童部イクと、鬼の無情丸

 月が朧霞の衣をまとい、雲の切れ間に星々の瞬く夜。風は緩やかに東から西へ。あちらこちらから聞こえる犬の遠吠えが不吉を誘う。
 永安の都――永く安らかたらんことを願い建てられたただ今の都は、二百年ほどの時を迎えた今も大きな災禍なく、ただ小さな不安や不満を数え切れないばかりに抱えつつ、今日も夜のとばりに包まれる。
 帝のおわす内裏のその東、二条の京極に近いあたりにあるほぼ二町に及ぶ大邸宅。ここにも夜のとばりは訪れ、耳を澄ませば、草陰に鳴く虫の声が、やがて来る秋を待ちわびて小さな合奏を奏でる。
 庭に面した廂の間の御簾に耳をそばだて、十二歳になる姫君はしどけない単衣の姿で傍らに置いた脇息にしなだれかかっている。
 姫君のおわすのは、東の対屋。女房たちは反対側の廂の間にそれぞれが持つ房に戻り、寝息を立てている頃だろう。ようやく一人になった開放感に、姫君はほっと息を吐き、はしたなく手足を伸ばしてみる。
 今こそ参議に甘んじるが先は大臣も間違いなしといわれる、家柄良く、財があり、適度に賢く、適度に阿呆な公卿を父に持つ姫君は、聡明で美しく、その美しさは都の隅々にまで聞こえ、恋心を求める者後を絶たず、文の届くこと引っ切りなし。しかして姫には良からぬ癖があり、文の歌に対して問いを返す。恋の質問ではない。漢籍、仏典にまつわる難問である。その問いに直ぐさま答えられぬ男ならば、女房たちの口を伝わせ、都中にその無能ぶりを触れさせる。それを楽しんでいるそぶりである。「妾と問答して言い伏せられぬ殿方などに妾をくれてやるいわれなし」と父に向けて公言したなどと噂もまた、都中を席巻している。その噂にほぼ偽りない。
「イク、イクや来よ」
 御簾越しに、月皓りに照らされる庭を見ていた姫君が童部の名を呼ぶ。
 その可憐な居住まいは都中の男を虜にするに相応しく、長く艶やかな黒髪、調った顔立ち、けれど、瞳や口元に感情を表す柔らかな機微は感じられない。そのよそよそしさがまた男心を引き寄せる。当人は露ほどもそんなことは思ってもないにも関わらず。
 召使の皆が寝静まった夜半時。夜虫の鳴く声ばかりがかすかに響く。
「イクはここに」
 ささやくほどに小さな声であるのに凛として良く通る。御簾の向こう、簀子の下の地べから聞こえる声は、少年とも少女とも察することができない、どこか中性的で神祕的な声色。
「なぁ、イクよ」
 心を表すことの少ない姫君の、ほんの少しばかり声色の昂ぶるのは、夜、密かに言葉交わすことの秘めやかさゆえであったろうか。
「そなた、鬼というモノを知っておるか」
「鬼にございますか」
 応える童部は、年の頃やはり十歳くらい。声同様、姿からも童であるのか女童であるのか判別しがたい。やや小柄で、どこか姫君に似た面影を忍ばせる。
「そうじゃ、鬼じゃ。人を脅かす怖ろしき面貌をし、巨躯怪力にして、面妖なる術を使い、人をたぶらかしてはさろうて喰らうという。妾はそれを一度見てみたい」
 近頃巷ではいくつかの鬼の噂で持ちきりで、空恐ろしい話しが女房の口を介して姫君の耳にも届いている。
 しばし思案の間の後、
「イクでは、いけませぬか」
 思わぬ返答に姫君が一瞬声を詰まらせる。
「イク、そなたは鬼であるのか」
「さぁ、イクには分かりかねまする。イクに分かることは何もございませぬゆえ」
「ならばなぜイクはイクを鬼という」
「イクを鬼と呼ぶ者がおります。鬼と呼んで恐れおののく者がおりまする」
「そうか」
 姫君が思案げに声を曇らせる。
「なれど、イクなれば妾は常に見ておる。それでは面白うない。そなた以外の鬼を知りおるか」
 姫君の問いにイクはしばし逡巡をみせる。
「巷で鬼と呼ばれている者はおるようにございまする。なれど、それらが本当に鬼であるかどうか、イクには分かりかねまする」
「良い。ならば、無情丸というを知りおるか」
「聞いた名にあったやも知れませぬ」
「妾はそれが見たい」
「いかになさいますか」
「鬼の怯えるところが見たいのじゃ。そなたならできよう」
「承知いたしました」
 気配が消えて、イクという童部が早速にも姫君の達しを果たさんと夜の都へ向かったことを知る。砂利の庭を駆ける音すらなく、その姿はかき消えていた。
   *
 月の暗い夜であった。
 さっきまで都大路を照らしていた月はもはや黒い雲の陰に隠れ、ほんのわずかな皓りをこぼすばかりで、怪しい風がぞろりと吹き、いずこともなく犬の遠吠え、かさかさと何やらが舞うごと妖しモノの気配にびくりとする。そんな夜。
 無情丸と呼ばれたるは、身の丈七尺にも迫ろうかという偉丈夫で、髻を結わず烏帽子を付けずにざんばら髪を振り乱し、皮の衣をまとい、野太刀を手に酒をかっ喰らう。その手は、単衣をしどけなく着崩し放心した娘の髪を掴み、引きずるようにして連れている。背後にいる手下共のうちの何人かも同じようにし、残りの者は、持てるだけの家財や何やを抱え込んでいる。
 彼らは、世に聞こえし夜盗の集団である。今宵もある中堅貴族の屋敷を襲い、人を殺し、家財を奪い、女をさらった、その帰りである。その所行をもってしても彼を鬼と呼ぶに相応しい。
 光の微かな黒い世界に、わずか刹那、彩鮮やかな物の影がちらりと映った――、ように無情丸は思った。
 狐狸の類であろうか。
 ふとそんなことを思って苦笑で潰した。鬼を騙す狸がおろうか。一方で、それが何モノであれ、とても魅力的なもののように思われた。すると、さっきまで打ち震える欲情をぶちまけ、棲処に戻ってまたいたぶり尽くそうと思っていた手の中の女が急に魅力のないつまらぬもののように思えてきた。
 無情丸は、女を手下の一人に与え、先に棲処へ帰るよう命じる。
「なに、ちょいと野暮用ができたのよ」
 いぶかる手下にそう言い残すと、影の見えた方へ歩き出す。
 塀の作る角を折れた時、その影の端を見捕らえたが、さっと次の角へ折れて行った。意外にはしこい。無情丸は走る。酒のために息は乱れたが、それでも獲物目指して鬼の形相で駆け出す。
 その女童は、無情丸の知るいかなるものよりも可憐でにわかに信じられぬほど美しかった。
 二つ目の角を折れた先、まるでその場にて無情丸を待っていたかのようにたたずんでいる。
 目元の涼しげな、女童とは思えぬ妖艶な笑みを誘うように浮かべる。
 このように美しき者がこの世にいることが無情丸の心を震えさせた。人にあらざる美しさなれば、この者は天より下りし神の使たる女性であろう。天女の抱き心地を想い、無情丸は興奮に身をたぎらせる。
 女童がゆっくり歩き出す。
 無情丸はつられてふらりとふらりとその後に続く。
 どれほど歩いたろうか。着いた先は、打ち棄てられた古い家だった。
 不気味といえば不気味。
 本来人の住まうはずの家に人がいないというだけも充分に気味が悪いものである。まして年月を経て朽ち、獣やそれ以外のモノの住み荒らしたる跡、もはや何とも知れぬ異臭は息を止めても鼻を突く。ぞわぞわとどこかでなにかが蠢く。風の吹く度たわみ揺れる。いくつもの気配がひそひそとこちらを伺っている。
 とはいえ、むろん、そのようなことに怖じける無情丸ではない。女童を追いかけ家の中へ土足で入り込む。そうでなければ鬼などと称されぬ。
 いくつかの衝立をなぎ倒し、ようやく女童の背においすがる。
 女童は、変わらぬ薄笑いを浮かべ、息も切らせず、衝立を背に、円座に揃えた足を投げ出し座っている。その臑の白さに無情丸の眼は吸い込まれ放すことができない。
「そは何モノぞ」
 声は女童が発したもののようであった。
 無情丸は応えようとして、息の詰まり、声の枯れ果て出せぬことに気付く。異変は知らぬ間に無情丸の精神を蝕み、鉛のように重い恐怖を腹の底に沈ませる。
「そは何モノぞ」
 声は女童が発したもののようであった。
 であるにも関わらず、あちからもこちからも、幾重にも幾重にも響きあい、野太く震わせる声、甲高く切り裂く声、平坦な感情ない声、地獄の底から湧き上がるような、天上から注ぎ下されるような、幾重にも、幾重にも幾重にも重なり響きあい、頭の中を締め付け心を押し潰し思考を掻き消し、心蔵を鷲掴み、四肢を縛り付け、身体の隅という隅に至るまで染み渡り黒く染め上げ、死という、喩えれば己の身の丈を遥かに超える巨大な蛇の顎の内に生温かく生臭い息を嗅ぐような、そういった恐怖。この世に生を受ける遙か前から魂に染み着く徹底的に望みを絶たれた恐怖。心にも体にも一片の力もこもらない。こめられない。
 これが死に臨むということなのか。
 無情丸は半生を振り返る。幾人もの人を殺した。幾十人。老いも若きも男も女も、許しを請いすがる者を容赦なく斬り捨てた。
 そういえば……、己自身もまた、死に瀕したことがある。あれは子供の頃。家を夜盗に襲われ一族郎党皆殺しにされ自分もまた殺されかけた。死ななかったのは単なる偶然。奇蹟のような僥倖。翌朝、瀕死のところをたまたま通りかかった旅の僧に助けられた。
 あの時の恐怖。あの時の絶望。
 しかしながら鬼と呼ばれし傑物と己をもって信ずる無情丸である。
「儂は鬼の無情丸じゃ」
 気力を振り絞って言い放つ言葉は、己の想うよりも遥かに弱々しかった。
 俺は強き者になる。弱い者は潰される。潰されない強さを得る。そのためにはどんなこともしよう。鬼と呼ばれることも厭わぬ。むしろ俺は鬼とならん。人々に怖れられ、簒奪し、殺す。何者も怖れることのない、強き鬼になる。儂は鬼の無情丸じゃ。
「そなた鬼と申すか」
 女童の声が冷たく突き刺さる。
「ならば鬼たるイクと果たし合わん。イクを負かせたなら、そなたを鬼と認めようぞ」
「女童如きが何を言う」
 その声に普段の剛毅はない。震え、かすれ、怯えきって小さき童のようであった。
 ひゅ、
 と耳元を熱い物がかすめた。否、熱く感じるのは刃の切り裂きたる傷ゆえ。振り向くと、女童の手に小刀のあり、赤く滴るものをぺろりと女童の赤い舌が舐め取る。
 それを見て無情丸は勃起する。妖艶なる女童にか、怪しく蠢く赤い舌にか、耳を切られた痛みにか、死のすぐそこまで迫る恐ろしさにか、その全てにか、無情丸は欲情した。
 次、女童に刺されたら、紅い唇で口汚く罵られたなら、それだけで射精してしまいそうだった。
 死の恍惚。
 なれど鬼としての矜持。無情丸は野太刀を抜き構え、駆ける。
 おおおおおおおぉぉぉぉぉ
 無闇に怒声を上げるのは、そうしなければ指一本動かすことができなかったから。
 振り上げた野太刀を女童向けて振り下ろす。わけが分かっていない。なぜそうしなければならないのか。なぜ刀を抜き、なぜ年端もいかぬ女童に斬りかかるのか。これほどまでに美しい。わけも分からないまま、ただ腹の底からじりじりと沸き立つ焦燥感に責め立てられ無情丸は絶叫を上げる。まくしたてる。
 そも、なぜ俺はこんなところにいるのだ。今頃はねぐらに帰って強奪した酒を呑み、美味い物を喰らい、女を抱き、疲れたら眠る。そのはずだったではないか。なのに、なぜ。
 おおおぉぉわぁぁぁぁ
 振り下ろした野太刀に手応えのないことを不思議と思わなかった。
 ぬらり、と赤いモノが眼に映る。とろりと濡れ、粘って糸を引き、じゅるりと音を立てる。それが女童の唇、そして舌と気付く前に、無情丸は血が一点に集中し凝り固まるのを感じていた。舐められたいと思った。それしか頭に浮かばなかった。ただこの赤い舌に、紅い唇に、ねっとりと絡め取られる、温かい柔らかい……
 ずぶりと脇腹に挿入感を感じたのは、女童の口に吸い付こうと身を寄せたその時だった。
 熱い。
 身体が、芯から火照って、熱い。
 やはり、無情丸は射精した。恍惚の絶頂に全身に痙攣が起こり、忘我の果てに倒れ込んで、意識を失う。
   *
「思うたよりもつまらなんだのう」
 衝立の向こうで欠伸混じりの声。もぞもぞと身をよじる気配がして、姫君が女房の一人を連れて姿を見せた。
「ほんにこはそなたの言う鬼かえ」
 傍らの女房に問い質す。
「左様にございます。この者が夫と子を殺した鬼にございます」
「そのわりにたわいもないの」
 汚い蟲螻を見下す眼で、姫君は床に這い蹲る者を見る。
「気は済んだかえ」
「夫と子が還るものではありませぬが、それでもわずかばかりは気が静まりました」
「そうか、ならば良し」
「いかがなさいますか」
 女童姿のイクが姫君に困ったように問う。あるいはすまなそうに。姫君の不興を怖れ、自らの至らなさを恥じている。
「もう良い。妾は飽きた」
 イクが何かを求めるように平伏し上目遣いに姫君を見る。
「気に病むな。そなたのせいではない。折檻もせぬ。そもそも妾はそのような戯れを好かぬ」
「では、いかように」
「面倒なきよう棄ててしまえ」
「承知、いたしました」

 都大路から鬼が一匹消えた。ただそれだけの話し。
END
2012年08月31日(金) 22時33分40秒 公開
■この作品の著作権はおさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
一日で書き上げたにしてはまぁまぁかなw
今回は特に厨二とか考えてません。
umetoさんの小説を読んで書きたくなっちゃっただけ。てことで。

9.2微修正
9.4指摘箇所修正

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No.9  お  評価:--点  ■2013-01-15 11:07  ID:.kbB.DhU4/c
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どもども。
平安時代は、もうあらかた忘れちゃいましたw
設定的なアラがでないようになるたけ簡単にさらりと書いたんですが。
雰囲気としては気に入ってはいます。
ただ本格的に手がけるとなると勉強のし直しになるし、たぶん、このイクは主人公にしないでしょうね。
長編、ちゃんと書きたいなぁ。
No.8  帯刀穿  評価:30点  ■2013-01-08 11:10  ID:DJYECbbelKA
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雰囲気が出ているのだが、芥川の羅生門を読んだせいだろうか。
それとも、陰陽師の本でも読んだためか。
語彙の部分なのか、それとも背景の部分なのか定かではないが、もう一息足りていない。ただ、基本的な部分というのか、さらっと書いた部分としては、よくマッチしているところある。
もう少し、本格的にこの二人を活躍させるような、300枚超え当たりの作品となるのなら、全体像として面白くなりそうな気がする。

もしそのつもりになったら、是非教えてほしい。
No.7  お  評価:--点  ■2012-09-16 22:05  ID:.kbB.DhU4/c
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>HALさん

どもどもっすー。
本作が一番好きと言ってもらえて嬉しいです!
ボクとしてもこの作品はイクの出てくるのの中では2番目に好きです。
1番目は雷彪のやつで、これも短時間で書いた短いものです。
どうも、「短時間で書いた短いヤツ」の方が出来が良いみたいですね。
 >あと高貴な人が人目のないところでくつろいでる姿って、
いいすよね。ちょっとこう、臑とか、膝とか見えてる感じとか。
むふふ。ですな。
No.6  HAL  評価:40点  ■2012-09-15 15:26  ID:7INN.VlRXY2
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 遅ればせながら、拝読しました。

 イク君の登場するシリーズって、何度か読ませていただきましたが、個人的には本作が一番好きでした……って、一日で書かれたと仰ってるのに、こんなこと言っちゃっていいのかどうか。お気を悪くされたら申し訳ないです(汗)

 彼の人物描写って(設定だけじゃなくて)、毎回ちょっとずつ変わってきていますね。シリーズ物というよりも、彼を主人公とした一連の世界観について、まだまだ固めきらずに引き続き練っておられるところなのかなあと勝手に推察……していたのですが、「めしい」のコメントのほうに書いておられましたね。

 細かい部分ですが、「はしたなく手足を伸ばしてみる」のくだりが地味にとても好きです。姫君のキャラクターの演出としても、鬱屈しているような、それでいてどこか子どもっぽく無邪気なような……それが後半の子どもっぽい残酷さに繋がっていて。あと高貴な人が人目のないところでくつろいでる姿って、ちょっと萌……なんでもないです。

 楽しませていただきました。
No.5  お  評価:0点  ■2012-09-08 17:22  ID:L6TukelU0BA
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どもどもっす。

>蜂蜜さん。
こちらこそ、あまりお愛想なしで申し訳ないす。チャットでも言いましたが、ざ・文学なイメージを勝手に持っていて敬遠気味だったことはありますね。
さて。
人形性愛については気にしないで下さい、単なるtoriくんほいほいなので。まあ、toriくんくらいの変態度がないと読み取れるものではないと思いますし、それで健全だと思います。
ありがとうございました。

>桐原さん
どうもっす。
早速3語も投稿されたんですね。うん、さすがでした。美味かな美味かな。ギャグかなぁと気楽に読んでたら最後の数行でドキッとしてじんわりきました。上手いなぁ。
ぼくのはまあ、こんなもんです。
また、よろしくお願いします。
No.4  桐原草  評価:40点  ■2012-09-06 06:45  ID:1zZ2b3u5YfY
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文章の流れがとてもいいですね。流麗に、言葉が流れるように紡がれていて、素敵だなと思いました。無情丸が女童を追いかけていくところなどはゾクゾク致しました。
無情丸の最期も圧巻でした。どうしてなのかわからないまま、果てて死んでいくとは、なんと凄絶な最期でしょうか。

イクはどうして「鬼」になったのでしょうか。背景を知りたくなりました。
No.3  蜂蜜  評価:30点  ■2012-09-05 23:43  ID:X5IOOPj01FA
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こんばんは。蜂蜜です。

もし僕のあやふやな記憶が間違いでないとしたら、おそらく、おさんの作品に感想を寄稿させていただくのは、今回が初……いや、もしかしたら過去に一度か二度ほどは何かを書かせていただいたかもしれませんが、いずれにせよ、あまり大したことを述べた記憶はございません。

チャット等で幾度となくお会いしていながら、僕がなかなか、おさんの作品に感想を寄せなかった理由は、実は特には無く、強いて申し上げるならば、ただ単純に、僕自身が、『歴史物&ファンタジー物』が、あまり得意ではなかったからに他なりません。不案内なジャンルに首を突っ込み、余計なことを言い、不愉快な思いをさせてしまうことが憚られたからです。決して腹に何か後ろ暗いものがあって敬遠していたわけではありません。もしそのように感じられていらっしゃったとしたら、不肖蜂蜜、ここに心よりお詫び申し上げる次第です。

さて、本作、拝読致しました。
淀みなく流麗な文体が世界観とマッチして、一言で言うと、「さすがはベテラン。書き慣れてる」という印象を持ちました。少なくとも技術的な面に関しては、僕ごときが特に言うべきことは、何も無い、とすら思いました。

ただひとつだけ申し上げるとすれば、さりげなく上部に書いてある『人形性愛』というお言葉……実は読了後に気付いたのですが、気付くまで、本作から『人形性愛』を感じ取ることは全くできず、その点が惜しまれましたが、これは僕の読解力不足が原因かもしれません。

僕からは以上です。

No.2  お  評価:--点  ■2012-09-04 02:19  ID:.kbB.DhU4/c
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どもども。
ふむ。なんか良く分からんすね。
ま、いいけど。
平安京とは一言も言ってないすよん。
そして、200年の間違いだったという。
ま、そんな感じすね。
No.1  陣家  評価:30点  ■2012-09-04 02:04  ID:98YScwpXzig
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拝読しましたので、感想をば

おお、やはりおさんの文体にはこういう時代がかった絵巻物的世界観にぴったりマッチしますね。
水を得た魚のように文章が生き生きしています。
さすがだと思いました。

庶民感情的な読み方をする読者としては、余裕綽々高慢ちきで世間知らずなお姫様が一敗地に塗れる展開を期待するもんですが、世間に名高い鬼のクセに一矢も報いることなく、どころか同じ土俵にすら上がらせてもらえず、幻術で瞬殺されちゃいましたね。
もうちょっと、こう、一瀉千里な帝王学に一石を投じるとか、禍根や葛藤を残すことができればさらに読み応えがあったんじゃないかなあと思いました。
最後死ぬとか。
いや、ただの好みですが。

平安京成立後三百年後って、かなり末期ですよね。百鬼夜行が闊歩していた時代の羅城門やらもとっくに倒壊して民家もまばらなかなり荒廃した時代の印象がありますが、勘違いだったらすいません。

ではでは
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