白くじら号と、お姫様
 人類が、他の恒星系に移民してから百数十年。太陽系に最も近い、第二恒星系ブラオ、その辺境域を一つの宇宙船が航行している。船名は、白くじら号。名前の通り、船体が白く塗装されている武装商船だった。艦首にあるブリッジに二人の人物が座っている。
「第三惑星、ヴェルミリオンへの星間航路に乗った」
 黒髪の青年はそう告げて、舵をOSの自動操縦に切り替える。彼がこの船の船長兼操舵士のロトである。
「はい、お疲れ様〜」
 隣に座る快活そうな少女が、新聞を投げて渡す。彼女の名は、シエル。この船での役割は副船長兼、火器管制兼、ロトの世話といったところだろうか。二人しかいない船なので、一人の負う役割も多い。
「星間連合初の女王、オルタンシア・ロワ・ブラオの即位迫る。即位式の会場、第五惑星エキャルラットにて準備進む」
 新聞の一面を完全に棒読みして、ロトは新聞の一部だけ引き抜き、シエルに投げ返した。ロトの持つ紙面には、幸運を運ぶ宇宙の白くじら、モビー・ディックの正体は何か、宇宙に潜む怪奇現象について検証などの文言が踊っている。
「また、そんな三流ゴシップ記事ばかり読んで! ちゃんと政治のこととか分かってないと商売に影響するよ! ほら、星間連合での生体複写の禁止条約締結とかさぁ!」
「興味ない」
 シエルは頬を膨らませて、怒る。
「こういうのって船長の担当でしょ?」
「ああ、じゃあ本船の政治部門担当をロトから、シエルに変更する」
 ロトの言葉に膨れていたシエルの頬が、さらに膨れる。ロトはその様子を横目で見て、盛大に笑った。積み荷を、第四惑星ヴィオレに届けてきた帰りのせいか気分も明るい。仕事帰りは、こんなものだろうとロトは思う。
「帰ったら、まず居酒屋だな」
「まず、整備と補給よ。航行中は飲めないからって、はぁ」
 シエルは呆れたように首を横に振る。
「まあ、どうせ親父が出迎えにくるから居酒屋は後回しだけどな」
 ロトは、複雑な顔をして頭を掻く。
「今度こそ逃げないでよ、二人きりにされるこっちの身にもなれっての」
 シエルの抗議に、ロトは苦笑する。この白くじら号、はもともとロトの父親のものだ。ロトは、父親の仕事を引き継ぐ形でこの船の船長となった。有名な企業などは、護衛艦を含めた商船団を組むが、惑星間の取り引きの主力はロトたちのように単艦で物資を運搬する者達だ。一代でこの船を手に入れ、自分を育て上げた父親に対する尊敬はある。しかし、家業を継ぐために、夢溢れる様々な進路を潰されたロトとしては、腹に含むものがある。逃げ出すのは、そのせいだ。
「けっこう良い稼ぎを手に入れたんだ、暗い話しはよそうぜ」
 ロトがそう言って、座席に深々と座ると同時に船内の警報が鳴った。のんびりしていた空気が一気に、緊張したものに変わる。
「何の警報だ」
「衝突警報装置が動いてる」
「小惑星帯じゃないぞ、ここは。宇宙ゴミか?」
 ロトは、急いでOSに譲渡した舵を手動に戻した。宇宙空間で、艦船が他の物体に衝突して損傷することは命に関わる。それを避けるために、宇宙船には進路上に障害物がないか索敵する装置があり、危険とOSが判断した場合、警報が鳴る。
「星間航路から一時外れて、回避行動を取る。索敵、急げ」
 ロトは舵を切って、衝突コースを外れた。船が軋んで、暗い宇宙に白い噴射光が線を引く。
「1時の方向、方位234に障害物。ん〜船の残骸のように見えるけど」
 全方位レーダーを睨みながら、シエルは首を捻る。
「一つか?」
「いいえ、船影は二つね。駆逐艦クラス」
「事故かな?」
 衝突コースから逸れたことで、船内の警報が消える。ロトは、わざと船を減速させた。
「当該中域からの電波感知、これは……国際救難信号!」
 シエルの声に、ロトは頷く。
「補助バーニアで、できるだけ近付こう。脱出ポッドがあるはずだ」
 ロトはメインの推進器を切って、慎重に信号を発する地点に近付けていく。時間はかかるが、こちらの船を危険に晒すわけにもいかない。焦れるような思いで、二人は宙域に向かう。やがて、暗い宇宙の中で、キラキラと反射する物体をブリッジの窓から見ることができるようになった。事故にしては、異常に宙に散っている物体が多い。
「もう限界だ、後は船外に出てやるしかない」
 シエルが緊張したように、頷く。ロトは、ぽんぽんとシエルの肩を叩いた。
「作業艇で出る。シエルには船のことを任せる」
「気を付けて」
 いつもは口うるさいくせに、こういう時はやたらと心配性なのがシエルだ。
「大丈夫だ、すぐに戻ってくる」
 ロトはそう言って、ブリッジを出た。

 蟹のような二本のアームが付いた、作業艇に乗り込み、ロトは船の貨物室から出ていく。シエルの指示を聞きながら、ゆっくりと脱出ポッドを目指していった。船外活動は初めてではないが、慣れない。星の輝きや、美しいガス雲の色を楽しめるのは安全が確保されている時だけだ。いつでも、暗い宇宙に出るのは緊張するし、下手なミス一つで命に関わる。船乗りなら、暗い宇宙の過酷さは誰よりも知っている。
 脱出ポッドに近付くにつれ、より細かい破片が無数に宙に漂っていることが分かった。レーダーで捉えた二つの船影は、慣性でこちらから離れていくが、激しく損傷しているのが遠目からも見える。
「おい、シエル。どうも事故じゃないぞ。戦闘があったみたい、だ」
「え〜戦闘? レーダーには他の船影はないみたいだけれど」
「同士討ち、みたいに見えるな」
 会話をしながら、ロトは少し先に浮かぶ卵のような形の物体を捉えた。
「脱出ポッドを視認した。回収する」
「了解」
 漠然とした不安が、ロトを包む。商船と海賊の間で、小競り合いがあるのはまあ良くあることだが、ここまで互いに破壊し尽くすほどには至らない。
 脱出ポッドに近付くとアームを動かして、ポッドを固定する。中に誰がいるのか、何名いるのかは回収して、開けてみるまでは分からない。ロトは不安を抱きながらも、脱出ポッドを船に持ち帰った。腐ってもロトも船乗り、だ。見殺しにすることはできない。

 貨物室にポッドを収容して、ロトは貨物室の環境を通常呼吸できる状態にまで戻す。ブリッジから、シエルもやって来た。
「念のため」
 そう言って、ロトは備え付きの小銃をシエルに投げて渡す。シエルは、それを受け取るとひどく緊張した面持ちで安全装置を外した。ロトも、小銃を担ぐと脱出ポッドの入口に跳ぶ。脱出ポッドは、基本的に外部からしか開けることができない。
「正面に立つなよ」
 二人は、入口を挟むように待機する。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか」
「嫌なこと言わないでよ」
 シエルが気を張って見つめる中、ロトはポッドのロックを解除する。しゅうっと空気が抜ける音がして、ゆっくりと入口が開いた。そこから、怯えた小動物のような仕草で、一人の少女が出てくる。ふわりと美しい金の髪が、宙に舞った。
「女」
 ロトはそう呟きながら、少女の端整な顔に既視感を覚える。
「あああっ!!」
 ロトが思い返す前に、小銃を向けるのも忘れて、シエルが叫んだ。
「何だよ、いきなり」
 シエルは、いや、だって、そんなの三語を繰り返す。金髪の少女は、まだ怯えたような表情でロトの前に着地した。着ている服がドレスのようで、まるでどこかのお姫様だ。
「こ、ここはどこですか。あっあなた達は?」
 鈴を転がすような声で、少女は尋ねる。ロトは、取り敢えず危害はなさそうだと銃口を下げた。
「武装商船、白くじら号です。俺が船長のロト、あっちが副船長のシエルです。救難信号が出ていたので救助に来ました」
「そう……ですか」
 少女は、ひとまず安心といった感じで胸に手を当てる。
「あなたは?」
 不思議な雰囲気の少女に、ロトは尋ねた。少女は困ったような顔をしたが、すぐに真面目な顔付きで名乗った。
「わたくしは、オルタンシア・ロワ・ブラオ。ブラオ恒星系の、第一王女です」
 変な冗談かとシエルの方を見るが、シエルは全力で首を縦に振っている。そりゃ見たことがあるだろうと、変に納得する。自分たちの恒星系の女王様の顔くらいは、ニュースや新聞で目にするからだ。一生かかっても会えるかどうか分からない、そんな人物にどう対応して良いか分からず、取り敢えずはその場に跪く。
「顔をお上げ下さい、ロト様、シエル様」
 ポッドから出てきた時の頼りない感じはどこかに吹き飛び、気品と威厳に溢れた声でオルタンシアは二人に話しかける。
「助けて頂き、ありがとうございました。まずは、そのお礼を」
 柔らかく微笑むその表情に、ロトは引き込まれる。王族というのは、皆こういう圧倒的なオーラを持っているのだろうか。現実から離れそうになるのを堪えて、ロトは口を開いた。
「何があったのか、教えて頂けますか」
 オルタンシアの顔が曇る。それでも、伝えなければ始まらないので、彼女は語り出した。
「エキャルラットに向かう途中だったのですが、急に襲われたのです。わたくしはすぐに脱出ポッドに乗せられ、後のことはよく分からず」
 ロトは、二つの残骸を思い出す。互いに激しく応戦した結果、ああなったということか。
「他の方は?」
 オルタンシアの問いにロトとシエルは、揃って首を振った。他に救難信号も、脱出ポッドも確認されていない。つまりは、そういうことだ。
「そうですか……」
 オルタンシアの瞳が潤む。その様子にロトは、神妙な気持ちになりつつ、別の思考を働かせる。命を狙われている、ということはまだこの宙域は危険かもしれない。
「こんなところで立ち話しもなんですし、一度お休みになられた方が」
 ロトの提案に、オルタンシアは涙を拭いてこくりと頷く。後でもっといろいろ聞く必要がありそうだ、とロトは思った。
「では、狭いところですが私の私室に」
 ロトが言ったところで、船の警報が鳴る。嫌な予感は、当たるものだ。ロトは、舌打ちをしてブリッジに向かう。オルタンシアも付いてくるが、この際、仕方ない。

「後方に船影、三。本船に急速に近付く」
 座席に飛び込みながら、シエルが全方位レーダーを確認する。
「どこの船だ?」
「AIS(自動船舶識別装置)を止めているわ。OSに照会、ランクス級航宙巡洋艦と推測される」
「戦闘艦が、戦闘体勢ってどう考えてもやばいだろ」
 ロトは舵を持ちながら、後ろのオルタンシアに呼びかけた。
「そこに入っている宇宙服着て、補助シートに座って下さい。手荒なことになりそうです」
 オルタンシアは、青ざめた顔でロトの支持に従った。足抜けできない酷い事態になりそうだと、ロトは再度、舌打ちをする。家業を継いでから、ろくでもないことしか起こらない。
「機関最大、ひとまずこの宙域を離脱する」
 白くじら号の船内が揺れ、推進剤が火を吹く。船体が、徐々に加速してゆく。昔のSFみたいにすぐに最大船速が出るわけではない。重い鉄の塊を動かすには、それなりに時間がいる。
「相手船より電文」
 来たか、とロトは呟く。どう語りかけてくるかで、相手の出方も分かる。
「読んでくれ」
「発、ランクス級艦長。宛、白い船の船長殿。即時に停船し、脱出ポッドにあったものを引き渡されたし。聞き入れられない場合、貴艦を撃沈する」
 シエルとオルタンシアが深刻な顔で、ロトを見つめる。ロトは冷や汗を垂らしながら、苦笑する。
「どうせ引き渡しても撃沈する気だろうが。要求は却下、無視してこのまま行く」
「巡洋艦、三隻を相手にする気?」
「足はこっちが速い。逃げるだけなら、何とかなる」
 ロトとシエルは覚悟を決めた顔をしているが、オルタンシアは恐怖に怯えた顔をしていた。勿論、二人には見えていない。
「ロックされた」
 シエルが告げると、流石のロトも背筋が凍る。相手は、本気でこちらを沈める気だ。ビーム兵器などという都合の良いものはないので、一撃で葬られる心配はない。しかし、ロックされたということは次に何がくるかは明らかだ。
「巡洋艦から、高熱源体接近! 数は六」
 鉄の塊を粉砕する、ミサイル。宇宙での戦いでは、海上や空中より効果がある。船体にそれなりの穴を一つでも開ければ、それだけで命に関わるダメージを与えられるから。隔壁閉鎖など、余計な装備を付けられるほど宇宙船は進化していない。
「ECM、パッシブからアクティブ!」
「了解」
 強力な妨害電波が、白くじら号からミサイル群に向けて放たれる。シエルの見つめる全方位レーダーから、三つの光点があらぬ方向に逸れていった。
「三つ外れた!」
 よし、とロトは叫ぶが危機はまだ去っていない。妨害が効かないものは、撃ち落とすしかない。
「迎撃、シエルやれ」
「了解、迎撃します」
 船に常備されている、迎撃用の小型ミサイル四発が光の尾を引きながら、白くじら号から離れる。相手ミサイルを捕捉しながら、一気に両者の距離が縮まり、そして。暗い宇宙に、二つの大きな閃光が煌めく。特大の花火のように美しく見えるが、残念ながら音は聞こえない。
「残り一発、突っ込んでくる!!」
 シエルが悲鳴のような声をあげて、報告した。ミサイルは高速で、死を振り撒きながら、接近してくる。
「CIWS(近接防御火器システム)起動。同時にチャフと、フレア散布。回避行動を取る」
 これも白くじら号備え付けの機銃二門が、ミサイルの位置を特定して、弾丸の雨を降らせる。それと同じ時に、船体から無数の金属片と小型の火炎弾が放出された。どちらも、ミサイルの目測を誤らせる効果がある。祈るように、全員が目を閉じた瞬間、船が軋んだ。
「あ、当たった?」
「いや、直前で逸れてフレアに突っ込んだみたいだ」
 涙目のシエルに、ロトは冷静に答える。息の詰まる危機は、回避できたようだ。
「宙域全体に電波障害」
「この隙に、距離をあけよう。全速で離脱する」
 緊張が一時的にとれた途端、身体が重くなった。とんだ災難だ、とオルタンシアに厳しい視線を向けようとして、ロトはブリッジに光る粒が満ちていることに気付く。後ろから、嗚咽が聞こえた。王族らしさなど欠片もない、小さい女の子が泣いているようなそんな声だった。

 オルタンシアを自分の私室に連れていったシエルが、ブリッジに帰ってきた。
「お姫様は?」
「安心して眠ってる、怖い思いを連続で経験したら誰でもああなるわ」
 ロトは、ふぅと溜め息を吐く。足の速さもあって、巡洋艦の姿はレーダーの圏外に遠のいていた。ただ、間違いなく追尾されている。
「馬力は向こうが上だからな、そのうち追いつかれる。迎撃用ミサイルの残弾は?」
 席に座りながら、シエルが画面に触れて情報を引き出す。
「残り、四発」
「次に追いつかれたら、終わりだな」
 シエルも溜め息を吐きながら、座席に身を深く沈めた。海賊と接触しても、一度か二度切り抜ける武装はあっても、戦闘艦と戦うだけのものは装備していない。
「ヴェルミリオンの防衛艦隊に救援を要請するのはどう? お姫様を保護するためなら何でもしてくれるでしょ?」
「却下」
 シエルの提案をあっさりとロトは断った。
「何で?」
「信号を出したところで、防衛艦隊の圏内に入るまでに一度追いつかれる。それに、こちらが電波を出せば余計に奴らに捕捉されやすくなる」
「八方塞がりじゃないのよ〜」
 足をばたばたさせて、シエルが暴れる。
「あたしたち、こんなところで終わるの?」
 そう言って、シエルがロトに顔を向ける。
「俺は、嫌だね」
 ロトは片手で画面を操作し、シエルに情報を送る。シエルが離れていた間に立てた作戦、だ。
「時間稼ぎにしかならないけどな」
 ロトは自動操縦にして、シエルに説明を始める。
「ヴェルミリオンへの直線コースを外れて、衛星の影に入るように航路を変える。星の影に入れば、電波が通らないから、相手の索敵から一時的に逃げられる」
「それは、そうだけど簡単に影に入れさせてくれるかな?」
 相手は三隻、だ。三手で挟まれたら手に負えない。ロトは、そこでにやりと笑う。
「そう考えて、衛星の影に入る前に脱出ポッドを別々の方向に流す。奴らの索敵圏内に入ってからな」
 シエルは呆れた顔で、ロトを見返す。
「最後の命綱を捨てる気?」
「使えるものは盛大に使って、生き延びたいだけさ」
「脱出ポッドが空だって、すぐにバレるわよ?」
 ロトは軽く頷く。
「向こうもこっちの苦し紛れだってのは分かるさ、ただ無視はできない。何か、都合の悪いものが入っているかもしれないからな。だから、確認はしようと動く。一隻でも、追尾から遅れてくれれば儲けものという作戦だ」
「上手くいくのかな、これ」
「上手くいかなきゃ、終わる」
 ロトは説明を終えて、頭を掻く。
「とりあえず、外向きのことはこれで一段落だ」
 外向きね、とシエルが呟く。
「起きたら、お姫様にいろいろ聞かなきゃ。やっぱり偉い人は大変ね、命を狙われるなんて」
 シエルの発言に、ロトは頬を引つらせる。
「まあ、それに巻き込まれた俺たちの方が大変だけどな」
「言えてる」
 暢気に笑うシエルの声を聞きつつ、ロトは別のことに思いを向ける。そう、お姫様にはいろいろ聞かなければいけない。

 衛星の影に入る前、脱出ポッドを切り離す作戦を実行する時間が迫ってきたところで、オルタンシアが目を醒ました。良いタイミングだと、ロトは心の中で思う。外側の敵を相手にする前に、内側で片付けておくことがある。
 シエルの私室に出向き、ノックをして入る。シエルと話しながら、食事をしているオルタンシアはいくらか落ち着いているように見えた。
「ロト様、二度も助けて頂き何といって良いか」
 本当に感謝しているような声に、裏があるようには感じない。ロトは、軽く礼をしながら少しばかりの心の痛みを感じる。けれど、船長として果たすべき責任がある。真面目な顔のロトを見て、シエルがオルタンシアに話しかけた。
「姫様、船長がいろいろと事情をお聞きしたいと」
 オルタンシアは頷くと、背を正して、ロトに向き直った。ロトは、オルタンシアの瞳を見つめる。強い輝き、がそこにはあった。ロトも覚悟を決める。
「お話しの前に、もう一度、あなたのお名前を聞いてもよろしいですか?」
 不思議なことを尋ねると、シエルは首を捻る。だが、オルタンシアの表情に怯えにも似たものが浮かんだ。ロトは、じっと視線を彼女に注ぐ。
「わたくしは、オルタンシア・ロワ・ブラオです」
 その言葉にロトは一瞬だけ目を閉じて、哀し気な顔でオルタンシアを見つめた。
「姫様は即位式に向かわれる最中で、襲われたのですね?」
「はい」
 オルタンシアは答えながら、不安そうにロトを見上げる。
「失礼ですが、姫様それは少し変です。確か、即位が行われるのは第五惑星のエキャルラット。ですが、ここは第四惑星から第三惑星へ帰るために使う星間航路です。第五惑星に向かう航路とは真逆の位置ですが?」
「それは……」
 オルタンシアの顔に焦りが、浮かぶ。ロトは、さらに言葉を続ける。
「姫様の乗っていた船や、この船を攻撃してきた連中は姫様の命を狙っているのですよね?」
「はい、そうだと……思います」
 オルタンシアは、救いを求めるようにシエルを見る。シエルは、ロトが何を伝えようとしているのか黙って聞いていて、オルタンシアには応えなかった。
「それも疑問です。彼らは電文で、脱出ポッドにあったものを引き渡せと言ってきました。命を狙っているにせよ、今や女王となろうという人物を引き渡す要求をするのに、もの呼ばわりするでしょうか?何故、オルタンシア・ロワ・ブラオを引き渡せと言わないのでしょうか?」
 オルタンシアの肩が震える。
「何がおっしゃりたいのですか、ロト様」
 怒りに燃えた目が、ロトを睨みつけた。ロトは、それより強い瞳でオルタンシアを見下ろす。
「人命救助のためお乗せしましたが、船長は得体の知れないものは船に乗せられないのです。船と、船員の安全のために」
 オルタンシアは目を伏せて、ぎゅっと強く服の裾を握った。
「あなたは本物のオルタンシア・ロワ・ブラオですか? いえ、こう尋ねた方が良いかもしれない。あなたは、何者ですか?」
 ロトとシエルが見つめる中、オルタンシアは怒りと恥ずかしさに耐えるように無言で身体を震わしていた。だが、降参したように急にふっと力を抜いた。疲れた微笑みを浮かべて、顔を上げる。
「いつから、怪しいと思ったのです?」
「電文を聞いた時に」
「ロト様は聡明な方ですね、真似事をしているわたくしとは大違いです」
 オルタンシアは立ち上がって、謝るように頭を下げた。
「影武者、ですか?」
 ふるふる、とオルタンシアは首を横に振る。
「もっと、悪いものです」
「生体複写」
 新聞の一面を思い出すように、シエルが呟く。オルタンシアは、悲しそうな、切なそうな表情で頷いた。
「わたくしの型番は、OT―06。名前は、ありません。密かに研究され、作成された、オルタンシア姫の劣化クローンです」
 そんなものが本当にあったのか、と驚くのと同時に怒りが浮かんでくる。
「本当のオルタンシア姫は、このことを?」
 ロトの問いかけを、オルタンシアは否定した。
「おそらく知らないでしょう。ですが、黒い噂は耳に入っていたはず。だから、星間連合で生体複写を禁止する条約を締結したのです。それに後押しされて、心ある研究者の方たちがわたくしを連れて自らの罪を明らかにしようと逃げ出しました。けれど」
「秘密を明かされたくない者たちがいて、証拠隠滅と口封じを図ったというわけか」
ロトは、苦い薬を飲んだような不快な顔をした。
「それで巡洋艦三隻なんて」
 シエルは、ぎゅっと拳を握る。
「生体複写の技術は、軍事転用できます。潰れて欲しくない人間は、この宇宙に山といるのでしょう。そのためなら、兵器の横流しくらいはやるのでしょうね」
 全てを話した、オルタンシアの真っ直ぐな眼差しがロトに向かう。
「彼らの目的は、私です。私を置いていけば、彼らの追撃も緩むでしょう」
 ロトは、にやりと笑う。これで、内側のことが片付いた。余計に、外側の相手と戦い易くなる。
「あのなぁ、得体の知れないものは乗せたくないが、一度乗せたものは簡単には手放さないのが船乗りなんだよ」
 ロトの言葉に、シエルも安心して、とオルタンシアに笑いかける。
「ロト様、シエル様……」
 オルタンシアの瞳から、また光るものが零れる。いちいち自分を困難に引き込む家業だが、悪くない、と今のロトにはそう思えた。

 ブリッジに三人の姿が映る。衛星の影に入る直前、相手の巡洋艦の索敵圏内に入ったところだ。作戦通り、餌を撒くように二つの脱出ポッドが白くじら号から離れていく。
「一度乗せたものは簡単には手放さないのが船乗り、なのでは?」
 オルタンシアが補助席から、ロトに聞こえる声で呟く。
「うぐっ、これは、あれだ。生きるための先行投資だ」
 シエルが横で、笑いをこらえる。正念場を前に、何とも気の抜けたブリッジだった。仮面のとれたオルタンシアは、意外に頭の冴える、的確なつっこみ役と化していた。自分を追い込むのは、シエルだけで充分だとロトは心の中で悪態をつく。
「敵艦二隻、追尾コースから離れます」
 シエルが弾んだ声で告げた。
「馬鹿みたいに引っかかったな」
「証拠の一つも残したくないのでしょう」
 オルタンシアの言葉にロトは頷く。
「他の二隻が、こちらを挟み込む心配は消えたわけだ。そのまま、衛星の影に入ろう。残りの一隻の射程に収まる前に辿り着けるはずだ」
 ロトは舵を切って、クレーターだらけの衛星へ白い船体を寄せていく。だいぶ肉薄されたものの、相手の攻撃範囲に入るぎりぎりで衛星の影に潜り込んだ。一時的に、向こうのレーダーはこちらを見失っているはずだ。三人全員が、安堵の息を漏らす。
「影を抜けるまでの五時間は、安全だ。交代で仮眠しよう」
「ああ、やっと寝れる〜」
 シエルが幸せそうな顔で、ブリッジから抜け出す。
「おい、順番とか決めな」
 ロトの制止を振り切って、シエルは姿を消した。
「あいつ、船長をなんだと思ってやがる」
「オルタンシアも一緒に休もう〜」
 通路の奥から、ロトの神経を逆撫でする声が戻ってくる。こちらを気にする、オルタンシアに行ってやれとロトは手で合図をした。
「では、また後で」
 金髪を揺らして、オルタンシアも奥に消える。男一人になって、ロトはだらしなく姿勢を崩した。
「問題は、この後だな」
 衛星の影から抜けて、ロトたちの本拠地である第三惑星ヴェルミリオンに向かう間。この直線コース上で、一度は敵に捕捉されてしまう。どうにかして、ここを切り抜けない限り、撃沈されてしまう。ロトは、航宙図を何度も眺め返した。

 一時間ほど経った頃だろうか、航宙図に興味深いものを見つけていたロトのところにオルタンシアが戻ってきた。
「隣、よろしいですか?」
「ああ」
 ロトは、緊張しながら答える。いくら本人ではないといっても、顔や金髪は美しい王族のお姫様と同じなのだから意識してしまう。
「シエルと休んでなくていいのか?」
「いびきが凄くて」
 ロトは、思わず笑ってしまう。シエルらしい。
「シエル様は、ロト様のこっ、恋人なのですか?仲がとても良いように見えます」
「ぶっ、いっ、いや違う違う」
 全力で否定するロトに、オルタンシアは首を捻る。
「では、妹さん?」
 ロトは、少し切ない瞳でオルタンシアに笑いかける。
「シエルは、孤児なんだよ。船の手伝いをする条件で、親父が引き取った。シエルの両親も船乗りだったみたいだ。宇宙から帰ってこなかった」
「そう……ですか」
 ブリッジに静かな機械音が響く。
「ロト様やシエル様を見ていると、船乗りに憧れてしまいます。過酷さを知らないだけ、かもしれませんが」
 ロトは苦笑する。
「憧れるほどのものじゃないさ。家業を継いだだけで、正直好きな仕事じゃない。ほんとは、地上で星を観測したりしたかったんだよな」
 不思議と余計なことまで話してしまい、ロトは一人で照れてしまう。クローンだからではなく、このオルタンシアにはそういうところがある気がする。
「オルタンシアは、どうするんだこれから?」
 尋ねられて、オルタンシアは俯いて考える。
「どうしたいのか、自分でもよく分からないのです。本当のオルタンシア姫には、真実を伝えにいかなければならないのは分かっていますが」
「まあ、あれだ。やりたいことが見つかるくらいまでは、この船に乗っけといてやるよ」
 寂しそうな顔をする彼女を見かねてロトがそう言うと、オルタンシアは柔らかく笑んだ。
「ありがとう」
「手始めに名前から、考えたらどうだ。いつまでも、オルタンシアじゃあな」
「そうですね……」
 オルタンシアは遠い目で、暗い宇宙を見上げる。せめて自分の名前を、自分で決めればクローンという彼女の重荷も少しは減らないだろうか。ロトは、オルタンシアを見ながらそう思った。自分が何者か、か。ロト自身も、答えが見つからず黙ってしまう。
「そう言えば」
 沈黙を破って、オルタンシアがこちらに視線を向ける。
「どうして、船の名前が白くじら号なのですか?」
 ロトは瞳を輝かせて、にこりと笑む。
「白くじら、モビー・ディックの伝説から取ったんだよ」
「宇宙に現れるはずのない、巨大な白いくじら……でしたっけ?」
「シエルは全然信じないけどな、目撃例はそこそこあるんだ。人類より先に宇宙にいた、力ある種族だっていう言い伝えもある。まあ、船乗りの間では見かけるととんでもない幸運が訪れるっていうことになっている」
 父親から船を引き継いだ時に、思い切って船名も塗装も変えてやった。後でえらく叱られたのを、ロトは懐かしく思い返す。
「それで、船を白くしているのですね」
「まあ、それもあるけど。船を白くしとけば、くじらが仲間と思って近付いてくれるかもしれないだろ?」
 わりと本気で言ったロトの横で、オルタンシアが腹を抱いて笑い出す。
「そっ、そんな理由で船を白くしていたんですか?」
 少しむっとするが、花の咲いたように笑うオルタンシアの姿はとても綺麗で、文句を言うのも忘れてしまった。この船に来てから、この娘は泣いてばかりだったな。そう思って、ロトは見守るようにその笑顔を見つめる。仮面でも、クローンでもない本当の表情だ。
「あたしがいない内に、楽しそうだね〜」
 シエルが後ろから、ぬっと現れて交代を告げた。心なし不機嫌に見えるが、ロトも疲れていたので、おとなしく引き下がった。

 衛星の影から、あと一時間ほどで抜けようかというところでロトはブリッジに戻った。影から抜ければまた捕捉されるのが分かっているのか、シエルもオルタンシアも不安そうな顔をしている。
「早速だけど、これを見てくれ」
 それを察して、ロトは最後の望みを託した作戦を二人に教え始める。航宙図を睨みながら、ない頭を絞って考え出したものだ。画面に航宙図が映り、ロトは衛星の一部分を拡大した。
「なにこれ?」
 円柱が三つ、縦と横に重なったような物体を示され、シエルが目を細めてそれを見つめた。
「人工衛星」
 オルタンシアが呟く。ロトは、こくりと頷いた。
「衛星の詳細な地形データ採取のために、五十年前に軌道に乗せられた骨董品だ。大気圏なんてものはこの衛星にないから、忘れられたまま漂い続けてきた」
 ロトはさらに画面をいじって、白くじら号の予定進路を示す。ちょうど、人工衛星のすぐ側を通るプランだった。
「偶然にも人工衛星の軌道と、進路が近付くんだ。こっちの後を追ってきている、相手の巡洋艦も高い確率で同じ進路を取る」
 ロトの意図するところを察したように、シエルが声を上げる。
「まさか爆破して、進路妨害するつもりじゃ……」
「半分正解、だな」
「ぎりぎりまで引きつけて船体にぶつける、といったところでしょうか?」
「正解」
 良い相談役になりそうだと、オルタンシアの解答を聞いてロトは思った。
「残りの迎撃用ミサイル四発を、構造上の弱いところに設置して、爆破する。勿論、相手艦が人工衛星に接近するぎりぎりまで待つ」
「ほんと、使えるものは全部使うのね」
 シエルが自嘲気味に笑う。
「確実に当てるために、人工衛星と巡洋艦をレーダーに収められる位置をキープする。危険だが、仕方ない」
 三人全員が、決意を秘めた表情を浮かべた。内側は、大丈夫そうだ。あとは外側の問題を片付け、そして、必ず第三惑星に帰る。

 オルタンシアに船の操縦を頼むわけにもいかないので、結局ロトが一人で人工衛星にミサイルを仕掛けていく。起爆を手動に切り替え、手早く白くじら号に戻った。船外活動ばかりだと、ロトが嘆くと二人が揃って笑った。ブリッジの席に座り、その時を待つ。緊張した空気のブリッジで、オルタンシアが静かに口を開いた。
「助けて頂いたのがお二人で良かったと、心から思います」
 ロトとシエルは顔を見合わせて、笑う。
「助けたのが、あなたで良かった」
 シエルが振り返って、オルタンシアを抱いた。ロトも、同じ思いだ。
「まあ、そういうのを死亡フラグと昔は言っていたらしいけどな」
 素直ではない、ロトの太腿をシエルはつねる。陽光のような笑いが満ちたところで、警報が鳴った。
「巡洋艦一隻、こちらのレーダー圏内に入った」
 予想通り、こちらの航路を正確に辿りながら追撃してきている。そのまま、人工衛星の側を通れ、と祈るような思いでレーダーを見つめる。シエルの側にある全方位レーダーと、ロトの側にある補助のレーダー、双方を使って位置を慎重に確認していく。人工衛星と、巡洋艦を示す光点が徐々に近付いていった。
「シエル、爆破準備」
 全員が注視する中、シエルの指が起爆スイッチにかけられる。時間の流れが、遅く感じられた。冷や汗が、頬を伝う。二つの光点が、今にも重なりそうになった。来るならここ、だろう。そう思って宇宙を見上げるが、ロトの視線の先に期待した白い影はうつらない。いつも、そうだ。ロトは、視線を元に戻すと冷静な声で告げた。
「爆破」
「了解、爆破します」
 シエルの声と共に、かちりと静かな音がブリッジに響く。ブリッジから、後ろは視認できないので、レーダーだけが頼りだ。人工衛星を示す光点が消えているので、爆破には成功している。なおも動き続ける、巡洋艦の光点に三人は集中した。
 無限に思えた数分の後、しばらく規則的に動いていた巡洋艦の光点が明らかに速度を落としていく。
「相手艦、減速します」
 シエルが喜びに溢れた声で告げると、ブリッジに歓声が響いた。シエルとオルタンシアが、泣きながら抱き合う。緊張が一気にとれて、ロトは崩れ落ちるように席に身を沈めた。望まない、ろくでもないと思っていた家業が、誇らしくなる。幸運に頼らなくても、一人の女の子を助けるくらいは自分にもできる。その力を、この船はくれた。そう思えた。
「ロト様、私、生きてます」
 オルタンシアが、本当に嬉しそうに笑いながら話かける。それに答えようと口を開いたところで、再度、警報が鳴った。恐ろしい不安が、ロトを襲う。
「どうした」
 シエルはレーダーを見て、掠れた声で答える。
「本船、前方に巡洋艦二。急速に近付く」
「そんな」
 糸のとれた操り人形のように、オルタンシアの身体が座席に沈む。
「脱出ポッドを回収しに行っていたんじゃないの?」
 震える手で、情報を集めるシエルの横でロトは鉄の壁を殴りつけた。
「そう見せて、反対側から回り込まれた」
 ロトは、巡洋艦二隻がいるはるか先を睨みつける。終わるのか、こんなところで。宇宙の暗闇よりも深い、悪意に、負けるのか。家業も悪くないと思えた、そんな心を味わえないまま消されるのか。
「ロックされました!!」
 シエルの身体が恐怖で、震えている。オルタンシアの瞳から、水滴がつぅっと零れ落ちた。脱出ポッドもない。迎撃のミサイルも、ない。
 こんな、物語の終わりがあるのか。自分が何者かも、分からないままで。ロトは、祈るようにもう一度、宇宙を見上げる。
 ――白い尾。
 くじらの尾ひれのようなものが、真上をすっと横切った。
「レーダーに新たな艦影一!!」
 シエルが、怒鳴るように報告する。ロトは、はっと我に返った。
「どこの船だ」
 恐ろしい不安とは逆の、言いようもない期待がロトを包む。
「AIS応答、これは……ブラオ恒星宇宙軍旗艦、金色の貴婦人です!!」
 ロトは、言葉にならない叫びをあげる。他の二人も立ち上がって、跳ね上がった。
「金色の貴婦人より、電文。当該宙域における戦闘行為を直ちに、停止されたし。聞き入れられない場合、遺憾ながら実力行使も辞さず。追記、オルタンシア・ロワ・ブラオの名にかけて、これ以上の狼藉は許してはおけません。賢明な判断を期待します」
 後半は、涙声で読み上げていたシエルが堪えきれず幼児のように泣きじゃくる。
「本物の姫様……」
 オルタンシアはシエルを抱き締めながら、噛み締めるように呟いた。ロトは、今度こそ無事だと深い息を吐く。そして、思い出したように慌てて、宇宙を見回した。白い影は、もうどこにも見えなかった。
「幸運を運ぶ……白いくじら」
 口にした後、ロトは夢が叶った後のような寂しげな表情で虚空を見た。

 巨大な宇宙軍旗艦の横に船を付けるという、武装商船ごときには余りあるほどの栄誉を白くじら号は受けた。旗艦とドッキングして、乗り移る。不安そうな顔をする、オルタンシアを二人で支えて歩き出す。悪いようにはされない、もしされそうだったら白くじら号でもう一度逃げれば良い。そう言うと、オルタンシアは信頼したように頷いた。ハッチが開き、旗艦と繋がる。そこには、多くの将兵と共に、オルタンシア・ロワ・ブラオその人が待っていた。
「大変でしたね」
 周囲の制止を押し切って、オルタンシア姫は緊張で固くなるオルタンシアを優しく抱き締めた。
「ご…めんなさい、ごめんなさい」
 ぼろぼろと涙を零して、オルタンシアは泣く。
「あなたが謝ることなど、何もありません」
 オルタンシア姫は、自分と同じ柔らかい金の髪に顔を埋める。お母さんと、子供のような姿だった。ロトの胸に、父親のことがよぎった。
「後ろのお二人も、よくぞ困難を耐えて下さいました」
 声をかけられ、二人は深々と礼をする。その二人へ周りの将兵が、一斉に最敬礼をした。どの瞳も、長く戦ってきた友を労うような温かいものだった。ロトは、信じられない思いでその光景を目に焼きつける。長い旅の果ては、最高の賞賛で迎えられた。

 研究者がオルタンシア姫に助けを求める電文が、奇跡的に姫本人に届いた。そのおかげで、即位式の準備を放って、旗艦が緊急出動した。ロトたちの戦闘の形跡を見つけて、追ってこれたのは奇跡としかいいようのない僥倖だったらしい。これは、後から説明されたことだ。護衛艦二隻を付けて、惑星に返してくれるという褒美をもらって、ロトとシエルは白くじら号に戻るハッチの前にいる。充分に休息させてもらい、補給と整備までしてもらった。後日、正式に即位式にも呼ばれるようだ。
「気を付けて」
 オルタンシアが、シエルの身体を抱く。
「一緒に行きたい、のですが……」
 オルタンシアは、視線を落とす。本人の希望は充分に分かるが、聞き入れることはできない。それが、オルタンシア姫の答えだった。命を狙われることも、良からぬことに利用とする人もまだいる。生体複写研究の闇は、まだ晴れていない。安全に過ごすためには、今はオルタンシア姫に直々に保護してもらうのが一番だ。
「姫様も言ってたろ、一日でも一緒に過ごせるようにするって。オルタンシアが自由に生きられる、宇宙にするって」
「はい」
 オルタンシアはそう言って、他に言うことがあるかのように身体を揺らした。
「まだ何かあるのか?」
「はい、あの、名前を決めた……ので、最初に聞いて欲しくて」
 ロトは、目で促す。オルタンシアは、にこりと笑んだ。
「ファレナ、にしようと思います」
「ファレナ……良い響きだな」
ロトを見つめ、ファレナは満足そうに頷いた。
「古い言葉で、くじら、という意味です」
 ロトとシエルは、笑い出す。
「船と、同じ名前なんてややこしいよ〜」
「いや、ファレナらしくて、素直だ」
 温かい笑い声が、響いた。

 旗艦の窓から見えなくなるまで、ファレナが手を振っているのが見えた。きっと、また泣いているに違いない。白くじら号は旗艦から離れ、家路につく。
「なんか、いつも通りの二人だけが寂しく感じる」
 シエルがふうっと溜め息を漏らす。
「また、一緒に航海できるかなぁ」
「必ず」
 ロトは強く答えて、画面を見つめる。入港前に必ず届く、父親からの安否と旅の成果を尋ねる電文がそこに表示されていた。いつもは無視して捨てる、その電文の、返信の部分をロトはタッチする。その様子を、見ないように見ていたシエルが嬉しそうに微笑んで、美しい輝きで満ちた宇宙を見上げた――。


 
白星奏夜
2012年04月29日(日) 00時23分49秒 公開
■この作品の著作権は白星奏夜さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
前と同じくらいにしようと書いていたのですが、少し長くなりました。最後まで、忍耐して読んで下さった方に心からの感謝を。

これはSF板かなぁと思いつつ、あちらの雰囲気がホラー・ミステリーっぽかったので合わないような気がしてこちらにしました。違うよ〜って思われたらごめんなさい!!

宇宙ものを一度書いてみたかったので、いろいろ気になる点はまあ、温かく見て下さい!

ヒロイックエイジとモーレツ宇宙海賊、お勧めのアニメです。宇宙つながりなのでついでに(笑)

この作品の感想をお寄せください。
No.7  白星奏夜  評価:--点  ■2012-05-08 19:12  ID:8eZ32nCHAgE
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ウィル様
御感想、感謝致します。こんばんは。

一人はどこか抜けていて、一人はしっかり者のキャラクターは書いていてとても楽しいです。王道なのですが、私も大好きな設定の一つです!

どつぼ、と言って頂けてとても嬉しいです。やっぱりハッピーエンドが好きなので、そういうものを書いていきたいなぁと。はちゃめちゃなギャグも好きですが(笑)
背後関係や、設定等が不十分なのは、反省です。SFは、やはりより緻密な世界設定と描写が必要だと感じました。ファイブスター物語や、攻殻機動隊はそういう緻密さが見事ですしね〜。雲の上の存在ですが、目指していきたいです。

伏線や、ストーリーを褒めていただけると、やはりとても温かい気持ちになります。自分の頭の中だけの世界が、広がるような、生きたものになるようなそんな素敵な気分ですね。あ、私の勝手な妄想なので気持ち悪いと思われましたら悪しからず。

 次回も、とのお言葉も、本当に励まされます。ありがとうございます。ではでは、お名残惜しいですが失礼させて頂きます。またの機会に!!
No.6  ウィル  評価:30点  ■2012-05-08 01:21  ID:q.3hdNiiaHQ
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拝読しました。
のほほん上官と、しっかり部下という王道な二人ですね。大好きです。

とても暖かく、ハッピーエンド好きなんで私的にはどつぼでした。

ただ、せっかくのSFなのに会話主体なのが少し残念だなぁ、とちょい思ったりします。SFで王族やそれ関係の話を持ち出すと、どうしても背後関係をきっちり書き込まないとせっかくの設定がいかしきれない感じもしますし、SFファンの人間ならどうかな〜? と思ったりします。

私自身は設定よりもストーリー重視なんで気になりません、むしろ伏線やら戦略などあって、楽しく読めました。
また次回も拝読させていただきますね。
No.5  白星奏夜  評価:--点  ■2012-05-03 22:20  ID:8eZ32nCHAgE
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HAL様
御感想、感謝致します。こんばんは〜。
大団円まで持っていくのは、ほんとに、精神力を使いますね(笑) それでも、なにか心が優しくなる、読んで頂いた後に、ちょっと微笑みたくなる、そういうお話しが書きたくてずっと投稿しています。コメントを頂けるのは、望外の喜び、ご褒美に感じます。
 
 白くじらの尾の場面。印象的にしたい部分だったので、心に響くものがあったのなら幸いです。というか、あれが今作唯一のファンタジー要素でした(汗
 連載は禁止ですけれど、別物の番外編みたいな感じで独立させたら許して頂けるのでしょうかね〜。HAL様のコメントを読んでいましたら、急にロト父や、シエルのお話しが頭に浮かんできてしまいました。まとまれば、また機会を改めて。続編や番外編は? と言われますととても嬉しく感じます!

 リアリティ、というところでいろいろと教えて頂き、本当にありがとうございます。勉強になります。SFは特にきちんと知識がないと、見透かされてしまいますね。勢いで書きましたが、難しいところです。
 今回は流れで物語を組み上げていったので、機械のディテールや、キャラクターたちの細かな心理描写、生活感、感覚などはちょっとおいてけぼりな感じでしたぁ。書いている最中も、悩みました……。というか、力尽きかけてました。でもでも、もっと魅力あるものにするためにそういうところも気にしなければいけませんね。
 ただ、ご指摘にある通り、塩梅が必要なことだと私も思います。その塩梅が、うまいのがやはり読んでいて楽しい作品ですものね!そこを目指していきたいです。

 長文、とてもありがたいです。むしろ、欲張りですが、ウェルカムですね。次回作も楽しみに、とのお言葉も本当に励まされます。皆さんあっての、投稿です。
 ではでは、今回もありがとうございましたっ。なんかうまいコメント返しができないというか、真面目な感じでいつも申し訳ないですがっ、またよろしくお願いしますっ。それではっ〜!!
No.4  HAL  評価:30点  ■2012-05-03 20:43  ID:Ox4C2eApmPI
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 拝読しました。

 やさしい雰囲気のお話に、どこかほほえましいような人のいいキャラクターたち、緊張感のある飽きさせない展開もあって、ひといきに読んでしまいました。
 読み終えて心の温かくなる、やさしい気持ちになれる話を書けるというのは、とても大きな力だと思っています。それに、ピンチを乗り切っての大団円を書くというのは力のいることで、自分自身がなかなかできずにいることだけに、見習いたくも思います。

 くじらの尾ひれらしきものを見る場面、胸が熱くなりました。SFに出てくるこういう不思議、実はとても好きです。どんな未来になっても、人間が生きていれば、不思議な出来事や怪奇現象についての話はなくならないだろうな、なんて思います。

 ロトが、お姫様を守って戦う役どころながら、父親に反発しつつも微妙に頭が上がらなかったりするのが、可愛くていいなと思います。
 そういえば、登場はしませんでしたが、お父さんも実はちょっと気になっています。なにやら美味しいキャラクターの匂いがする……! このお話、続編や番外編などは書かれないのでしょうか?

 コメント欄で「いかにリアリティのある世界を作るか」というご発言があったので、ここから作品への直接の感想からはちょっと逸れてしまいますが、個人的に思うところを少しばかり。参考になるかどうかはわかりませんが……。

 これは白星様の作品がどうこうというよりも、むしろわたし自身が自分に向かって普段から言い聞かせていることなのですが(そして自分でなかなかできずにいることなのですが……)。
 SFを書く場合、リアリティや臨場感を出すときの手法として、大きくわけてふたつあると思ってます。ひとつは正道というか、きちんとした知識を身につけて、科学的に裏付けのある記述をすること。(こちらは、わたしなどははなからほぼ諦めているのですが/汗)
 もうひとつは、ディテールを緻密に、なるべく感覚的に書きこむことです。
 ひとつずつの設定や描写が、科学的にいって厳密に正しいかどうかは、つきつめていくのは大変ですが(汗)、後のほうは、想像力の領域ですよね。

 たとえば架空の道具や技術を用いたときに、その技術がどのようにして成立しているのかを書くのが前者で、それを用いた人間がどのような感覚を抱くのか、あるいは、その技術が存在する社会がどのような仕組みを持つにいたるだろうか、というような部分を書くのが、後者だと思ってます。

 たとえが下手で恐縮なのですが、たとえばレーザーガンの出てくる小説を書くとして、「レーザーガンを撃った」だけではただの説明だけれど、主人公がその銃を持ったときの感触・重さ、その瞬間の感慨(初めて持つのだったらどきりとするでしょうし、若い男の子なら興奮もするかもしれません。想像していた手触りと違って驚くかも……)、その銃の来歴、撃ったときの手ごたえや空気の匂い、主人公がその瞬間に考えたこと/感じたこと、撃たれた相手や周りの人間の反応、手の汗、神経の高ぶる感じ、自分のしたことへの恐怖……そういう部分を感覚的に、緻密に書くことができれば、詳しい人から見たら厳密な意味ではリアルでないかもしれないけれど、それでも多くの読者は、物語に入りこんで、主人公の感覚を追体験できますね。

 本作も、このままでもとても楽しく読めたので、これはけして指摘というわけではないのですけれど、主人公たちのライフスタイルや船の内装、船を操縦するときの具体的なヴィジョンや感覚だったり、食べものの味や見ため、作業艇の内部の様子というような、細かい部分がもっと詳しく書かれていたら、いま以上に作品の中に入り込んで、深くのめりこめたかもしれない、と思います。

 もちろんこれは、読み手としてのわたし個人の好みの話ですので、創作スタイルにあわない部分がありましたら、軽く聞き流していただければ充分です。生活臭い・泥臭い話が好きかどうかは人によりますし、それに、あまり細かく書きすぎても、ストーリーの勢いを止めてしまったり、読者を退屈させる場合もあると思いますし。そのあたりの塩梅は、好みの問題ということで。

 と、つい長々と失礼いたしました。また次回作も楽しみにしています。
No.3  白星奏夜  評価:--点  ■2012-04-30 20:09  ID:8eZ32nCHAgE
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zooey様
御感想、感謝致します。いつも、ありがとうございます!

白くじらは、御指摘の通り『白鯨』から頂いてきました。実際の『白鯨』を、この物語で採用すると阿鼻叫喚の有様になるので、名前だけ拝借という感じでしょうか(笑)

戦闘場面は、書きたいシーンの一つだったので、素晴らしいと感じて頂ければ本望です。宇宙で誰も戦闘したことがないので、勝手に想像してみました。

キャラも物語も奇抜である必要はない……そうですね、奇抜なもので驚かせたい願望もありますが、奇抜でなくともやはり積み上げ方でいくらでもおもしろくなると私も感じます。
まだまだ未熟ですが、一つ一つの要素をしっかりと踏んでいきつつ、その中で
ちょっとした仕掛けを起動させていく。そういう書き方が、何かとても楽しくなってきた今日この頃です。作風が好き、と言って頂けるのはとても光栄なことです。励みになります。個人的には、もっと三人の絡みを(クローン姫とシエルの絡みなんかを)書きたかったのですが、構成上やむなし、でした。キャラに触れていただけると、書いた方としてとても心が温かくなります。

構成は、自分でも良いのかなぁと思いつつでしたが、一つでもご参考になれば幸いです。
やっぱり、そこは気になられましたよね〜。爆弾を仕掛けるシーンをあえて抜いたので……。余計に長くなるし、テンポが悪いかなぁという判断でした。御指摘、ありがとうございます。

今回も、いろいろとありがとうございました。ではではぁ〜!

ゆうすけ様
御感想、感謝致します。お仕事の方、どうでしょうか? またコメントを頂けて嬉しい限りです。ですよね〜SFですよね〜。まっ、まあ白くじらがファンタジーなので(笑)、こちらで。

そうですね、やはり年齢や容姿は少し入れた方が良かったと思います。反省です。萌えテイストですかっ、考えて次回に活かしたいです。
伏線は、ちょっとしつこいかなぁと序盤で出しすぎな感があったのですが、面白いといって頂けて、にやけております。むぅ、国際救難信号は、御指摘の通りです。そういうところにも注意しなければいけませんね。星間救難信号、とでもしておけば良かったような。
所属は聞くべき、でしたね。識別を拒否している、設定で流してしまいました。現代の延長のような宇宙を想像して、書いてみました。なので、ワープもSFに出てくる超兵器も排除してみました。ワープなしで、他の恒星系ってと自分で突っ込みながら、でしたが。戦闘のところは、現代の艦隊戦、電子戦を応用してみました。宇宙船も、そんな感じです。ここは、感じ方が分かれるところかもしれませんね。ミサイルは、レーダーと熱源双方が打たれた、と脳内で勝手に解釈していました。描写するべきでした。
いかにリアリティのある世界を作るか、これはとても大変なので、気長に楽しく書いていけばいいと思います、との言葉。ありがたい励まし、です。楽しんで、いろいろと試行錯誤しながらやっていきたいです。

楽しく読めた、のご感想で、全て報われたような気持ちがしました。

年代的に知らないですね〜調べてみます。面白そうですし! ヤマト、地球へ……などは知っているのですが(汗)
あと、父が好きなスタートレックも随分と見ました。エンタープライズ、はとても好きな船ですね。最近では、ギャラクティカなんかも。
あ、完全に趣味の話しですね!失礼しました。

今回も御感想、ありがとうございました。ではではこのへんで〜!!
No.2  ゆうすけ  評価:30点  ■2012-04-30 14:59  ID:dZDA6s9Jnbw
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拝読しましたので感想を少し。
思いっきりSFですよね。でもこっちの板の方がいいと思いますよ。SFホラミス板愛好家の私ですが、活気があるランキングをすれば、現歴、ファンタジー、詩、SFの順番になると思いますし。
閑話休題、では作品の感想。
主人公キャラが二人組、適度な人数だと思います。ボケとつっこみとしての機能もありますし、多すぎると把握できませんし。少女シエル、どの程度の年齢でしょうか? 年齢や容姿が分かる描写が序盤にあり、萌えテイストがあると男性読者をひきつけるかもしれません。
新聞に書かれている伏線がきっちりと機能していますね。伏線は書くのも読むのも面白いものです。
「国際救難信号」←国際よりも宇宙連合とか、SFテイストの言葉にした方が雰囲気でそうです。
3隻の宇宙巡洋艦との遭遇、どこの所属であるかをまず気にするはずです。この世界における政府に属しているのか? 無所属であれば海賊ですから。
巡洋艦との追いかけっこ。SFは難しいですよ。SF好きオヤジに突っ込まれることになりますからね。まず、ワープ航法はなさそうですね。武器はミサイルで、光子魚雷や粒子砲やレールガンもなさそうですね。どこかレトロな宇宙、ファンタジーとして考えればありな気もします。
レーダー追尾ミサイルを撃たれたようですね。ECM、フレア、チャフ、機銃、現実の装備であって、SFで宇宙船同士の戦いにはあまり向かないように感じました。フレアは熱源追尾ミサイル対策ですしね。
生体模写、人間のクローン技術ですか。バイオテクノロジーによるものか、それともスキャンしたデータによって分子レベルで構築したものか、恐らく後者ですね。
ちょっとしたキーワードを入れただけでも、読者は作者の意図せぬ場所に注目するものです。いかにリアリティのある世界を作るか、これはとても大変なので、気長に楽しく書いていけばいいと思いますよ。
ちゃんとに盛り上がる場所とか、伏線回収とか、しっかりと作品として盛り込まれていて楽しく読めましたよ。

宇宙の運送業というかなんでも屋……クラッシャージョーとかダーティーペアとか、年代的に知らないですよね。レンズマンも知らないだろうな。今更知りようもないし。おっさんの独り言。
No.1  zooey  評価:40点  ■2012-04-29 18:59  ID:1SHiiT1PETY
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読ませていただきました。
とても良かったです。

モービーディック、メルビルの『白鯨』ですね。
海の物語を宇宙の物語として組み込むのは、そこまで奇抜ではないのかもしれませんが私には新鮮で、楽しく読めました。

私はSF小説というものを読むことがないので、宇宙船の各部の名称すらよく分からないのですが、
とにかく戦闘場面が丁寧に描かれていて、きちんとした知識の上に物語を構築されているのだなと思いました。
読者に伝わるようにこういう場面を細かく描写するのは、とても筆力の必要なことだと思うので、素晴らしいなと感じました。

物語や登場人物に関しては特に奇抜な点はないように感じましたが、
それでもきちんと踏むべきステップを丁寧に踏んで、
細かな要素をしっかりとラストで掬い上げていて、とても丁寧に構成されていて、いいなあと感じました。
私自身は物語も人物も、奇抜である必要はなくて、
きちんと丁寧に追いかけていくことで体温のあるものになって、自然と個性が出ると思っているので、
白星奏夜さんのこうした作風はとても好きです。
今回もロトもシエルも、クローンのお姫様も、それぞれに個性があってとても良かったです。

物語の構成に関しては、私がとても苦手な部分なので、読んで非常に参考になりました。

ただ、一つあったのが、人工衛星に爆弾を仕掛けるというのが三人の会話からすぐに分からなくて、少し混乱したことくらいです。
でも、これは私がよく読めていなかっただけかもしれないし、読み進めたらすぐに分かったので、大した問題ではないかも知れません。

ありがとうございました。
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