梅子
 1 王子と王女

 あるところに王女がいて、王子がいました。王女と王子の出会い、というのは、奇怪でした。
 王女は元々は、海獣だったのですが、海獣のくせに王子に恋をしました。
 暴風で難破した船から逃れた王子が、砂浜に打ち上げられていたのです。海獣はその姿を一目見るなり、恋をしました。
 そして、都合のいいことに、願いを叶えてくれる魔女が、やってきました。
 その魔女は箒(ほうき)の柄の部分でオナニーするのが趣味の老女であり、処女でした。魔女は現実の男性と関係を持つことを、嫌厭しており、ひたすらに「理想の男性」なるものを妄想しては、箒の柄の部分を使ってオナニーをしていました。もっとも「理想の男性」なるものの内実は、本人にとって都合のいい男性でしかないものでした。そして、そういった自分をよく理解しており、しかし、そのようにしか生きられないと、諦めていました。だから、せめて他人の愛を成就しようと躍起になっていました。そうする事で、救われると思いました。
 魔女は海獣が、海の沖から顔面を覗けて、砂浜に打ち上げられて倒れている王子に恋をしているのを眺めて、彼女の恋を叶えようと思いました。魔女はオナニーに普段、使っている箒に乗って飛んできて、海獣の前に現れました。夜でした。海の色は墨汁のように黒くて、わずかな月明かりが、波頭だけを白っぽく光らせていました。
「海獣であるお前が、こともあろうか人間の、しかも王子に恋をしたのかい?」
 魔女がそう聞くと、
「ええ、恋ですわ。まぎれもなく恋ですわ。恋に《落ちる》とはよく言ったものです。私は本当に《落ちた》といった気分です。ましてや私は海獣です。海獣が人間より低い存在にあるとは思わないけれど、やはり壁というものが、頑然とあるように思います。しかし恋というものは紛れもなく狂気の一種ですね。私はあの方とセックスをしたくてたまりません」
 海面から頭部をつきだした海獣は、そう答えました。
「よし、私がお前を人間にしてやろう」
 魔女がそう言うと、
「本当ですか! でも、なぜそんな事をしてくれるのですか?」
 と海獣が聞くと、
「ひ、み、つ」
 と魔女は答えました。

 そして海獣は人間に、それも美しい女になり、砂浜に打ち上げられて気を失っている王子の、勃起したペニスを犯しました。王子はやがて目を覚ましました。わけがわからなかったですが、とにかく快感の赴くままにしました。
 王子は童貞で、しかも性欲が強かったので、たちまち元海獣の身体の虜になりました。二人は砂浜で肉と肉とをぶつけあう事を、続けました。夜が明けて、青空が広がっても、肉をぶつけあいました。村の漁師らが集まって、こぞってそれを眺めました。

 城に帰った王子は、元海獣に、城の一室を提供し、そこに住まわせました。そして二人は毎日のように、朝から晩まで、晩から朝まで、性的な遊戯に耽りました。二人は精液と膣液と唾液と汗とに、まみれました。
 そういった生活を、一年ほど続けました。

 いつしか二人は結婚しようということになりました。しかし王様は、元海獣の素性が知れぬ、という事で反対しました。すると王子は、側近の部下を使って、王様を暗殺してしまいました。毒入りのパンを、食べさせたのです。
 王様は食卓でパンを食べ終えると、突然に血反吐を吐き、食卓を鮮血で汚し、床に倒れて、のたうちまわりました。その様子を見て、王子と側近の部下は、にんまりと微笑みあい、握手をしました。

 そして結婚式をあげました。絢爛豪華な装飾品で飾られた式場には、きらびやかな衣装をまとった人々でいっぱいでした。しかしよく見ると、その中には魁偉な海獣らが、ちらほらと居ました。元海獣が、昔の友人を呼んだのでした。王子は一瞬、訝しく思いましたが、シャンパンを飲んで脳が麻痺していて、どうでもいいかと思いました。

 結婚した二人に、いつしか子供が産まれました。
 しかし、その子供は奇形でした。肩甲骨から足が生えていて、顔面は皮膚が溶けたように爛れている、奇形でした。
 奇形の子供は、四肢と肩甲骨から生えている足を、甲虫のようにうじゃうじゃと動かし、爛れたような皮膚の顔をゆがませて、産声を上げました。
 産婆が子供をかかえて、王女にみせると、悲鳴をあげました。
「こんな子、処分しましょう!」
 と王女は言いました。
 するとかたわらに居た王子は、
「馬鹿野郎!」
 と叫んで、王女の頬を張りました。小気味のいい音が響きました。
「どんな形であれ、生命は生命だ!」
 と続けました。
「そんなの理想主義ですわ!」
 王女がくちごたえしました。
「理想を実現するのでなければ、何のために生きるんだ。堕落するためか」
 王子が理屈を言いました。
「そういえば」
 と王女は言いました。
「私はもともとは海獣でした。そこに魔女が現れて、人間にしてくれました」
 王子は、
「それを言うなら、私はUFOの内部の、保育器で育てられていた宇宙人だ。人間が好奇心でロケット砲で撃ち落としたUFOにいた私を、王様が引き取って育ててくれたのだ。もっとも、彼はこないだ殺してしまったが……」
 沈痛な面持ちでそう言いました。
「まあ、本当ですか。あなたが宇宙人だなんて!」
「君も、海獣だったとは!」
「それでも、私を愛してくれますか?」
「もちろん! 君は?」
「もちろん、愛します!」
「奇形の子供は?」
「もちろん、愛します!」
 王女はそう言いました。
 二人は、奇形の子供を、愛おしそうに抱きました。

 そして彼ら、海獣と宇宙人と奇形の子供らは、城の中で、仲良く暮らしました。
 魔女はその様子を、箒にまたがって中空から眺めて、にっこりと微笑みました。そして別の恋を成就しようと、飛んでいきました。


 2 醜い男

 あるところに醜い男がいました。かなり醜いです。ちょっと文章では表現できないほどに、醜いです。
 人々は彼の姿を見ると、臓器という臓器が裏返るような恐怖感を抱き、ひたすらに彼を避けました。それほどに醜かったのです。
 醜い男は、強姦ばかりしていました。容貌が醜いうえ、内面まで醜いので、強姦という手段で性欲を処理していたのです。
 いつしか醜い男は処刑される事になりました。男は強姦だけではなく、殺人や放火などといった犯罪にも、手を染めていました。
 断頭台の下でした。男は自分のいままでの事を内省しました。そして思いました。俺は強姦で性処理ばかりしてきて、恋愛というものをしたことがない。一度、恋愛というものをしてみたかった。街路などで手をつないで歩く、恋人達の幸福そうな姿を思い起こして、そう思いました。
 断頭台の刃が降りる瞬間でした。空の遥か向こうから、ものすごい速さで箒に乗った魔女が飛んできて、醜い男を攫っていきました。この魔女は、どんな恋愛をも成就しようとする、変わった願望を持つ魔女でした。
 断頭台から遠い、丘の上へたどりつき、魔女と醜い男は、箒から降りました。辺りは樹々に囲まれて、良い匂いがしました。
「お前の恋愛をしたいという願望を叶えてやろう。だが、その前に……」
 魔女はそう言うなり、全力で男の頬を張りました。もの凄い腕力で、男の身体が折れるようでした。醜い男は、圧倒的な腕力を前に、反撃する気もおきず、ただただ張られました。魔女は、何度も何度も、張りました。半日ほど、張りました。魔女の掌の皮は、厚かったので、さしたる事ではありませんでした。
 合計で千発ほども頬を張られ、醜い男の容貌は、より醜く腫れ上がり、人間だか怪物だかわからないほどに、腫れ上がりました。
「これくらいで済むと思うなよ、お前さん」
 魔女はそう言うと、地面に箒の柄の部分で、魔法陣を描きました。そしてなにやら良くわからない呪文を唱え、全身がペニスだらけの怪物を召還しました。全身のいたる所にペニスが生えていて、まるでキノコの束のようでした。
 全身がペニスだらけの怪物は、醜い男を犯しました。全身のペニスで、男の体中を犯しました。もちろん肛門は特別に犯しました。やがて無数のペニスが一斉にビクビクと痙攣し、膨大な量の精液を放ちました。
 男は精液まみれになりました。精液によって、醜い容貌がさらに醜くなり、ある意味、美しいのではないかと感じさせるほどに、醜くなりました。
 精液まみれになって倒れている醜い男は、身を起こして魔女に向かい、
「これは罰のつもりか?」
 と言いました。
「これは罰のつもりか? 俺が悪人だと言いたいんだな? だが、この世には善もなければ悪もまた存在しない。存在するのは善悪ではなく、ただただ、快感にすぎない。美しく産まれた者に可能な快感(恋愛)は善と呼ばれ、俺のように醜く産まれた者に可能な快感(強姦)は悪と呼ばれる。そういった快感の様々な様相は、個々人の環境の必然からくるものであり、ある行為を悪などという妄言でもって断罪し、さらには罰を与えるのは、お前らの好きな善悪の道徳規準に即して言えば、善人による悪行であると言える」
 魔女は面食らいました。
「お前は改心して恋愛する気はないのかい?」
 魔女は一縷の望みにかけて、そう聞きました。
 すると醜い男は答えました。
「そういった淡い望みを抱いたことはたしかにある。しかし俺が強姦をやめるというのは、トラが肉食をやめるようなものだ」
 そう言いう醜い男には、決然たる意志があるようでした。
「もし私がお前を、魔法でもって美しい姿に変えても、同じことかい?」
 魔女がそう聞くと、
「当たり前だ!」
 醜い男はそう断言し、魔女は絶句してしまいました。これはちょっと救い難い、と思いました。そして醜い男を、警官に引き渡しました。
 やがて、醜い男は断頭台で処刑されました。処刑されるさいに、醜い男は、どういうわけか射精をしていました。
 魔女は醜い男の、落とされた頭を盗みました。そしてホルマリン漬けにして部屋の片隅に置いておきました。本だらけの部屋の中で、頭部を入れた瓶だけがキラキラとひかって、存在を主張していました。
 ホルマリン漬けの醜い頭部を見るたびに魔女は、世の中にはどうしようもない事があるものだと思い、いままでどんな恋愛であれ、成就するつもりであった自分を、傲慢であったと、心を改めるのでした。


 3 夜宴

 他人の恋愛を成就しようという奇妙な望みを抱いている魔女は、名前を「梅子」と言いました。
 梅子は週に一度の、魔女達が集まる夜宴へ、憂鬱な気持ちで出かけました。夜宴とは、真夜中に、山羊の頭部を持った獣人たちを囲んで、皆で酒を飲みながら雑談する集会でした。

 柳の樹が生えている丘でおこなわれる夜宴へと行くと、すでに多くの魔女が集って、大きな獣人たちを囲み、車座になっていました。
 みなは梅子を見るなり「あらー、梅子さんだよお!」と言い、笑いを漏らしました。
 梅子は、暗鬱な気分でうつむきながら、車座に加わりました。
「どうだい、他人の恋愛を成就するほうは!」
 隣に座っている魔女が、からかうようにして、いいました。
「まあまあかねえ!」
 と梅子は言いました。
 そうすると、皆はやはり、クスクスと笑いを漏らしました。
 皆は、梅子を変人として、嘲弄の対象にしていました。梅子はそんな中で肩身の狭い思いをし、なぜ魔女の家系なんかに産まれたのだろうと思うのでした。でも、魔女でなければ魔法も使えず、人の恋愛を成就する事もできません。その唯一の理由によってのみ、梅子は魔女であり続けるのでした。
 酒を飲んでいると、やがて鍋が運ばれ、焚き火にかけられました。その鍋は、子宮から出て来たばかりのような嬰児らを、緑色のスープで煮込んだものでした。嬰児は魔女らが、性的な遊戯によって産んだものでした。魔女というものは一般的に、性的に奔放なのでした。
 梅子はその鍋を見るたびに、つくづく魔女というものに嫌気がさしました。性的に奔放であるばかりか、我が子を鍋にして食うという、魔女らの狂気に、嫌気がさすのです。
 やがて、
「梅子さん、煮えたよお!」
 意地悪な魔女の一人がそういって、嬰児の肉を、椀にもり、梅子にさしだしました。
 梅子は椀をうけとり、スプーンを持ちました。皆はにやにやしながら、梅子の様子をみています。梅子が嬰児を食べるか食べないかを注視するのでした。
 皆の手前、梅子は食べないわけにはいきませんでした。そして緑色のスープにまみれた嬰児の眼球を、スプーンですくい、震える手で口へと運びました。そして咀嚼し、なんとか飲み込みました。
 魔女らはその様子をみて笑い、梅子の前で嬰児の肉をがつがつと食べてみせては「梅子さん、おいしいねえ!」と言うのでした。
 鍋を食べ終えると、皆は全裸になり、全身に媚薬を塗りました。そして、獣人たちとの乱交が始まりました。魔女らは獣人たちとまじわって、醜く喘ぎ声をあげ、「梅子さん、気持ちがいいよお! 女が燃えるよお!」と言いました。
 いくら皆の手前とはいえ、梅子は乱交だけは今までに参加したことがありません。梅子は処女でした。梅子は丘の端のほうの、柳の木の裏へいってうずくまり、耳を両手でおさえ、醜い喘ぎ声を遮断しました。
 やがて乱交が終わり、魔女らは精液まみれの顔をして「気持ちがよかったねえ!」と、言い合いました。

 いやないやな夜宴がおわり、梅子は家に帰りました。そしてトイレへ駆け込み、吐きました。喉に手をつっこんで、忌々しい肉を吐き出しました。
 吐き終えると、ベッドのある部屋へいき、横になりました。そして天井を見つめました。不意に涙があふれました。自分はつくづく孤独だと思いました。現実の男性とは関係を持たず、「理想の男性」を妄想して、ひたすらに箒の柄の部分でオナニーをし、魔女らの間では蔑視と嘲弄の対象になっており、肩身の狭い思いをしていました。魔女という身分も、自分には合わず、ズレを感じ続けていました。
 梅子は頭をふって、もやもやした嫌な気持ちを振り払おうとしました。そして今までに成就してきた恋愛の、男女らの幸福そうな笑顔を思い起こしました。そうすると自然に暖かい気持ちになりました。それだけが梅子を前向きにさせるのでした。
 明日からも人々の恋愛を成就しよう、そう思って梅子は、ベッドの傍らの蝋燭を吹き消し、毛布を被りました。
昼野陽平
2013年06月10日(月) 16時33分14秒 公開
■この作品の著作権は昼野陽平さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ありがとうございます。
前に投稿した「王子と王女」の、魔女を主役に、三部作にしました。
「王子と王女」は後日、削除します。感想くださった方々、ありがとうございました。
感想などよろしくお願いします。

この作品の感想をお寄せください。
No.3  昼野陽平  評価:--点  ■2013-06-15 23:41  ID:NnWlvWxY886
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>zooeyさん

感想をありがとうございます。
醜い男ありがとうございます。おっしゃっているような意図で書きました。自分でもこの章書いてよかったなと思ってます。
夜宴ありがとうございます。そうですね、西洋の魔女のえぐいイメージを書きたいなと思って書いた感じですね。
「梅子」という名前は、いつか出そうと前々から思ってて、今作がチャンスだなって感じで書きましたw
梅子がどんな人物だかわかった、というのは嬉しいです。この作品でいちばん目指したところだったので。
やはりはじめの話は好みじゃないですかw

ありがとうございました。


>卯月 燐太郎さん

感想をありがとうございます。
毒気ありがとうございます。童話風ですが、童話らしからぬものにしたいなと思って書きました。
「梅子」という名前だめでしたかw ちょっとユーモア狙って書いてみましたが…。
家の描写はおっしゃるとおりやるべきでしたね。
若い魔女ですか。たしかに読者受けはするでしょうけど…悩みどころです。

ありがとうございました。
No.2  卯月 燐太郎  評価:30点  ■2013-06-14 19:04  ID:dEezOAm9gyQ
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「梅子」読みました。

三作品とも「毒」がありますね。
その毒がよかったです。

「王子と王女」
海獣と宇宙人それに処女の魔法使いが出てきますが、王子は王女との結婚を許さなかった国王を暗殺します。ところが、彼は宇宙人というとんでもないエピソードが闖入し、処女の魔法使いが「魔女は現実の男性と関係を持つことを、嫌厭しており、ひたすらに「理想の男性」なるものを妄想しては、箒の柄の部分を使ってオナニーをしていました。という変り種。

「醜い男」
醜いので強姦や殺人をしているのかと思っていて、死刑になる瞬間に魔女が助け出すのですが、魔女は男に対して暴力をふるい、全身がペニスだらけの怪物を召還しまして、醜い男を犯しました。
しかし、醜い男には人生哲学がありましたので、魔女が「お前は改心して恋愛する気はないのかい?」に対して、動揺せずに自分の生き方を貫くといったので、魔女は醜い男を助けるのをやめて死刑台に送りました。
この作品もかなりの毒素を含んでいました。


「夜宴」
魔女が主人公でした。彼女の名前は「梅子」で魔女の夜宴に行くのですが、他の魔女たちは自分たちの嬰児を煮て食べたり、獣人との乱交をします。梅子はそれを嫌っており、家に帰ると、吐き出したりします。要するに、他の魔女とはだいぶ違った個性の持ち主でした。

>>そして今までに成就してきた恋愛の、男女らの幸福そうな笑顔を思い起こしました。そうすると自然に暖かい気持ちになりました。それだけが梅子を前向きにさせるのでした。
 明日からも人々の恋愛を成就しよう、そう思って梅子は、ベッドの傍らの蝋燭を吹き消し、毛布を被りました。<<

この辺りが梅子の人間味があふれているところだと思います。
もちろんこの「夜宴」も毒がありました。何しろ「自分たちの嬰児を煮て食べたり、獣人との乱交」ですから。


三作品を読んでみて、作品の中に流れている毒気は同じだと思いました。

●改善策
名前が「梅子」ですが、洋風にした方が作品集に合っていると思う。
梅子は家に帰ってきたりしますが、そのあたりの家の描写、または洞窟とかが家ならば、そのあたりを魔女らしく描いたら良いと思います。
あとこの魔女は「老婆」ではなくて「そこそこ若い」方が、読み手に受けると思います。
「老婆」の魔女のオナニーよりも若い魔女のオナニーの方がいいですし、三作品とも、魔女を若くした方がドラマのイメージがよくなると思います。

作品としては、毒のあるところが、よかったです。

点数は30点にしておきますが、上の改善するだけで完成度が高くなり、40点、50点になると思います。
それにしても昼野さんは「哲学をお持ちですね」今回の作品を読んでみて魔女の生き方に哲学を感じました。
あと「三作品まとめたのがよかったです」。


それでは、頑張ってください。
No.1  zooey  評価:30点  ■2013-06-13 17:31  ID:KAaPhEMuxTU
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読ませていただきました。

前回の「王子と王女」は個人的にはあまりピンとこなかったのですが、
続きの二作は好きでした。

両作とも、ダークファンタジーという部分と、独特の性的だったり暴力的だったりする描写が、うまく溶け合っていて、
ある種のユーモアがあると思います。

特に、醜い男が好きでした。
「俺が強姦をやめるというのは、トラが肉食をやめるようなものだ」というセリフが、
ストレートに現実にも通じる暗い部分を表しているようで、良かったです。
また、ラストの瓶詰の頭部のくだりが、魔女っぽくていいなと思ったのと、
そこで、魔女が自分の考えを見直すという部分も、物語全体を一方的じゃない感じにしていて、
私はこの章があるから作品自体が好きだなと感じました。

また、夜宴は、ファンタジーと性、暴力描写が最もうまく溶け合っている章だと思いました。
シチュエーションも、いかにも「魔女」という感じだし、
自分の生んだ嬰児を煮て食べるところとか、魔女が性的に奔放であるというところとか、
西洋の魔女のイメージにかなりはまっていると思うんですよね。とても良かったです。
梅子という名前にも、ユーモアを感じました。
日本語の名前で、しかも梅子か!と…。
宇宙人が唐突で、梅子はユーモラスというのが、自分でなぜだろうと思うのですが、なんだかそう感じました。

また、ラストで、魔女たちが獣人と乱交するのを嫌悪する梅子の様子が、
冒頭の、理想の男を妄想しながら、それが自分の都合のいいものでしかない、と理解しているという、その部分と上手くリンクしていて、
物語全体として、梅子がどんな人物か分かったように思います。
全体の構成として、きれいなんだな、と思いました。

点数は40点とも思ったのですが、やはりはじめの話があまり好みでないので、一応この点数です。
総レス数 3  合計 60

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