、だがkの告げるその口調は重く響いた。 「そうね、アダマスを滅ぼしたいかな、だって、そうすればもう、私達みたいに悲しい想いをする人も居なくなる」 ふふ、っと力の無い笑顔をkに向ける。 「――っ」 「あ! 姉さん。kさん! 何してるの?」 kが何か続ける前にメイアによって遮られた。『kさん』の部分を大分強調しているような気はするが、 「いえ、訓練を見られてしまいましてね。少しお話してたんですよ」 いつもの穏やかな声音、いつもの表情でkがそれに答えた。 「私も訓練を見てもいいですか?」 妹は昨日の一件以来、kの事ばかりを考えているようだ。だが先ほどのあれはなんだったんだろうか。 「いえ、もう訓練も終えるつもりでしたから。そろそろ食事にせねば往診の時間がなくなります。行きましょうフィリア」 いつの間に隣に来ていたのだろうか、名を呼ばれるとフィリアが前に歩でてきてkと共に、食堂へと歩いていった。 ※ 警鐘が鳴る。 街全体に響き渡るように設置されたその大鐘の音は何か不測の事態が起こったと言う合図。 カァンと甲高いその音は夜にも関わらず何度も響き、眠るものを起こす為にも何度となく鳴らされている。 ――アダマスか…… 部屋の中で一人、正確には二人。鐘の音に慌てるでも無く、宿の部屋で明かりも付けずその音を聞いていた。 kは眼を閉じ一人考えていた。レイアとメイア、この街で出会った二人の少女を。 純真無垢と言える程、気持ちの真っ直ぐなメイア。 妹を助ける為か、わざと明るく元気そうに振る舞うレイア。 ――弱さを捨てろ…… ぐっと歯を食いしばり、kが眼を開ける。 その瞳には決意。 「フィリア、行くぞ」 コクンと頷くフィリアを連れkは宿を出た。 ※ メイアが居ない。 警鐘の音で飛び起きたレイアが真っ先に考えた事はそれであった。 「メイア!」 声を出して叫んでみるが反応は無い。 何かあった場合鳴らされる鐘、それはつまりアダマスに他ならない。 ――拙い、早く合流しないと…… 脳裏に妹の姿を思い浮かべ、メイアは準備もそこそこに服だけ着替えると部屋を飛び出る。 外では大勢の人が荷物を持ち走り去っている。皆必至なのだろう。 そして例の医者。kとフィリアがこちらを見ると歩いて来る。 「メイアを! メイアを見なかった!?」 必至に懇願する様子で悟ったのだろう。一瞬フィリアに目配せした後、kが落ち着かせるように、静かな声で話した。 「いえ、見ていませんね。シェルターかもしれません 「そう……お願い……メイアを探して欲しい……」 「分かりました」 kが即答してきた。 逃げなくていいのだろうか、そうは思うが、助力に感謝した。 「じゃ……じゃあ手分けして探して」 「分かりました、フィリアを連れていってください。フィリアが居ればお互いの位置も分かりますから」 「分かった」 提案を受け入れ、周囲の者に聞き込みを行っていく。だが手がかりは見つからないまま、ただ時間だけが過ぎていく。 (どうしたら……メイア……) 無情に時間が過ぎ、途方に暮れていた所にkが戻って来て口を開いた。 「メイアは!?」 首を横に振りkが口を開いた。 「何処にも居ませんでした。夜彼女の行きそうな所へ心辺りは?」 「そんな場所――」 あった。 「月光草」 思うと同時、ぽつりと自然と漏れた 「そうよ。月光草を何度か取りに行っていたわ」 月光草はその名の示す通り月夜に花を開かせる。その間に採取すれば傷薬や鎮痛剤として使えるようになるのだが。 「拙いですね。アダマスが迫ってきてる今助けられる術はないかも知れません」 「私……行くわ、kはありがとう……ここまででいいわ」 「場所は分かるのですか?」 「分からないけど探すしかないわ」 死ぬときは一緒に…… だがkから返ってきた言葉は予想を裏切るものであった。 「フィリア。探知を」 フィリアがその表情を映し出さない顔で頷くと、目を閉じ、祈るように両手を合わせる。すると白髪が薄く光りだす。夜の闇をフィリアの白い髪から発せられる輝きで、辺りが照らし出されている。 「な……何を?」 「フィリアは魂勁を使って周囲を探査できます。外にいる一人の魂位なら感知できます」 「k」 「分かったか?」 「北西の方角、門から300メルトル先。そのさらに先にアダマスの大群」 「数は?」 「フェイズ2が2432体、フェイズ3が1体」 「す……すぐ行かないと」 慌てて走りだそうとするものの、kに肩を掴まれ止められた。 「助けに行けばアダマスから逃げられません。二人とも死ぬ危険があります。フェイズ2が――」 「メイアを見捨ててなんていけない、もうたった一人の家族なのよ、だから行かせて」 レイアが振り向きkを見る。ここでお別れ、そう言ったつもりだ。 「分かった」 視線をさげ、間を置いた後、右手の甲を摩りながらkが答えた。 「どうしても助けたいのか?」 「当たり前よ」 「自らの命を捨ててでも?」 それで助けられるのなら。 「ええ」 「k、時間は無い」 フィリアの平坦な声に、kが分かっている。と答える。そして言葉を告げたkの右手の甲が突然光り出す。そこには奇妙な紋章が描かれていた。 その紋章の浮かび上がる右手でkがメイアの左胸へと手を置く。 こんな時に何を。 胸を掴まれその行動を非難しようと口を開く。 だが瞬間、身の内を削られるような痛みに襲われた。心臓を抉られるような。身の内を生きながら傷付けられたような激痛。 「レイア、これは契約だ」 痛みの余韻が残るなか、kが話し始めた。 ※ メイアは一人街の外で月光草を採取していた。 kに教わった傷薬と鎮痛剤の作成方法を教わり、こうしてたまに外に出ては採取しに来ていたのだ。月が輝き十分な明るさを醸しだし。採取するには十分な明かりだった。 何か街の方で音が聞こえるような気がしたがそれが警鐘だとは気がつかず尚も一人で採取を続けて居た。 「これだけあれば当分困らないよね」 額に浮いた汗を袖で拭き、一人姉を想い呟いた。 こうして月光草を集めるのはレイアの為だ、レイアは金を得る為に割の良い仕事を選ぶ傾向があるのだが少々危険な者が多い。森に入り動物を狩りに行くような事もしばしば、よく擦り傷や怪我をする事もありかなりの高額となった今でも傷薬は手離せなかった。 「kさんのお陰でこれからは買わなくても傷薬が手に入る」 彼の事を思うと自然と心が弾んだ。今度は思い切って一緒にお出かけして貰えないか話してみようかな、なんて事を考えていると。 街の方から音がする。そしてその方向から一筋の光り。それだけで分かった。 kの駆る巨大なバイクからはエンジン音と呼ばれるようなものはない。聞くところによれば魂勁を利用し走らせるらしいのだがそのモーターからはひゅいーんと風切り音とも機械音とも取れない不思議な音が鳴り響くのだ。 ライトの眩しさに目を細めていると見る見る間に近づき、メイアのすぐ傍に寄る。 「メイア!」 kの後ろからからレイアが慌てた様子現れると飛び込むように抱きついてきた。 「姉さん……どうしたの?」 慌て振りに何かあったのだろうかと考える、平時でここまで取り乱した姿を見たことはない。 「アダマスの……アダマスの大群が来るの」 その声は震え、辿々しく告げられた 「フィリア、索敵を」 恐怖に囚われた二人を置き去りに、こちらの二人は冷静に進めている。 「北の方角。速度から換算すると到達まで5分ありません」 「やはり、今から戻っても途中で追いつかれるな」 「のんびりしてていいの? すぐ逃げないと」 「もう遅い、主力のフェイズ2はバイクよりも速い、いずれ追いつかれる」 「そんな――」 「メイア良く聞いて」 絶望の中、頭の中が真っ白になっていく、そんな中、レイアに声を掛けられ視線が合わさる。 「いい、これからは強く生きるのよ」 「何? どういうこと姉さん?」 「k、来た」 「ああ」 フェリアの声と指さす方向で皆が見た。 アダマスの脅威を知る者は皆分かる。 絶望。 その光景を見て思いつくのはそんな言葉。 フィリアが指を差すその先、荒野の向こうから月の光に照らされ目が輝く。 いくつもいくつも。 尚も近づいてくるそれは視界を埋め尽くさんばかりに増えていく。 「アダマスは幾度かの脱皮を繰り返し次第に成体へと近づく」 それは人のサイズと同じほどはあろうかと言う金属の光沢を持ったトカゲ。 「節足動物の様な姿をフェイズ1、脱皮し爬虫類の様な姿を取るフェイズ2」 その中に一体、一際大きく虎の様な姿のそれ。 「そしてフェイズ3になれば動物の様な姿を取る」 金属の足が軋むようにぎちぎちと絶え間なく聞えてくる。 その音と光景で身は縮み、極度の恐怖からか呼吸は浅くなり何度も息継ぎをするメイア。 「いい? メイア……これからは一人で頑張るのよ」 レイアの震える声と体が姉も恐怖を感じていると、まざまざと伝えてきた。 「レイア、こっちへ」 kが先頭に立ち。振り向かずにレイアへと告げる。 「わ……分かってる。いい? メイア、ちゃんとご飯食べてね。おっちょこちょいなんだからもっと気をつけるのよ……それから……それから……」 言葉につまり、嗚咽を交えながらレイアが最後に一言。 「あなたは……生きるのよ」 涙を流しながらも笑顔を向け。そしてkの元へと走っていった。 ※ 「ほ……本当にあの子は助かるんでしょうね?」 レイアが自分の胸に刻まれた『証』に服の上からそっと触れた。 「あぁ、命に代えてもあいつらは滅ぼす」 レイアの声を受け、kが淡々と返す。 「違う。あの子を守って」 ――これからの事を考えれば難しいが…… 「分かった。最善を尽くす」 ――それをあの子が望むのならな。 kが目を細め口を開く、その声にはほんの少し、悲しさが混じる。 「じゃあ……やって」 「分かった」 レイアの左胸に手を触れると言葉を紡いだ。 「リバレーション」 言葉と共に右手の甲から紋章が浮き出、ずぃっと右手がレイアの胸の奥へと差し込まれていく。 「あぁあぁああああああああああああ!」 メイアの口から絶叫。それは神経を引きちぎられるような痛みを伴う。 ぐっとkが何かを掴むと、手にぶちぶちと引きちぎるかのような感触が伝わってくる。 苦痛に顔を歪ませ、目を見開き絶叫するメイアを尻目に、kがその手を一息に引き抜くと最後、一際大きな絶叫を上げ、レイアがドサリと倒れた。 それは白く、そして黒が混ざる球状の物であった。 ドクドクと脈打つような感触を手に伝え。白と黒の部分が渦巻く。 「フォージ」 kが呟くと同時、球が形を変えていく。 kが振るうべきその姿へと。 それは白と黒の混じる巨大な剣だった。 目の前には金属の群れ、数多くのアダマス達が視界には広がる。 その迫る巨群をみながらkが静かに言葉を零した。 「お前達も生きたいのかもしれない」 白と黒が入り交じる大剣を脇構えに持つと、腰を落としkが呟く。 「犠牲を払ってでもお前らを駆逐しようとする俺の方が滅ぶべきかもしれない」 大剣に通った魂勁が青白い輝きを放ち刻々と輝きを増している。 その輝きはkだけのものではない。レイアの魂も含まれていた。 「だけど俺はお前らを許せない」 呟くと大剣を横薙ぎに一閃した。 ※ 輝かんばかりの光が走る。 メイアは見ていた、その光景を。 kが何かを呟いた後、振るった大剣。 その剣身から一筋の白い糸が放たれた。 白い残光を残し、横一文字にその斬撃が広がっていく。 アダマス達に近づくにつれ、徐々にそれは範囲を広 げ、こちらへと前進してくるアダマス達すべてに、その斬撃が素通りした。 kの放つ冷たい殺気が、全てを停止させたような気がした。 レイアの目に映る最も手前のアダマスにそれは起こる。 動きを止めたアダマス、その体が横にずれた。 ずれた隙間から青い体液を吹き上げながら、アダマスが完全に真っ二つになる。 そしてそれは伝播するかのように他のアダマス達もずれていく。 次々と。 メイアであれば、ただ一体であろうとも抗う術はない。 そんなアダマスが、視界いっぱいに広がっていたそれが、kの生み出した白い斬撃で、全てのアダマスが体を二つに分け、何の危害を生む事なく、動かなくなった。 息を呑み、固まった。 ――何が……? 目の前にある物言わぬ金属生命の骸を見ながらぼんやりと考えた。 だが、どこか非現実的なその光景を呆然と見ながら、大事な事を思い出す。 「姉さん!」 倒れた姉に駆け寄り抱き寄せた。 (え?) 「ねぇ、姉さん……息してない?」 先ほどから訳の分からない事ばかり起きている、未だ理解はできていない。 『あなたは……生きるのよ』 彼女の言葉が脳裏を掠めた。 「う……うそ? まさか?」 「彼女は死んだ」 kが静かに、治療の際、患者にそうしたように、無感情にそう告げてきた。 「ど……どうして?」 「俺に魂魄を差し出したからだ」 「だって……さっきまで」 笑ってたよ。 「俺が殺したようなものだ」 ぴしっと、石のように硬くなったレイアの体に、ヒビが入った。 「俺に魂魄を食われ、今は俺の魂魄と同化した」 まるで石が一瞬で風化するように、さらさらとレイアの体が砂のように崩れて行く。 「うそ……うそよ」 「俺はこうして人の魂魄を食い、力を付けてアダマスと戦っている」 理解できるとは思っていない、ただ淡々と事実を述べてくる。 「レイアの魂は適合していたんだ。俺の魂と同化できるだけの魂を持っていた」 「俺はアダマスと戦い続ける……が、俺はレイアの仇でもある。お前はどうする?」 言葉にならずメイアは崩れ去っていくレイアの体をかき抱き、ただ泣いた。 ※ 夜が明け、空には太陽が昇る。 ただ嗚咽を漏らし、涙を流す少女の前で、kは待っていた。次の言葉を。 完全に明るくなったその頃メイアがぽつりと漏した 「……kさん」 泣きはらした顔を上げkを見上げる。未だどうすればいいか分からない。そんな表情。 「kさんはアダマスと戦っているんです……よね?」 「あぁ、魂を同化させ、力を着けながらな」 「私……どうしたらいいのか分かりません……kさんに対する気持ちも……」 「そうか、お前には権利がある、俺に尋ねる、俺を罰する……」 「ついて行ってもいいですか?」 何の為に、それは言わずとも分かった。 「ああ」 見極める為だ。 「これを」 kが懐から短剣を取り出すとメイアに渡した。 「これは……?」 「俺はレイアの魂を食った、そして今後も他の者の魂を食う、アダマスを滅ぼす為に……そうレイアにも誓った。だから俺が途中で日和るようなら……そして全てが終わったら……」 刺せ。 「……分かりました」 ぐっと短剣を握り、引き抜くと、メイアが髪を掴み自らの髪を切った。 「姉さんの変わりに……kさんを見届けます」 髪を切ったその顔は彼女によく似ていた。 「ついて来い」 ただその一言だけ呟き、kは立ち上がると歩きだす バイクへと跨がり、フィリアも後ろへと乗り込んで来る。 「お前も乗れ」 短剣を握り締め、メイアが駆け、フィリアの後ろに乗った。 いつか全てが終わった時、自分を罰してくれる者がいる。 それはkにとって、救いなのかもしれない。 ――贖罪にもならない……がな。 自らに宿ったレイアの魂魄を意識しながら、kはバイクを走らせた。 ※ 全てが燃え、焦土と化したその場で一人、少年が天を仰ぐ。 骸の山で呆然と、胸に少女の遺体を抱き。 一体いつからそうしていたのだろうか。 涙は枯れ、ぼろぼろになった衣服のまま、少年はただ空を見る。 最早時間の感覚もなくなっていたその時、声が掛けられた。 「少年。何をしている」 「…………」 空虚な顔を向け、意志の宿らぬ瞳で男を見た。 「一歩遅かったようだな。間に合わなかった。すまなかったな」 何故謝るのだろう。 「あなたは……?」 「さぁ、死神か闘神か……好きに呼んでくれ」 死神…… 「みんなの魂を連れ去りに来たの?」 「あいにく生きた人からしか無理だね。それになかなか身動きも取りづらくてね。こうなる前に助けに来たかったんだが……」 「あなたなら助けられたの?」 「恐らく」 少年の瞳に徐々に怒りが宿っていく。 「じゃあ……あいつらを倒してくれる?」 あの悪魔達を…… 「恐らく無理だ」 「どうして?」 荒ぶる声が少年の想いを伝える。 「私の寿命だよ。後数年で私は死ぬ」 「そう……」 声を受け、急激に冷めていった。 「ああ……そうだ少年」 思いついたように男がぽつりと言った。 「何?」 「少年に鉄の意志はあるか?」 「鉄の意志……?」 「どんな犠牲を払ってでも、どんな辛い思いをしてでも、君の目的を遂げる意志はあるか?」 「ある……」 あいつらを滅ぼせるなら。 「なら私が死ぬ前に私の全てを伝えよう」 「あいつらを滅ぼせる?」 「あぁ、君次第だが恐らく。辛さしかないだろうがね」 真剣なその声が冗談では無いと伝えてくる。 「……やる」 少年の瞳には燃えさかるような怒りが宿っていた 「分かった、少年、ついておいで」 巨大で見たこともないバイクに男は跨がり、少年に告げて来た。 少年がおずおずと歩きだし、男に抱えられ、後ろへ座った。 「少年、君の名は?」 「クライン」 「そうか、今日から君はkと名乗れ」 アダマスを滅ぼすと決めた少年が、男に連れられその場から去って行った。 |
icy
2013年09月12日(木) 23時27分18秒 公開 ■この作品の著作権はicyさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.4 icy 評価:--点 ■2013-09-15 18:53 ID:1Nr7JaL.rDM | |||||
おさん。 感想ありがとうございます。 お話の通り筆者は小説を書き出して2ヶ月?程です、小説を読むようになったのもここ数ヶ月程で、活字は昔から読んでましたが、小説を読むのも書くのもほぼ素人。貴重な意見を頂けて本当に嬉しいです。 背景と言うことは世界の設定って言うことですよね。 おさんの感想を読んで、ストーリーにキャラを無理矢理当てはめたようになってしまっているのかな?と思うのでキャラの性格をもっと固めて見直してみる事にしますね。 書き始める前の前段階の構想をもっと詳しく考えて見てから書くようにしてみますね。 実はテレビを殆どみないタイプな者で、そういうアニメもあるんですね、ネタが似てしまっていたのでしょうか。 貴重な助言、ありがとうございました。 |
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No.3 お 評価:30点 ■2013-09-15 03:03 ID:f0aM3/7raEY | |||||
どうもです。 けっこう、楽しませて頂きました。 文章に手慣れた感じがないので、あまり経験のある方ではないのかなぁと推測しましたが、展開のツボは押さえてますよね、たぶん、センスなのでしょうね。うらやましい。 文章はまぁ、気長に構えりゃ、読む、書く、を続けていれば手慣れてくるものです。とれだけ続けられるかが鍵でしょうね。 あとは、設定が雑かな。設定が雑なのか、想定された設定の書き出しが不十分なのかは分かりませんが。大まかな設定をこれもセンスで組んでいて、それはなかなか良い感じではあるんですが、センスでこさえた大まかなモノを補填する努力というか、細かい積み重ねが見られない。その点はセンスを発揮しようにもその作業をやる気にならないと発揮のしようのないことなので、作品を良い物にしようとするなら、少し時間を掛けて、練り上げていかないと、うわっぱりの軽いモノになってしまいますし、本作は、特に背景の部分でそのレッドラインを越えています。そこを物語の展開と、人物のキャラクター性、台詞回しで引っ張って、読者を楽しませる点である程度成功しているので、もったいない限りです。 まぁ、なんか分からんうねうねが突如襲って生きて人類が危機に瀕するという設定のロボットアニメを最近見たような気がしますが、これは言わぬが花なのかな。 後は人物ですね。よく動きよくしゃべるので、飽きささない展開を作っている一方、物語性としては、全体に、ここでその対応はちょっとどうなの? て感じも見られ。 おねーちゃん、ムラがありすぎ。 いもーと、そない単純に恨んだりしねーべ。多分、もっと複雑な心境だと思う、優しく聡明なキャラ設定なら。まるで小さな子供の反応。 まずもって、主人公が、いまいち定まらない。何をしてでも闘いたいのか、己の能力から逃れたいのか。力が欲しいのかと問いながら命を奪うとか。支離滅裂。 とか、そんなところでしょうか。 センスが先行している感じです。これだけの分量、これだけの展開を、忍耐と努力で書き上げられたのですから、もうちょっと辛抱して、じっくり、世界と、人間と、物語を練り上げると、さらに何倍も何倍も面白い作品になるのじゃないかなぁと、すごく期待を感じさせられました。 がんばれ! (なんかえらそうだな、僕) |
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No.2 icy 評価:--点 ■2013-09-13 22:45 ID:1Nr7JaL.rDM | |||||
感想ありがとうございます! 誤字脱字、失礼しました。もっと見直して再度編集してみる事にします。 語句の用い方や表記の仕方についてはもしかしたら間違って覚えてるものがあるのかもしれないので一度念入りにチェックしてみますね。 また、描写が長くなるのは自分の癖みたいなのですが、描写が足りないのかクドいのか自分では判断ついていなかったのでとても参考になりました。 白星奏夜さんのご意見を参考にさせて頂き、改稿してみます。ありがとうございました。 |
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No.1 白星奏夜 評価:10点 ■2013-09-13 22:05 ID:FHMRwCbWStQ | |||||
はじめまして、白星と申します。拝読させて頂きました。個人的に思ったことを書き連ねますが、許して下さい。 内容や世界観、設定は非常に良い、というかとても私好みでした。ロリのところや、妹に手を出したのか詰め寄るところとか、面白い会話のかけ合いも楽しめます。ラストの出来事とタイトルの意味が最後に繋がる点も、良いなあと感じました。内容でいうなら、もっと高い点数をつけたい気持ちで一杯でした。 以下は、参考にして下さい。 誤字、脱字が非常に多いです。ヴァルフレイムが、ヴィルフレイムになっていたり、『男がを勢いよく飛び込んできた』など、一度目を通せば気付くものがあります。読者の読むリズムを崩させないためにも、見直しが必須かと思います。それと、語句の用い方や表記の仕方が間違っているように感じるところがあります。確認してみて下さい。 描写がくどいように思えるところが、あります。失礼とは思うものの、こうしてみては? という例を書いてみました。 それっきり二人は口を閉ざし二人は患者の元へと向かうのだった→それっきり二人は口を閉ざし、その後で、共に患者の元へと向かった 幾数日かが何事も無く時間が過ぎ去っていく→数日の間、何事もなく、ただ時間だけが過ぎ去っていく 最後に、これは表現についてですが、最初のアダマスの描写が少し分かりにくいと感じました。屈強なことは分かるのですが、異形の存在、とか正体不明の侵略者、とか一言あった方が、イメージしやすいなあと個人的には思います。 これも、アダマスについてですが、最後の掃討シーンも少し分かりにくいと思います。剣を振るった結果、どうなったかを詳しく描写した方が、威力の絶大さが伝わる気がしました。 長々と、書いてしまい、お気を悪くされたら本当にごめんなさい。私も、投稿して、いろんな方から指摘して頂きながら、今までやってきたので、書かせて頂きました。良き投稿ライフを願い、またお会いできる機会を楽しみにしつつ、今回は失礼します。それでは〜。 |
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