エンシェント・エンジェル |
エンシェント・エンジェル第11話「 ―ここは、ヴェルカノーネと呼ばれる世界。 かつては光溢れた世界だったが、突如現れた謎の集団により、闇へと塗り替えられてしまった。 誰もが絶望の底に落とされ、生きる希望をなくしてしまっていた。 そんな中でも希望を失わない者たちもいた。 とある町の図書館で1人の青年が本を読んでいた。 「何の本?」 明るい声が図書館に響く。 「異世界――アルノアの物語だよ。」 青年はそれに驚くことはなく、平然と答える。 「ああ、アルノアの物語っていろいろあるんだっけ?」 「うん。ところで、エルル。君がここに来るって珍しいね。何かあったの?」 「なによ、ヴェレリアス。あたしがここにいるとおかしいの?」 エルルと、呼ばれた少女はむっとして言い返す。 そうじゃないよ、とヴェレリアスと呼ばれた青年は苦笑しながら、答えた。 「君は普段から町の外にいて、何か凄いことがあったら僕を呼びにくるから」 「あ、そうだった。」 ぽん、と手を打ち、教えてきた。 「大変なのよ、光の柱が見えたのよ!」 「なんだ、光の柱か。・・・・・・ええっ!?」 さらっと、聞き流したヴェレリアスは、やや時間がたってから目を見開いて振り返った。 「そ、それ本当?」 「うん。4辺の塔の中央にある聖域に光の柱が立つのが見えたの。」 「そっか、アルノアから誰かきたんだ。」 「エンシェント・エンジェルなのかな?」 「さぁ、それは分からない。」 2人は会話を繰り返すと、エルルが言った。 「迎えに行くの?」 「それが、ガーディアンの務めだよ。」 エルルの問いかけに、当然のようにヴェレリアスは答えた。 そして、ヴェレリアスは聖域へと向かう。 その日はいつもと同じように朝起きて、ご飯を食べて、学校に行って、放課後、新しくできた本屋さんに寄り道をした。 そこで少女、サクラはあちこちの書棚を見て回っていた。 店の片隅に置いてある小さな書棚に興味を持ち、近寄った。 『エンシェント・エンジェル』 サクラはそんなタイトルに惹かれ、本を手に取った。 ぱらぱらとめくると、挿絵が目に入った。 ――綺麗な子だなぁ。 金髪の髪に青い瞳の女の子。 背中からは黒と白の2対の翼が生えている。 ――え? 挿絵に描かれた女の子がこっちを見た気がした。 まばたきしてもう一度見てみると、女の子はこちらを見ていて、しかも 微笑んできた。 サクラがびっくりしていると、その子は口を動かし初めて、何かを伝えようとしてくる。 声が聞こえてきた。 “お願い。ヴェルカノーネを、救って。” ――え?誰、ヴェルカノーネって何ですか? “私は△△。貴女に、1つの試練を与えます。” ――し、試練? “貴女はこれから、ヴェルカノーネへ行きます。” ――あの、行くことが確定しているのですか? “もう、この世界へは戻れませんが、私は貴女を不幸にするつもりはありません。むしろ、幸せになって欲しいのです。この試練は貴女の心身共に強くさせるでしょう。” ――はい?今、戻れないって?でも、幸せになって欲しいって? ・・・・・・言ってることがよく分からなくなってきたんですが。 “さぁ、いってらっしゃい。” ――こ、こら!質問に答えて――。 言い終わらない内にサクラのまわりは闇に包まれた。 本が光を放った気がした。 気がつくと、サクラは遺跡のような場所にいた。 「ここ、何処?」 サクラは、誰かと話していた感覚があった。 夢だったのだろうか? しかし、ここはサクラの知っている場所ではなかった。 そう考えていると、 バタバタ、ガタガタ。 突然、物音がした。 「ふぇ?」 サクラのいる部屋に男が現れた。 「とうとう、見つけたぞ。エンシェント・エンジェル!」 ――はい?エンシェント・エンジェルって何? その人は呆然とするサクラに近づいてきた。 サクラは背を向けて逃げることにした。 理由は分からないが、捕まったらいけない気がしたのだ。 「ハァッハァッ!」 あれから何時間経ったのだろう。 後ろから追ってくる足音が聞こえなくなるまでは苦しくても、止まれない。 「えっ。うそ!」 サクラが何回目かの角を曲がったとき、行き止まりになっていてこれ以上進めない。 「くっくっく。鬼ごっこは終わりだなぁ?」 「ッ!」 振り返ると、男が嗤いながら近寄ってきていた。 「・・・や・・・・・・いや・・・」 男が手を伸ばしてくる。 サクラは行き止まりと知りつつも、後ろへと下がる。 ――誰か、助けて。 心のなかで助けを求めた。 怖くて、もう駄目と思って、ぎゅっと目を閉じた。 「その人に手を出すな。」 「なんだ、貴様は?」 「え?」 目を開けると、少年がサクラに背を向ける形で男と対峙していた。 「貴方、は・・・・・・?」 「僕はヴェレリアス。君を、護る騎士だ。」 ――はい?いま、この人凄いこと言わなかった? サクラが驚いていると、ヴェレリアスと言う人はそのまま駆けていく。 「ガキが!なめやがって!」 ギャリィン! 剣と剣がぶつかり合い、激しい音を立てる。 「っく!」 細身の剣を持つ、ヴェレリアスが若干押されている。 「おらぁっ!」 「きゃっ!」 危ない、そう思ったその時。 ヴェレリアスがサクラの方へと吹き飛ばされてしまった。 「だ、大丈夫ですか?」 「・・・・・・やっぱり、一人でアイツは倒せないかっ。」 「死ねぇぇぇ!」 このままじゃ、ヴェレリアスが殺される! そう思ったサクラは、二人の間に割り込んだ。 「何ッ!?」 「だめだっ!」 二人が叫ぶ。 振り上げられた剣は止まることはなく。 サクラに向かって落ちてくる。 私、死んでしまうの? 誰かが私を庇って死んでいくのを見るのは・・・・・・もう、嫌だから。 サクラは、目を閉じた。 「・・・・・・。」 いつまで経っても最後がやってこない。 不思議に思ったサクラは、目を開けた。 「ひゃあ!」 なんと、サクラの目の前で剣が止まっている。 また、声が響いてきた。 “よかった。間に合ったみたいね。” ――へ? “いきなり飛びだすから、もうびっくりしちゃった。” ――あ、ごめんなさい。 “いいのよ、謝らなくて。貴女は、貴女のしたいように行動すればいい。” ――私の、したいように? “それが、貴女の成長に繋がり、この世界を正しき方向へと導く。” ――よく分かりません。 “いいのよ、今は分からなくても。” ――?? “それよりも、貴女は今なにを思って行動したの?” ――え?ヴェレリアスさんを護りたいって思って。 “その気持ちを忘れないで。サクラ。” ――!!今貴女、私の名前を――! それきり声が届くことはなかった。 止まっていた時間が動き出す。 「きゃああああ!」 剣が振り下ろされる。 「私、死んじゃうよー!」 サクラがパニクっていると、 ふわっ。 腰の辺りになにかあたった感触と共に、サクラの足は地面を離れた。 「まったく、無茶する子だなぁ。」 後ろから声がする。 ヴェレリアスがサクラを抱きかかえて跳んでいた。 やや、呆れたような声にサクラはむっとして言い返す。 「私には桜って言う名前があります。」 「サクラ。しっかり捕まっていて。少しとばすから。」 「へ?」 今、とばすとかいった? 「え、ちょっと、待って・・・・・・。」 ――ヒュオン。 風を切るような音と共に、ヴェレリアスは駆け抜けた。 「わぁぁぁっ!」 「しゃべると、舌を噛むよ。」 「速いってレベルじゃないですよ!」 「目が回るぅ〜。景色が、一瞬で通り過ぎてくよ!」 「着いたよ。」 ヴェレリアスに連れられて、サクラがあの男から逃げてたどり着いた先は、 床に大きな魔方陣が描かれた広い部屋だった。 「ここ、は?」 「古の戦士、エンシェント・エンジェルが目覚めたと言われる場所だよ。」 「エンシェント・エンジェルって、何度も聞きますが何ですか?」 サクラが尋ねると、ヴェレリアスは親切に教えてくれた。 「かつて、世界が闇に覆われたとき。アルノアから1人の少女がやって来た。 その少女は背中から翼を生やし、闇の者と戦ったという。 それが、天使に見えたからエンシェント・エンジェルと呼ばれるようになったんだ。」 「・・・・・・そうなんですか。」 突然爆音が聞こえたかと思うと、目の前の壁が吹き飛んだ。 「危ない!」 ヴェレリアスがサクラを突き飛ばす。 「わぁ!」 さっきまでサクラがいたところにオオカミみたいな獣が襲ってきた。 “グアアアアアッ!” 「へっへっへ、また会ったな。嬉しいぜぇ。」 「僕は会いたくなかったけどね。」 ヴェレリアスが思いっきり嫌そうな顔をして、言い放つ。 「さぁ、エンシェント・エンジェルをこちらに渡してもらおうか?」 「断ると、言ったら?」 「力尽くで奪うまでよ! 行け、ブラックウルフ!」 そう言って、男はオオカミをけしかけてくる。 向かえ打つために、ヴェレリアスは駆け出す。 「サクラ、あの祭壇の向こうへ!」 「は、はいっ!」 サクラは言われた通りに祭壇の裏へ隠れた。 そこから、少し顔を出して見てみると、 ヴェレリアスの剣がオオカミの爪にガッチリと掴まれ、 そのまま剣ごとヴェレリアスが壁に吹き飛ばされた。 「ぐあっ!」 ヴェレリアスが立ち上がる間もなく、オオカミが襲いかかる。 その時サクラは、見てしまった。 仕留めたぞ、と嗤うオオカミの顔を。 サクラは咄嗟に叫び、走った。 「やめなさいっ!」 その部屋にいた全員がサクラを見たが、サクラは必死で走っていたため、 気がついていなかった。 後ろで何かがごうと音を立てたのに気づいたが、そのままサクラはヴェレリアスのもとへ向かった。 「サ、サクラ・・・・・・。」 ヴェレリアスが驚いていた。 サクラが背中を見てみると、背中から白い翼が生えていた。 さっきの音の正体はこれだったらしい。 ――もしかして、私空飛んでいたの? そんな疑問が浮かんだ。 それだけではない。 茶色いはずのサクラの髪が金色へと変わっていた。 一話終わり。 次章予告。 桜「男が呼び出した、モンスターが私たちに襲いかかる!」 ヴ「絶体絶命かと思われたその時、桜から翼が生える。」 桜「はたしてその翼は何を意味するのか。」 桜・ヴ「次章、エンシェント・エンジェル第2話「覚醒:純白の翼」。次もよろしくお願いします!」 |
サクラ
2011年06月24日(金) 17時23分33秒 公開 ■この作品の著作権はサクラさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.3 お 評価:0点 ■2011-06-27 00:52 ID:E6J2.hBM/gE | |||||
次章予告…。 ここ、連載禁止なんですけど…。 てことで、こんちわ。 簡潔な文章で好みの分かれるところでしょうね。 文章を味わいたい人には物足りないかも。 うーん。 |
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No.2 エルル 評価:--点 ■2011-06-24 19:42 ID:0UMQa5a9V2E | |||||
次回予告の内容が気になります。 |
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No.1 エリ 評価:--点 ■2011-06-24 19:37 ID:0UMQa5a9V2E | |||||
続きが気になりますね! | |||||
総レス数 3 合計 0点 |
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