ファナ・ティオトルの学び舎にて |
「よう、鳥野郎にワーキリー。てめえら、あいかわらず景気の悪いツラしてやがるじゃねえか」 僕でさえむっとしたというのに、鳥野郎と呼ばれたアカアシは、眉一つ動かさなかった。それどころか気さくに手を上げると、自慢の冠羽を嬉しげにゆらして、興奮した子どものような声で答えた。 「やあ、シャガン。見たよ、きみの彫ったティカ・ティギの女神像。魂を吸われそうだった」 つややかな羽毛に覆われた蝋羽族(ろううぞく)の表情は、僕らにはなかなか判別がつかないが、胸にぶら下げた翻訳機が伝えるアカアシの語調を聞いていれば、彼が本当にうれしそうに笑っていることは、誰にでもわかる。シャガンはまんざらでもなさそうに鼻をこすると、アカアシの撫で肩を無遠慮に叩いた。 「そういうてめえは、なんで何も出してねえんだよ。天尭展は年に二回しかねえんだぜ」 天尭展というのは、世界中から招かれた人々に僕らの作品を見てもらえる、ほとんど唯一のチャンスだ。今日の早朝から明後日の夜までの三日間、大学の敷地を一般に開放してとりおこなわれている、芸術家の卵たちの一大イベント。だから、学生たちはこの展覧会にあわせて、それぞれとびきりの作品を仕上げる。このファナ・ティオトル芸術大学に在籍できるのは、どこの国の誰であろうと、きっかり三年が上限。その六回のチャンスで名前を売ることができなければ、そこから先、芸術家として食べていくことは、ひどく難しい。 「いろいろあってね。冬には頑張るよ」 アカアシはあっけらかんとそういうと、彼らの民族衣装であるトトル・カーサの裾をふくらませて、翼を振ってみせた。 ほんの二十年ほど前まで服を着用する習慣のなかった彼らの間で、このごろようやく広まりつつあるその衣服は、機能的にも意匠的にも、洗練されているとはいいがたい。学内において、彼のこの格好はひどく目立つけれど、普通の人間の服では彼らの体格にあわないから、アカアシはいつも故郷からもってきたわずかな服を着まわしている。 「いろいろってなんだよ」 「シャガン。次の作品にとりかからなくていいのか」 苛立った僕が遮ると、シャガンは目を丸くして下品に口笛を吹いた。 「おう、さすが特待生はいうことがちがうねえ。焦らなくても、芸術の神様は逃げやしねえよ」 「逃げるかもしれないよ。五分後に地震が起きて建物に押しつぶされるかもしれないし、三日後に馬に撥ねられて腕に重症を負うかもしれない」 「何をそんなに苛ついてやがんだよ、ワーキリー。おめえの絵の前に、人だかりができてたぜ」 「それは光栄だけどね、シャガン。僕らはいま、それどころじゃないんだ」 「なんだよ、いったい。事と次第によっちゃ、力を貸すぜ」 シャガンは呆れたような顔になりながらも、なんの気負いもなくそういった。口は悪いし、なにかと偏見に満ちてはいるが、まあ、いい奴なのだ。 「なんでもないよ、大丈夫」 アカアシは翼をばさばさならしながら、まるでほんとうに何でもないかのように、そういった。 「なにひとつ大丈夫じゃないだろう、アカアシ。どうしてきみは怒らないんだ」 いいながらわかっていた。アカアシが怒らないのは、人がいいからだ。あるいは、肉体的にも精神的にも人間なんかよりもよほど強靭で、僕らのせせこましい悪意や嫉妬なんかには、びくともしないから。 「だから、いったいどうしたってんだよ」 話の飲み込めないシャガンが、だんだん苛々しはじめた。 「盗まれたんだよ。アカアシが半年がかりでしあげた絵が」 壁を殴りながらそう吐き捨てると、アカアシは驚いたように羽を逆立てて、鉤爪のついた三本指で、そっと僕の手を掴んだ。 「ワーキリー。ぼくのために怒ってくれるのは嬉しいけど、筆を持つ手を痛めるよ」 いさめられて、思わず唇を曲げた。僕が腹を立てているのは、作品を盗んだ卑怯者に対してだけではなかった。彼の描いた美しい蝋羽族の絵が、行方知れずになったと知ったとき、心のどこかで一瞬といえど喜んでしまった、自分の卑しい性根にも、僕は腹を立てていた。だが、そのことを僕はいまだに、この親友に打ち明けられずにいる。 「ははあ。評判を鳥野郎に持っていかれたんじゃ、人間様の面子がたたねえってか。みみっちいやつらもいるもんだ」 僕はもう一度壁を殴ろうとして、アカアシの静かなまなざしに気づき、どうにか思いとどまった。 同国人に先をゆかれるのはあきらめても、芸術を解さないはずの野蛮な異民族に負けるのには我慢がならないというような、歪んだ価値観を持つ連中がいるのだ。そうしたやつらには、いくらでも心当たりがある。 「嫉妬を愛国心にすりかえて、正義感きどりなんだろうさ。不満があるなら、己の筆と鑿(のみ)で語ればいいだろうに、仮にも芸術を志す人間が、よくもそこまで誇りを失ったものだ」 侮蔑をこめてそういった僕を見下ろして、アカアシはきょとんと首を傾げた。愛国心なんていう感情は、彼ら蝋羽族にはもっとも理解しがたいものだろう。なんせ彼らは、国どころか町も村も、家族というコミュニティさえもたないのだから。 「ワーキリーよ、だいたいの目星はついてんじゃねえのか」 「わからない。何人か、そうじゃないかと思うやつらはいるが、証拠がなにもないからな」 「現物を探すしかねえ、か。まあいいさ、付き合うぜ」 あっさりというと、シャガンは僕らと肩を並べて歩き出した。 ありがとう、とアカアシはいって、頭を下げた。これは彼らにはない習慣で、彼がここにやってきてから覚えた仕草のひとつだ。白銀に光を弾く美しい冠羽が、不器用にぴょこんと揺れた。 「いいさ。妬まれるようないい絵なら、俺だってこの目で見てえしな」 そういうと、シャガンはにやりと笑った。前言撤回、こいつはいい奴なんじゃなくて、ただ美しいものに目がないだけだ。 でもシャガンのその姿勢は、ある意味で正しい。いい作品を作ることができるかどうか、僕らにはつまり、それが全てだ。そのほかのくだらない言い訳や理屈や、おためごかしや嫉妬や人種の壁なんていうものは、何もかもまとめてくず籠に放り込んでしまえばいい。 「で。何を描いたんだ? おまえ」 「蝋羽族の女性だ」 照れて口ごもったアカアシのかわりに、僕がそう答えると、隣を歩く親友は、トトル・カーサの裾から飛び出す尾羽をゆすった。 蝋羽族のひとりが、いまにも崖を蹴って大空に舞い上がろうという、まさにその一瞬を描いた絵だった。体を覆う藍色の羽毛の下に、すらりとした優美な筋肉が脈打っていた。その蹴爪の逞しさに、澄み渡る空をまっすぐに見つめる曇りのないまなざしに、僕は一目見るなり、心を奪われた。それはただ見目に美しいというだけのものではなく、鋭い命の息吹の宿る、力ある一枚だった。 あまり考えたくはないが、犯人の目的がいやがらせなら、最悪、すでに破られるか、燃されている可能性もある。あの素晴らしい力作を、つまらない嫉妬から傷つけるようなやつらと、同じ大学で同じ空気を吸って学んでいくなんて、僕には絶対に我慢ならない。もしも本当にそんなことがあったなら、かならず事実を明らかにして、大学側に掛け合い、犯人は退学処分にしてもらう。 講堂という講堂、作業場という作業場を、隅々まで念入りにひっくり返しながら、僕らは学内を移動していた。わかりやすいところに隠されているとは思えなかったが、ほかにいい方法も浮かばない。 「へえ。その女ってのは、おめえのコレか?」 女性をあらわす下品なジェスチャーで、シャガンが聞いたけれど、アカアシは当然ながら理解せずに、首を傾げた。ため息をついて、仲立ちのつもりで口をはさむ。 「蝋羽族に、特定の異性を独占するような概念はないよ」 「うそだろ!?」 シャガンは何もそこまでというほど驚いて、飛び上がった。 「だって、そんならどうやって」 続けてその口から卑猥な単語が飛び出しそうになったので、先回りするように言葉をかぶせた。 「時期になったら相手を見つけて、出産から育児の間の数年間だけ、いっしょにすごすんだ。子どもがある程度大きくなったら、それぞれまたばらばらに暮らす。子どもとも離れるし、同じ相手と二回は子どもを作らない。だったよな?」 確認するように訊くと、アカアシはあっさりと頷いた。 「ぜったいに作っちゃいけないってわけじゃないけど。でも普通はそうするね。個体数が少ないから、遺伝子の多様性を保つために相手を変えるんだろうって、どっかの生物学者が論文を書いてたよ」 自分たちのことを、まるで獣かなにかのように語られているというのに、アカアシはそのことにまったく抵抗を覚えないようだった。 彼らはほんの数十年前まで、長いこと、少しばかり知能の高い、鳥によく似た動物なのだと、そう認識されていた。彼らの話す言語が、僕らの耳には聞き取れない周波数だったことと、彼らが群れず、農耕も建築もせずに、巣穴を渡って暮らしていたことが、その不幸な行き違いの原因だった。 せめて彼らの文化が、文字でも持っていればと、いまさらせんのないことを思う。それならば、どうにか翻訳して互いに意思の疎通をしようという動きは、もっと昔からあっただろうに。そうであったなら、過去の歴史にみるような、血なまぐさい争いの大部分は、きっと回避できただろう。 だけど彼らは、そうした目に見える文明のかわりに、空を飛ぶことのできる翼と、長時間の飛行を続けられるだけの強靭な肉体と、それから、長い寿命とを持っている。そして文字を持たないかわりに、すばらしい記憶力を誇ってもいる。それは、彼が首から提げている翻訳機がまぎれもなく証明している。 翻訳機、と僕らは呼んでいるけれど、それはただ単に、周波数が高すぎて僕らに聞き取れない音を、低く変換しているというだけのものだ。アカアシはある日、人間種族の作り出した芸術作品の数々に魂を奪われて、僕らの社会に飛び込んできた。それからわずか半年で、僕らの言葉をマスターして流暢に操るようになり、さらにその半年後には、難解なペーパーテストと実技試験とをクリアして、この芸大に入学したのだ。 凡人の嫉妬の集まらないはずがなかった。人は弱い。アカアシたちのように、何にもとらわれず強く生きることは難しい。 だけど、そういう自分の弱さに流されて、どんな卑怯な手を使っても許されるなんて、そんな馬鹿な話はなかった。あの絵がもしも傷つけられていたなら、僕は犯人を許さない。 「そんじゃお前ら、何年かおきに相手をとっかえひっかえってわけか。羨ましいねえ」 下品な感心の仕方をしているシャガンを思わず蹴ると、倍の強さの蹴りが帰ってきた。 「でもよ、未練はあるんだろ。絵に描くくらいなんだからさ。一度は惚れた女が、ほかの男に取られっちまったら、悔しかねえのかよ」 いかにも興味本位といったようすで訊いたシャガンに、アカアシは喉を鳴らして(実際に鳴る音は聞こえなかったが、喉の震えから僕はそう解釈した)笑った。シャガンを嘲笑したのではなく、いろんな相手から似たようなことを聞かれるので、それが可笑しかったのだろう。 「一度でも深いかかわりをもった相手は、ぼくらにとっては、生涯ずっと兄弟姉妹だ。いずれほかの男と番(つがい)になったって、何も変わらないさ」 「はあ?」 シャガンは間の抜けた声を上げた。 気持ちはわからないでもない。僕だって初めて聞いたときはちんぷんかんぷんだった。 「僕らの言葉には、アカアシたちのいうその関係を示すのに適切な単語がないんだ。親友、同胞、仲間、身内、縁者……どれも少しずつニュアンスが違う。とにかく彼らは、一度深い友情や愛情や、信頼で結ばれた相手のことを、その言葉で呼ぶんだそうだ。一緒には暮らさないけれど、生涯その絆が切れることはなくて、何か変事があったときにはいつでも助け合う……らしい」 適切な訳語がないので、彼等はそのことを人類に説明するときに、しかたなく「兄弟あるいは姉妹になる」と表現するのだそうだ。それをしらない人々のあいだでは、誤解だらけの知識が広まってしまっている。連中がそうやってどんどん兄弟姉妹化していったら、種族総ひと家族になるんじゃないかなどという冗談が、いっとき流行ったくらいだ。だが、兄弟の兄弟は自分の兄弟でもある、というような感覚は、彼らにはないらしい。 彼等は国も村も作らない代わりに、個人と個人のあいだにそういう関係を結び合って、たくさんの同属とつながっている。ひとつのカテゴリに括られる集団ではない、ゆるやかな結びつき。 その話を聴いたとき、僕は思わずアカアシにたずねていた。君はこうして学校という集団に所属することが、苦痛ではないのか。規律に縛られることが、蝋羽族であるというだけで偏見の目で見られることが、あるいは外部の人々から芸術家志望だのティオトル生だのといってひと括りにされることが、嫌ではないのかと。 アカアシは不思議そうに首を傾げた。ぼくらにだってタブーはあるし、ここの規律は複雑だなとは思うけれど、守れないほどじゃない。それに、誰に何と呼ばれようと、ぼくはぼくだろう? 僕はその言葉に打たれた。人間の大学になんて入った彼は、同属の間でも変人扱いされているそうだけれど、彼らはそもそも、自らがマイノリティであることを、恐れたり恥じたりはしないのだ。 この大学の学費は高い。僕は奨学金をもらっているが、画材や教本にかかる費用だけでも、貧乏人には目を剥くような額になる。家業を継ぐでも、学問を修めて役人になるでも、体を鍛えて軍人になるでもなく、芸術家として身を立てようなどという不確かな道に進む人間は、当然ながらごく少数で、シャガンのようによほど裕福な家の子弟か(知らなければとてもそうは見えないが)、そうでなければ、僕のような変わり者くらいだ。 道楽のできる資産家はともかくとして、世間一般の芸術に対する理解は、いまだ低い。この大学内にいれば周囲は同類ばかりだが、ひとたび学外に足を踏み出せば、僕らは奇異の目で見られるか、あるいは金持ちの道楽と笑われる。その目が、僕には怖い。 僕ら人間は、大いに彼ら蝋羽族に見習うべきところがありはしないだろうか。僕はそのことを、アカアシと出会って以来、ずっと考え続けている。異民族への偏見の目で満ち満ちたこの学内で、毎日楽しそうに学ぶ友人を横目に見ながら。 学内の空気を震わせて、正午の鐘が鳴る。反射的に空腹を感じたけれど、絵の行方のほうが気になる。こうしている間に、どこかに持ち出されたり、傷つけられたりしないだろうかと思うと、続きは午後にしようという気分にはなれなかった。 「さて、次は材木室……」 いいかけたシャガンは、鼻をひくつかせて、急に厳しい表情になった。怪訝に思い、まねをして臭いをかいでみたが、僕にははじめ、シャガンが何に反応したのか、わからなかった。 「なあ、描いたのは油彩画なんだよな? 溶剤には何を使った?」 「え、ミッカ樹の製油だけど……」 答えるアカアシの言葉をきいて、はっとした。先ほどから、溶剤のにおいがしているのだ。 自分らが同じものを四六時中使っているせいで、アカアシも僕も違和感を覚えなかったけれど、彫刻を専攻しているシャガンには、この部屋の前で油絵用の溶剤の強いにおいがすることの異常さが、すぐにわかったのだろう。 無言で戸に手をかけると、部屋は施錠されていた。舌打ちして、鍵を借りるために教員室に向かおうとした僕をよそに、シャガンが扉をけりつけはじめた。大音量に、耳のいいアカアシが驚いて毛を逆立てる。 「おい、乱暴はよせよ」 「扉の一枚や二枚、あとでいくらでも弁償してやるよ。それよりか、鍵を取りにいってるあいだに、中にいる犯人が逃げちまうかもしれねえだろ」 「中にいるとは……」 限らない、といおうとしたときに、材木室の中でがたんと音がした。僕らは顔を見合わせる。 「てめえ、そっから逃げるなよ! バンガ樹海に放り込まれて黒狼の餌になるのと、オーヅォ運河の底に沈むのと、どっちがいいか考えてろ!」 ごろつきまがいの恫喝をしながら、なおも扉を蹴破ろうとするシャガンの腕を、アカアシがそっと引いた。なんだよ、と振り返るシャガンに、ゆっくりと首を振る。 アカアシはおもむろに一歩さがると、窮屈そうに履いていたサイズの合わない靴をぬぎすてた。それから彼の名前の通り赤く鋭い蹴爪のついた脚を振り上げて、扉に力強い蹴りを入れた。 ふだんは温厚なアカアシのまさかの暴挙に、僕が目を丸くしているうちに、その蹴爪はあっさりと厚い扉を破って、部屋の内側に蹴り倒した。 「やるな、鳥野郎」 口笛を吹いて賞賛するシャガンを、ちょっと困ったように見下ろして、アカアシは首をすくめた。おそらくシャガンがいなかったら、彼はこんな行動には出なかった。自分のためを思う友人に罪を犯させるくらいならと、自ら手を下したのだ。 だけど、本当はそんなことをさせるべきじゃなかった。僕はだまってみていた自分を、内心で罵った。たっぷりの寄付金を持参して入学したシャガンとちがって、アカアシには後ろ盾がない。理事の中には、蝋羽族が芸術を学ぶことに、いい顔をしないやつらだっている。 とっさにシャガンの短慮を責めようとしたけれど、その前に、すすり泣く声が耳に飛び込んできて、僕らは顔を見合わせた。 それは、女の子の声に聞こえた。 中に入り、部屋の暗がりに目が慣れると、奥の大きな材木に隠れるようにして、小柄な女学生がひとり、うずくまっているのが見えた。顔に見覚えがある。とっさに名前が出てこないが、記憶違いでなければ、水彩を専攻している子のはずだ。 人違いだったかと、非礼を詫びようとした僕の腕を、シャガンが掴んで首を横に振った。 「見ろよ」 シャガンが顎で示した先には、布で包んだ画板があった。 無言で歩み寄り、丁寧に布を剥ぐあいだに、シャガンが壁を探って、明かりをつけた。 布の下には、探す絵があった。女の子は、びくりと肩を震わせて、それ以上小さくなりようがないほど、きつく身を縮めた。そこから消えていなくなってしまいたいというように。 ひゅう、と、シャガンが口笛を吹いた。余裕の態度をよそおっているが、その音は掠れていた。軽口のひとつも続かないところをみると、絵がそうとう気にいったんだろう。 黙ってしまったシャガンと、困惑しているアカアシのかわりに、僕が女の子の前に立った。 「……君が、盗んだの?」 情けない話だが、僕の声は、詰問口調には程遠かった。あれだけ腹を立てていたというのに、泣いている女の子を相手に怒鳴る度胸は、どこにもなかった。 「よう、てめえ、いったいどういう了見だ」 ようやく絵から目を離していったシャガンの声も、言葉ほどには力のない、どことなく気抜けしたような調子だった。それでも彼女は、ひどく震えて、怯えた様子をみせた。 「ごめんなさい……わ、わたし、わたし」 口ごもる女の子を見下ろしながら、僕は、彼女の名前を思い出していた。ディア・ウッドフィル、僕らと同じ二年生だ。たしか去年の天尭展に、淡い色使いの、花の絵を展示していた。筆づかいに特徴があったので、印象に残っている。 「ええと。事情を訊かせてくれるかな」 アカアシがやわらかな声音で訊くと、ディアはようやく顔を上げて、震える声で、つっかえながらいった。 「き、きょうの朝、展示室にいって。入場まえで、そのとき、たまたま私しかいなくて、それで」 見るなりひとめで絵に心を奪われたのだと、ディアは口ごもりながら説明した。 てっきり、アカアシを妬む連中のしわざだと思っていた僕らは、思わず拍子抜けした。泣きながら何度も謝るディアの様子は、見つかってしまったので言い逃れをしているというふうには見えなかった。 吸い込まれるようにして、長いこと、この絵に見とれ続けた。この絵が欲しい、自分だけのものにしたいと、つきあげてきた衝動につきうごかされた。そのときに限って、周囲には誰もいなかった。そして手には、自分の絵を包んでもってきた梱包材を持っていた……。 「わ、わたし。怖くなって。言い出せなくて」 我に返って、自分のしたことに青ざめたけれど、おそろしくなり、罪を告白できなかった。それで朝からずっと、ここに隠れていた。ディアはそういいおえると、わっと泣き伏した。 僕はあきれ返って、その無責任や、芸術作品を独占することの心の貧しさをなじろうとしたけれど、謝りながら泣いている可憐な女の子をさらに責めるのは、僕には荷が重すぎた。 「やってしまったことは仕方ない。すぐ返してもらえれば、君が盗んだとはいわないで、もとの場所に飾っておく。それでいいよな、アカアシ?」 僕が情けなさをおぼえながらそういうと、アカアシは首をゆっくりと横に振った。それからそっと屈みこんで、まだうずくまって泣いているディアと、目線の高さを合わせた。 「この絵は、君にあげるよ」 アカアシはゆっくりと、かみ締めるようにそういった。 ディアは言葉を失って、ぽかんと彼を見つめ返している。その驚きに見開いた目から、涙がぽろりと落ちるのを、呆然と目で追ってから、僕ははっと我に返った。 「待てよ、アカアシ。きみは自分が何をいってるのか、わかってるのか」 ほとんど叫ぶように、僕はいった。 「わかってるつもりだけど?」 不思議そうに見つめ返されて、思わず一瞬、絶句してしまった。アカアシの目には、何の屈託もない。それでもどうにか気をとりなおして、拳を振りあげた。 「天尭展で評価がもらえないと、来年の奨学金はないんだぞ!」 アカアシは僕と同じ特待生だ。授業料の免除と奨学金がなければ、財産を持たない彼が、大学にとどまれるはずがない。 ディアは、自分の犯した罪の重さを改めて思い知らされたように、真っ青になって震えだした。 「わた、わたし、知らなくて」 悲痛な声をあげるディアをなだめるように、アカアシはとびきりやわらかい声をだした。 「いいんだ。冬に、倍がんばるよ。それで認められなかったら、それまでの話だ」 アカアシはそういって、むしろ上機嫌に、冠羽をゆらゆらと揺らした。それから、じっと彼女を見つめて続けた。 「だって、君のために描いたんだ」 その言葉に、あっけにとられて、シャガンと僕は顔を見合わせた。ディアはディアで、ぽかんとしている。 「いったい何がどうなってんだ? お前ら、もともと知り合いなのか」 「違うよ。そうじゃなくて」 アカアシはゆっくりと首をふった。 「この絵を好きだといってくれる人のために、僕は、描いたんだ。だからこれは、君のものだ」 本当なら、僕はそこで怒るべきだった。 だけど実際には、とっさに口を噤んで、アカアシの後ろ頭を、ただ睨みつけていた。アカアシの理屈は、無茶苦茶なのだけれど、なんとなくその気持ちが、わかってしまうような気がして。 僕らは何も、名誉や金のために芸術を志しているわけではない。有名になんてならなくても、たった一人、心からその作品を愛してくれる人がいれば、きっと、そのためだけに僕らは、何枚でも絵を描く。 だけど、そんな無茶を黙って見逃すわけにはいかなかった。アカアシの奨学金の問題もあるが、それ以前に、この絵を愛するのは、彼女ひとりの特権じゃない。公開されれば、かならず大勢の人々がこの絵に心を揺さぶられるだろう。 けれど僕がそう諭す前に、彼女のほうが首を横に振って、きっぱりといった。 「お返しします」 アカアシは不思議そうに首を傾げて、ディアを見つめ返した。 本当にごめんなさいと、彼女は深々と頭を下げた。 「いまから正直に、先生に事情を説明して、展示してもらってきます」 「だけど……」 彼女をかばうようなことを僕がいうのも、何か筋が違うような気がするのだけれど、とっさに言葉が口から出ていた。 窃盗に対する処罰はただでさえ重い。まして芸術作品を盗むことに対して、学長も教授たちも厳しい処分をくだすだろう。しかも、よりによって天尭展を妨害したのだ。 「退学処分も、あるかもしれないんだよ」 そういった僕に、彼女ははっきりとした視線を向けて、首を振った。その表情に、僕は圧倒されて、思わず息を飲んだ。さきほどまで怯えて泣きじゃくっていた少女と同じ人間だとは、とても思えなかった。 「私は、それくらいのことをしました。処罰は受けます」 「だって、それじゃあ」 何かいいかけたアカアシを遮って、彼女はいった。もう泣いていない、真剣な目だった。その凛とした横顔が、アカアシの絵に描かれた蝋羽族の女性とどこか重なって見えて、僕は涙の筋の残るその白い頬に、思わず見とれた。 「ひとつ、お願いがあります。来年も再来年も、大学をでてからも、きっと絵を描いてください。わたしはこれから描かれるあなたの絵を、どうしても見たい」 その言葉に打たれたように、アカアシは声を飲み込んだ。 「お願いします」 彼女は深々と頭を下げた。アカアシはいっときの間、羽の一枚も動かさずに、じっと立ち尽くしていたが、やがて無言で、力強く頷いた。何度も何度も、繰り返し頷いた。 |
HAL
http://dabunnsouko.web.fc2.com/ 2011年07月10日(日) 22時20分14秒 公開 ■この作品の著作権はHALさんにあります。無断転載は禁止です。 |
|
この作品の感想をお寄せください。 | |||||
---|---|---|---|---|---|
No.13 HAL 評価:0点 ■2011-08-06 21:34 ID:DF.sMcDYxBI | |||||
> キャサリン様 ありがとうございます! 一般板どころか、三語にもこのごろあまりお邪魔できていなくて、ちょっと自分でも焦ってきました……。 筆をとっていないわけではないのですが、ここしばらく間が悪く、こちらに投稿しにくいものばかり書いているので、なんとかして早いところ戻ってきたいです。秋以降になるかなとは思うのですが、もしそのときにお時間がございましたら、またよろしくお願いいたします。 結末、弱いですよね。盛り上がる構成、苦手苦手といっていないで、これからしばらくの間、重点課題にしたいなと思います。 ファンタジー大好きなので、そこを面白いといっていただけて、とても嬉しいです。 お言葉を励みに精進します。ありがとうございました! > Phys様 ありがとうございます! すっかりご無沙汰しております(汗) ワーキリーのキャラクターを褒めていただいて、嬉しくなっておもわずにやにやしてしまいました。自分で自分のキャラクターを好きだというのも、なんていうか色々恥ずかしいのですが(笑)、彼の自分に厳しい、青臭いところが可愛いような気がして、こっそり気に入っています。 過分なお言葉をいただいて、嬉しいやらあわてるやらですが、ともかく、とても励みになりました。とにかく自分では、自分の書いたものの「こういうところが自分らしい」とか、そういうのがいつもよくわからずにいるので、お言葉がとても嬉しかったです。 おそらく秋以降になると思いますが、また一般板にも戻ってきます。そのときに、お時間がございましたら、どうぞまたよろしくお願いいたします! > かなた様 ありがとうございます! ディアの動機、ホントにやっつけでした。猛省します……「三語だったから」をいいわけにしたくても、すばらしい完成度の三語作品が実際に傑作選に何本もあがってきているので、まったく言い訳にならない今日この頃です。し、精進します。 構成、うまくなりたいなりたいとずっと口だけで、ちっとも成長がなくて恥ずかしいです。しばらくのあいだ、盛り上がる構成というのを重点課題にして、がんばってみたいと思います。 異世界ファンタジー大好きなので、世界観を褒めていただけるととても嬉しいです。参考になんて恐れ多い気もしますが(汗)、しかし、拙作が何かしらの参考になるのなら、光栄です。 かなた様の異世界もの、どんなものが出来上がるか、とても楽しみにしています。前に、異世界漂流モノのオススメを聞かれたので十二国記をご紹介しましたが、漂流じゃないハイファンタジーでもよければ、「西のはての年代記」や「精霊の守り人」などがすごくオススメですよー、とこんなところでこっそり呟いてみます。もしいつか機会がありましたら。 ありがとうございました! |
|||||
No.12 かなたん 評価:40点 ■2011-08-06 10:40 ID:lGzBkxpzdcA | |||||
読みました。 違和感のない異世界の描写。さすがだなと思いました。異世界ものの長編を書こうと思っていたので、参考にさせて頂きます。 作品内で起こっている出来事は些細なことかもしれない。しかし、当人たちにとってはとても大事なことで、そこには無視できない、無視してはいけない心の動きがある。そういった大切なことを自然に表現されているというのはすごいなと思いました。 一つだけ気になった点。 ディアの動機にもう一ひねりが欲しかったです。 さらりと説明されていますが、この部分こそをもっと丁寧に深く掘り下げてほしかったなあと、個人的に思いました。 ラストのシメ方についても、上記を発展させることで、同じ展開でもまた違った味わいになると思うのです。 ではでは。 |
|||||
No.11 Phys 評価:40点 ■2011-08-03 22:02 ID:M7MoVmhFpfg | |||||
拝読しました。 こんばんは。久しぶりにHALさんの作品が読めて喜んでいます。三語みたいな イベントには参加したいのですが、いろいろと要領が悪くて時間がないので、 一般板に出てくるみなさんの作品に触れることでなんとかTCにしがみついて います。 脇道に逸れてしまいました。(汗) >よう、鳥野郎にワーキリー。 この冒頭からニヤッとしてしまいました。前作に感じ入るものがあったので、 あの三人のお話が始まるんだ、という期待感を煽るには十分でした。 (『秋の日の……』でちらりと触れていたサイドストーリーですよね?) >彼の描いた美しい蝋羽族の絵が、行方知れずになったと知ったとき、心のどこかで一瞬といえど喜んでしまった >自分の卑しい性根にも、僕は腹を立てていた。だが、そのことを僕はいまだに、この親友に打ち明けられずにいる こういった描写を気取ることなく、誠実に書けるのは本当に羨ましく思います。 人間の持つ卑しい部分を、作り物めいたものに貶めることなくさらりと物語の 中に滑り込ませるセンスには、常々惹き付けられるものがあります。こまかい 描写の繊細さとキャラクターの確かな息遣いが、HALさんの魅力ですね。 さて、すでに感想を書かれているみなさんの意見に、結末にもう一段欲しい、 という内容のものを拝見しました。私も物語にはカタルシスを求める人間なので、 前作の『秋の日の……』の時にはそのような感想を書いた覚えがあります。 ですが、本作に関して、なぜかそういった点は気になりませんでした。むしろ この終わり方が、私は好きなのかもしれません。『作者が物語の奴隷になって いる』という表現がありますが、私は、HALさんの場合はまさにその『逆』だと 捉えています。 読者としての私の中で、HALさんの書く物語は紛れもなくHALさんのものです。 他人には書けないでしょうし、自分の中で構築された確固たる世界観をお持ち なのがはっきりと伝わってきます。そして、登場人物の匂いや、文章の呼吸、 結末の余韻も含めてHALさんの世界なのだと考えると、それひとつを抽出して 考えることはできないと思うからです。 なんだかとりとめのない感想になってしまいましたが、大いに作者様の世界に 浸ることができました。明日も元気に出勤できそうです。 また、読ませてください。 |
|||||
No.10 のんべいキャサリン 評価:40点 ■2011-07-30 21:52 ID:.gd2VjMVTDw | |||||
読ませていただきました。 日本を飛び出した作品も上手く書かれますね。 三語が盛んだそうですが、やっぱりここに発表して欲しいと思っていたので拝読させていただいて感激です。 良い登場人物も際立っています。 だからこそもったいないなと感じたところは、ひっくり返しやラストの余韻を感じさせる「終」の部分です。プロの作品を読むと昨今のラストは凄いですよね。HALさんだから注文を付けちゃうのですがそんなものが欲しかったかなと感じました。 でも、ファンタジーとして面白い作品でした。 また、読ませてください。楽しみにしています。 |
|||||
No.9 HAL 評価:0点 ■2011-07-22 21:17 ID:aDXBl/4mTww | |||||
> 言葉に惹かれて様 わーごめんなさい! チャットでお話したからか、返信したようなつもりになっていました!(汗) こちらこそ、五月の折はありがとうございました! せっかくのお祝いなのにたいしたものが書けず、心苦しい限りですが、喜んでいただけたのならなによりです。 あらためまして、言葉さまの19歳の年が、よい一年になりますように。 |
|||||
No.8 言葉に惹かれて 評価:0点 ■2011-07-17 21:01 ID:xws1y5z2M0U | |||||
実験室に投稿してくださった作品を拝読いたしました。 しかし、感想が書けないので、申し訳ありませんが、 ここに失礼させていただきます。 言葉に惹かれてです。ありがとうございます! とてもうれしいです。 実は、とうとうバイトを始めよう!と決意しまして、明日 面接を受けに行きます。初めて書く履歴書に満「18歳」と 書きそうになって、はたとペンを止め。そんなことがあり ました。 19年間、わたしのなかでは必死こいて生きてきました。 はっきり言っていい思い出なんてなかったですが、これから 先はいくらでも拓いていけますから、苦いそいつらはどっかに ほっぽらかして、これから幸せをつかみに、湖畔から舟を漕ぎだそう とおもいます。 輝き満ちた人生の海へ、そして言葉あふれる創作の海へと。 素敵な詩をありがとうございます。心よりうれしく思います。 ありがとうございました。 |
|||||
No.7 HAL 評価:0点 ■2011-07-16 20:07 ID:cSRxvNykN1A | |||||
> 楠山さま ありがとうございます。臨場感、リアル感があったとのこと、とても嬉しいです。 ラストの物足りなさ、課題だなと思います。前々から自覚はあってもなかなか成長のない部分で、それが悔しくもあります。進歩の遅さにめげず、精進していきたいです。 ありがとうございました! |
|||||
No.6 楠山歳幸 評価:30点 ■2011-07-14 00:08 ID:sTN9Yl0gdCk | |||||
読ませていただきました。 三人の描写というか人間味が、臨場感みたいな感じがあってとても良かったです。やっぱり上手だな、と思いました。 設定も、ファンタジーにあってリアル感がありました。面白かったです。 前半の勢いに対してラストがちょっと……、とも感じましたが、それはそれで、作品の雰囲気というか世界に合っているかな、と思いました。 拙い感想、失礼しました。 |
|||||
No.5 HAL 評価:0点 ■2011-07-13 22:10 ID:B3tCuvu6QIU | |||||
> お様 いつもありがとうございます。続き物というか、こちらを昨年10月に即興三語で書いて、しばらくしてから、続編として「秋の日〜」を書いたのでした。投稿する順番が逆になってしまい、紛らわしいことをしてしまいました……失礼しました! 後半がパワーダウン、返す言葉もありません……。そのあたりは自分でも自覚があったのですが、繋ぎ、という部分はぜんぜん気づいていませんでした。いわれてみれば本当にそうでした。 ご指導ありがとうございました! > 片桐様 ありがとうございます! ひねり、クセ。おっしゃるように、腕のなさばかりでなく、向き不向きや作風や好みの問題もあるのかなとは思うのですが、しかし、欲をいえばそういうものも書けるようになりたいです。盛り上がりについてはそれ以上に、本当になんとかして身につけたいなと思います。ひねりがなくても盛り上がる小説というのは、たしかにあるわけですし……。 おなじことを前々からいってはいるのですが、ちっとも進歩せず。このごろますます切に思う次第です。がんばります。 ありがとうございました! > 山田さん様 わ、ありがとうございます! 意外性のなさは……TCにお邪魔するようになって、今度の9月で3年になりますが、その頃から一ミリたりとも前進していないような気がして、我ながら情けないやら……(涙) ひねり、意外性、はともかくとして、ちゃんと盛り上がるお話は、書けるようになりたいです。成長の遅さにくじけず、精進します。 本当に悪い人、毒……ですね。自分でなかば意識して避けようとしているところでもあります。わたしの場合、ただそういうものを書く「だけ」でいいのであれば、多分、書けないことはないと思うんです。それも多分、読まれた方がドン引きするようなのを……(汗) ただ、それを書いた上で、救いに結びつけるほうの自信というか、力がなくて。といって、ただ毒が強いばかりで救いようのない話は、書きたくもないし、読まれたくもないかなと。 悪意に満ちた言動というものは、それこそうんざりするほど現実に溢れかえっており、正直なところ、物語の中でまで見なくても、すでにおなかがいっぱいだという感覚があって。といいつつも、そういうものをまともに描ききった上で、けれど救いを見出せるような話であれば、それは、とても価値のあるものだと思うのです。 意識せずにほうっておくと、根が暗いせいか、どんどん暗い話ばかり書いてしまうというのもあります。いいものをいいものとして、正面から力強く書ける人に、とても強い憧れがあって。ないものねだりなのですが…… そんなこんなで、未熟者ながら思うところあるのですが。でも、いつもいつもおなじ指向性のものばかりをめざしているというのも、それはそれで、望ましくないなという気持ちもたしかにあります。 仰るように、普段は書かないようなものに思い切って飛び込んでみることで、見えてくるものもあるかもしれないですものね。 それに、いつか小説にして書かなければならないのだろうなと思う屈託や葛藤も、抱えてはいて。いずれ力がついたら、あるいは気持ちの整理がついたら、そういうものにも、挑んでみたいなと思います。 最後のフォローもありがとうございます。お言葉を励みに、懲りずにがんばっていきたいと思います。ありがとうございました! > ゆうすけ様 ありがとうございます! 前に投稿したのを、覚えていてくださったのですね。嬉しいです。 なつかしの三人組というか、実はこちらが最初でした……。三語にこれを投稿したのが、彼らの最初になりました。だから、こちらはものすごくいまさらの投稿になります(汗)前回投稿したほうが続編で。順番が逆転して、紛らわしいことをしてしまいました。 スタートレックってそんな感じのお話なんですか? 観たことないのですが、漠然としたイメージだけで、内容を勘違いしていたかもしれません。そのうちさがして観てみようかなと思います。 それにしても、上善水の如しときいて、まっさきに日本酒を思い出してしまって、ちょっと反省しました……(笑) 過分なお言葉に恐縮しつつ、とても励まされました。ありがとうございました! |
|||||
No.4 ゆうすけ 評価:50点 ■2011-07-13 09:06 ID:1SHiiT1PETY | |||||
拝読させていただきました。 おお! 懐かしの三人組ですね。彼らの活躍を期待しておりましたぞ。明確に書き分けられたキャラ、それぞれの立ち位置をしっかりと区分けしていますね。短編ですと、こうして明確に個性を出すのがいいと思いますよ。 HALさんの持ち味である、興味深い世界を構築して面白いキャラを登場させて、そしてありふれた日常を丁寧に描く。今作もまたそうなのかなと思いながら読みました。 文化衝突、これも面白い題材ですね。スタートレックを見ているようです。 意外性はちょっと乏しく感じましたが、読後感が凄くよかったです。ああ、なんだかいいなあ、と心地よい気持ちになりました。誰かの為の芸術、そんな作品を描く、ロマンですね。 私の好きな言葉に、上善は水の如し ってのがあります。水は周囲に潤いを与えるもの。HALさんがまさにそうですね。ではまた読ませて下さいね。 |
|||||
No.3 山田さん 評価:40点 ■2011-07-12 23:09 ID:rAWdl7crano | |||||
お久しぶりです。 拝読しました。 作品の持っている世界観は好きです。 登場する人物も好きです。 もともと登場人物のキャラクター作りのとてもお上手な方ですから、すっと入っていけます。 ラストのディアとアカアシのやりとりもとても良い雰囲気を醸し出していると思います。 読後感がとても良いですね。 ということで、作品の感想とはちょっと違うことを少し書いちゃおうかなと思います。 お気に触ったらすいません。 実は読みながら「こういう展開になるのかな」と想像していた展開になりました。 もちろん完全に想像通り、という訳ではないですが、大方の流れは思った通りに落ち着いたという感じです。 「嫉妬を愛国心にすりかえて、正義感をきどった輩」が盗んだのではなくて、純粋にアカアシの絵に魅了された誰かが持ってしまったんじゃないかな、と想像したんです。 そしてその想像は「これはHALさんの作品だから『本当に悪い人』は登場しないだろうなぁ」という単純な発想からでした。 もちろんそれはHALさんの持っている個性や特色ですし、それが悪いということではありません。 ただ、それは下で片桐さんも書かれておられるように、意外性に乏しいということなのかもしれません。 僕自身もいままで「本当に悪い人」が登場してきた作品を書いてないですし、もしかしたら書けないのかも、という思いがあります。 あるいは「それを書くことによって、違った自分を見出せる」ことに繋がるかも知れない、なんて偉そうに考えたりもします。 同じようなことがHALさんにも言えるかも知れないなぁ、なんて思いは僭越ですよね(汗)。 とまぁ、いろいろと書いてしまいましたが、僕はこの作品はかなり好きです。 |
|||||
No.2 片桐秀和 評価:40点 ■2011-07-12 21:53 ID:n6zPrmhGsPg | |||||
読ませてもらいました。 こういった世界観の作品って大好きなので、気持ちよく物語世界に没頭することができました。ファンタジー特有の薀蓄が僕は好きです。楽しく読めたのですが、読み終えて改めて全体を見ると、話の筋としては破綻なくまとまっているものの、クライマックスが弱い気はしました。毎回言っている気もしますが、展開がストレート過ぎるくらいストレートというのは、HALさんの長所でもあるとは思います。しかし、僕のように一癖あるストーリーが好きな人間には、もうちょっと欲しいと思わせる要因にもなるかなと。かといって、無理に曲げなくてもいいことだし、この路線のままもっと面白くしていくことも可能でしょうから、信じる道を行ってくださいとしか最終的にはいえないのですがw。 とにもかくにも久しぶりに読めてうれしかったです。これからもがんばってくださいませ。 |
|||||
No.1 お 評価:30点 ■2011-07-12 20:09 ID:OV.iKSSikvg | |||||
スマホからなので短めに。 続き物ですね。前のを読んでなかったら状況が掴めなかったかも。その点は、まあ、置いといて。前半は前半として、後半は後半として良かった。ただ、その繋ぎか、弱かったかな。まさに、肩透かし感がその瞬間感じられた。プラス、前半の思考的勢いに対して後半がパワーダウン。結末はどうにも語りきれない感じ。ラスト、がつがつ語り合って欲しかった。 |
|||||
総レス数 13 合計 310点 |
E-Mail(任意) | |
メッセージ | |
評価(必須) | 削除用パス Cookie |